そういえばここ最近、時代小説以外の短編をあまり読んでませんでした。
別に嫌いというわけではないのですが、読み始めたら、なるべく文中の
世界観に長く浸っていたいと思うので、短編だと次また次と気持ちをいれ
かえるのが億劫と感じるタイプでして。
とはいっても、浅田次郎の「天切り松 闇がたり」シリーズも短編ではあり
ますが、主要な登場人物が同じなので、サーっと流して読むことができて、
あまり短編を読んだという気にはならないのです。
この『沙高樓綺譚』は、東京の青山にある高層マンションの一室にある「沙高樓」
という、女装の貸しビル王がオーナーの、地位、名誉、金のある人ばかりが
集って、他では言えない話を語る場。
その話は、自己申告ではありますが、けっして嘘や誇張してはならない、そして
いっさい他言してはならぬというルールがあります。
刀剣の商売をしていた「私」は、国宝の刀が展示されている国立博物館に出か
けます。するとそこで、知り合いの刀鑑定家である小日向賢吉に出会います。
小日向は室町から続く刀鑑定の家元、徳阿弥の第三十四世を継ぎ宗家に。
そんな小日向から、これから”ある場所”に一緒に行こうと誘われます。
そして、女装のオーナーが出てきて、この会の説明をし、小日向は語りはじめ
るのです・・・
「小鍛冶」は、小日向の話で、徳阿弥の四家が集まって鑑定を行う式があって、
そこに持ち込まれたのは、秀吉が所有していた幻の刀。しかしそれは大阪落城
の際に消失してしまったもので、文献しか残っておらず、しかし持ち込まれた
のは、その文献のとおりだったのです。
小日向は、ルール違反とは知りながらも、その刀を大学の放射性炭素の年代測定
にかけたところ、近年の作と分かります。つまり贋作だったのです。
しかし、こんなプロも見間違うほどの刀を打てる人物はいったい誰なのか。
小日向は、引退した義父である先代三十三世にその刀を見せると、「せいそうち」
という謎の言葉を紙に書いたのです。
そこで知った徳阿弥家の秘密とは・・・
ほかに、精神科の医師が語る、ある女性との不思議な関係「糸電話」、映画の
キャメラマンが語る、時代劇での不思議な体験「立花新兵衛只今罷越候」、
軽井沢の女性庭師の語る「百年の庭」、三千人の構成員を配下に持つヤクザの
七代目組長の語る「雨の夜の刺客」などなど。
裏表紙の説明にはミステリーとありますが、いわゆる犯人探し的なものは
ありません。ただ、こういう謎があって、これにはこういう訳、を本人が語る
という形式になっています。
ひとつひとつの話が、とても味わい深いです。
別に嫌いというわけではないのですが、読み始めたら、なるべく文中の
世界観に長く浸っていたいと思うので、短編だと次また次と気持ちをいれ
かえるのが億劫と感じるタイプでして。
とはいっても、浅田次郎の「天切り松 闇がたり」シリーズも短編ではあり
ますが、主要な登場人物が同じなので、サーっと流して読むことができて、
あまり短編を読んだという気にはならないのです。
この『沙高樓綺譚』は、東京の青山にある高層マンションの一室にある「沙高樓」
という、女装の貸しビル王がオーナーの、地位、名誉、金のある人ばかりが
集って、他では言えない話を語る場。
その話は、自己申告ではありますが、けっして嘘や誇張してはならない、そして
いっさい他言してはならぬというルールがあります。
刀剣の商売をしていた「私」は、国宝の刀が展示されている国立博物館に出か
けます。するとそこで、知り合いの刀鑑定家である小日向賢吉に出会います。
小日向は室町から続く刀鑑定の家元、徳阿弥の第三十四世を継ぎ宗家に。
そんな小日向から、これから”ある場所”に一緒に行こうと誘われます。
そして、女装のオーナーが出てきて、この会の説明をし、小日向は語りはじめ
るのです・・・
「小鍛冶」は、小日向の話で、徳阿弥の四家が集まって鑑定を行う式があって、
そこに持ち込まれたのは、秀吉が所有していた幻の刀。しかしそれは大阪落城
の際に消失してしまったもので、文献しか残っておらず、しかし持ち込まれた
のは、その文献のとおりだったのです。
小日向は、ルール違反とは知りながらも、その刀を大学の放射性炭素の年代測定
にかけたところ、近年の作と分かります。つまり贋作だったのです。
しかし、こんなプロも見間違うほどの刀を打てる人物はいったい誰なのか。
小日向は、引退した義父である先代三十三世にその刀を見せると、「せいそうち」
という謎の言葉を紙に書いたのです。
そこで知った徳阿弥家の秘密とは・・・
ほかに、精神科の医師が語る、ある女性との不思議な関係「糸電話」、映画の
キャメラマンが語る、時代劇での不思議な体験「立花新兵衛只今罷越候」、
軽井沢の女性庭師の語る「百年の庭」、三千人の構成員を配下に持つヤクザの
七代目組長の語る「雨の夜の刺客」などなど。
裏表紙の説明にはミステリーとありますが、いわゆる犯人探し的なものは
ありません。ただ、こういう謎があって、これにはこういう訳、を本人が語る
という形式になっています。
ひとつひとつの話が、とても味わい深いです。
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