きっと明日は雨のち晴れ

六甲道診療所での仕事は忙しいけど、それなりに楽しい。ちょっとくじけそうなことがあっても、雨のち晴れです

腎臓病、診療所での責任はどこに

2024-08-15 19:21:18 | 診療
夏休みの宿題みたいな、課題 
一般診療所での役割はなんでしょうか
でも、ガイドラインはしっておくほうがいいことを学びました

IgA腎症ガイドライン2020のポイント(非専門医の視点)


 血清IgAは必ずしも高値ではない
 IgA分子の量的異常ではなく、質的異常と考えられる
 単一疾患ではなく、疾患群である  肝疾患、膠原病、炎症性腸疾患、悪性腫瘍、感染症などによる二次性IgA腎症もある
 病因機序には遺伝素因がかかわっており、近年の全ゲノム関連解析で、疾患感受性遺伝子が同定されて注目されている
 糸球体内での補体系の活性化は炎症を導き、障害をおこす。補体系の関与は本症では効率にC3に沈着がみとめられる
 単量体IgAは補体活性化を示さないが、二量体および多量体IgAは補体を活性化し、糸球体障害をおこす
 メサンギウム障害につづき、糸球体障害が進行するかどうかを規定する重要な因子はポドサイト障害の程度である。尿中ポドサイト数の多い患者では優位に分節性効果病変を多くみとめた
 肉眼的血尿で発見されることもあるが、上気道炎感染を主とする感染直後に発作的に生じる肉眼的血尿が特徴的である
 IgA腎症は糸球体性血尿であるため、赤血球形態観察にて形や大きさが不均一で多彩な変形赤血球が80%以上をしめる 赤血球円柱など腎炎性円柱も参考となる 糸球体性血尿の所見があきらでないときは泌尿器科的検索が必要である
 随時尿で尿蛋白陽性の場合は、早朝尿との比較により運動の影響を除外できる 繰り返す検尿で蛋白陽性の場合は、尿蛋白定量を実施する。24時間蓄尿をもちいる。実施困難な場合は「早朝尿」の尿蛋白/クレアチニン比が1日尿蛋白排せつ量とよく相関する。
 血清IgA IgA腎症全体の中央値が315と、半数以上が315以上であった さらに、IgA/C3比が有用。
 臨床項目として尿沈渣で赤血球 5/HPF以上、持続的蛋白尿 0.3g/日以上、血性IgA値 315以上、血清IgA/C3比3.01以上の4項目が鑑別に有用。腎生検をしない場合これらの項目のうち3項目以上があれば、診断に有用
 顕微鏡的血尿単独の場合、腎生検は確定診断には役立つが、病理的重症度はひくいことがおおいので、腎生検の適応は随意
 蛋白尿の増加が腎予後と関連する 疑う症例で、尿蛋白を伴う場合、定期検査で2+程度の持続、1日尿蛋白量 0.3~0.5g(尿蛋白/クレアチニン比でも同様)の 場合には腎生検を実施ることが望ましいという考えがあり、尿蛋白が0.5未満でも腎生検を考慮することがあると、、、、
 IgA腎症診療指針第3版では 組織学的重症度分類 腎予後と関連する病変を有する糸球体数/総糸球体数 の割合で 25%刻みでグレードを4段階にわけている
 加えて、臨床的重症度分類をしてみして、透析導入のの関連性を検討したところ、生検時尿蛋白量、血清クレアチニン値、eGFRが独立した関連性をしめした。
一方で、年齢、性差、高血圧、血尿は腎予後とは関連はなかった。eGFRの値にかかわらず、尿蛋白0.5g/日以上の群は未満の群に比し、予後が不良である。尿蛋白0.5g以上では eGFR 60未満の群は 以上の群に比し予後不良であると
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任意という名の無責任は許されない

2024-07-21 21:36:05 | 診療
カルテ片付けのあと、四役会議で検討すべく任意接種ワクチンの提案のはなし、、
特段、副理事長の役割ときまったわけではないのですが、何度かまえの、会議で専務が、
最近 RSウイルスワクチンのことをきかれるんですが、どうなんでしょうかという質問にはじまったわけで、
当然、予備知識もなく、帯状疱疹ワクチンは段田安則、RSウイルスワクチンはさだまさし、
のようにメディアが先行して宣伝、、あとで、その説明におわれるパターンがふえていますが、
ちょうどタイミングよく、講演会があったりで、にわか勉強して、健康いちばんの四季のカルテに掲載したり、、
まあ、HPVワクチンやコロナワクチンのように 懸念材料ではないですが、
医療生協としても対応の表明がもとめられているところだろうと思いながら、煮え切らない、
がんがん積極的に 任意接種で儲けよういうほどの野心ももてずに、日々がすぎています。
さらにおまけに、というか、タイミングいいのかわるいのか、
肺炎球菌ワクチンの動きも見逃せない状況です。
15価のバグニュバンスが4月からはじまって、半年もたたない状況で、
今度はプレベナー20が 小児の定期接種として切り替わるというお話。
バグニュバンスってこんな短命でよかったの?
そんなことになると、任意である、高齢者肺炎球菌ワクチンの今後もどうなるんでしょうか?
 前回の雨のち晴れでも 「肺炎球菌ワクチン接種の考え方」を
掲載しましたが、、今後、プレベナー20が大人への接種がはじまるとしたら、
今度はどんな「考え方」がでるのか??
 ニューモバック一本やりでやってきた日本の肺炎予防、、
 今後は65歳の人だけの助成がのこるだけになってしまいましたが、
プレベナー20との整合性というか、どうなるんでしょうね、
 おりしも、日赤病院から、郵送物の中に病院案内誌がとどいてた中に、
四方山ばなしとして、「肺炎を予防しよう」というお題のコラム。
最後に、接種間隔や接種回数はワクチンによってことなりますので、
詳しくはご相談ください。 と書いてあります。
 まあ、この程度の進め方にするか、なにか掲示物にするか?
プレベナー20が使用開始になってからでしょうか

いろいろ悩ましい、25度のお山はまた今秋頑張れるために熟睡です

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上手くはいかないことばかりの1週間

2024-07-07 21:01:20 | 診療
毎日、疲れるできごとがつづいた1週間でした。
コロナ診療のかずかずのはしごをはずされて、6月からはまったくの丸裸、、まあ、コロナ検査のレセプトコメントをつけなくてもいいのだけは楽になりましたが、隔離で汗だくで抗原検査してもほとんど卸のケーエスケーに検査キット代をもっていかれるだけ、、、

 いろいろ準備してのぞんだ生活療養計画書は ダイナの準備と、みんなの頑張りで、おおむね事なきをえたような感じで胸をなでおろしております。受け取った方は、ほぼほぼどなたも同じチェック項目であることはお分かりではないでしょうか?なかには、生活習慣について、まじめにみていただいている方もいたようで、やや複雑、、、
 署名がいただけず、診察室でなんとなく「むりやり」押し切った方は2人だけでした。どうあがいても、今回の診療報酬改訂で、マイナスになることは覚悟しておりましたが、6月の成績も平凡以下の結果になり、、、第1四半期(4-6月)はまれにみる不出来な結果となってしまったのです。これで、10月からの診療ダイヤ改定してやっていけるんやろかと、、、おまけに、灘区医師会報に、あの区役所よこにあったセブンイレブンのあとに、循環器内科、糖尿病内科、漢方内科という標榜で開業情報あり、、この周辺で新規開業はなかなか前代未聞ほど久しくなかったのですが、京都の病院勤務から 落下傘 開業ということですが、これもなんとなく元気がなくなるネタですね、、
 そのあとの とどめをさされたのが、動脈血採血の失敗・・・
 これまではというか、20世紀には手首の動脈からの採血経験しかなかったのですが、数少なくてもほぼ失敗はなかったのですが、大腿動脈は初めて、、手首は「無駄に痛い」と、ネジ子先生は書いていたので、太い大腿部で、、、と1週間気重でしたが、そんな気重でやったら、気重な結果しかでないというくらい、なんか上手くないなあああああ

 そんな、金曜日にグラクソ、スミスクラインから、メールがあって、7日午前中に RSウイルスワクチンの講演会のWeb視聴の案内あり、、迷いながらも、、土曜日の片付け、所見入力などは土曜日中にやりきり、日曜日ゆるりと、おきて、9時半から開始。
 3人目のクリニックからの報告をされた佐藤せんせいは、師長さんらが、シングリックスの時の講演でも、発表されていた先生なんでしょうか?たしかに、この乙川さとうクリニックでのおすすめシステムを実践的に紹介をされていましたが、そこで、使っているカルテもダイナであることを確認できる 「注意リスト」にいろいろ接種履歴が入力されている、、スライドがありました。
 まあ、自費ワクチンがふえてきて、自費診療をあまり得意としていない私たちにとって、どうも遠慮もあるかもしれないですが、
やはり、情報提供をして、ワクチンで防げる疾患、基礎疾患の増悪防止に有効な結果がでていることを示したうえで、結果は患者さん自身が選択していけばいいわけで、四季のカルテにかいたように、「値打ち」を判断できる情報提供は必要なんだ思いました。 
 この先生の話のなかで、1000枚程度案内のチラシをつくったそうですが、実際接種にむすびついたのは1割程度らしく、それでもすごいですね、、 ただ、さすがに、2024年6月は 生活習慣病の療養計画書を渡しして署名してもらわないといけない作業があって、(たぶん、ダイナ製の計画書なんでしょうね、、)、ワクチンおすすめの流れがさえぎられ、ワクチン接種がすくなくなったという本音もおっしゃっていました。
  まあ、RSウイルスワクチンの話でしたが、そのほかの大人の自費ワクチンである、シングリックス、ニューモバックス、そして、ほぼ忘れていてた、もう一つの肺炎球菌ワクチンである、プレベナー、そして新たなというか バグニュバンスの大人への接種についても、接種システムを確認して、案内パンフレットくらいはっつくらんとあかんですね、、 
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自然に健康になれるという、本当の意味

2024-06-23 21:53:58 | 診療
花たばの20周年シンポジウムによばれて、やむなく出席したけど、
やっぱ、私には荷がおもすぎました。
原稿を用意していったけど、やはり、こなれていないものは、ちゃんとしゃべれないということか
以下、ネタバレ原稿、、もうわすれます

::::::::::::::::::::

20年ということですが、あまり医療生協でも話題になっていないことをお話させていただきます。
みなさん、健康日本21 ということをきいたことはありますか?

「21世紀によける国民健康づくり運動」(健康日本21)のことで、2000年度にはじまり、ほぼ10年ごとの改正をへて、今年4月から第3次がはじまっています。
最初の10年は 個人の生活習慣を主な検討対象とした。適正な体重、バランスのとれた食習慣、塩分、運動習慣などの目標をかかげて、皆さんにもなじみのある「メタボ」健診と保健指導などの健康教育がすすめられました。
次の10年では、健康寿命をのばしましょう、癌や循環器疾患での死亡率を減らそうという指標に関してはある程度達成できている部分もありましたが、 肥満や減塩、食生活、運動といった生活習慣については、さっぱり改善されることはなかったという評価でした。むしろ悪化していたのでした。健康に関心の薄い層が増え、関心、知識はあっても、実践できない層が増えたり、その根底には健康格差社会がひろがった、まさに失われた20年がここにもあったのではないでしょうか

でも、まんざらでもない、今回の第3次では健康づくりには個人の努力も大事ですが、社会環境を整えることが大事である。 社会環境という基盤の上に個人の行動があるという関係性が明確にしめされたということです。
そんなん、昔から私たちは言っていたんじゃないかなという今更感ですが、
それでも、「誰一人取り残さない健康づくり(inclusion)を実現するために、「自然に健康になれる環境づくり」 が戦略として掲げられ、健康づくりの標的が、個人から社会環境へと広がってきた

社会環境の質の向上の3つの柱
1) 社会とのつながり、こころの健康の維持
 いつでも一人になれる、いつでもだれかにあえる、いつでも誰かにまかせられる
 という花たばのスローガンはここに生きてくる
2) 自然に健康になれる環境づくり とくに食生活
 製造業、産業界のとりくみ 消費生協の役割もありそう
3)いごこちよく歩きたくなるまちづくり

自然にとか、いごこちよく といった言葉には 「ねばならない」「○○しましょう」というのとは
まったく真逆の意味しかないのです。なにもしなくて、健康になれるなんてことはない、
でも何かをしなくても、せんでも健康になれる、、そのためには、、、基盤をかえなければならない
この言葉には、、、
社会環境基盤をそうなるようにしていきましょうというメッセージになっているのではと考える
健康日本21としては画期的といえよう


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RSウイルスワクチンの値打ちを考える

2024-06-16 20:20:55 | 診療
健康いちばんの四季のカルテの担当になっています
が、なんとか締め切り間際に完成

今月のお題はややニッチなところで
話はそれますが、この「ニッチ」の語源は “niche”(くぼみ)。今頃診療所では胃のバリウム検査はしていませんが、胃潰瘍のくぼみにバリウムの「たまり」として映った画像のことを、「ニッシェ」を呼んでいたのを思い出します。日常会話では「隙間」や「マニアック」のようなネガティブなイメージですが、多様性が重視されるようになって、ポジティブで「個性的」という意味あいも。

乳児の病気?
 最近各所で RSウイルスワクチンはどうなの?と聞かれています。そもそも、小児の診療現場でRSウイルス感染症は日常的で、とくに、乳児が感染すると、咳や喘鳴が悪化し、ときに入院を要とすることに。特効薬はなく対症療法で回復を待つのみで、重症化すると将来の喘息につながるともいわれます。ウイルスを特定する抗原検査の保険適応は、1歳未満に限定。そのような乳児の感染予防に、以前から「シナジス」という「基礎疾患を有する児や早産児」限定のワクチンはありました。さらに最近 承認されたワクチンは 妊婦に接種することで、胎盤を通じて母体から胎児に抗体が移行することで生後のRSウイルス感染を予防するとされています。

大人でも実は重要
 最近、テレビのCMが先行してしまう医薬品が少なくないですが、大人のRSウイルスワクチン 2種が今年になって、承認発売されました。そもそも、大人であればRSウイルスの多くは風邪症状だけで自然軽快すると考えられていました。ただ、インフルエンザや新型コロナのような迅速キットを用いた検査の精度が高くなく、保険適応外なので、大人のRSウイルス感染症の実態が十分は把握されていませんでした。昨年60歳以上の調査で年間、約6万3000人の入院と、約4500人の院内死亡を起こしていると「推定」しています。海外の研究では 喘息、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、冠動脈疾患、うっ血性心不全などの基礎疾患のある患者では、ない人に比べると数倍から10数倍入院率が高いことが示されました。そして、このワクチンを接種することで、とくに慢性呼吸器疾患をもつ方の入院、死亡リスクを減らす効果は相当なものと評価されました。その効果はインフルエンザや新型コロナのワクチンを上回る高いレベルのものだと。

お高いワクチン事情
 大人のワクチンといえば、肺炎球菌ワクチンがひろく知られています。実はこの肺炎球菌ワクチンにも2種類ありますが、日本ではその1種のものに、65歳以上の高齢者対象に1回限りの助成で接種をすすめてきました。65歳以上全年齢にゆきわたるように、5歳刻みの対象者を選んで接種券が送られていましたが、今年度からは65歳になった人だけに限定。5年の有効期限なのに、1回限りで、「そのあとは自腹で」と。
 一方で最近すこし普及してきた「帯状疱疹予防ワクチン」も基本は自費です。全国で300以上の自治体が公費助成をされていますが、それでも、1回2万円以上×2回は、格差社会となった日本で広く接種を行き渡らせられる代物ではないのでは。RSウイルスワクチンも同等の値段になりそうですし、1回接種ですが有効期限が2年(帯状疱疹ワクチンは10年)というのも、なんとも。なんとか重症化リスクの高い方への負担軽減策など、いい意味での「ニッチ」で有効な施策を期待したいところです。
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