晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

伊坂幸太郎 『終末のフール』

2011-09-27 | 日本人作家 あ
これで、伊坂幸太郎の作品を読み終えたのは3作目ですかね。
ここ十年では間違いなく小説界のトップランナーで、まあそう
いうのを所謂「流行作家」と呼んでいいものか、というのも
流行とは読んで字のごとく「流れて行ってしまう」もので、
普遍的ではなく有限なニオイがして、なんか失礼かなあ、と。

それはさておき、この人の作品を読むと、なぜか虚無的な
世界が見えてきます。なんといいますか、すごく「距離」を
置いているというか、良い表現なら「クール」、悪い表現なら
「突き放してる」といった感じ。
物語や登場人物に感情移入しにくいのは、敢えてそうしている
のか、文体からしてそうなのか、その距離感が心地よいか違和感
かは人それぞれですが。

数年後に隕石が地球に衝突する、これは間違いないという発表が
あり、世界じゅうで殺人、強奪など犯罪が起きまくって、ここ最近
は荒廃もやや落ち着いてきた、そんな状況下で、仙台市内の高台に
あるマンションの住人たちのオムニバスな物語。

残酷な描写はサラッと書いて、それであまり退廃的になり過ぎて
いない、光明を見出す、といったところまでは前向きでもない、
そう、この人の作品は「ニュートラル」なんだという印象。

ここまでだと批判なんだか褒めてるのか、この流れじたいがニュー
トラルみたいなので、締めに、話の展開は「巧いなあ」と唸ります。






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