トランプ次期米大統領は、政府機関の一部閉鎖を避けるための与野党合意を批判した=ロイター
【ワシントン=高見浩輔】
トランプ次期米大統領は18日、米連邦議会の与野党指導部が超党派で17日に合意した「つなぎ予算」の延長法案に反対を表明した。
法案は「急速に消滅しつつある」とした。現行のつなぎ予算は12月20日が期限で、調整が失敗すれば政府機関が一部閉鎖に陥る。
自身のSNSで公表した。トランプ氏は法案を成立させるにはつなぎ予算案に盛り込まれている民主党の要望項目を削除するだけでなく、政府債務の法定上限の引き上げも盛り込むべきだと強調した。
債務上限は超党派による財政責任法で2025年1月1日まで効力が停止されている。引き上げなければ、次期政権が発足した後の25年半ば以降に資金繰りが行き詰まり、米国債が債務不履行に陥る懸念がある。
トランプ氏は別の投稿でも、債務上限問題をバイデン政権ではなく次期政権の課題とした財政責任法を「共和党議員がこれまでに行った中で最も愚かで無能な行為だ」と批判した。
米議会は2025会計年度(24年10月〜25年9月)の予算案を策定できておらず、10月からつなぎ予算で前年度並みの予算執行を確保している。与野党の議会指導部は17日、つなぎ予算を25年3月14日まで延長することで合意していた。
米政府効率化省(DOGE)を率いる起業家のイーロン・マスク氏は18日、X(旧ツイッター)に「皆さんの声を聞き、恐ろしい法案は廃案になった。 人民の声が勝利した!」と投稿した。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
案の定、トランプ次期大統領がつなぎ予算の交渉に関与してきました。トランプ氏が求める債務上限規定については、かつて民主党サイドでも廃止を提唱したことがあり(イエレン財務長官も支持)一見すると合意の可能性があるように思われます。
しかし、この規定がこれまで維持されてきたことからもわかるように、財政健全化や野党による政策交渉のツールとしての役割を重視する議員が少なくありません。
当然、来期には野党に転落する民主党がこの規定を手放すはずもなく、トランプ氏がどれだけ共和党議員を叱咤しても、次期政権が対処することになるのは不可避のように思われます。