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日経平均最高値「生きているうちに再び見られると

2024-02-22 22:42:14 | 日本経済・金融・給料・年金制度


     終値で史上最高値を更新した日経平均株価(22日、東京都中央区)

 

 

22日の東京株式市場で、日経平均株価は1989年末につけた最高値(3万8915円)を約34年ぶりに更新し、終値は前日比836円52銭(2.2%)高い3万9098円68銭となった。

取引開始直後は245円高だったが、その後段階的に上げ幅を広げ午後には3万9000円台に乗せた。上げ幅は一時900円に迫った。

エヌビディアの決算の好調さを手がかりに、買いの勢いは強かった。この日の日本株相場はどう動いたのか。金融機関や街の人はどんな表情で歴史的な株高を受け止めたのか。時系列で追った。

 

「どこまで上がるのか」上昇の勢い強く

 

午前6時20分 米国でエヌビディアが2023年11月〜24年1月期決算を発表。売上高が市場予想を上回った。同社株は時間外取引で一時1割高。

 

午前8時45分 大阪取引所で日経平均先物3月物が前日の清算値比500円高の3万8790円で取引開始。

 

午前9時 寄りつきは前日比245円高の3万8508円。東京エレクトロンアドバンテストなど、生成AI(人工知能)関連と目されている大型銘柄に買い注文が殺到し、なかなか寄りつかない。

同9分に東京エレクトロン、11分にSCREENホールディングス、12分にアドバンテストが寄りつくと、3万8700円台後半まで上げ幅を広げた。

 

午前10時前 トヨタ自動車日立製作所SMCなど大型株が本格的に上昇。海外勢の買いによるものだという。

T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは積極的な売りの少なさが高値の要因との見方を示した。

 

午前10時16分 一時1989年12月29日につけた高値を上回り、3万8924円まで上昇。

「おお! 超えた超えた」。日経平均が午前に最高値を一時上回った瞬間、東京・八重洲の大和証券の本社28階のディーリングルームでは、トレーダーたちの拍手と歓声が湧いた。岩井コスモ証券ではお祝いのくす玉が割れた。

同社の本間大樹東京コールセンター長は「新しい時代のスタートです。みなさんで日本経済を盛り上げていきましょう」と話した。

台湾運用会社大手の元大証券投資信託の劉宗聖会長は「今回の高値更新を迎えて驚きと不安が一緒になった気持ちだ。

日本株は約30年前の高値を回復しただけにすぎず、まだ上昇余地はある。ただ短期的に日本株が崩れてしまうことには不安を感じる」と話した。

 

午前11時ごろ 岡三証券の小川佳紀投資情報部長は「エヌビディアの決算を追い風に最高値に一時タッチしたが、思ったよりも早かった

。SCREENホールディングスやソシオネクストなど小型半導体株にもじわじわと物色が広がりつつある。来週もこのような物色の広がりが相場全体に広がれば高値が定着するだろう」と話した。

 

午前11時30分 3万8913円で午前の取引が終了。同37分、日経平均先物は3万9000円台をつけ、午後の一段高を示唆した。

 

 

 

証券界「意義は大きい」 NISA口座開設に対応


正午ごろ
 野村ホールディングスの奥田健太郎社長が東京都内の本社で報道陣の取材に応じた。最高値更新を受けて「すごく大きな節目を迎えた。ここから先は社員も投資家も体験したことがなく、すごく楽しみだ。期待に満ちている」と述べた。

株高のきっかけとなったエヌビディア決算について「市場予測を大きく上回った。投資家は安心してマーケットに入ってきている」とうれしそうに述べた。

大和証券グループ本社の中田誠司社長は東京都内の本社で報道陣の取材に応じ、最高値を上回ったことを受けて「バブル崩壊、失われた30年の象徴的な数字を超えた。日本が大きく変わったことの証しとして、非常に意義が大きい」と語気を強めた。

史上最高値をつけたことで、個人の投資意欲の向上に対する金融機関の期待度は高まる松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、「昼や今晩の最高値報道を見た人から、3連休中に新たな少額投資非課税制度(NISA)の口座開設の申請が増えると見ている。

当社ではNISA口座開設の処理がいっぱいで、来週中に臨時で口座開設対応者を増員する予定だ」と話した。

 

株高は為替市場にも影響を与えた。みずほ銀行の南英明調査役(為替ディーラー)は「午前、円は英ポンドに対し約8年半ぶり、豪ドルに対しても約9年ぶりの安値圏に下落した。

株高による投資家心理の影響を受けやすい通貨ペアで、最高値更新は円安にも寄与した。最近は海外勢の株への資金流入を感じる場面が増えており、為替ヘッジによる円売りが円安に効いているのは確かだ」と指摘した。

外国為替証拠金(FX)業界にも株高の影響が広がった。

外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「日経平均の上昇を受けて、個人投資家のリスク許容度も高まった。代表的な高金利通貨であるニュージーランドドルを買う動きが強い」と指摘した。

 

午後0時30分 午後の取引は3万8962円で開始。89年の取引時間中につけた高値も超え、すぐに現物でも3万9000円を上回った。

マツダホンダなど自動車株が上昇。同32分に3万9029円をつけた。フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは「爆上がりだ。どこまで上がるのか。

買いの主体は短期のお金。バブル高値を超えようとして、CTAやマクロが主体で相場のモメンタムを形成している。なかなか節目を見つけられず買い遅れている層が押し目買いを入れている可能性もある」と話した。

 

午後1時22分 3万8817円まで上げ幅を縮小。外資証券のトレーダーは「小口の利食いと大きく上昇した銘柄のリバランスが一部出たが、積極的な売りはない」と話した。

中小型株にも投資する三菱UFJアセットマネジメントの友利啓明チーフファンドマネジャーは「ベンチマークに勝たなければならないファンドマネージャーとしては、指数が強いと素直に喜べない。

エヌビディアの決算は、これからも大型・半導体関連が主導する株高が続くということと受け取った」と苦笑い。

 

午後2時6分 日経平均はその後上げ幅を縮め3万9000円を下回って推移。東海東京調査センターの安田秀太郎マーケットアナリストは「一区切りがつき達成感が出て、一休みムードに入った印象」と話した。

 

午後2時30分ごろ アドバンテストやSCREENホールディングスなどが再び買われ、3万9000円台に浮上。

 

午後2時55分 日経平均は3万9000円を上回って安定感ある推移に。平野憲一・ケイ・アセット代表(元立花証券執行役員、76)は「これはもう最高値を更新する。

まさか生きているうちに再び最高値を目撃できるとは思ってもいなかった。次の目標値はないので、どこまで上がるかワクワクする。その上昇相場に乗れるかどうかが最も重要だ」と興奮交じりに話した。

 

午後3時 終値で最高値を更新。大和アセットマネジメントの長野吉納調査部長は「節目を超えた達成感はあるが、1株当たり利益(EPS)の上昇などから見て違和感はない水準で、ある意味淡々と通過するところ。

大事なのはこの後だが、小型を除くと市場全体がしっかり上がっていて安定感がある」と今後への期待を語った。

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中小、株高も好景気の実感乏しく

午前10時すぎ、東証のある東京・日本橋兜町かいわいは雨が降っていた。会社の研修で東証見学に参加した栃木県の銀行員の男性は「高値更新の瞬間のボードを見られた」と驚いた様子で話した。

国内で機械部品向けなどに鋼材を供給するある専門商社の幹部は「株高と言ってもバブル期のような高揚感はない」と厳しい表情で話す。1980年代から90年代初頭は株高が消費を喚起し、家電やオフィス機器メーカーからの注文も増え続けていた。

現在の取引量は当時よりも3割ほど減少。「株高を支えているのは海外の資本で、国内の資産効果は薄い。市場縮小で先行きは不透明感しかない」。

 

 

非鉄スクラップ問屋、五井金属(東京・墨田)の五井恭治郎代表は「日経平均が高値を更新したからといって景況感が変わる感じではない。大手とは違って、中小零細はそれほど賃上げもできない」とした。

アルミスクラップを扱う、東京アルミセンター(東京・江戸川)の江川壮一社長は「前回の最高値の時はゴルフ会員権や不動産も上がってかなり経済が盛り上がっていたが、今はバブルの頃と比較すると重い感じがある。

工業関係の生産状況もあまり活発ではなく、利益が右肩上がりだった前回とは違い今は利益を出しにくい」とした。

一方、樹脂サッシメーカーのエクセルシャノン(東京・中央)の奈良憲道顧問は「今までと違って、日本企業にも明るいイメージが出てくると思う」として、投資対象として日本企業が注目されることへの期待感を示した。

 

正午ごろ、東京・神田周辺でランチを食べていた40代男性会社員は「新NISAを機に株式投資を始めた。一本調子で上がっていくので楽しい」とほくほく顔で話した。

「バブルのときは小さかったので覚えていないが、今回の史上最高値は単純に驚きの気持ち」と話した。

 

神田のある居酒屋店主は「株高でも目立って客足が増えているという感じはしない」と指摘。新型コロナウイルス禍が明けてもなお2次会の開催は少ないと感じるが、「今後、株高の恩恵で、ちょっと飲みに出ようと考える人が増えることに期待はしたい」と話した。

(小河愛実、浜美佐、四方雅之、和田大蔵、日高大、森川美咲、桝田大暉、荒川信一、犬嶋瑛、越智小夏、佐藤日菜子、吉井花依、真田湧生)

 

 
 
 

日経記事 2024.02.22より引用

 

 

 

 


ニデック、イスラエル企業と空飛ぶクルマのモーター開発

2024-02-22 19:35:39 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


  2人乗り用のeVTOL「AIR ONE」向けにモーターを共同開発する

 

ニデックは22日、空飛ぶクルマと呼ばれる電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発するイスラエル企業「AIR VEV」と、eVTOL向けモーターの共同開発で合意したと発表した。

AIR社は個人向けに販売する2人乗りの機体を開発しており、1000台以上の受注がある。この機体向けに高効率なモーターを開発する。

 

ブラジルの航空機大手エンブラエルとニデックの合弁会社の米ニデック・エアロスペースがAIR社と共同開発する。

最大100マイル(約160キロメートル)の航続距離を確保できるモーターの開発を目指す。AIR社はこのモーターを搭載する「AIR ONE」の機体認証が取得できれば、早ければ2024年末に初期受注分の納入を進める。

 

ニデック・エアロスペースのビンセント・ブラレイ最高経営責任者(CEO)は「モーターに関する専門知識と世界各地の製造能力を、AIR社のeVTOLのために活用できることをうれしく思う」とコメントを発表した。

ニデックは23年にエンブラエルと合弁会社を設立し、空飛ぶクルマ向けの部品事業を立ち上げた。エンブラエル子会社が開発するeVTOLにモーターを供給するほか、他の空飛ぶクルマ向けにも開発していく方針を示していた。

 

日系記事2024.02.22より引用

 

 


東京エレクトロン時価総額3位、ソニー抜く 10年で17倍

2024-02-22 19:25:30 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


        東京エレクトロンの時価総額は初の国内3位に

 

 

22日の東京株式市場で東京エレクトロン株の時価総額が終値ベースで初めて国内3位に浮上した。

17兆2523億円となり、キーエンスソニーグループNTTを抜いた。10年前に比べると約17倍に拡大した。中国向けの好調や生成AI(人工知能)関連の需要拡大などを背景に成長期待が膨らみ、国内の半導体関連株の筆頭として投資マネーが流入している。

 

東エレク株は22日に大幅反発し、終値は2060円(6%)高の3万6580円だった。

エヌビディアの好決算を受け、半導体装置株に買いが集中した。終値ベースの時価総額は電機業種で初の首位となった。

 

 

 

東エレクの年初来の上昇率は45%に上り、時価総額の国内順位は7位から3位に上がった。

日経平均株価への寄与度も大きく、1月以降の押し上げ幅は約1100円と全体の上昇分の2割を占める。

 

半導体の製造装置では国内最大手で、世界でも売上高で4位だ。世界の半導体関連企業では時価総額12位(21日時点、米ドルベース)につける。

2024年3月期は半導体投資の減少で4年ぶりの最終減益(会社予想で3400億円)だが、半導体の在庫調整の進展や中国向けの好調などで業績拡大への確度が高まってきた。

 

25年3月期、26年3月期の純利益の市場予想(それぞれ約4300億円、約5500億円)は年明け以降でいずれも1割弱切り上がったが、なお「上振れ余地は大きい」(国内証券)との見方がある。

 

 

けん引役とみられているのがAIサーバー関連だ。24年後半以降は先端DRAM(メモリーの一種)投資が装置市場の回復を後押しする。

25年以降はエヌビディアなどが手掛ける画像処理半導体(GPU)向けなども本格化する見通しだ。

 

東エレク固有の成長ストーリーもある。データを長期保存できる3次元NAND型フラッシュメモリーの性能を高めるうえで重要な工程で新技術を開発。

同工程向け装置のシェア拡大により、27年ごろに3000億円規模の増収効果が出る可能性がある。

 

年初来の株価上昇は需給要因も大きい。海外勢の日本株買いが広がるなか代表的な国内成長株である半導体装置株にマネーが集まったようだ。

「エヌビディアやテック大手のいる米国と異なり、国内では生成AI関連として半導体装置株に資金が入りやすい」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの片山智宏シニアアナリスト)

 

過去10年でみても、業績と時価総額の拡大は顕著だ。24年3月期の売上高と営業利益は14年3月期比でそれぞれ3倍、14倍となる見通しだ。

足元の時価総額は10年前比で16.6倍だ。15年には米アプライドマテリアルズとの経営統合が破談になったが、同社からシェアより価格や利益率に徹底的にこだわる姿勢を学び、稼ぐ力も高めてきた。

 

「30年に半導体市場が倍増し、シェアなどが同じなら売上高が倍近くになる」(東エレクの河合利樹社長)と見込み、29年3月期まで5年間の研究開発費と設備投資を24年3月期までの5年間と比べて8〜9割増やす。今後5年で国内外で計1万人を新規に採用する方針だ。

PER(株価収益率)は25年3月期の市場予想ベースで約40倍と過去10年で最高だ。業績の拡大が見込まれる26年3月期ベースでは約31倍で、「(業種内での)相対感ではまだ割高感が強いとはいえない」(ジェフリーズ証券の中名生正弘アナリスト)との見方がある。

(堤健太郎)

 

 

 


防衛省、NTT「IOWN」を安保活用 24年春にも計画策定

2024-02-22 19:18:17 | 安全保障、戦争・軍事・テロ・ハニトラ、マフィア、スパイ・犯罪・詐欺

防衛省は今春にも民間の次世代通信技術を安全保障に活用するための計画をつくる。NTTが開発中の次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を第1弾に想定する。

ミサイル攻撃情報の早期共有や電磁波を使った新作戦などに生かす。企業の先端技術を防衛にいかす取り組みとなる。

 

 

IOWNは光通信技術で通信網を築く構想で、情報を電気信号に置き換えずに送信できるのが特徴だ。

目標とする2030年度ごろに実用化できればデータ転送容量は現在の125倍、伝送の遅延は200分の1、消費電力は100分の1程度になるとされる。

 

防衛省はIOWNを高度な通信機能が不可欠な現代戦のインフラになると想定する。実用前の試験運用の段階から関与し、国防にとりいれる方策を探る。

従来より効率良く通信できるため無人機など電力消費の大きな装備を大規模に展開でき、電磁波の利用やサイバー防御もしやすくなると期待する。

 

敵の位置や動きを表す動画像データを即時に部隊で共有し作戦に反映できる。弾道ミサイルの探知・迎撃に関わる情報を送受信する精度と速さが向上し得る。

 

 

IOWNは現実世界を仮想空間で再現する「デジタルツイン」の技術向上にもつなげる構想だ。

防衛省はデジタルツインによって防衛装備の状況を常に確認すれば故障の前兆を早く把握し、補修や交換を素早くできると予想する。

 

装備の設計時から仮想空間で使い方を試せば試作品の製作を省略でき、開発期間の短縮や製造コストの圧縮に結びつくと想定する。

地形や敵の動きを仮想空間で表し、部隊がどう対処するかシミュレーションすることにも役立つと見込む。

 

次世代通信技術の活用計画は防衛省が23年8月に設けた推進委員会がつくる。

防衛次官がトップを務め、防衛装備庁長官や自衛隊の統合幕僚長、陸海空の各自衛隊の幕僚長らで構成する。

 

 

 

検討する内容は

①技術開発の調査・分析
②防衛力強化に役立つ技術の特定・実証
③技術を生かした防衛構想や運用方法の立案――の3つが軸となる。使えそうな技術の発掘から実用試験、その技術を活用した戦略の構築までを見据える。

 

防衛に先端技術を使うことで新たな研究開発や市場開拓を促し経済成長も狙う。

防衛次官が省内に出した通達は設置目的を「民間技術の急激な進展を防衛力強化に活用する」と記した。25年度予算案の概算要求に関連費用を盛り込む見通しだ。

 

防衛省は民間技術を安保に活用するため複数の政策を同時並行で進める。昨年9月に始めたスタートアップとの意見交換会には無人機や電磁波、衛星、ロボットなどを扱う企業を招いた。防衛に使える技術を見つけて活用法を検討する。

24年度には軍民両用(デュアルユース)技術に関する新研究機関を都内に設ける。企業などの研究費を助成する新制度を始める。国立研究開発法人などアカデミア(学術界)と定例で意見交換する機会も探る。

 

米国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)が平時から民間技術の活用策を構想している仕組みを参考にする。「軍民融合」を掲げる中国に対抗できる能力を備えなければならないとの危機感がある。

各国政府は人工知能(AI)やドローンなどデュアルユース技術の安保分野への活用を進めている。日本も世界の潮流を意識した対応を急ぐ。

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日経記事 2024.02.22より引用

 

 


NVIDIA、半導体売上高で初の世界首位 AI向けで独走

2024-02-22 19:08:08 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


ジェンスン・ファンCEOは一代で世界最大の半導体会社を築いた=ロイター

 

米半導体大手エヌビディアが21日に発表した2024年1月期通期決算は、売上高が前の期比2.3倍の609億2200万ドル(約9兆1400億円)だった。

韓国サムスン電子の半導体部門や米インテルの売上高を上回り、初の世界首位になった。ハードの性能とソフト基盤の強みを生かし、単価の高い人工知能(AI)向け半導体で独走している。

 

エヌビディアは24年1月期の売上高が自社製品を手がける半導体企業として首位となった。

インテルの23年12月期の売上高(約542億ドル)、サムスンの23年12月期の半導体部門の売上高(66兆5900億ウォン、約499億ドル)を上回った。

 

エヌビディアはインテルやサムスンと異なり自社工場を持たない。高性能な半導体の設計に特化し、製造を台湾積体電路製造(TSMC)に委託する。

水平分業の強みを生かして需要が高い分野に集中的に経営資源を投入し、急速に収益を拡大している。

 

 

エヌビディア躍進の最大の理由はAIの需要拡大だ。英調査会社オムディアによると、エヌビディアは22年時点のAI半導体のシェアで8割を握る。

24年1月期はAI半導体を含むデータセンター向けの売上高が475億2500万ドルと前の期比で3.2倍に増えた。

 

エヌビディアが主に手がける画像処理半導体(GPU)は膨大なデータを並列して処理できる。もともとは高精細な画像を処理するゲーム向けの半導体だが、12年の画像認識の大会でAIの学習にGPUを使ったチームが圧勝したことでAI向けの需要に火が付いた。

この流れを米オープンAIが手がける対話型AI「Chat(チャット)GPT」が加速した。オープンAIと資本・業務提携した米マイクロソフトに対抗し、米グーグルや米アマゾン・ドット・コムなどテクノロジー各社が生成AIの機能を競うようになった。

 

AIは学習データが多いほど賢くなる。そこで各社はAIのデータ処理に欠かせないGPUに開発資金を投じる。テック企業の間でAIの開発競争が激しくなる中、性能が高いGPUをほぼ独占的に供給できるエヌビディアに恩恵が集中している。

AIに使うGPUの最新モデルは500万円で売られるものもある。同社の最も高性能なゲーム用半導体の約20倍と単価が高い。AIの追い風でデータセンター向けが急拡大し、祖業で二本柱の一つだったゲーム部門が売上高に占める比率は23年11月〜24年1月期に13%まで下がっている。

 

エヌビディアの大きな強みは、GPUの先行者利益を生かしたソフトウエア資産だ。

「CUDA」と呼ぶ周辺ソフトウエアを開発者に提供し、GPUを使いやすい開発・設計環境を整えている。「ハードとソフトのエコシステムが競合企業にとって参入障壁になっている」(オムディアのクレア・ウェン氏)

 

 

エヌビディアは24年半ばにAI向けの新たな最先端半導体を投入する。

米ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏は「AI半導体の競争は激化するだろうが、今後2年間はエヌビディアの独壇場だ」と予想する。

 

懸念材料もある。米政府は23年に中国に輸出するAI半導体の追加規制を発表した。エヌビディアは23年11月〜24年1月期にデータセンター部門のうち中国が占める比率が1桁台半ばまで落ち込んだと明らかにした。前回の決算発表では2割を超えると述べていた。

中国向けの不振は24年2月〜4月期も続く見通しだ。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は21日の決算説明会で「規制の範囲内で中国市場で競争できるようにベストを尽くす」と述べ、規制に対応した製品のサンプル出荷を始めたと明らかにした。

 

AI半導体はアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やインテルといった半導体メーカーが追い上げるほか、グーグルやマイクロソフトも自社開発を進める。

さらに対中規制でAI半導体が手に入らなくなった中国が内製化を急げば、長期的にはエヌビディア1強体制に影が差す可能性がある。

 

ファン氏は説明会の結びに「生成AIにより数兆ドル規模のAIインフラへの新たな投資サイクルが始まった。

次の5年で年間数千億ドルの市場が生まれる」と生成AIの潜在力を強調した。生成AIをめぐるテック企業の攻防はより一層激しさを増しそうだ。

(シリコンバレー=清水孝輔)

 

 

 

日経記事2024.02.22より引用