晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宮部みゆき 『地下街の雨』

2009-06-13 | 日本人作家 ま
宮部みゆきの、特に短編を読んでいると、日常生活のちょっとした
空白や隙間に非日常をぽんと盛り込んで、それが違和感なく話は
進んでいく、といった筆の巧みさは、決め手なのだけれどでしゃば
らない料理の隠し味を扱う達人のような気がするのです。

表題『地下街の雨』をはじめとして全七作の短編は、ほどよくリア
ルに、さりげなく幻想的に、押しの強い主張は無いけれど、印象
に残る作品です。

この中で特筆すべきは「決して見えない」という作品で、ある雨の
夜、終電車を降りた男が駅でタクシー待ちをしているのですが、な
かなかタクシーは来ず、いっしょに待っていた老人と話し始めて、
どんどん不思議な展開になり、でもそれは夢で・・・
そして話は、ある雨の夜、男は終電車を降りて駅でタクシー待ちを
するのです。

円環的手法という、話の終わりが話の始まりに繋がっている、輪廻
状態をいうのですが、これが永劫続くのか、一代限りなのかはわか
りませんが、短編で奥深く円環的時間を描ける力はやはりすごい。
コメント
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