真夜中3時半、連日の道路工事の為に眠れない上に
寝付きが異常に悪い私が漸くうとうとし始めた頃、
子猫の鳴く声が微かに聞こえた。
真夏の暑い時期だったので、窓は全開で風通しを良くしていたが
私の部屋は7階にある。
始めは空耳だと思っていたが、かなり必死な声がするので
1階まで降りて声のする駐車場へと移動してみると
一台のクラウンの下から声がする。
どうやら、車の前方…バンパーの下辺りのエンジンルームを
冷やす為の通気穴に猫が潜り込んでいるらしい。
この穴に入り込めるのは子猫サイズしか無理だ。
しかもかなり小柄な奴。
かなり警戒心の強い奴で、あの手この手でおびき出そうと
迷惑と知りつつ獣看護学生の友達にメールを入れ、
助言を求めて努力してはみたが、無理だった。
少し離れて傍観していると、悪戯っ子の様な可愛い奴が
子猫らしい仕草でフンフンと車から降りて来た。
綺麗なキジトラちゃんだ。
しかし、それもつかの間、私の存在に気が付くと
また車のエンジンルームへとフンフンと乗ってしまうのだ。
近付いて良く見ると車の下の穴から子猫の丸まった背中が見えている。
可愛い背中を思わずツンツンと指でつついてみた。
すると、子猫は穴の中でビックリしたのか
「フニャ~ッ!!」と抗議の鳴き声をあげるのだ。
そうこうしている内に白々と朝が来て、
諦めて部屋に戻った後眠っていたら
子猫を乗せたまま、クラウンは何処かへ行ってしまっていた。
仕方ないとは思っても、
人騒がせなチビ猫の行方を案じた所で
自分が無力なのには変わりは無かった。
--つづく--
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