晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

佐伯泰英 『夏目影二郎始末旅(一)八州狩り』

2018-02-11 | 日本人作家 さ
佐伯泰英さんの「吉原裏同心」シリーズはまだ読み終えて
いませんが、別のシリーズに手を出してしまいました。
とはいっても「裏同心」に飽きた、とかそういうあれでは
なく、11巻まで読んで、12巻を買いに行ったら無くて、
このシリーズの1巻を買ってきた、かような次第。

主人公の名は夏目影二郎。父親は幕府の勘定奉行、常盤豊
後守秀信。といっても秀信と女中の間に生まれたのが本名
瑛二郎。母が亡くなって秀信の本宅に引き取られるも義母
にいじめられ、無頼の道へ。それでも剣術の修業は続け、
鏡新明智流の桃井道場で師範代を務めるまでに・・・

どこかで聞いたことがあるような気がしなくもないですが、
それはさておき、影二郎はあることで十手持ち(岡っ引き)
を殺してしまい、普通なら死刑のところ、相手の(聖天の
仏七)というのも相当悪い男で、八丈島に遠島と決まりま
すが、牢屋にいた影二郎のもとに、父の勘定奉行、秀信が
やって来て、ある頼みを影二郎にします。

それは、勘定奉行の仕事のうちに、関東取締出役の差配、
というのがあり、上野、下野、常陸、上総、下総、安房、
武蔵、相模の現代でいう1都6県エリアに置かれた警察の
ようなもので、通称「八州廻り」と呼ばれ、そんな八州
廻りが権力を笠に着て私利私欲に溺れ腐敗しまくりで、
特に、上州にいる国定忠治という侠客が八州廻りと結託
して荒らしまわっているとのことで、もし罪状が明らか
ならその場で始末してきてくれ、という密命。

一文字笠を頭にかぶり、南蛮外衣という黒い長合羽(
信長が着てたやつですね)を身にまとい、(法常寺佐常)
という太刀を落とし差しにし、始末の旅に・・・

時代は天保七年(1836)、幕府の弱体化は明らかで、
追い打ちをかけるように大飢饉が。民百姓が飢え苦しん
でいるというのに、幕府は将軍に日光へ参拝してもらっ
て世の不安を取り除こう、と割とマジでこんな考え。
将軍が日光往復の旅でもすれば何千何万両という莫大な
費用がかかります。影二郎が関東を旅している最中に、
どうやら国定忠治は日光参拝途中の将軍を襲う計画を企
てている、という噂を聞いたのですが・・・

旅の途中、(あか)という子犬を拾い、旅の供に。
国定忠治は出てくるわ、二宮尊徳も登場し、水戸藩の学者
藤田東湖という藩主徳川斉昭の腹心、さらに伊豆韮山代官
の砲術家、江川英龍も出てきます。あとエピソードとして
大坂の大塩平八郎も。

このシリーズは全14巻。時代としてはあと30年で江戸時代
が終わってしまいますが、さてどうなるんでしょうか。

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