晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

カズオ イシグロ 『わたしを離さないで』

2009-05-21 | 海外作家 ア
イギリス文学界の最高峰の賞のひとつであるブッカー賞を
受賞した作家ということであれば、さぞかし面白いだろうな
あ、という単純な想像をしてしまうのですが、カズオ・イシグ
ロはまだ読んでおらず、ブッカー賞受賞作『日の名残り』は
映画だかドラマだかを以前テレビで見ただけ。

表紙デザインのカセットテープがまずインパクト大(文庫は
わかりませんが)。そして物語の内容なのですが、序盤部
分から謎めいた世界観。登場人物のキャシーという女性が
介護職なのはわかるのですが、その介護される対象はとい
うと「提供者」という表現をされていて、なにを提供してなに
を介護するのか。

そして話は、キャシーの子ども時代になり、同年代の子ども
達が住む施設での友情や暮らしが描かれます。
そして、彼ら彼女らの残酷ともいえる運命が待ち受けている
のですが、ちょっと残酷なのかなと思うのですが、文章があま
りにも淡々と流れるように進み、だんだんとその世界観も露わ
になってきます。

完璧なサイエンス・フィクションということでもなく、かといって
完全なアナザー・ワールドでのお話でもなく、今の現実の世
の中がそれこそ指1本分だけ横にずれていたらこうなっていた
かもしれない、といった世界。

なんだか読んでいる最中、ずっと曇り空の中を歩いていた、と
いったような感覚になりました。かといってそれが不快でもな
かったんですけど。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする