晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

真保裕一 『アマルフィ』

2018-11-10 | 日本人作家 さ
この作品は、映画化されたと記憶していて、たしかその時に
作者の真保裕一さんが「俺の名前をスタッフロールに入れて
くれるな」とかなんとかあったような。

さて、物語は、黒田康作という外交官が主人公。

冒頭、黒田はギリシャに。なぜギリシャにいるのかというと、
ある環境保護活動団体を追っています。ギリシャで行われる
環境会議で派手な抗議活動やデモを計画していて、その中に
日本人がいるということで、本来は外交官に捜査や逮捕の権
限はないのですが、違法で入国している日本人を地元の警察
に告発する権利はあるということで、団体の船に乗り込んで
捕まえて地元警察に引き渡します。

この黒田の肩書は「特別領事」という、テロ対策・邦人保護
のスペシャリスト。そんな黒田の携帯に、事務次官の片岡か
ら電話が。外務大臣がイタリアに外遊に行くので、ただちに
イタリアへ向かってくれ・・・

黒田がイタリア大使館に着いて早々、火炎瓶が大使館内に投
げこまれます。ギリシャで捕まえたような過激な環境保護の
団体が日本とイタリアが共同開発する天然資源の掘削事業の
妨害のためにやったのか。

また問題が。母親と旅行に来ていた9歳の女の子が行方不明
だと旅行会社から連絡が来ます。火炎瓶の件は別の職員に任
せて、黒田は安達という女性職員と母子の宿泊先のホテルに
向かいます。

母親は矢上紗江子、34歳。娘の名は(まどか)。

観光を終えてホテルのロビーに戻り、娘がトイレに行くとい
って突然消えたというのです。防犯カメラを見せてもらった
のですが、娘の姿は見当たりません。
すると紗江子の携帯に娘から電話が。

相手はイタリア語で「娘は預かってる」と言います。電話を
変わった黒田はイタリア語で話すと相手は「10万ユーロを
明日の朝までに用意しろ」と要求。

こういう場合、大使館としては、地元警察に通報するか相談
します。その国の警察のレベル、つまり本気になって捜査し
てくれるかどうか。マスコミがかぎつければ騒ぎが大きくな
る可能性も。しかし通報せず身代金さえ払えば人質は解放さ
れるというケースも少なくありません。
娘の身の安全を考え、紗江子は警察に通報はしないことに。

ここで黒田は紗江子が外資系銀行の東京支店に勤務している
ことを知ります。
しかし、そこにイタリアの警察が到着し「娘が誘拐されたと
いう日本人はどこですか」と・・・

どうやらホテルが通報してしまったようで、仕方なく黒田は
紗江子を大使館へ連れて行きます。そこに犯人から電話が。
金を持って、翌朝10時15分ローマ発ナポリ行きのユーロ
スターという高速鉄道に乗れ、と。

紗江子はこのチケットを持っているのです。聞けば、娘もこ
のチケットは持っているはずで、イタリア南部のリゾート地
のアマルフィに行く予定だったのです。
黒田もチケットを買い、現金10万ユーロを持ってナポリへ、
そしてアマルフィに向かったのですが、地元警察の失敗で取
引は失敗してしまい・・・

まどかは無事戻ってくるのか。行く先々で紗江子の行動がま
るで監視されてるようなのはなぜか。犯人の目的とは。

常々、フォーサイスやダン・ブラウンのようなアクションミ
ステリの日本版を読みたいと思ってはいるのですが、日本を
舞台に、あるいは日本人を主役にするとどうしても不自然感
が拭えないといいますか。
しかしこの作品(「外交官シリーズ」というシリーズになっ
てるんですね)はそこらへんの不自然はあまり感じられず、
楽しめました。

が、

この誘拐犯グループの犯行の主目的というのが、まあなかな
かヘビーなテーマでして、それとこの物語の雰囲気というの
がちょっとアンバランスと言うか、なんか急に場違いなの持
ってきちゃったなあという感じでした。

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