きっと明日は雨のち晴れ

六甲道診療所での仕事は忙しいけど、それなりに楽しい。ちょっとくじけそうなことがあっても、雨のち晴れです

久しぶりのヒット作でしょうか?半固形注入器

2018-03-22 20:37:05 | 診療
新規往診の Hさんとこの胃瘻がやや不調
オリンパスのイディアルボタンがはいっている。
退院して間もないのに、胃瘻挿入部のボタンの周囲の皮膚が赤くなっている。
これは 胃瘻ボタンの長さに余裕がないときにこうなる。
内側に、バンパーというものがついていて、ぬけないようになっているのですが、
長さがたりないと、胃内のバンパーが胃壁のなかに「埋没」する現象がおこってしまうので、
いつも、往診のたびにというようか、ボタンが埋没していないか、確かめます。 
「余裕」はどれくらいかというと、皆さんされているのは、紙縒りが巻き付けれるくらいの余裕、
つまり、少なくとも 強く引っ張り上げなくても5㎜ほどの隙間が必要。
 これが Hさんにはない
それゆえ、接触面である、皮膚が赤くだだれる、一種の褥瘡みたいなもの、、、
この余裕、腹壁の脂肪厚がかわればかわります
しかし、退院してまもないのに急に太ることはないでしょうし、
この間、便秘がちになっている ということで、
あんずからも指摘されていますが、マグネシウムの処方しました。
浣腸もしてもらいます。
なんとかそれで、この余裕ができてほしいものですが、どうでしょう
それがかなわないとなると、
長いサイズのものに胃瘻ボタンを入れ替えを灘診療所にお願いしないといけません。
これが、ボタン式のものでなくて、チューブ式にしてもらうと、
腹壁+胃壁の厚さの変化があっても、入れ替えなくできるので助かるのですが、、、
まあチューブ式だと、20㎝ほどのチューブが胃瘻部から
常にぶらぶらしているという欠点といえば欠点ではあるのですが、
なおかつ、
胃の内部にはいっている部分には「バンパー型」というのと 
「バルーン型」というのがあります。
バルーンはまさしく膀胱留置カテーテルと同じように風船を膨らませて歯止めにするものですが、
Hさんには バンパー型がはいっています。 
これは丸い饅頭みたいなものが歯止めになってて芯棒で細長くして、
胃瘻孔からの抜き差しができやすくするという、
「オブチュレーター」なるものをつかいます。
とはいえ、バルーン型にくらべると、
胃瘻孔をすんなりとおすことができず、やや「血をみる」処置になります。
むりすると胃壁と腹壁の間に穴があいてしまって、腹膜炎にもつながるということもあって、
在宅で交換はしなくなりました。ということで灘に頼むわけですが、
ちなみに、Oさんとここはバルン型で、家ですんなり交換しているのです、、、

それから、チューブ式のほうがOさんにはよかったのが、
粘稠な ラコール半固形(まあ、一種の寒天がまざっているようなものですが)を注入するのに、
かなり力がいるのですが、
それが、ボタン式よりチューブ式のほうが、内腔が広くでてきているということのようなです
入院中は 保険のきかない実費で購入する半固形栄養剤を、それは粘稠性が低い。
でも、お金には代えがたいので、ラコール半固形に変更。
以前の栄養剤には 付属の巻き上げデバイスがあって、これをラコールにも使えているが、
Oさんの旦那さんの腕力をもってすれば、なんとかなるのですが、
それでも、ボタンにすると厳しい。ヘルパーさんに注入をお願いするなら、
もうボタンは断念して、チューブ式に戻すことになったのです。

Hさんも入院中に実費購入の栄養剤だったのですが退院してラコール半固形に変更
しかし、娘さんらの力ではなかなか注入にてまどる。力がいる、
デイに送り出す朝に、ばたばた注入だということです。
なおかつ、この巻き上げデバイスの長さが、ラコールの幅にとどかない、、、
ということで苦労されていると
なんとかならんかと、
先週末に、また工作癖がついて、 手巻き寿司ならぬ 手作り巻き上げ機を作成。
といっても、硬い栗の木の板が山小屋にあって、握り手のノブを3枚ばねにして、糸鋸でちょちょい
そして、真ん中に3か所の穴をラコールの袋の分厚さより少し広い隙間(2mmほど)になるように
ボール盤をつかって貫通しないようにあけて、3本の丸棒を ラコールの幅より長く切って、完成
その時間は30分はいらないくらい


先週 この工作品を渡して、ためしてもらいながら、


加圧バックが 届いたので、今日使い方説明に、伺うと
うれしいことに
巻き上げ試作機で、これまでとはまったく比べ物にならんくらい
速攻で注入できると
感謝されました

加圧バックも用なしになりそうですが
この分だと、デイに使うための 予備機など
「量産体制」にはいってもええかもね・・・
これで商売?はないか、、、
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フレイルと転倒防止

2018-03-13 22:06:55 | 診療
先月に続き、「フレイル」についてとの要請で思案中の先日(三月一〇日)、職員組合員さん合同の「フレイル」の取組み「ときめき交流会」が開催されました。
 しっかり噛んで栄養つけ、筋肉量をへらさぬように運動、人と会いお喋りが大事で、各々の発表には聴き応えがありました。これからあちこちでフレイル予防の取り組みが広がっていくことでしょう。
 でも、これもちょっと大事ではないかというお題にしました。それは「転倒予防」です。
●シャキシャキしてるのに
 近頃どこにもスポーツジムがあります。高齢者向けや、女性限定などもあり、毎日、半分お風呂がわりに通っておられる一人ぐらしの高齢者の方もいます。昨年末の午後の診察の最終に九十二歳の一人暮らしの女性にインフルエンザの予防接種を済ませて「今からセントラルでお風呂にはいってもいいですか」と聞かれました。予防接種後に副反応があってはと、しばし診療所に留まっていただくのですが、家にすぐ帰るよりは、人目のある施設でお風呂に入ってもらう方がいいか?という妙な判断でいっていただきました。真冬の寒い夜でしたが。
 通院中の方で、突然、病院から「骨折で入院加療中」というファックスが届くことは珍しくなく、早々に手術しリハビリして自宅に戻りはしても機能は低下します。骨粗しょう症で濃密に治療していても、シャキシャキとジムに通って水中歩行している方でも、転倒骨折は予期せぬもので、案外、自宅の中でのことが多いものです。

●夜間の転倒がくせ者
高齢者の転倒の三分の一は夜間、夜九時過ぎから翌朝六時頃までの就寝時間帯に。その時間帯の大半は寝床で横になっているため転びようがない。夜中に目覚めて尿意を感じ、寝床とトイレを往復する、そのわずかの間に転倒が集中。起きている時間に限れば、転倒率は昼よりも夜の方がずっと高い。
夜中で薄暗いために段差が見えにくいなどの原因が頭に浮かびますが、むしろ他の要因に注目。その一つが起立性低血圧。横になっていてトイレに行きたくなって起き上がり、立ちくらみでふらつき、さらに排尿後に血圧が下がり、戻るときも要注意。高血圧の薬で転倒しやすくなる場合も(といって、今の薬を止めないでくださいね)糖尿病薬が効きすぎ夜間低血糖だとか、アレルギー薬で眠気ふらつきが出たなど。飲み薬の数と転倒リスクが比例するという報告もあります。
●睡眠薬が悪い?
 とりわけ睡眠薬は、転倒高齢者が服用していた薬剤として常に上位です。眠気が強く、もうろうとして転ぶ様子を思い浮かべますが、最近の睡眠薬は眠気が続く時間の短いものが多く、トイレに行く頃には眠気がかなりさめて、むしろ眠気が切れた頃トイレに行く途中で転ぶことが多い。筋肉弛緩作用や平衡機能を抑制する作用は残っていることによると。では睡眠薬が悪いのか?不眠が治りきらず夜間のトイレ歩行が残っている場合も多く含まれ、睡眠薬が悪いようにみえているだけかも。眠れるようになればトイレ回数も減り、転倒も少なくなるとも考えられます。
 などなど、フレイル予防で延ばせる「健康寿命」が一瞬の転倒でとぎれないように、家の中の危険個所の点検、飲んでいる薬や病状の相談など、みんなで「転倒用心」しましょう
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このまま終わらせるわけにはいかんぜよ

2018-03-12 21:20:58 | 悩み
3月11日 毎日新聞の2面
「ちいさいおうち」の作家 中島京子さんが こう書いてくれました
・・・・・・・・・・・・・
彼ら警察官のその日の使命は 抗議行動に参加する市民を嫌な気持ちにさせることなのだろう。
嫌がらせが任務だというのも、考えてみれば気の毒な話だ。

そう思ったからこそ、財務省の心ある官僚の誰かが、文書の存在を国民にしらせたのだろう・・・・
内部から悲鳴を上げた官僚がいたのだろう・・・

 憲法はそもそも権力の暴走を縛るためにある と
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・
今にして思えば、 ここに至るまで、
「忖度」追求に決着をつけさせることができずに 
今日この日にいたったのか、
「がっかりした国」となげくのは簡単ですが、
彼を死にいたらしめる前に何もできなかったのか、 

曲がったことは許せない 
誠実でジェントルだということは
いつみても、いっぱい、いっぱい、にじみ出てました

こんな結末に至らしめるこの国はなんなんのか

この死を無駄にしないでほしいという 遺族の報道はありましたが、
どれほどの、思いで、このことを絞り出しているのか
言葉がみつかりません

ここに至るまでになにかできんかったのか
それは、自分に跳ね返るわけで、
今、やれることはなんなのでしょう

悶々としてる場合ではありませんが

 
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