ロゴス古書

 年年歳歳 花相似たり
 歳歳年年 人同じからず 

しゃごみ考

2008年05月24日 | 随想・日記

 

 先週 「しゃごみはシャグミからの訛りではないかと考えられる」と書きましたら、ある知人からお電話をいただいた。 「ぐみ科のなつぐみなどを、何故しゃごみ或いはシャグミと云うのか」との質問でありました。小生はあまり良くは解りませんが、次のようなことがいえるのではないかと思っていました。

 

 一つには、赤(シャク)とグミが、一つのことばになったのではないかと考えられます。それでシャ(赤)グミがしゃごみ<ごみについては後に説明>と変化したと思われるのです。<此処では地方語{方言等}の発音は省略します>

 

 もう一つには、「東北岩手県地方で舞われる『鬼剣舞』では、二匹の鬼が互いに黒いしゃぐまを振り立てて舞う。しゃぐまは馬の毛で作られる。岩手の民芸品に『しゃぐしゃぐうまっこ』というものがあるが、『しゃぐま』の語源かも知れない。」と言う説があります{逸見芳春「神楽絵考」}。 盛岡で六月に行なわれる大祭に、『しゃぐしゃぐうまっこ』ではなく「チャグチャグ馬コ」と言うお祭りがありますが、似たようなことばであるので、何等かの関連が有るかも知れません。それに赤い実が鈴なりに「ザングザング」と生(ナ)っている状況をも感じさせるのです。

 

 「広辞苑」には「しゃぐま」 <「しゃぐま」岩波古語辞典にも説明あり> や「ぐみ(茱萸)」の記載があります。「ぐみ(茱萸)」のところには、「胡頽子」が記されている。また「植物和漢異名辞林 杉本唯三著」に、「なわしろぐみ(胡頽子)」に、「ごみ しゃしゃぶ しゃしゃび」等が見られます。関連で 「日本類語大辞典」のぐみ(茱萸)の行に 「胡頽子科に属す 胡頽子{コタイシ} 古=くみ。 あきぐみ つるぐみ まるばぐみ なわしろぐみ・・・等」もありました。

 

 私の手持ちの幾つかの「地方史」や「南部ことば」等には、グミの解説記載が見当たらなかったのですが、皆さんの地方でのグミについて、ことばと事物の具体的な呼び名と関連について、もしご存知でしたならば是非お教え下さいますようお願い致します。

 

 先の「広辞苑」の「ぐみ(茱萸)」の最後の行に、「ウグイスカズラ科のウグイスカグラの実をグミともいう」とありました。半世紀も前の事ですが、花巻の農村では、なわしろぐみやなつぐみ・あきぐみ等の実物は見て知っているのですが、その名をグミとは云わずにしゃごみ・しゃぐみといったり、ウグイスカグラの実は、単にぐみと云う名で通用し、親しんでいたのでしたが、正式のなまえにはあんがい無頓着であった感がありました。現在は変わったのでしょう。PCのWebで見ていると、時代の変化を感じさせられます。

 

  <前回の「ぐみ」ブログの、 アンダーラインのある語をクリックして、写真や解説をご参照下さい>


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