三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2025年入社の新卒採用から、傘下の三井住友銀行とSMBC日興証券でウェルスマネジメント事業(富裕層ビジネス)に携わる人材を一括採用する。
国内外の株高を追い風に、金融資産を蓄積する富裕層世帯が増加しており、専門人材を自前で育成し、営業を強化する
。他のメガバンクや野村証券も人員シフトを進めており、成長余地の大きい富裕層取引重視の動きが鮮明になっている。
三井住友銀とSMBC日興は3月に解禁となる25年入社の採用活動から「グループリテールコース」と呼ぶ採用コースを新設する。100人程度を採用する計画だ。
入社後1年間、銀行でリテールの業務に携わった後、2年目はSMBC日興で個人営業を担当し、銀行と証券分野両方の知識やノウハウを体系的に身につけさせる。
その後も富裕層を担当とする部署に主に配属し、富裕層取引の専門家に育てる。
一括採用を始めるのは、富裕層のニーズに対応できる幅広い金融商品の知識を持った人材を増やすためだ。
銀行は預金や融資、遺言信託などの商品を中心に取り扱う一方、証券は個別株やリスクの高い金融商品も提供する。
富裕層の多くは複数の銀行や証券の口座を使い分けており、多くの金融機関の中から選ばれるには両分野に精通した営業人材を新卒段階から育てる必要があると判断した。
今も三井住友銀からSMBC日興に200人、SMBC日興から三井住友銀に100人出向するなどリテール分野で両者の連携を強めているが、新卒採用によって富裕層担当者の増員ペースを引き上げる。
銀行が証券の商品を販売できる仲介制度などを活用して、幅広い商品を勧められる体制を整える。
野村総合研究所の推計によると、1億円以上の純金融資産(預貯金や株式などの金融資産から借り入れなどの負債を差し引いた額)を持つ世帯数は21年時点で148万5000世帯、その合計の資産額も約360兆円にのぼった。1
0年前の11年時点に比べて金額は9割以上増えているが、日経平均株価が史上最高値を記録した今はさらに増えているとみられる。
今後は新NISA(少額投資非課税制度)で資産を蓄積した若い世代が、NISA以外の運用に乗り出すことも想定される。
国内人口の減少が今後加速する中でも、富裕層ビジネスは今後も伸びることが確実視されており、三井住友FGは成長分野に人員を重点配分する。
他の金融機関も富裕層取引専門の人材の育成や獲得を強化している。
三菱UFJ銀行は22年度から「ウェルスマネジメント」という名称の新卒採用枠を設けているほか、富裕層ビジネスに関する社内資格をつくり、既存の営業社員の底上げをはかっている。
中途採用や三菱UFJFGのグループ会社をまたいだジョブローテーションも使って、担当人員を増やしている。
24年3月期はウェルスマネジメント部門の営業純益が970億円と前期比2割超増える見通しで、来期以降もさらに伸ばしていく考えだ。
みずほFGも銀行・証券・信託一体の「リテールビジネスコース」という名前で富裕層ビジネスに携わる人材を採用しており、24年は約50人が入社する見通しだ。
4月に個人向けを担当する営業部門の名称を「ウェルス・マネジメント部門」に改称する野村ホールディングスは全国5000人のリテール担当者のうち、4800人が富裕層担当と、既に富裕層にほぼ特化した体制を敷く。
配置転換だけでなく中途採用も強化して担当者を増やす計画だという。
ただ、金融資産が10億円を超えるような超富裕層の取引では外資系証券が一定の評価を得ているほか、各社が一斉に富裕層ビジネスの強化に動くことで、競争が激化し、狙い通り顧客を獲得できない可能性もある。
銀行と証券の連携に関して、過去には情報共有を規制する「ファイアウオール規制」違反を問われたり、複雑で高リスクな仕組み債の不適切な販売が問題視されたりしたこともある。
各社は顧客情報を適切に管理し、ニーズを正確に把握した上で営業する体制を構築する必要がある。
メガバンクや大手証券が富裕層ビジネスにシフトする背景には、ネット証券の日本株売買手数料の無料化や、投資信託の販売手数料の引き下げ競争によって、リテール分野で高収益をあげるのが難しくなっていることもある。
富裕層へのコンサルティング営業を強化し、その対価として手数料を得ることで、安定した収益を稼ごうとしている。
(北川開)
【関連記事】
日経記事2024.02.29より引用
ビットコインは23年末比で4割程度上昇=ロイター
【ニューヨーク=竹内弘文】
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインが米東部時間28日、6万ドルの節目を上回った。
米コインデスクによると6万ドル台乗せは2021年11月以来、約2年3カ月ぶり。ビットコインで運用する上場投資信託(ETF)を通じマネーが流入し、23年末比で4割高と急騰している。
1月には米証券取引委員会(SEC)がビットコイン現物で運用するETFの上場を承認し、同月11日より取引が始まった。
ETF承認の観測が高まった23年秋ごろから相場は上げ始め、ETF取引開始直後には利益確定の売りが上値を押さえる場面もあったが上昇基調は途切れていない。最高値は21年11月の約6万9000ドル。
通常の証券口座でビットコイン投資できるETFの購入需要は強く、ファンド新規設定を通じてビットコイン現物の買い圧力となっているためだ。
米ブラックロックのETFは上場後1カ月半で運用規模が70億ドル(約1兆500億円)、米フィデリティのETFも50億ドルをそれぞれ突破した。
未上場の投資信託をETFに衣替えした米グレースケール・インベストメンツの「グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」からは資金流出が続くものの、上場当初に比べれば流出ペースは落ち着いてきた。
目先にはビットコイン需給を引き締めるイベントも控える。ビットコイン取引を承認するマイニング(採掘)の対価として採掘事業者に支払われる報酬が半分になる「半減期」は4月ごろの予定だ。
新規供給量が絞られて希少性が高まりやすい。株式など他のリスク資産の価格上昇も、仮想通貨投資家のリスク許容度を上げている背景にあるようだ。
日経記事2024.02.29より引用
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・Satoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)の正体、ビットコイン、そしてブロックチェーン
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/806911b45aa67f53bd5c09b4c1929e72
・何故、国家は通貨を発行するのか? そしてシークレット・サービスhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/ad8dbd19c06042c1abdacc6dc0e1e021