先日、久しぶりに日が落ちて買い物へ行った時の事。
懐かしい顔が塀の上にちょこんと居た。
『タンザ』だ。
道で声を掛けて来た方が、里親探しをしていて引き渡しの時になって
うっかり逃がしてしまったらしいのだが、
見掛けたらポスターにある番号へ電話してくださいとの事。
『タンザ』らしき猫を折角見付けたのに、
もうポスターが剥がされていて番号が解らない。
こいつは『タンザ』に間違いない。
逃げた後にいつも居た場所に舞い戻って来たのだろう。
仲良しの『きなこ』はもうどこかへ移動してしまって
この界隈の猫のメンツも変わってしまっている。
もどかしさを感じつつも何も出来ない自分がいた。
『タンザ』はじっと私を見詰めているが、
思い出してくれているのか、解らない。
ちょっと声を掛けてみた。
「おい、元気だったか?」
よく犬や猫に話し掛ける人がいる。
私もよくやるのだが、言葉が通じようが通じまいが
コミュニケーションを楽しんでいるのだ。
犬や猫は大概、口をポカンと開けて聞いていない奴と
目を閉じて聞き耳を立てている奴、直ぐに立ち去る奴がいる。
人間はというと、この三つにもう一つ加わる。
話し手の顔を見て時にうなずき、ニコニコ笑い
「あなたの話は良く解ります」いう相槌を打っている。
こういう人は大抵、社交性を誇示する方に力を注ぎ、
話の本質を完全には理解していなかったりする。
交友関係であればそう問題にならないが、
仕事が絡むと情報が正しく伝わらずちょっと困る事になったりする。
誰の近くにも大概一人や二人は思い当たる人が居るのではないだろうか。
話を聞く時の姿勢でその人となりが解ると言ったのは
人育て、人使いの名人と呼ばれた戦国武将の武田信玄だ。
思わぬ所で話が横道にそれてしまったが、
猫は人間を観察している。
あの小さな頭でクルクル思い出を手繰っているのだ。
ココには猫に優しい人が多い事を思い出し、
ふらりと戻ったのであれば立派なものだ。
『タンザ』はじっと私の声に聞き耳を立てていた。
昨日は?位
←いつもありがとうございます。
昨日は?位
←感謝、感謝でございます。