路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

道 程

2015-07-07 | 『灰縞さん・白石さん・栗坊・きつね』






彼の旅は、実家の近所のお宅の勝手口の以前から

既に始まっていたのだ。




次に出くわしたのは遥か遠いお宅の玄関先。

長老ならではの知恵と天性の愛嬌で

数々の場を切り抜けてきたのだろう。

最初に出会った時からすれば

みるみる痩せて、毛の艶も減り

背中の骨が触ると解るほどになった。

受け口だった下の牙も抜けてしまったが

結構高い塀の上に居たりする。




しかし、『灰縞さん』の凄い所はそれだけではない。




いつも出会う場所は違えど、

必ず猫を飼っているお宅の近所に

新居(居場所)を構えていることだ。

猫を飼っている(=猫好き)人がいるという事は

必ずご飯のおこぼれにありつけるという事を知っているのだ。

恐らく人間の私よりも正確な猫の住所録を

既に頭の中に持っているのかもしれない。




猫は歳をとると人の言葉を理解し

猫又になるという伝説があるが、

「元気だった?久しぶり!」という

私の言葉をちゃんと理解しているようだ。

律儀にも挨拶をする為に高い塀から降りて来る。

そして、私の周りを感謝の儀式の様にグルグル回り

再会を喜ぶ旧友のように挨拶してくれるのは

やはり人の言葉を理解しているからとも思える。




そんな彼が快挙を成し遂げた。終の棲家を手に入れたのだ。

猫を飼っているあるお宅の玄関先にいたのを発見した時の事、

いつもの様に塀の上から律儀に降りて来る姿が見える。

頭を撫でると、彼の首には可愛い赤色の首輪が付いていた。




私は彼の様に、例え長い道程になろうとも

確固たる自分の居場所を作る事が出来るのだろうか。















昨日は?位
 ←いつもありがとうございます。
昨日は?位
にほんブログ村 写真ブログ モノクロ写真へ ←感謝、感謝でございます。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする