年末には配布される健康いちばん 新年号
今年から、年賀状書かなくなりました。
あしからず、、ここで失礼いたします。
新年号の四季のカルテ
原稿提出したところで、原稿をアップしてみます
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命を守る改革たりうるか?
六甲道診療所 谷口 敏光
昨年は基幹病院の専攻医や歌劇団での長時間労働やパワハラによる自死がニュースになりました。一方で今年四月から働き方改革が始まります。物流・運輸業界や建設業に加えて、医師の働き方改革が実施にうつされます。
Karōshi(過労死)
始まりは、一九七八年ごろにさかのぼります。Karōshi は英語の辞書にのるほどの日本の社会問題と認識されていました。その頃私は大学生で、あるご縁で先輩方の労働災害職業病の勉強会に顔を出していました。たとえば、神戸市保母(当時はまだ保育士とはいっていなかったが)の頚肩腕症候群や疲労性腰痛症などを目的とした健康診断のお手伝いをしながら、疾病の社会的要因について考えるようになり始めました。労働環境など社会背景が疾病発症に大きく影響していることを地域住民や職場労働者から学ぶことが重要と考え始めていました。今は職域ではありませんが、そのような健康観をもって療生協で働くことになった、事の始まりだったといえます。
当時から脳、心臓、精神疾患が長時間・荷重労働によって引き起こされ、過労自殺にもつながっていることは注目されていました。しかし、何十年もの年月が経過しても、長時間労働は一向に改善されるどころか、苛烈さを極め。数々の痛ましい結末をみることになっています。
産業医の権限
中小企業の長時間労働の対象者に対して、「面接指導」を受けなければならなくなったのが平成二〇年からで、診療所業務の傍ら、私も産業医として、神戸市産業保健センターで、面談に携わられていただきました。面談したからといって、現状の働き方をそうたやすく変えられるものではありません。とくに、一人店長のような立場の名ばかり管理者の面談は苦労しました。働き方改革といわれだして、徐々に産業医の権限強化がうたわれていますが、実際の労働現場には容易ならない現実があります。
実効ある改革とは
医師の労働は様々な形態をとります。実際に患者さんと接する業務だけではく、山のような書類作成、各種会議、研究会症例検討会や常に知識や技術をアップデートしていく為の時間も必須です。働き方改革にあたり、この「自己研鑽」に関する時間をどこまで労働時間とカウントするか、曖昧なところもあるようです。
本来の改革が長時間労働の是正ならば、医師を増やすか労働時間を減らすかしかありません。医師を増やさなければ、どう考えても、診療時間や診療科を減らす、つまり医療サービス低下、ひいては医療崩壊につながります。兵庫県内あちこちですすむ基幹病院の統廃合、その動きの裏にはこのOECD各国でも少ない医師数にあります。立ち行かなくなっているのは三田市民病院だけでないはずです。原資は限られた診療報酬、ますます切り詰められる医療費のなかで、患者サービスを低下させずに働く医師自身の命が守られる「実効ある働き方改革」など絵にかいた餅でしかありません。
かくいう、今年定年の(退職はしませんが)私も、すでにアウトです。自分自身の改革が必要です。しかし、事業を継続していかなければならない管理者です。どうやって切り開けばいいのでしょう
今年から、年賀状書かなくなりました。
あしからず、、ここで失礼いたします。
新年号の四季のカルテ
原稿提出したところで、原稿をアップしてみます
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命を守る改革たりうるか?
六甲道診療所 谷口 敏光
昨年は基幹病院の専攻医や歌劇団での長時間労働やパワハラによる自死がニュースになりました。一方で今年四月から働き方改革が始まります。物流・運輸業界や建設業に加えて、医師の働き方改革が実施にうつされます。
Karōshi(過労死)
始まりは、一九七八年ごろにさかのぼります。Karōshi は英語の辞書にのるほどの日本の社会問題と認識されていました。その頃私は大学生で、あるご縁で先輩方の労働災害職業病の勉強会に顔を出していました。たとえば、神戸市保母(当時はまだ保育士とはいっていなかったが)の頚肩腕症候群や疲労性腰痛症などを目的とした健康診断のお手伝いをしながら、疾病の社会的要因について考えるようになり始めました。労働環境など社会背景が疾病発症に大きく影響していることを地域住民や職場労働者から学ぶことが重要と考え始めていました。今は職域ではありませんが、そのような健康観をもって療生協で働くことになった、事の始まりだったといえます。
当時から脳、心臓、精神疾患が長時間・荷重労働によって引き起こされ、過労自殺にもつながっていることは注目されていました。しかし、何十年もの年月が経過しても、長時間労働は一向に改善されるどころか、苛烈さを極め。数々の痛ましい結末をみることになっています。
産業医の権限
中小企業の長時間労働の対象者に対して、「面接指導」を受けなければならなくなったのが平成二〇年からで、診療所業務の傍ら、私も産業医として、神戸市産業保健センターで、面談に携わられていただきました。面談したからといって、現状の働き方をそうたやすく変えられるものではありません。とくに、一人店長のような立場の名ばかり管理者の面談は苦労しました。働き方改革といわれだして、徐々に産業医の権限強化がうたわれていますが、実際の労働現場には容易ならない現実があります。
実効ある改革とは
医師の労働は様々な形態をとります。実際に患者さんと接する業務だけではく、山のような書類作成、各種会議、研究会症例検討会や常に知識や技術をアップデートしていく為の時間も必須です。働き方改革にあたり、この「自己研鑽」に関する時間をどこまで労働時間とカウントするか、曖昧なところもあるようです。
本来の改革が長時間労働の是正ならば、医師を増やすか労働時間を減らすかしかありません。医師を増やさなければ、どう考えても、診療時間や診療科を減らす、つまり医療サービス低下、ひいては医療崩壊につながります。兵庫県内あちこちですすむ基幹病院の統廃合、その動きの裏にはこのOECD各国でも少ない医師数にあります。立ち行かなくなっているのは三田市民病院だけでないはずです。原資は限られた診療報酬、ますます切り詰められる医療費のなかで、患者サービスを低下させずに働く医師自身の命が守られる「実効ある働き方改革」など絵にかいた餅でしかありません。
かくいう、今年定年の(退職はしませんが)私も、すでにアウトです。自分自身の改革が必要です。しかし、事業を継続していかなければならない管理者です。どうやって切り開けばいいのでしょう