Risa’s 音楽雑記

ピアニスト 山形リサのブログです。
音楽の話を中心に、日常の出来事などを気ままに綴っています。

Tel jour telle nuit こんな日、こんな夜

2022-07-16 13:01:00 | Weblog
1937年のプーランク作曲の歌曲集「 こんな日、こんな夜」

エリュアールの詩集「肥沃な眼」から厳選された9曲で構成されている。

第一曲めは「うららかな日」

この「うららかな日」の冒頭のC E Fis Gの音階が、いけない扉を開いちゃった感が半端なく、なんともツボにハマって仕方がない!

うららかな日、忘れえぬ男と、これからも決して忘れることのない男と再会した。

な〜んて始まるのだが、この冒頭の音階は、そんなレベルの扉ではないのである。

異世界へのゲートが開いちゃった的な、曼荼羅的な感じとでもいうのか・・・
私的には、まさにスターウォーズ。
弾きながら、エピソードなんとか〜って画面が浮かんできちゃうのである。
9曲目の後奏も半端ない宇宙感で、まさにこの冒頭に対する締めくくりにふさわしい完成度!!

いやしかし。
「うららかな日」の一言にこの旋律をつけちゃうプーランク・・
やっぱすげーな、の脱帽であーる。

エリュアールといえばシュールレアリズム(超現実主義)を牽引した詩人の1人であるが(そしてハンサム♪)、シュールレアリズムとは「口頭、記述、その他あらゆる手段で思考の真の過程を表現しようとする純粋な心的オートマティスムである。」と定義されている運動とのこと。
理性による監視を全て排除し、美的、道徳的な全ての先入見から離れた、思考の書き取り・・だなんて、やりたくたってなかなかできない。

それなのに、プーランクさんってば「二階の高さから機関車が姿を現したのだ。機関車が一本のプラタナスに巣を作るのに、超現実主義など私は必要としなかった。子供の頃の思い出に感動した私は「うららかな日」の詩を音読し始め、夕方には音楽がひとりでやってきた。」(村田健司先生のCD解説より)なんて言えちゃうんだから、ほんとにカッコ良すぎる!
すごいです!




さて、今回はバリトンの吉永研二さんとこの曲をご一緒します。

どんなゲートが開くか!