きっと明日は雨のち晴れ

六甲道診療所での仕事は忙しいけど、それなりに楽しい。ちょっとくじけそうなことがあっても、雨のち晴れです

近頃の予防接種事情

2016-09-22 09:40:26 | 診療
医療生協の 機関紙「健康いちばん」の「四季のカルテ」の原稿当番にあたる2016年10月号原稿をなんとか完成

◆課題が次々と
「麻疹(はしか)のワクチンありますか?」という問い合わせが連日。注文してもなかなか入ってこない。「はしかの抗体を検査して、無かったらワクチンを受けたいのですが・・」
麻疹の抗体検査法は色々ですが、最近は「酵素免疫測定法」が主流。「いくらぐらいあったら大丈夫なんですか」と、女性職員が入職時に検査したデータをみて質問。
 以前、神戸大学で麻疹流行以降、麻疹と風疹の二回目接種を基本とする制度になり、経過措置として中学一年と高校三年のいずれかで二回目を接種する制度も五年間実施された。しかし、関空の人たちは一回だけ世代。「もっと上のアラ○○な職員は無視かいな?」という声もあり、悩ましい日々。

◆インフルエンザワクチンは?
日本にワクチンメーカーは一〇社だが、インフルエンザワクチンは四社のみ。その一社は不正製造隠蔽問題で処分はまだ記憶に新しい。そのメーカーはこれまで全体の三割ほどを製造していたが、熊本に工場があって今年の震災で出荷できないことに。それでも、他でカバー、昨年の実績ぐらいは確保されたらしい。何年か前の「新型インフルエンザ」、そして今のはしかみたいに、入荷待ち、優先順位考慮なんてことにならなければいいのだが。

◆ワクチンで防ぐ
一〇月から小児B肝炎ワクチンが定期接種化開始のことは、子育て中の方には周知のことか。近頃はめでたく生まれてこられた赤ちゃんには、すぐさまワクチンのハードスケジュール。生後二か月で、ヒブと小児肺炎球菌ワクチンで「ワクチンデビュー」。はしかや風疹(三日ばしか)に比べると、なじみない感染症だが、この二種類の感染症、乳児期に罹ると、ヒブで年間五百人ほど髄膜炎に、その内百人ほどが死亡もしくは重大な障害が残ったと。世界に随分遅ればせながら、この二つのワクチン、効果はかなり頼れる事が確認され始めている。乳児の高熱を診ても、このワクチン接種歴があれば大きな安心感だ。

◆間違いそうな・・
これまで無料ではない、B型肝炎、ロタウイルス(経口)ワクチンも二か月から。三か月でジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの四種混合が始まり、それぞれに、三回、四回と繰り返す。近頃は、スマホでスケジュールを立てらえるアプリがあるのは今頃のお母さんには常識。


色々な事情でうける期会を逃すと、回数や間隔がそれぞれに異なることになる。母子手帳と、接種券、そして「実施要領」とにらめっこ。
 神戸市からの接種過誤 つまり、接種間違いの事例報告によると表のような順。
1指定対象年齢外での接種
2規定接種間隔外での接種
3規定接種回数超過した接種
4ワクチンの取り違え
5接種量の誤り
日本脳炎になると、一時期ワクチンの副作用の問題で接種見合わせていたため、回復措置という仕組みで更に複雑。落ち着いて確認しなければならない。

◆なに事も不確実
薬もそうですが、予防接種も不確実なもの。インフルエンザワクチン受けたのに、インフルエンザになった人は数知れず。高齢者の肺炎球菌ワクチンは 今、五歳刻みで実施されていますが、それとは別腫のワクチンを打ちたいという方も。また、辛い帯状疱疹(ヘルペス)予防に水痘ワクチンを打ちたいという方もちらほら。それぞれに、どれほど意味があるか。この情報過多に振り回されないように、日々勉強です。
コメント
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