弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(商標)】フランク三浦の件

2017年03月07日 08時15分50秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
朝から歯磨き粉付けて作動中の電動歯ブラシを口からこぼしてしまい、
Yシャツやらネクタイやらに泡が飛び散ってブルーな三色眼鏡です(なんのこっちゃ)。

さて、今日は「フランク三浦事件 最高裁」に関する記事。
これがまあ、色々な報道のされ方で…

FNN 3/6配信
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「フランク三浦」最高裁で勝訴確定

「フランク三浦」の商標登録は有効と、最高裁が判断した。
この裁判は、スイスの高級時計「フランク・ミュラー」のパロディー商品「フランク三浦」の商標について、
「フランク・ミュラー」側の請求を受けた特許庁が無効としたため、「三浦」側が訴えていたもの。
知財高裁は、100万円を超える商品が多い「フランク・ミュラー」に対し、
「三浦」が4,000円から6,000円であることなどから、「呼称は似ているが、概念は大きく違う」と結論づけ、
「三浦」の商標登録が有効との判決を出した。
最高裁は、6日までにこの判決を支持する決定をし、これで「三浦」側の勝訴が確定した。
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JNN 3/6配信
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腕時計フランク「三浦」勝訴、「ミュラー」の商標権侵害せず

スイスの高級腕時計「フランクミュラー」を連想させる「フランク三浦」という腕時計を販売する会社が、
商標登録を無効とした判断を取り消すよう求めた訴訟で、最高裁は三浦側の訴えを認める決定をしました。

大阪の会社が販売する腕時計「フランク三浦」は、2012年に商標登録しましたが、
高級腕時計の「フランクミュラー」を連想させるとしたミュラー側の申し立てを受け、
おととし、特許庁が商標登録を無効としていました。

三浦側は、この判断を不服として訴訟を起こし、去年4月、知財高裁は「多くが100万円を超えるフランクミュラーと、
4000円から6000円程度のフランク三浦が混同されるとは到底考えられない」として、三浦側を勝訴としました。
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朝日新聞デジタル 3/6配信
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スイスの高級時計「フランク・ミュラー」のパロディー商品名「フランク三浦」を商標登録できるかが
争われた訴訟の上告審で、商標を有効とした昨年4月の知財高裁判決が確定した。

最高裁第一小法廷(小池裕裁判長)が、2日付の決定で「フランク・ミュラー」の商標権管理会社
(英領マン島)の上告を退けた。「フランク三浦」の名での時計販売が続けられることになる。
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読売新聞 3/6
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どう見ても「フランク三浦」…商標登録「有効」

スイスの高級腕時計「フランク・ミュラー」を連想させる「フランク三浦」の商品名で時計を販売する大阪市の会社が、
商標登録を無効とした特許庁の審決を取り消すよう求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は2日付の決定で、
ミュラー側の上告を棄却した。

「フランク三浦」の商標登録を有効と判断し、審決を取り消した知財高裁判決が確定した。
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それぞれ、違い判ります?
JNNは、論外な書き方。
「商標権侵害せず」なんて判断はひとつもしていない。
今回の判決は、無効審決の審決取消訴訟の上訴。
侵害事件ではない。

平たく言うと、「フランク三浦側の権利が有効か無効か?」の争いに「有効だよ」というかたちで決着がついた、ということであって、
「フランク三浦側の腕時計の販売行為がフランク・ミュラーの何らかの権利侵害に該当しないか?」という点の判断ではない。

他の3つは、とりあえずその点は間違ってない。

気を付けたいのは、これは飽くまで「フランク三浦」という文字商標の登録の有効性の判断であって、
時計そのものの文字盤デザイン等を“寄せた”商品の販売が問題ない、とまでは結論づけていないこと。
不正競争防止法上の議論が再燃する可能性はある。
(※個人的には、商品の価格帯が異なり混同の恐れなし、との点は商品それ自体についても通用する話で、
  2条1項1号の適用はありえない、とは思うが。フリーライドの議論をどこまで展開できるかな。)

訴訟のニュースを見るときは、判断の対象が何なのか?という点に注意しましょう、という話でした。
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