晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『我、言挙げす』

2021-03-07 | 日本人作家 あ
春ですね。

というにはまだちょっと早いですか。まあでも、我が家で春の訪れといえば、近所の空き地で菜の花のつぼみとふきのとうを摘んで、菜の花はお浸しや酢味噌和え、ふきのとうは天ぷらにふき味噌にして毎年いただいてます。
スーパーには新玉ねぎが並び始めましたね。スライスしてポン酢と鰹節、美味しいですね。

まあ、あとは、花粉症。重症化はしませんけどね。

さて「髪結い伊三次捕物余話」シリーズの八作目。いちおうざっとあらすじを説明しますと、フリーランスの髪結いの伊三次が主人公。この当時、フリーランスの髪結いはご法度でして、捕まりますが町奉行の不破という同心にお目こぼしをしてもらい、今は不破の手伝い(十手は預かってませんので岡っ引きではない)をしています。深川芸者のお文とは長いこと恋人でしたがとうとう結婚、ふたりの間には男の子が。

ある日、お文は芸者仲間から酒の席で刀を振り回す危なっかしい集団の話を聞き、それを伊三次に伝えます。どうやらその集団は「薩摩へこ組」というらしく、藩のほうでも持て余してるとかで、以前、尾張屋という商店が襲われたときに別グループの犯行と思っていたのですが、ひょっとして彼らなのでは・・・という「粉雪」。

不破の息子、龍之進も同心見習いを卒業し、若同心に。そこで、小早川という先輩同心について、探索や捕縛術などを教わることになったのですが、小早川には幕府の目付が監視しているというのです。そこで父に「小早川さんはなぜ目をつけられてるのですか」と聞くと、過去にある事件の容疑者の物的証拠を捏造したらしく・・・という「委細かまわず」。

酒の席に出たお文は、帰り道に易者に占ってもらうと「あなたには何不自由ない暮らしが送れた人生があったのに自分で棒に振った」と言われ、亭主(伊三次)の稼ぎが少ないばかりに幼子がいるのにまだ芸者を続けているお文はカチンときてその場を去りますが、家に着いたら転んで頭を打って意識不明に。気が付くと、そこはお文の実家の商店だったのです・・・という「明烏」。

西国の小大名の姫様を探すというミッションが若同心たちに与えられます。で、どうにかこうにかその姫の居場所が分かって、龍之進は向かって姫に会ったのですが…という「黒い振袖」。

独身時代のお文の手伝いをしていたおみつが久しぶりに訪ねてきます。お文は現在は弥八という男と結婚して子もいます。仲睦まじいと思いきや、おみつは「主人は居酒屋の女と浮気している」というではありませんか。弥八のことを知る伊三次も「あいつにそんな器量があるとは・・・」と思いますが、いちおうその居酒屋の女を調べてみると、弥八よりはるか年上で・・・という「雨後の月」。

龍之進と同じ若同心の古川喜六が結婚することになります。その結婚相手の父親で町奉行の同心、帯刀精右衛門はかつて上司の不正を訴えますが敗北し、奉行所の奥にある書庫で一日中書類の整理をするという閑職に追いやられます。龍之進の父がかかわった事件で、容疑者をどうにか死罪にさせない方法はないかと考え、龍之進に「帯刀さんに聞いてこい」と・・・という表題作「我、言挙げす」。

このシリーズは十六巻まであるそうですので、まだまだ楽しめます。
コメント
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