晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

半村良 『獄門首』

2021-03-13 | 日本人作家 は
当ブログは「本好き素人の書評ブログ」ですので、あまりプライベートなことは書かないのですが、先日、差し歯が取れてしまいまして、それも上の前歯。鏡の前で「にっ」と笑うとそこには歯抜けジジイが。現在歯医者さんに通院治療中ですので、次の予約日までだいぶありますが、まあ特に痛くもありませんし。いやあ、マスクするのが当たり前の世の中で本当に良かったですよ。

さて、そんなこんなで。

半村良さんです。この作品は、完結していません。つまり未完。

街道のとある宿場町に夫婦がいて、そばいる男の子に「余助、おとなしくしてるんだぞ」と声を掛けます。この夫婦の子のよう。すると夫婦は山道で、なんと人を殺し、金を盗みます。
この親子三人は、名古屋に着き、この地域を取り仕切っている親分のもとに挨拶をし、空き家を探してもらって、春になるまで住むことに。余助という子が外に遊びに行って家に帰ってくると「近くの大店が見張られてるよ」というではありませんか。父親が確認すると、凶悪で有名な強盗団一味。とばっちりを受けてはまずいと夜逃げ同然で岡崎へ。
ところが、強盗団の残党が親子の隠れ家にあらわれ、「こいつを預かってくれ」と百両以上の大金を置いていきます。すると「これだけあれば盗賊稼業から足を洗って江戸で楽に暮らせる」と、もらってしまおうとするのです。
また名古屋に戻ると「おれの顔に見覚えはないか」と、あのとき大金を置いて行った男が目の前に・・・

両親は殺されますが、ネコババした二百五十両はどこかに隠した余助。助けてもらった寺の住職に「お坊さんになるか」と「正念」という名をもらい、寺の小僧に。そうして十二歳になった正念は、棒術の道場に移ります。そこで道場主から「利八」という名を与えられます。
この道場の師範代で藩の上役の息子の坂下という男が、道場主の一人娘を妻に迎えたいと強引に話を持ち出します。坂下が他の師範代と立ち合い稽古をしようとしますが、そこに利八が名乗りを上げ、なんとあっという間に坂下に勝利。

道場に迷惑がかかるといけないので利八は道場をお暇し、ふたたび寺へ。そこで、隠してあった二百五十両を取り出し、名前を「利八」から今度は「巳之助」に変えて、相模の藤沢へ・・・

藤沢で、巳之助はまた別のミッションに取り組んだりします。徳川幕府の転覆を目論む謎の新興宗教が出てきたり、盗賊一味に参加したり、ちなみにこの時点で名前は「徳次郎」に変わっています。南町奉行、北町奉行、火付盗賊改方の共同チームという厳戒態勢を相手に、次に忍び込むのは・・・

といったところで(未完)。

行く先々で名前が変わって、もちろんやることも変わって、さながらロールプレイングゲーム。まあ大筋の予想ですと(タイトルからして)最終的には主人公は捕まるのでしょう。
出版順でいうとひとつ前、おそらくほぼ同時期に執筆されていたであろう「すべて辛抱」という、田舎から出てきた少年が江戸で立派な商人になるまでを描いた作品があるのですが、「獄門首」は盗賊ですので違うといえば違いますが、根底にある部分は似ています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする