最近気になっていたのは、
『米』のお腹のふくらみ。
去勢すると、雄猫は食欲が倍増するって話だけれど、
勿論、外に出れば優しい人が置いて行くご飯もあったり
訪れると必ずご飯を振舞ってくれる
素敵なお宅を持っている猫も居る。
この年末、食の誘惑が多いのは猫も人も同じかも知れない。
でも、それで太るってのは解せないくらいに
彼の行動半径は、広い。
家猫で太るのは解かるのだが、彼は飼い猫にも関わらず
往来を闊歩する外猫達とほぼ変わらない生活をしている。
ただでさえ、冬毛仕様の彼のお腹はふっくら膨らんではいるが、
その横にありえない大きさの瘤があるのだ。
撫でても触っても嫌がらない。
病気ならばきっと触られるのを嫌がる筈だし、不思議だった。
ある日、再び『米』に会った時に
その瘤は周辺の毛と共にごっそりなくなっていた。
そう、まるで自分でむしりとったように。
冬毛に隠れて気が付かなかっただけで、
喧嘩の時に怪我をして
傷口がかさぶたに覆われて抜け毛と固まったのを
ごっそり自ら引き抜いたようだ。
再び毛が生えてくるのか心配な位に、大きなハゲが出来ていた。
人の悲しみや変てこなこだわりも、
こんな風にごっそり取れてしまえば楽なのに。
私は幾つになっても、かさぶたが上手に取れないみたいだ。
傷が癒える前に手を出しては、紅い血が流れて振り出しに戻る。
体のかさぶたも、心のかさぶたも。
私の心配を他所に、呆れる位に元気な『米』が足元で
「さぁ、撫でてくれ」と横になった。
傷というのはこんな風に、
時間と傷を知らぬ他人に癒して貰うものなのかも知れない。
昨日は51位

昨日は13位
