弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【毎年恒例】流行語大賞で学ぶ商標2023(第3回)

2023年11月12日 08時13分38秒 | 名作シリーズ(笑)
おはようございます!
小雨模様…?な@成田です。
人生初LCC、まもなく搭乗です。

さて、掲題の件。今日取り扱うのは…

====
(3)偉い人の考えることはわからん(「twitter」→「X」)
 SNS「twitter」の名称が「X」に変わったのは今年7月24日のこと。
 もともとラジオと親和性の高いメディアだったtwitter、
 それ以降しばらく(今も…?)
 “さて、番組への投稿は、エックス、旧ツイッターでつぶやいて…いやポストしてください”
 というたどたどしい案内がされている。

 こういう状態を見聞きして、「元プリンス」を思い出してしまったのは自分だけ…?

 さてさて、商標法的な観点で言うと、アルファベット一文字からなる商標は原則的に登録にならない。
 条文的には3条1項5号。

~~~~
(商標登録の要件)
第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
(一~四、六は省略)
五 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標

   ↓
商標審査基準 3条1項5号
3.「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」について
(1) 「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当するものとは、例えば、次のものをいう。
 (ア) 数字について 数字は、原則として、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当する。
 (イ) ローマ字について
   ① ローマ字の1字又は2字からなるもの
 (以下略)

~~~~

もちろん、「X」一文字であったとしても、顕著に装飾がされるなどで外観上特徴がある場合は上記規定にかかわらず登録になる。
この点、現状の日本での出願はというと…


(上記は出願の一部。入りきらなかったので…)

全部、一般的な書体。これだと、原則的には独占性なしで拒絶されることになる。

もっとも商標法には「使用による顕著性」という考え方がある。
原則的には上記のとおりでも、使用の結果何人かに係る商品/サービスである、と認識されている場合には
例外的に登録が認められる。

~~~~
第三条
2 前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。

~~~~

本件も、この制度を前提として出願しているものと思われる。
ただ、独占性の有無って「ゼロサム」というよりは「強弱」。
アルファベット一文字は、無いか限りなく弱いの部類だと思うし、、、どう判断されるかなぁ。。。


まずは上記の右側のロゴで権利確保すれば良いのじゃないかなぁ、と思うのだけど。


また、こちらの記事のとおり、USではXを先行して使用している権利者から侵害訴訟を提起されている。
USは日本とは商標の考え方がちょっと違うので日本でも同様のことが起きるというわけではないとは思うけど、
せっかく確立してきていたtwitterブランドを捨ててまで飛び込むところだったのかなぁ、というのが率直な印象。


とまあそんなところで次回へ続く。
次回が多分今年は最終回。

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