風疹ワクチンの定期接種 5期が開始にあたって、
原稿依頼あり、、、ました。
遥かなる甲子園の文章をかくことはきまってましたが、、、コミック本の表紙はスペースの都合で割愛されてしまいました
今回は、それも掲載
医師会の広報誌にも、風疹ワクチンの話はでていましたが、
まあ、ちょっとは違うものにできあがったでしょうか
国語苦手だった、若かりしころ、の苦い思い出も、今は昔
●これも、沖縄の苦悩
六甲道診療所には狭いながら小児のプレイルームがあり、書棚に「遥かなる甲子園」というコミック本を置いています。
米国で風疹が流行した一九六四年に遅れること半年、米国占領下の沖縄で風疹が流行し、翌年四百八人の先天性風疹児が生まれました。その大半が難聴児で、中学になる一九七八年、聾学校中等部が開校し、高校卒業までの六年限定の学校が北城聾学校です。野球部ができ、高校野球大会に出るべく県高校野球連盟に申請し、三年次の一九八三年にやっと許可がおり、県予選出場を果たしました。その苦難と苦闘の歴史を六年間の取材を通して描いた、戸部良也氏によるノンフィクション、そして、それを元に山本おさむ氏によるフィクション漫画がこの本です。
●先天性風疹症候群の不安
発熱と発疹が長引き、肺炎など重症化して命にかかわることもある麻疹(はしか)が「命定め」といわれるほどに怖れられるのに比べ、風疹の症状経過は比較的軽く「三日ばしか」とよばれる所以でもあります。しかし、妊娠初期に風疹にかかると、胎児の形態形成に影響し、出生児に感音性難聴、眼の障害(白内障、緑内障)、心臓疾患を三大症状とする「先天性風疹症候群」(以下CRS)が発生します。
●ワクチンの歴史
風疹ウイルスが発見されたのは一九六二年、ワクチンが開発され、接種対象の議論があり、男女全幼児に接種する米国方式ではなく、女子中学生のみに接種する方式を日本は採用し、集団接種が始まったのは一九七七年でした。しかし、流行の中心である小児が対象ではなかったため、大体五年おきに大流行をくりかえしました。 風疹が流行するとCRS患児の発生を怖れて人工妊娠中絶が増加するという不幸な歴史を繰り返してきたわけです。
(図は 国立感染症研究所HPから)
一九九五年からは男女幼児への「個別接種」 中学生男女も時限措置として接種
二〇〇六年からMR(麻疹風疹混合)ワクチンを 一歳と六歳に二回接種制度開始
二〇〇八年~一三年の五年間 中学一年と高校三年で接種する措置制度で接種機会を増やしました。
●排除・根絶を
集団接種から個別接種になったことにより、接種率は低下したものの、従来からの全国的な流行はなくなり、CRS発症も二〇〇〇年以降は年間ゼロの年が多くなってきました。
しかし、免疫不十分な世代の局地的な発生はその後も続きます。
神戸市は独自制度として妊娠可能な女性および同居者にワクチン接種助成を数年前より開始しています。
さらに、今年度は 女子中学生集団接種時代に接種できていない男性対象に抗体価検査とワクチン接種を無料で実施する制度が全国で始まりました。
かつては麻疹輸出国と揶揄された日本が 麻疹の排除・根絶ができたように、CRS発生の不安をゼロにするには 唯一の予防手段としてのワクチン接種率向上をはかり、風疹の排除・根絶をめざしたいものです