魔法が解けたそのあとで

結婚、出産、育児、介護、お仕事。来た球を打ち返す、毎日のつれづれをつづりました。

バレンタイン。

2008-12-14 14:34:25 | ママになれるかな編
もう今年もあと2週間ほどになりました。
昨年の12月、退職して最後の出社日に会社の皆さんに別れを告げ、一旦上京した両親が待つ自宅に帰って荷物を持ち、その足で夫の待つこの土地にやってきたその日、大雪でした・・・
それから一年。
たまに東京に帰りたい、と思っている夢を見ることがあります。
目を覚ますと
「結婚してる!しかも腹に子が!」とびっくりすることがあります。
お腹は妊婦と分かるくらいになってきました。ぽこぽこと胎動もしています。
来年は、家族三人になるのです。

デパートでのアルバイトが始まりました。
上階の催事場でのお歳暮コーナーかと思いきや、クリスマスに備えて1階の革製品売り場に配属されました。
配られた制服を着て、他のアルバイトの人たちと一緒に彼に連れられて配属先へ。はー、大変ねえ・・・。

「立ち仕事は大変ですが、ひとつきもすると慣れますよ

ちょっと心配していたわたしに、彼が言った一言。
結構言うよね~。
でも最初はつらかった~足がぱんぱんに腫れちゃって・・・靴、いいの買いましたよ。靴は大事・・・。
でもたしかにひとつきもしたら慣れた。
クリスマスの混みようはすごかった。
わたしは
「これだけの人が、自分の大事な人にプレゼントを求めに来るんだ」
ってことに、感動した

子供の頃はツリーを出して、ケーキ買って、プレゼントをもらっていたけど、それもいつしかなくなった寂しいわたしのうち。
だから本当にたくさんの人がぎりぎりまでプレゼントを考えて、迷って、綺麗に放送されたそれを持って帰るのを見て、こちらも嬉しくなった
これを知ることだけでもバイトする意味があったと思った。
デパートって売るのは品物だけじゃないんだなあ・・・。

クリスマスが終わってからも、彼から引き続きアルバイトの継続を求められた。
そしてパートにならないか、と売り場のマネージャーから打診された。
でもまだ若いから、他の会社で正社員になることもできるよね。他にやりたいことがなかったら考えてみて、と。

そのうちバレンタインの応援に、地下の食料品売り場に配属された。
これがまた、すごい騒ぎ
女子がチョコレートを買いに殺到。
ご飯を食べる元気もうせ、痩せた。

そしていろいろ考えた結果、デパートの近くにある会社に準社員ではあるが採用され、勤めることになった。
アルバイトは面白かったが、このままアルバイトの身分で働くより、ちゃんとしたかった。

休憩はシフトごとに大体決まっている。
彼は午後一時過ぎの枠で休憩を取っている。
バレンタインが終わった次の日、わたしは彼に話しかけた。

「せっかくパートさんのお話をいただいたのですが、他の会社で勤めることに決まりました。いろいろ、ありがとうございました。」

そうすると彼は
「そうだね。社員になった方が健康保険とか年金とかもちゃんとしているしね。」
「まだ若いんだから、社員として働いたほうがいいよ」
と薦めてくれた。

アルバイトが終わったら、こうしてそっと休憩時間に姿を目で追うこともない。
わたしは勇気を出して、言った。

「Kさん、これ、いろいろお世話になったお礼です。受け取ってください。」
わたしは、地下で買ったチョコレート菓子の入った紙袋を差し出した。

断られてももう会わないのだから、いいや
そう思っていた。

彼はびっくりした顔をしていた

そして
「いいの?ありがとう。わざわざお心遣い、恐縮です。」
と言って、受け取ってくれたのだ

そしてなんとわたしは
「よかったら、今度お食事とかご一緒にいかがですか?」
と誘ったのだ
そしたら
「いいですよ。」
あっさり

「また電話しますよ」
売り場に?
渡した紙袋には、一応携帯の電話番号を書いたメッセージカードを入れてあったが。
迷惑そうではなかった。
でも嬉しそうでもなかった。
あっさりとしたものだった。
こういうことに、慣れているような応対だったように感じた。

・・・でも嬉しかったなあ

自分であんなふうにアプローチをしたのは、初めてだった。
もしかしたら
「いや、それは仕事なんで、気持ちだけ受け取っておきます」
などと言いそうな人でもあった。

本当に、嬉しかった。

電話が来たのは、それからしばらくたってのことだった

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