穴にハマったアリスたち

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スイートプリキュア♪ 第47話「ピカーン!みんなで奏でる希望の組曲ニャ!」

2012年01月22日 | スイートプリキュア♪感想
【今週の南】

今週は非常に熱く、密度の濃い回でした。
「スイートプリキュア」の集大成と言うだけでなく、「プリキュアシリーズ」を象徴するかのようなお話。
これまでずっと見続けてきて、本当に良かった。

さて、日曜朝8時に届くプリキュアメルマガ、今日の担当は南野さんでした。

[引用]
 ハミィにはげまされ、もう一度、みんなで力を合わせてノイズにたちむかいます
 でも、どうしてノイズは、すべての音を消そうする(※原文ママ)のかしら
 そのナゾにこたえるノイズの話から、私たちはノイズをたおすヒントをみつけるの
 たぶん、これが最後のたたかいです
[引用終]

あの話の流れで「ノイズを倒す」とか、「『たぶん』最後の戦い」とぼんやり気味とか。
南野さん、状況をあんまりよく分かってなかったんじゃないかな…。

■スイートプリキュア♪ 第47話「ピカーン!みんなで奏でる希望の組曲ニャ!」

メイジャーランド陥落。辛くも逃げのびたプリキュアさん達ですが、追撃の手はすぐにやってきた。
何故なら、彼女達の鼓動が鳴り響いているから。
全ての音楽を憎む敵との戦いは、音楽そのものであるプリキュアさんとしては避けることができません。

ノイズ様の目的は、全ての音の消滅。
しかしここで、北条さんの頭に疑問符が生える。ぴょこん?
音のない、誰もいない世界を作って、ノイズは何をしたいんだろう?

分からないことは相手に聞いてみればいい。
ねぇねぇノイズさん、貴方は沈黙の世界を作って何がしたいの?
返ってきた答えはシンプルでした。静かな世界で、私も消えよう。

北条さん:
 「どうして…、理想の世界なんでしょう?」
 「何それ、何がしたいの?分からないよ!」

全くもって理解できません。疑問符が次々と生い茂る。ぴょこぴょこぴょこん!?
何がしたいんだこの存在は。
やっぱり奴とはコミュニケーション不能。理解不可能な存在なんだ。



北条さん:
 「あなた一体、何なの?」



ノイズ様:
 「そんなもの、こっちが聞きたい…!」

しかしノイズ様からの返事は、意外なものでした。
自分が何なのか、こっちが聞きたい。
まるで汚いものを見るように、ひたすらに忌み嫌われてきた自分自身。それは一体何なのか。



誰もが持っている「楽しい」ことと「悲しい」こと。
その悲しさから生まれたのが、ノイズ。従って、人々が存在する限り、ノイズ様は生まれ続ける。
ノイズ様の正体は、悲しみそのもの。

……え?

だけど、それならば。

北条さんは即座に気がついた。少し遅れてハミィも気がついた。

「スイートプリキュア」の1年間の戦いを、根底からひっくり返す事実。

ノイズは「悲しみ」そのものだった。

そう。それならば。
それならば、分かり合える。

北条さん:
 「ノイズは、本当は悲しいんだ」
 「自分の声が醜いと思っている。それを聴きたくないから、全ての音を、世界を消し去りたいんだ」
 「あたし、あなたとは戦えない」

「スイート」さんの設定が公開され、「メイジャーVSマイナー」だと分かった時、多くの人が予想しました。
マイナーだからって悪じゃない。音楽的には同じなのだから。きっと真の敵として、第三勢力が登場するはずだ。
そして予想通りに第三勢力・ノイズが現れた。

でもノイズの正体は「悲しい」。それならば、彼は第三勢力じゃない。
ぐるっと回って、実はメイジャーVSマイナーだった。
それならば和解の道がある。理解しあえる。
思えば「ノイズ」であって、「サイレント」や「ミュート」ではない。
劇場版の敵さんも「ハウリング」だった。

悲劇的だったのは、「悲しい」から生まれたノイズ様は、自身の音楽を認められなかった。
だから「悲しい」を消すために、自分のビートを消し去るために、沈黙を求めた。
本来「悲しい」は「悲しい」であって、「悪」じゃないのに。



ハミィ:
 「ハミィはちょっと用事ができたニャ」

言うや否や、ハミィはノイズ様の吸収攻撃に飛び込み、彼の体内へ。
正体が「悲しい」ならば、「楽しい」にできる。
ノイズ自身が言ったじゃないか。どちらも音譜の並び一つで変わると。



悲しみは、乗り越えればいい。

北条さん:
 「だからあたしも戦うよ。もう一度」

ノイズ様:
 「…戦わないんじゃなかったのか?」

思わずノイズ様も突っ込んでしまう。
まぁ何だ、プリキュアさんに理路整然とした会話を求める方がおかしいんだ。
飛躍して辿りついた「よって殴ろう」の結論にノイズ様も困惑。そんなもの拒絶するしかない。



メロディさん:
 「ノイズに、届かない…!」

プリキュアさんの肉弾戦は、言葉のやり取りの象徴。
クリーンヒットは、心に言葉が届いたことを示す視覚表現です。
「戦わない」という選択肢は、目を伏せて会話を拒絶することと同じ。

だからメロディさんは拳を振るって語りかける。
しかし、空を飛ぶノイズ様には届かない。だから姿かたちが「鳥」の必要があったのか、ノイズ様。
「悲しみ」と「笑顔」の物理的な距離は、こんなにも遠い。それこそ絶望的なまでに。



くどまゆ:
 「届くミミ!」

その届かない想いを埋めるのは、音楽。
くどまゆの支援が、最後の一歩を進める。絶望的に思えた距離も飛び越えられる。
更にノイズ様の体内にいるハミィからも、手が差し伸べられる。



乱舞する「音楽」。まさしく組曲のような数多の必殺技。
手が届かなくても、音楽は届く。
スイートさんが多彩な技を持っていたことも、テーマ的に意味があったのか。

ノイズ様は言う。どんな喜びも、いずれ悲しみになる。
それならば乗り越えたところで意味がない。
何度消されても、自分という「悲しみ」は生まれ続ける。

だけどプリキュアさんは言う。乗り越えた分だけ、人は前に進める。
何度「悲しみ」が生まれようと、その度に笑顔にしていけるはずだ。
悲しみそれ自体も、共通体験です。悲しんだり喧嘩したりしたからこそ、今の自分たちがある。



ノイズ様:
 「ならば私が」「この世界の全てを」「悲しみに染めてみせる」
プリキュアさん:
 「それなら私達が」「この世界の全てを」「笑顔に変えてみせる」

気が付いているのだろうか、ノイズ様。
もはや彼は音のない世界を望んでいない。「悲しみに染める」と言っている。冒頭で言っていた「悲しみのない無音の世界」ではなく。
それは彼の持つ「音楽」です。自分のビートをかき鳴らし始めてる。



くどまゆ:
 「ありがとうプリキュア。音楽を信じてくれて」

実際のところ、現実はとても厳しくて悲しみにも満ちている。
でも悲しいときは、悲しめばいいんだ。別に悪じゃないんだから。
そして音楽を奏でよう。
フェアリートーンを演じているのが、くどまゆというのが凄まじい演出。
「プリキュア」を形作っているのは、北条さんらのようなアクターさんだけじゃない。



くどまゆ、進化。OP歌手がここに参戦。
ED・CM・アイキャッチに玩具たち。
悲しみに立ち向かうため、様々な物が集まった正に総力戦の「組曲」。



メロディさん:
 「やっと、届いた」
 「貴方の笑顔も守らなきゃ、プリキュアの名がすたる」

そして、悲しみは消える。



こうして1年に渡る「メイジャーVSマイナー」の戦いは終わりました。
いずれまたノイズ様は生まれるのでしょうけれど、その都度乗り越えられていくはず。
美しすぎる最終決戦。これにて、めでたしめでた…

メロディさん:
 「…ねぇ、ハミィは?」

…あれ?

というところで、次回最終回。


(左画像)
スイートプリキュア♪ボーカルアルバム2

(右画像)
スイートプリキュア♪ 2012年カレンダー


「敵はゴーヤーンではなかった」というのはかなりの衝撃でした。
完全に騙された。
「音を消し去る」と言いつつ、音譜を吸収したり「マイナー」を作ったり名前が「ノイズ」だったりするあたりで、気づけたはずなのに。

「悲しい」を消すために、自分自身の消滅を選択する…。
死因の上位に自殺が君臨するこの時代、ノイズ様の台詞はリアルすぎる。
そこに手を差し伸べるプリキュアさん。それらを踏まえ、改めてOPやEDを聴くと、もう胸がいっぱいになる。

 『今みんなで唄いたい その涙かわくまで』
 『負けない!心に響き合うオーケストラ』

震災を抜きにしても、今の時代に直撃する強烈なテーマ。
おそらく5年前にやっても、今ほどには胸に響かなかったはず。
まさに今だからこそ出来る凄いシリーズだった。

【今週の鳥】



片足でリズムさんを掴み、もう片方で華麗な足技。そしてリズムさんを放り投げる。
実に鳥らしい、美しい戦い方です。
美翔さんはちゃんと参考にするように。

【今週の北】



二段変身の一つ目。付加されたのは「骨」。
二段変身の二つ目では、それが「羽根」になる。
ネガトーンやノイズ様と同じ構成。
細かいところでまで「見方一つで同じものでも変わる」が徹底されておられる。

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