26日の東京株式市場で日経平均株価が史上最高値を再び更新した。
米半導体大手エヌビディアの好決算を追い風に、米国、欧州、インドなどで相次ぎ最高値をつけるなど、世界の主要な株価指数が堅調に推移したことを好感した。市場では早くも5月のエヌビディア決算を意識する声も出始めた。
日経平均の終値は前営業日比135円(0.4%)高の3万9233円だった。22日に34年ぶりに更新した最高値を寄り付きから終始上回って推移した。
年初からの株高をけん引してきたソフトバンクグループが前週末比3%上昇し、一時2年9カ月ぶりの高値を付けるなど、エヌビディア決算の余熱が続いている。
史上最高値を上回って推移する日経平均株価(26日午前、東京都中央区)
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが24日公表した「株主への手紙」でポジティブに評価された大手商社株にも買いが入っている。三菱商事と三井物産はそれぞれ一時3%上昇し、上場来高値を更新した。
手紙では日本の5大商社への投資について「適切に経営され評判の高い各社と連携し、世界各地で投資機会につながる可能性があることも恩恵だ」と説明。共同投資への期待を示した。
日経平均の最高値更新後、日本は3連休だったが世界の株高の波は途切れなかった。最高値更新の起爆剤になったエヌビディアは22日に急伸し、ダウ工業株30種平均は3万9000ドル台に乗り、7営業日ぶりに史上最高値を更新した。
23日にはエヌビディアの時価総額が一時2兆ドル(約300兆円)を超えた。2兆ドルを上回るのは、米国企業ではアップル、マイクロソフトに次ぐ3社目だ。
エヌビディア旋風は世界の株式市場に広がった。出遅れていた欧州市場でも代表的な株価指数のストックス600が上昇し、22日に2年ぶりに史上最高値を更新した。
オランダ半導体製造装置大手のASMLホールディングがけん引した。インドの代表的な株価指数のSENSEXも、22日に最高値を再び更新した。
日経平均は年初から6000円近く上昇し、世界的な株高の中でもパフォーマンスは突出している。
日経平均とダウ平均の名目値は22日、2016年3月以来、約8年ぶりに逆転した。東京市場が休場だった23日、ダウ平均は3万9131ドルで終え、日経平均を名目で再び上回ったが、26日の日経平均は再び抜き返した。
16年は「チャイナ・ショック」後で、米市場が下落したことによる逆転だったが、今回は日米ともに上昇する中での逆転だ。
フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは「8年前と比べると日本企業のガナバンスや収益性が改善している。日本株にとってはポジティブ」と話す。
さすがに上昇ピッチが急で、高値警戒感から日経平均は朝高後は伸び悩む場面もあった。ソフトバンクグループは、2年9カ月ぶりの高値を付けると、売られる場面があった。年初から4割超高の東京エレクトロンは利益確定の売りから2%安を付けた。
しかし、投資家の目線は引き続き高い。大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは「5月の次のエヌビディア決算に向けて、人工知能(AI)関連の買いは継続しそう」と見る。
市場はエヌビディアが3月中旬に予定している開発者会議(GTC)で、ファンCEOが新製品・サービスについて何を語るのかにも関心を寄せる。
最高値を付けたことで個人投資家の裾野が一段と広がる期待もある。松井証券は新たな少額投資非課税制度(NISA)口座開設の処理のため、今週中に口座開設対応者を臨時で増員する予定だ。
日経平均株価は最高値を超えて「未知の領域」に突入した。エヌビディア旋風やバフェット氏の日本の商社との連携に期待する声も追い風に、上値を試す展開が続きそうだ。
(越智小夏)
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日経記事 2024.02.26より引用