路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

格差社会と猫

2016-08-18 | ★ほんの日常





最近夜の買い物に出た時にだけ出会う子猫の兄妹がいる。





どうやら三毛猫姉妹の『きき』と『らら』の

『らら』の方の子供らしいのだが、

とても可愛い白茶の子猫と

暗闇に溶け込んでしまいそうなサビ猫さんの兄妹猫である。

最初に出会った時は、『らら』が暗闇から現れて

木陰で白い子猫がチラチラ見えていただけだったが

最近は路上デビューの講習中なのか母猫の真似をして

鳴きながら近づいて来る。



『らら』が猫好きの人間からご飯を頂くやり方を教えている様だ。



小さな声で「ニャー」と鳴きながら、視界にチョロチョロと入って来る。

儚げで可愛らしい姿に(薄暗い時間帯にしか出会っていない事もあるが)、

写真も撮らせて貰っていないのに、撮影料を少しだけ分けてやっていた。

すると、いつもタイミング良く現れる大きな顔の雉虎くんが

子猫の為の撮影料をブルトーザーのようにガツガツと独り占めしていく。

子猫を不憫に思って移動しても

直ぐにその雉虎くんがちゃっかりご飯をかっさらっていくのだ。

何だか子猫たちを見ていると、

要領の良い人に簡単にいつも美味しい所を持っていかれる不憫な人を見ているようで

切なくなってしまっていた。




しかし、つい先日の事。

猫の捜索願の人から聞いた話に寄ると、

ブルトーザーのように子猫のご飯を奪っていくあの雉虎くんは

この近所に住んでいた人が、引越しで置去りにしていった猫なのだそうだ。

要領の良い奴だと思っていた雉虎くんが、思いのほかハードな生い立ちであると

不意に聞かされた私は複雑な思いだった。

人生、色々。猫の一生も色々なのである。



親猫と一緒にいられる野良の子猫が人間に気まぐれにご飯を貰って、

それを別の猫にまんまと奪われたとしても、それが不幸とも言えない。

元々野良猫だった雉虎くんが、これまた人間の気まぐれで

一度は飼い猫に転身したかも知れないが、また野良人生に逆戻りした事を

当の本人は不幸だと思っているかは、解らない。




正しさとか、間違いとか、正義とか、悪とか、様々な色を持って

容赦なく人生には降り注ぐもので、その立ち位置が変われば見え方も変わる。

自分が立っている所からは見えない世界もある事を想像する…それだけの事で

ほんの少しでも社会は変わると信じていたい。















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