完全版【元素合成】宇宙誕生、無から生まれる物質のメカニズムを完全解説
https://www.youtube.com/watch?v=ZwS_ZEw93YU&list=PLmDoxfACTpBJHzajEXJHMZmLojC11AORr&index=2
デュポン財閥の創始者 エルテール・イレーネ・デュポン(1771-1834)
自由主義的政治家にとっては、『デュポン』は、今もなお、古くからの『火薬トラスト』であり、『戦争成金』であり、『死の商人』である。 ニューズウィーク誌、1949年5月2日号
デュポンと女性
「デュポンとその会社を事実上生存させているのは女性です。
デュポンの歴史は火薬からナイロンへ、少なくとも平時においては、この会社は火薬よりも主婦事に依存することの方が多くあります。 プラスチック、ペンキ、マニキュア塗料、香水、織物、染料など、今日のデュポンの活動をの大部分をつくりあげているのは、このようなビジネスです」。
有名なジョン・ガンサーは、その著『アメリカの内幕』の中で、デュポンをこ特徴づけています。
アメリカの八大財閥の中でも、最も貴族的なにおいのするデュポン家の人々は、出自はフランスの貴族、実はアメリカ人らしく『平民的』であると言われています。
デュポン家の家族の一人、ピエール・デュポンが持っているペンシルベニア州ロングウッドの壮大な大邸宅と庭園は、長い間、一般人の閲覧に開放されていました。
ある日、観覧にきた一人の老婦人が、ちょうど門のところにいた一人の男に、「車椅子を持ってきてください」と命じました。
男が車椅子を持ってくると、彼女は一ドル札を彼のポケットに滑り込ませ、庭園を一周するよういいつけました。
男は命令のまま車椅子を押して老婦人のお供をしました。
この男は、なんとピエール・デュポンその人でした。
デラウェア州のウィルミントンと言えば、『デュポンの国土』という異名があるくらいで、ここにはデュポン財閥の本拠があります。
あるとき某会社の一重役がこのウィルミントン市のデュポンの事務所に招待された時のエピソードがあります。
彼はお仕着せの運転手が運転する差し廻しのキャデラックに乗り、ふんぞり返って事務所に向かいました。
途中の交差点で赤信号になり車はストップしました。 その時、車の窓のところに停止した自転車の上の男が「やあ!」と気軽に声を掛けました。
この男が当時のE・I・デュポン・ド・ヌムール会社の社長であるラモット・デュポンであることを後で知ったその重役は、冷や汗をかいたと言います。
私も、約10年前に仕事で、デュポン財閥の八代目当主に当たるベニヤミン・デュポン(通称ベン・デュポン)氏とボストンで一週間罐詰で、当時キャノンの副社長だった生駒俊明氏(元東京大学教授、元日本TIの社長)も含めディスカッションしたことがあります。
初対面でしたが、二人ともまるで友人のごとく気さくに接してくれた記憶があります。本当に偉い人は、意味なく威張ったりしない人なのだと学びました。 そして、私もそうありたいと思いました。
こういういくつかの挿話は、デュポン家の一族がきわめて『平民的』『大衆的』だと印象を与えると思います。
それと同じように、E・I・デュポン・ド・ヌムールが今日生産している1220種類以上の商品は、一見きわめて平和的な物ばかりです。
したがってデュポンは、近代的な科学の成果を人類のために役立たせるように見えます。
デュポンでは年額3000万ドル(最近の数字は知らないので、自分で調べてください)の研究費が惜しげもなく使われ、最初の一ポンドのナイロンが作り出されるまでにデュポンが使った経費は1100万ドルであったとされています。
ナイロンの王座を揺るがした新しい繊維オーロンを世の中に出すまでは2000万ドルの実験費をかけました。
ジョン・ガンサーが『アメリカの内幕』の中で、「デュポンは女性の力で生存している」と言ったのも、こういう見方に従うものです。
世界中の女性の脚線美をいやがうえにも美化したナイロンのストッキング、これはデュポンが開発・生産・販売したものです。
赤い爪を輝かしくするエナメルも、香水も、衣服も、プラスチックのハンドバックやベルトもすべてデュポンが作り出しました。
そればかりでありません、ビタミンD剤をつくったのも、ノミヤシラミを退治したDDTもデュポンの商標尾と切り離されては存在しませんでした。
ガンサーによれば、デュポン・コンツェルンのうち最大の部門はレーヨン部門(ナイロン、セロファンを含む)であり、これについで第二位を占めるのは有機化学品(染料、合成ゴムを含む)であり、第三位画繊維、織物、第四位が重化学工業製品、第五位ハプラスチック、そして第六位が爆発物です。 だから爆発物はいまもなお、重要な営業品目ですが、昔ほどの重要性はありません。
デュポンのビジネスは、爆発物に依存するより、主婦に依存する方がずっと大きいとするジョン・ガンサーの評価もでてくるのです。
ただ、私の知る限り、デュポン社は売り上げの大きな比率を占める石油化学商品は、傘下の石油会社「コノコ」を売却し、エレクトロにクスに関する材料も半導体と車載用に集中し、会社全体をバイオテクノロジーを使ったf化価値の高い医薬品に力を入れているようなので、上記紹介した伝統歴な商品構成ではなくなっていると思います。
確かに、デュポン自身が発表した数字によれば、爆発物の占める比重は小さくなっているかもしれませんが、1920年から1941年にかけて、つまり第一次世界大戦から第二次世界大戦に至る期間のデュポンの軍需用爆発物の販売高は、全販売高の2%しかありませんでした。
第二次大戦中でさえこの比率は25%です。しかし、これは数字のからくりと思われます。 1930年代の半ば頃、アメリカ軍当局は、その必要とする軍需物資の95-97%を民間会社から購入していましたが、その民間会社のなかで一、二位を争っていたのはっデュポン社であったと、H・C・エンゲルブレヒト博士は書いています。
また、軍需工業問題として名高いA・F・ブロックウェイは、デュポンがアメリカ政府に対する火薬および爆発物の供給者として比較するものがなかったこと、デュポンの事業が非常に多方面に分化されるようになったために、1931-1933年には軍需生産物の比率はわずか2%に落ちたことを指摘しています。
もし、この指摘が正しいならば、ジョージ・セルデスもいうように、デュポンは「アメリカにおける資本的王朝のうち最大のもの」であり、「『死の商人』の新しいジェネレーション」であると見ることは、それほどこじつけではないでしょう。
火薬に始まり、火薬と共に発展してきたデュポンの伝統は、まだ崩れ去っていないでしょう。 以前読んだ本・論文では、東京大空襲を行ったのは、共和党バックのロックフェラー財閥の兵器会社である『ボーイング社』で、B-29が積んでいた火薬はデュポン製であったとされていました。
今日中東でアメリカの戦闘機に搭載している火薬もまず、アメリカのデュポン製でしょう。 ちなみに、『B-29』のBはボーイング社のBですよ。原爆を落としてくれたのボーイング社の戦闘機の機種種名が『エノラゲイ』です。
まあ、何事も無邪気に信じないことです。 民生機器のパナソニックやソニもイメージを作るプロパガンダは、洗練され尽くしていますからね。 トレンディという雑誌にソニーの清貧の評価は異常に高いですが、ソニーが書いているのです。だからよく知っている。 威嚇・開発・営業に携わっていない雑誌記者のオッサンが詳しいわけないでしょ。
また、パナソニックも『ヒューマン・エレクトロニクス』といって超柔らかいイメージを宣伝・プロパガンダしていますが、お膝下の大阪大学の学生に何と言われているか?
『半殺しの松下』と昔から言われて恐れられています。 最近は知らんけど。w
PS. 会社勤めした人なら知っていますが、新聞発表などは、広報部門が新聞各社にいつ集まってくれと言って、自分が原案欠いた資料を見せて、新聞に掲載してもらっているのです。 だから新聞各社同じ日にその記事を掲載します。
また昔から、広告費を使う日本一位、二位がトヨタとソニー。 自分で調べてごらんなさい。だから彼らの割る具とはなかなかかけない。 広告産業はトヨタとソニーでもっているのです。
(関連情報)
・デュポン財閥-1 概要
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5226329b578cb7902e701c57de715b54
・デュポン財閥-2 フランス革命とデュポン
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/7211f4344bd946895ce4ad7ebc3960b6
・デュポン財閥-3 大化学会社への成功
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/6f831974d28087140f9c05d7d2cef1ca
・デュポン財閥ー4 火薬トラスト
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/07f92b3459f7715d44c1e0b82d049c4e
・デュポン財閥-5 吊るしあげられたデュポン
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a7f93c98d714c8a95aa4a0b750c568ac
・デュポン財閥ー6 デュポンはナチスを助けたか
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/95f2faf8b9eef20d697850d4b17e80ce
・デュポン財閥-7 一年一ドルで国家に奉仕
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e0a8b6bfc2a62e31574a9e9d603b6844
・デュポン財閥-8 原子力爆弾そして水爆https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/375baf137700633acd6eb73fb735fb98
・風と共に去りぬ(映画)風と共に去りぬ(映画)と「死の商人」https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/2a19d81e462bc6efd2808d9312146efd
・デュポン財閥ー9 『死の商人』デュポン 火薬から原水爆へhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5f11068293da4d008dcb1e63330b5748
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哲学・宗教・思想 ここまでの投稿記事一覧
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ロスチャイルド財閥 今まで投稿してきた記事リスト (4/4)https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b33a59636d98b97ec0575f2d8a22bd83
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世界の財閥 ここまでの投稿記事リスト
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日本の財閥 ここまでの投稿記事リスト
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・フリーメーソン・イルミナティ・秘密結社 ここまでのまとめ
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ハプスブルク家、今日も世界に大きな影響力
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・ロスチャイルド財閥-103 ジョージタウン大学とキグリー博士
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・DS陰謀論の本丸FRB(アメリカ中央銀行)を分かり易く説明
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1928f3096af970fb561f43a7179cfffb
・【解説】ポール・ウォーバーグ|アメリカ中央銀行・連邦準備銀行創設者
https://www.youtube.com/watch?v=RNRB0Frq-Vs&list=TLPQMTUxMjIwMjQHSVY66QVE7g&index=3
・現在、日本の政財界で最も注目される女性 経団連副会長・野田由美子(ロスチャイルド系大手企業の会長)、日本初の女性総理? RJ人気記事
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・ヴェオリア・ジャパン 野田由美子会長メッセージ
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・Bloomberg ブラックロックCEO、現代金融理論を支持せず-「くず」と一蹴https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f8723862229429fc9507648b3cfd56e2
・アホの一つ覚えのMMT信者https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/edfec0faeef39871e87a42779cd369b4
・『死の商人』デュポン財閥 今まで投稿してきた記事リストhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5aed80e18c285ccaa9f5fb87e06a08ad
・日本の『死の商人』 今まで投稿してきた記事リストhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/878b15c4eaa371f00e54ec6f1fd489aa
・シャープの歴史と物語
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1f62e622090b68cdccbc94c432d5b8c3
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・【ロスチャイルド家】世界を裏で牛耳る一族の始まりと繁栄 RJ人気記事
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1083125d04acb6e42464305b1b3ebdfa
・アメリカ影の政府と言われるCFR(ロスチャイルドとロックフェラーが出資)の歴史概略 RJ人気記事
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5e5e580efa2b7b6c5ccfc488923a4d48
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https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c0ce944695e168f383fc05cf48b2dda6
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CXMTはGAA構造を実装した次世代DRAMの試作品を開発した
(出所:CXMT)
半導体の微細化や材料技術の発展を受けて、コンピューティング能力を高める新技術の開発が加速している。
半導体製造関連で世界最大級の国際会議「IEDM 2023」では、AI(人工知能)や量子コンピューティングで求められる半導体技術の発表が相次いだ。その中でも脚光を浴びていた3つの技術を紹介する。
中国のDRAMメーカーである長鑫存儲技術(CXMT)は、DRAM向けのGAA(ゲート・オール・アラウンド)トランジスタ構造を開発し、次世代DRAMへの実装に成功した。
GAAは最先端の半導体プロセスに使われており、次世代のコンピューターに欠かせない技術だ。
GAAを採用した量産品としては、韓国Samsung Electronics (サムスン電子)が3nm世代半導体の製造プロセスに初めて実装した。
台湾積体電路製造(TSMC)は、2025年からの量産を予定する2nm世代半導体で採用する計画だ。業界のトップランナーではないCXMTが、最先端のGAA技術をDRAMに適用したことで驚きが広がった。
CXMTは今回、メモリーセルを高密度化した「4F2」世代(メモリーセルの大きさを示す指標)のDRAMに搭載する、GAA垂直チャネルトランジスタ(VCT)セルアレイを作製した。
オンオフ比が優れており、サブスレッショルドスロープ(SS、トランジスタがオン状態に変化する際のドレイン電流が1桁増加するのに要するゲート電圧)値として62.5mV/decを達成した。
現在、微細化や3次元(3D)化による高性能化が検討されるDRAMだが、GAAの適用で一層の大容量化や省電力化が期待できる。
従来の6F2世代DRAMと比較したシミュレーションでは、各種タイミングパラメーター値や消費電力の点で優れた性能を示した。CXMTは「10nm世代以降の次世代DRAMを応用するためのマイルストーンになるだろう」と語った。
ただし、今回の開発はあくまで基礎研究であり、実際の生産プロセスへの応用は議論していない。この設計を採用した製品を市場に投入するには、まだ長い時間がかかる見込みだ。
今後、CXMTによるGAAトランジスタの開発は米中対立の影響を受ける可能性がある。最先端のGAAトランジスタを設計するには、欧米ベンダーが提供するEDA(電子設計自動化)ツールが必要だが、米国はこうしたEDAツールの対中輸出を規制している。
CXMTは今回使ったEDAツールの詳細を明らかにしていないが、今後も開発を続けられるかは不透明だ。
CXMTは現時点で米商務省の定めるエンティティーリスト(EL、禁輸リスト)に載っていないが、もし米中関係が悪化すれば欧米ベンダーのEDAツールを使えなくなり、研究開発を進められなくなる事態も考えられる。
半導体の微細化の余地が狭まる中、将来は量子技術がコンピューターの発展を支えると期待されている。
IEDMでは量子コンピューターの性能を高める材料技術が複数紹介された。産業技術総合研究所(産総研)先端半導体研究センターの研究チームは、量子コンピューターを構成するトランジスタの極低温下でのスイッチング特性を解明する研究成果を発表した。
量子コンピューターの課題である量子ビットや制御回路のノイズを低減するのに役立つと期待する。
今回の研究では、1K(ケルビン)以下の極低温環境下で半導体界面の電子捕獲と呼ばれる現象がトランジスタのスイッチング特性を決定するメカニズムを「世界で初めて」(産総研)解明した。半導体界面の欠陥が捕獲する電子の量で、スイッチング特性を決めるというもの。産
総研はこの現象を、1K以下の環境下でのサブスレッショルド係数(S係数)の測定とシミュレーションの両面から特定した。
産総研は量子コンピューターのノイズ低減につながる極低温動作トランジスタの
スイッチング特性を解明した(出所:産総研)
同センター研究チーム長の森貴洋氏らは、今後1~2年ほどでノイズ低減技術を開発する計画だ。
特にシリコン型量子コンピューターで量子ビットのノイズを減らせば、コヒーレンス時間(量子情報の保持時間)を長くできることから、計算精度の改善と大規模化につなげたいと同氏は語る
量子コンピューター開発を支援する半導体製造装置メーカーなどと連携していく。
他にも、米University of California, Santa Barbara(カリフォルニア大学サンタバーバラ校、UCSB)やフランスCEA-Leti(フランス原子力・代替エネルギー庁電子情報技術研究所)、香港科技大学(HKUST)といった研究機関が、量子コンピューター向けの材料開発や設計技術の事例を紹介した。
半導体材料の知見を応用することで、計算エラーの原因となるノイズの減少や、高精度なシミュレーションが可能になり、量子コンピューターの早期実用化に役立つ見込みだ。
半導体の微細化が伸び悩む中、コンピューティング能力を高める技術開発が進む。そこで注目されているのが、人間の脳を模した「ニューロモルフィックコンピューティング」である。
イタリアUniversity of Pisa(ピサ大学)は、シリコン製CMOS(相補性金属酸化膜半導体)プロセスと2D材料技術を、アナログニューロモルフィック回路の製造に応用する研究を紹介した。試作したデバイスは優れた計算精度を持ち、将来は機械学習向けの専用チップとして利用できると期待する。
ニューロモルフィックコンピューティングは、機械学習の推論などを高速・低消費電力で処理できる特徴がある。
一般的なコンピューターは、メモリー回路と演算回路の間でデータをやり取りするが、微細化の限界や回路の発熱といった課題に直面しており、チップの根本的な変革が検討されるようになった。ニューロモルフィックコンピューティングは、こうした問題を解決する有効な手法になると期待されている。
ゲート・オール・アラウンド(GAA)
電流が流れるチャネルの全周をゲートで囲み、チャネルの調整能力を高めたトランジスタの構造。
チャネルの周囲をゲートで囲むことで、リーク電流を抑えられる。3nm世代以降の先端半導体で採用されている。細長いシート状のチャネルを積み重ねたような「Nanosheet(ナノシート)」や、細いチューブ状のチャネルを縦に並べた「Nanowire(ナノワイヤ)」などの構造がある。
現在の半導体は、魚のフィン(ヒレ)を立てたような「FinFET」と呼ぶトランジスタ構造が主流だが、チャネルの全周を囲っていないのでリーク電流が生じてしまう課題があった。
日経記事 2024.02.02より引用
ローソンの前にはポーズをとる観光客が並ぶ。富士山が屋根のようでかわいいらしい
(山梨県富士河口湖町)
訪日外国人客(インバウンド)が多く訪れる富士山周辺で、人気の撮影スポットに異変が起きている。
多くの観光客がカメラを構えるのは、コンビニエンスストアや踏切、商店街など、日本人からすると日常的に思える風景。ところがそこに富士山が重なると……。葛飾北斎にも見せたい「令和の冨嶽三十六景」を巡ってみた。
1月下旬、平日にもかかわらず、河口湖駅(山梨県富士河口湖町)周辺は多くの観光客でにぎわっていた。
富士山の山頂が雪で覆われるこの季節は、観光客からの人気も高い。そんな中、意外な場所が訪日客から人気だと聞き、向かってみた。
駅から徒歩3分ほどで着く「ローソン 河口湖駅前店」。店の後ろに富士山がそびえ立つ様子を収めようと、数十人がスマホやカメラを手に行列を作っていた。
確かに景色はいいが、なぜローソンなのか。地元のタクシー運転手(56)も「人気の理由が全然わからなくて」と首をかしげる。
青い富士山と黄色い踏切の組み合わせが、なぜか外国人の心を揺さぶる(富士河口湖町)
友人と2人でタイから来たという女性(26)は「インスタグラムでこの景色を見て、撮影したいと思った」と話す。彼女によると「コンビニと富士山というのがすごく『日本っぽい』」という。
富士河口湖町の担当者によると、この場所はインスタグラムでの人気がきっかけで23年始めごろから訪日客が増え始めたという。
検索してみると、確かに多くの投稿が。「日本で最も美しいローソン」「ローソンに富士山の屋根がかかっている」などのコメントがあった。
看板の青と富士山の青がマッチするのも人気の理由の1つのようだ。
横の路地を通り抜けた所にある踏み切りも人気スポットだ。家族で訪れた中国人の女性(34)は「富士山と電車と踏み切りが一緒に写ってすごくすてきな風景。
踏み切りの黄色がアクセントになっていて美しい」と目を輝かせる。「(踏み切りの周辺にある看板に書かれている)日本語のフォントもカワイイ」
昭和のにおいを残す商店街とも好相性(山梨県富士吉田市)
同じく日常的な風景で注目されているのが、山梨県富士吉田市にある本町通りの周辺だ。
繊維産業で栄えた昭和30年代の町並みがそのまま残り、まっすぐ続く商店街の背景に大きな富士山が見える。
写真が撮りやすい交差点に数十人の観光客が集まっていた。香港から来たという女性(26)は「見たことのない景色」と何十枚も写真を撮っていた。
現地で警備をしていた男性(80)は「今日は昼の時点でまだ1200人くらいしか来ていなくて、少ない方ですよ」と話す。
富士山と五重塔と桜が一度に撮影できる新倉山浅間公園。桜の季節でなくても外国人
観光客でにぎわう(富士吉田市)
富士吉田市の担当者によるとこの場所もインスタグラムの投稿が注目されたことがきっかけで、5年ほど前から観光客が増え始めたという。現在は「1日2000人くらいが訪れる」そうだ。
午前中から昼過ぎにかけて訪れる観光客が多いことから、同市では周辺のランチマップを制作し、昼食を取ってもらえるように工夫。
店側にも英語のメニューを置いてもらうようにしている。周辺に駐車場やトイレがないことが課題で、1月中旬からは仮設トイレを設置し始めた。
静岡県富士市では、16年に開通した「富士山夢の大橋」が撮影スポットに。背後の富士山に登っていくように、階段を上りながら撮影する構図が定番となっている。
一方、日常生活を送る場所に多くの人々が集まることで、問題も出てきている。
河口湖駅前のローソン周辺では、観光客が横断歩道ではない場所を渡ったり、私有地に立ち入ったりすることも少なくない。住民からも困惑する声があがっている。
富士河口湖町は当初、注意喚起の看板を立てていたが「効果がなく、警備員を配置した」(担当者)。訪れた日にも危険な場面が何度か見られ、警備員が声を張り上げていた。
天空の鳥居越しに霊峰を望む、これぞニッポン!(富士河口湖町)
本町通りの交差点にも、23年から警備員が常駐している。富士吉田市の担当者は「せっかく富士吉田のいいところを見てもらっているので、来てもらうのはうれしいし歓迎したい。ルールを守って観光してもらえたら」と話す。
もちろん日常的な場所だけでなく富士山が映える観光地もにぎわっている。新倉山浅間公園(富士吉田市)は、五重の塔と一緒に富士山を撮影できる。河口浅間神社(富士河口湖町)近くにある富士山遥拝所も、鳥居越しに富士山が撮れると定番になりつつある。
どんな風景を「映える」と感じるかは人それぞれ。次に富士山を見るときは、自分なりの冨嶽三十六景を探してみるのもいいかもしれない。
(長田真美)
日経記事2024.02.04より引用
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冬の富士山を近くで見たことないけど、確かに雄大で美しいですね。
脱炭素を目的に新たに発行する国債を通じた政府の支援策が分かった。
初年度の2023年度は1.6兆円を調達し、日本製鉄などが参画する水素を使う製鉄技術の開発におよそ2500億円を、ホンダなどの電気自動車(EV)向け電池の生産拡大に3300億円ほどをあてる。
産業構造の行方に関わる重要技術に投資し、国際競争力を高める。
「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」は23年度からの10年間で20兆円を発行する。2月中旬に初の入札を控え、初年度の具体的な使途が判明した。
1.6兆円のうち9000億円弱は研究開発支援に割り当てる。50年に国内の温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標実現に向け、脱炭素技術の確立を狙う。
内訳で最大の支援は「製鉄工程の水素活用」で2564億円だ。鉄鋼は日本のものづくりの基盤だが、既存の製鉄工程では大量の石炭を使うため、国内の製造業で最も排出量が多い。
石炭の代わりに水素を使う手法の早期の実用化に向け、日鉄やJFEスチール、神戸製鋼所の取り組みを後押しする。
脱炭素につながる半導体の開発支援は総額750億円とする。
「光電融合」と呼ぶ消費電力を従来の100分の1に抑えられる半導体の開発が柱だ。NTTや新光電気工業、キオクシアなどに452億円を割り振る。
光電融合は電力を大量消費する生成AI(人工知能)の普及を支える重要技術とされNTTが世界で開発をリードする。
中国も同技術を重視するなど海外勢も追い上げ姿勢をみせている。政府はGX債を使って支援し、将来の日本の競争力向上につなげる。
脱炭素につながる製品の生産拡大や導入支援には7000億円強を補助する。最も大きいのはEVなどに載せる蓄電池で、部素材も含め補助額を3316億円とした。
具体的にはホンダとGSユアサのリチウムイオン電池投資に1587億円、トヨタ自動車などが計画する投資には1178億円をそれぞれ補助する。
車載用電池はEVの競争力を左右する。日本企業は以前は高いシェアを誇ったが、足元ではコスト競争力で上回る中国や韓国の企業が上位を占めている。
日本経済新聞社が実施した22年の主要製品・サービスシェア調査では中国勢が6割を占めた。日本企業トップのパナソニックホールディングスは8.5%と21年調査から3.5ポイント下げた。
蓄電池は原料や部素材でも中国など特定国への依存が高く、供給網(サプライチェーン)にリスクを抱える。
国内で蓄電池の部素材も含めた生産基盤を整備し安定供給につなげる。
EVなどの省エネ性能を高めるのに必要なパワー半導体の国内生産拡大には1523億円をあてる。東芝とロームによる共同生産事業への支援が念頭にある。
このほか断熱性能の高い窓や給湯器といった住宅機器を導入するための補助金や、EVなど低燃費車の購入補助など個人や利用企業らを対象にした補助に2000億円超を割く。住宅向けの省エネ機器や低燃費車の需要を後押しする。
米欧や中国などは巨費を投じて脱炭素技術の開発や普及に力を入れている。脱炭素の関連技術はこれからの各国の産業競争力に直結するためだ。
バイデン米政権は22年夏に成立したインフレ抑制法を通じ3690億ドル(およそ54兆円)を水素や再生可能エネルギー、EV、原子力などの分野に投じる。
日本もGX債で調達する総額20兆円を呼び水に、官民で10年間で150兆円を超える脱炭素投資につなげる。
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日経記事 2024.02.04より引用