穴にハマったアリスたち

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(第46話/最終回)トロピカル~ジュ!プリキュア「トロピカれ!わたしたちの今!」感想

2022年01月30日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第46話/最終回)トロピカル~ジュ!プリキュア「トロピカれ!わたしたちの今!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第46話より)

記憶を消して女王になるか、夢を捨てて地上に残るか。
ローラが出した答えは「女王になる」でした。

己の本質は貫き通す。描かれてしまえば明白な選択だった。「プリキュア」シリーズとし見ても、ローラが夢を捨てる展開はなかった。

トロフェスのお芝居はこれまでの彼女たちの足跡を忠実に盛り込んでいます。ラストシーンも変更し、現実通りのお別れエンドに。
記憶が消えても芝居は残る。これを見ればローラのことを忘れてしまっても、彼女たちの物語は残る。
シャンティアのシャロン王女の歌と同じ流れです。完璧な大団円ではなくとも、できうる範囲で想いは残している。

これだけでも納得のいく綺麗な終わり方でしたが、「結果的に」乗り越えてきました。

太古の人魚さんが開発した記憶消去システムの性能は凄まじく、物理痕跡や電子媒体まで根こそぎ消えていきました。明確に描写はされていないものの、お芝居のシナリオも消えてたんじゃなかろうか。身も蓋もなさすぎる。

だけどグランオーシャンの机に書かれた落書きは、なぜか残りました。『魔女の屋敷にいけ』。
これは「グランオーシャンの物理痕跡は消去対象から漏れていた不具合」なのかは不明。個人的には「消さなければいけない事が多すぎて、システムの限界に達して消し残った」を推したい。

ローラは大勢の観客に人魚の尾びれを晒しました。彼女が今一番やりたいことが、それだったから。
お芝居のシナリオも、たくさんのシャボンピクチャや写真も、でかいメロンパンクッションや何やらも、彼女がそれをやりたかったからやった。
その結果、消さねばならない事柄が大量に溢れた。そして消しきれず、たまたま机の落書きは生き残った。きっかけがあれば記憶が蘇り、抑えきれずに装置も暴発した。

もしかしたらローラは、この飽和攻撃を狙って尾びれを公開したのかもしれない。痕跡を残しまくれば、記憶復活の可能性も上がりそうです。
ただトロプリの「計画して動くのではなく、今一番やりたいことをやる。その結果として目的が実現する」の精神を思うと、打算ではなく結果論だと思いたい。
落書きそのものは計画的でも、これが残ったのは「今一番やりたいこと」の結果論。

トロピカる部設立の12話で出てきた、卒業生とペンギン像にも通じます。
卒業すれば色々と失われたり疎遠にもなる。でもペンギン像を介してまた思い出して集まれる。

一歩間違えれば、あとまわしの魔女様と同じ展開になりかねなかったのも胸にきます。
残念ながら落書きも消えてしまい、数百年後にたまたま魔女の屋敷にいったときに、たまたま記憶を聞かされるような展開もありえました。
もしそうなったら手遅れを嘆き、それこそ思い出さなければ良かったと苦しむかもしれない。魔女様のように。(そしてサマーさんがオアシスさんの如く亡霊と化し、最終的に踊り狂ったりするんだ)

あるいは「魔女の屋敷にいく」を後回しにしても起こりえます。女王候補として忙しいんだから、この選択も大いにありえた。魔女の屋敷に行く合理的な理由はない。
屋敷までは行ったとしても、元幹部らの説明を信じないこともありえる。信じたとしても重要視せず、「へぇそうなんだ」で流して地上に行くのは後回しにするのもありえる。
重要視しすぎて女王様に相談し、再び別室送りもありえます。
この策は、記憶を失ったローラがそれでもなお「今一番やりたいこと」をブレずにやり抜き、地上に直行することを前提にしています。策というか、未来の自分にジャッジを委ねたとも。

元あとまわし勢が、それほど詳しくは情報を伝えなかったのもさりげなく良いですね。似顔絵の一つも描いて渡しそうなところ、そんなことはしていません。
彼らの「やる気がない」性格にも合致します。いきなり善人化して全面協力してくれたのではない。
そしてそこから推察するに「地上に行け」と強く勧めたのでもないんでしょう。地上に確認に行ったのは、おそらくはローラの自発的な意思。何となくここは大事な気がする。

「魔女の屋敷に大事なものを取りに行く」のは、アンデルセンの「人魚姫」オマージュとしても面白いです。
あの人魚姫がやるべきは、王子を殺すか泡になるかの二択ではなく、声を返してもらい尾びれに戻ることだったのかもしれない。原作ではクーリングオフ禁止だったかもしれませんが、まぁそれはともかくとして。

「今一番やりたいことを目的も計画も定めずにやる」という通常とは因果が逆転した動きをするシリーズなのに、結果的に「最終回の一大イベントを、数話かけてじっくり準備する」構成の妙。一つ一つは行き当たりばったりなのに収束した。たぶん決着が最初にあって、そこからお話が作られたのかしら。

16年以降のシリーズに色濃い「何かを切り捨てても先に進む」の精神も一貫してて爽快です。
ローラはうじうじと悩まないし、女王様も「本当は記憶は消えない。試しただけ」とかではない。
先ほど少し触れましたが、構造は「卒業して離れ離れ」と同じですから、ずっとそこに居続けるのはおかしいのでしょう。
ローラ以外の面々も、やっぱりそれぞれどこかに旅立っていく。飛鳥先輩はもとより、みのりん先輩とかも(明言はされていませんが)文芸部に比重を移したりしたんじゃなかろうか。

ただそうすると夏海さんが最後まで謎存在ですね。「夏海さんの元に一時的に集まり、トロピカる精神を培ってそれぞれの道に戻る」の構造だと思うのですけど、では夏海さん自身は何なんだろう?
あの夢原さんですら「教師になる」と夢を持ったのに、夏海さんは具体的な何かはありません。

今回、久々の「未来を描かない」エンドだったこともあり、彼女がどうなったのか不明。
サマーさんはマルチカラープリキュアですし、意図的に具体性を排したのかもしれない。もはや人間ではなく概念存在か何かな気がしてきた。

今作は久々に全話感想を書くほど熱く観ていました。人魚さんは素晴らしい。そして人魚をきっちり活かして魅せてきたのが本当に素晴らしい。
以前にも書きましたが(第17話 初変身回)、「プリキュア」としてだけでなく「マーメイドもの」としても評価されて良いと思う。人魚の研究本にディズニーの「リトル・マーメイド」が引用されるように、現代の人魚考として「トロピカル~ジュ!プリキュア」が扱われる日も来ないかしら。
以前のまほプリ(魔法学校もの)やハグプリ(時間SFもの)もそうですが、プリキュアの枠を気持ちよく超えた感。

とても素晴らしい1年でした。ありがとうございます。
次のデパプリさんも楽しみです。

【蛇足】
些細な疑問なのですが、バトラーのやる気は何故ああいう消え方をしたんだろう?
てっきり最終回のエクストラバトルに絡むのかと思いきや、特にはなし。

「みんなのやる気が戻ったらバトラーも復活するのでは?」を解消するために消し去ったんだろうとは思いますが、女王様が「預かる」と一旦発言したのが謎です。
この1カットは展開上は不要で、サマーが「これどうしよう」といった後に消える…で問題なかったはず。それ以前に、戻っていく他の方々のやる気の中で、バトラーのだけ静かに消滅…でも良いです。
わざわざ尺を割きテンポも落としてまで何故「サマーが悩む→女王様が預かる発言→消える」の手順を踏んだんだろう?

「尺を切り詰める必要がなかった」+「バトラーのやる気が消えることを強調したかった」のかなと思いますが、こじつければテーマ的なものが見えるかもしれない。

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(第45話)トロピカル~ジュ!プリキュア「やる気大決戦!輝け!トロピカルパラダイス!」感想

2022年01月23日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第45話)トロピカル~ジュ!プリキュア「やる気大決戦!輝け!トロピカルパラダイス!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第45話より)

最終決戦を制し、めでたくグランオーシャンは復活なされました。
幾つか気になった点を特筆したい。

(1) みのりん先輩の光る眼

これまで抜群の有用性を見せていた怪光線が、海溝の底でも役立ちました。光る。明るい。周りが見える。
「こんな使い方もあったんだな…」とは正にその通りで、悪質な目つぶし以外にこんな使い方もありました。

トロプリさんは「目的や計画を明確にして進める」ことを否定し、「今一番やりたいことをやる」を重視しています。
「今一番やりたいこと」をやり続けたら、結果として目的を達成した(後からそれが目的だったと分かった)の精神。

ローラに足が生えたのは、足を生やしたかったからではなくプリキュアになったから。
プリキュアになったのも、プリキュアになりたかったからではなく、仲間を助けようとしたら結果としてプリキュアになった。

「プリキュアになってみんなを助けたい!」でも「足があれば救えるのに!」でもない。結果としてプリキュアになり、結果として足が生えただけ。
今回のみのりん先輩の光線と同じく、「あ、プリキュア(足が生える)って散歩とかにも使えるんだ」のノリです。

考えてみれば、足が生えるのもプリキュア能力の内であれば、ローラは日常生活にプリキュア能力を転用しまくってたのか。
これまでのシリーズでいえば、マリンのお掃除やピーチらのプリクラ等ぐらいなわけで、かなり特徴的です。

みのりん先輩の光線も、元は攻撃技でもこんな使い方もあった。「今一番やりたいこと」をやっていたら、結果として他の何かの役にも立った。
絵面はなかなかシュールですが、トロプリの精神を端的に表したシーンだと思います。

(2) 女王かトロフェスか

ごたごたも片付いていよいよ明日は卒業イベント。そしてそのタイミングでグランオーシャンの復興イベントも予定され、ローラはどちらに出るかの選択を迫られる。
人間としてやっていきたいならそれも良し。戻るのであれば女王の座が現実的に。

女王様としては最大限の譲歩であり、功を労っているのでしょう。
本来なら問答無用に連れ帰り記憶消去の刑のところを、地上に残る選択を提示している。その上で、ローラが覚悟を決めて戻るのであれば、その意を汲んで女王の資格ありとして擁立する。「一日ずらせばよい」といったことではなく、ローラを労いつつ覚悟を問う選択です。

アンデルセンの「人魚姫」の「王子を殺すか、泡になるか」の二択。他アニメの例で恐縮ですが、「ぴちぴちピッチ」でも同種の「復興イベントかお友達とのパーティか」を問う二択があります。
人魚姫とは切っても切れない「己の本質としてどちらを選ぶか」。そして「己の本質を決定するには、もう一つの大事なものを捨てねばならないのか」。

破壊の魔女様は、己の「破壊」という本質を否定して消滅した。シャンティアのシャロン王女には、大事な王国を取り戻す選択肢が実はなかった。
ではローラはどうするのか。

魔女様パターンだと、海を選ぶとプリキュア能力を、陸を選ぶと人魚の姿を本質の否定により失いそう。故に「人魚はプリキュアになれない」とも。
シャロンパターンだと、ローラはいなくなったが歌(やプリキュアとしての功績等)は残ったの流れでしょうか。

かなり重要な問題が最終回まで残っており、次回はのんびり後日談ともいかなさそう。
バトラーの消えたやる気絡みで変身→ついでにデパプリお披露目かなと思うのですが、その過程で何か提示されるのかも。

バトラーの願い「破壊」をどう処理するかも、魔女様のバッドエンドのもう一つの未来になりそう。
ローラの事例に転用できるかはともかく、破壊が本質だとしても解体現場とか廃棄場で頑張るとか、道はあったかもしれないんですよね…。それで魔女様の本能が満足するかは分かりませんが。

なおエルダたちも「改心した」「反省した」のではなく、「手段に誤解があったので取りやめた」だけです。お互いの価値観に踏み込まないまま解決に至ったのは今までに例がないかも。
今回の共闘も、思いが通じ合ったとかではない。故に「復興に協力して罪をつぐなう」的な発想には(次回描かれるかもしれませんが、今の段階では)なっていません。

みのりん先輩が台本を「そしてみんなで仲良く暮らしました」エンドにしたのも布石っぽい?
悩んでいた割にあっさりすぎるので、何かがありそう。

(3) 愚者の棺

真の黒幕的なものが封印されているのではなく、破壊装置だったようです。

「愚者」の棺に「やる気」を貯めると破壊が起きるのは、いわゆる「無能の働きものが一番困る」的なやつでしょうか。言い換えると「愚者が今一番やりたいことをやると悲惨な結果になる」とも。
それとも「やる気」を「棺」に入れるのは「愚者」のすることだ、やる気を葬ってしまうと悲惨な結果=破壊が起きる、の意味でしょうか。

ニュアンスがだいぶ違いますが、どちらなのか(もしくは他の何かなのか)。次回に最後のひと騒動があれば、何か分かるかもしれない。

(4) 伝説のプリキュア様

オアシスさんは愉快な人でした。やっぱり一人で「おめかしアップ♪」とかやったり、今回の羽根つき衣装も多分上位フォームなんだと思う。
コミカルなゾウやシャークの元の召喚主ですし、魔女様を恐れず交流してましたし、一人で戦い抜くタフなメンタルの娘さんですから、あれが本来の性格なんだろうな。今までが「伝説のプリキュア」とか呼ばれておすまししていただけで。数百年後にはサマーさんも良い子な顔して現れて、最終決戦で唖然とさせたりするんでしょう。

話がそれますけど、プリキュアシリーズが200年300年と続けば、「実はサマーはこんな子」ギミックはリアルに使えますね。
現実にアンデルセンの「人魚姫」は200年前に作られた物語ですし、なくはないのか。視聴できないのが残念です。

今回の決戦でオアシスさんが現れたということは、魔女様もどこかに残っていたりするのかしら。
もし次回現れたりしたら上記(2)に直結するし、その現れた原因が「そんな使い方もあったんだ」的な復活なら(1)にもつながります。

最終決戦が終わっているのに、まだ未解決のテーマが残っているのは熱いです。目的のために手段を集めるのではなく、集まった手段が結果的に解決になるトロプリさんの最後のお話に期待が高まります。

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(第44話)トロピカル~ジュ!プリキュア「魔女の一番大事なこと」感想

2022年01月17日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第44話)トロピカル~ジュ!プリキュア「魔女の一番大事なこと」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第44話より)

壮大なるあとまわしの末に、とうとう全容が見えてきました。
あとまわしの魔女様は破壊が本能。だけど傷つき倒れたところで出会った娘さんとの交流が心残りで、破壊をあとまわしにし続けた。故にあとまわしの魔女。

物語として切なくて納得はいくのですが、構成が少しややこしい。

まず、魔女様は「破壊や決着」をあとまわしにした。これは現実を考えても「正しい」選択に思えます。解決不能な問題を棚上げにし、自然解消を目指すのはままある。
ですが、

(1) 夏海さんは「あとまわしにしたのは(破壊ではなく)仲良しになることだ」と明言している
(2) 結果的にキュアオアシスに完勝してしまった

この二つを思うと「魔女様の切ない物語」で済ませられない気がする。

厄介なことに魔女様の存在理由は「破壊」です。理由は分からんが、そういう生き物なので善悪ではない。したがって「破壊は悪いことだからやめよう」「うむ、分かった」は多様性の否定になってしまう。実際、そこには踏み込んでいない。

魔女様は自身の存在を否定しないためのギリギリの選択として、あとまわしを選んだ。しかし夏海さんは「仲良くなること」をあとまわしにしたといっている。

ではオアシスさんと握手すれば解決していたんだろうか…?
精々オアシスさんが心残りなく天寿を全うできたぐらいで、結果は「破壊のあとまわし」に落ち着くような気がします。破壊は魔女様の存在理由なので、「仲良くなったら破壊をやめる」は起きないはず。そしてその場合、オアシスさんが成仏してしまってるので今回ラストのような展開にならず、魔女様は悶々とあとまわしを続ける羽目になりそう。

ただそうすると、今回は何で消えていったんだろう。なんとなく老衰とかそんなのかとも思ったのですが、「破壊は存在理由だからやめられない」ではなく「存在理由たる破壊をやめたから消滅した」が正なのかも。

アンデルセンの「人魚姫」が王子の刺殺を断念して死を選んだように、魔女様も本質である破壊を放棄し泡となるのを選んだ。
経緯としては納得はいきますが、「悲恋」(魔女様の消滅)を回避できなかったのは良いんだろうか…?「今一番大事なこと」に「自死」を含めてしまうのは非常に危険に思えます。

古典的な「人魚姫」やディズニーの「リトル・マーメイド」は、犠牲を払わないと受け入れてもらえない世界観が問題視されています。
ローラに足が生えたエピソードでは令和らしい解決を見せてくれたと感動していたのですが(ローラ初変身時の感想)、ここにきて自己犠牲・自己否定による解決が浮上してきました。

シャンティアの事例とも似ているといえば似ていますが、あちらはシャロン王女の想いが何であれ力尽きるのは止められない。王女の「笑顔があふれる国にしたかった」も否定されてはいません。むしろ肯定されている。

プリキュアの秋映画はその年のテーマを圧縮した内容になっていると思っていて、今回も「今一番大事なこと」が凄く響いていました。(映画の感想
でも「人魚」(ローラの変身事例)とは私の中で上手くリンクできてなかった。今回の魔女様、ローラの変身、シャンティア王女の3つを比較すると何かが見えてくるのかも。
「今一番大事なこと」をやっていれば本心が分かる…の面がありそうなので、「あとまわし(今一番大事なこと)を続けた結果、真のやりたいことに気づけた」とか?

まだ「なぜ人間との記憶を消さないといけないのか」が解決していないので、もう一回転あるのかしら。
バトラーとの決着も、爆殺して終わりとは思いづらいので何かありそう。期待したい。

【蛇足】

①回想シーンで出てきた昔の戦いは、雰囲気的に18世紀~19世紀っぽいです。ちなみに「人魚姫」のアンデルセンは19世紀生まれ。
この時のことをローラは「数百年前」と表現しています。「数百」は私の感覚では4~600ぐらいを指すイメージなのですが、そうするとトロプリは23世紀とかだったりするんだろうか。「ハグプリ」の2030年という厄介な問題があるせいで、時系列は気になります。いや辞書的には普通に200~300も意味するようなので、揚げ足にもならないような話なんですけれど。

②伝説のプリキュア様はキュアオアシス、本名はアウネーテ。アンデルセン「人魚姫」の元ネタの登場人物の名前だとか。
サマーさんたちに名を尋ねられ「キュアオアシス」と名乗っていましたが、「アウネーテ」と名乗った方が、みのりん先輩あたりは色めき立ったんじゃなかろうか。

そのオアシスさんはゾウやサメを召喚して戦っていたようで、現代のサマー達とほぼ同じ武装だったらしい。オアシスさんもやっぱり「おめかしアップ♪」とかやってたんだろうか、一人で。
先代プリキュアが全く同じギミックを使うのは何気に新鮮です。パリのキュアアンジェがオーケストラさんを呼び出したり、ミラージュ様がかわルンルンしたり…は設定的に無理そうだものな。

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(第43話)トロピカル~ジュ!プリキュア「潜り込め!深海の魔女やしき!」感想

2022年01月09日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第43話)トロピカル~ジュ!プリキュア「潜り込め!深海の魔女やしき!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第43話より)

年末ラストにクジラに飲み込まれた夏海さん、あとまわし勢には捕まえた意識はなく、ただの事故だったようです。
「年末年始を胃の中で過ごすとは不憫な」と思ってましたが、年末年始を胃に変なモノを入れたままだったクジラの方が気の毒だった。

結果的に敵地侵入を果たした夏海さんを追いかけて、他の面々も魔女様の屋敷へ。場所は判明しています。先日ローラが連れていかれたので。じゃあ何か、ローラは本拠を知っていながら今まで放置していたのか。
ローラの目的はグランオーシャンの復興で、グランオーシャンのやる気パワーは多分あとまわしの本拠にありますから、所在が分かった時点で急襲して然るべきなはず。何で今の今まであとまわしにしてきたんだろう…。

あとまわしといえば、これまで思わせぶりなことばかり言ってきていた伝説のプリキュア様。女王様には真相を話していたようで、それがようやくローラに伝わりました。私たちは一体何と戦っているのか。根本に関わる謎がようやく解けそうですが、視聴者の我々にはまだおあずけ。この「あとまわし」っぷりも、メタ的な演出なのかしら…。

とりあえず伝説様が助けたのは、若かりし頃の魔女様だったようです。女王様の件とは時代が違うんだろうか。やっぱり当時の敵はまだ登場せぬ第三者で、伝説様を助けた人魚が魔女様?

魔女様は人間との記憶を消されたので忘れていると思われますが、では何をあとまわしにしているのか。多分、伝説様との約束とか何とかに関わることなんでしょうけど、現状ではどうとも予想のしようがないです。生物所以の不可避の破綻を先送りにしたいとか、そんなの?ジョージと仲良くなれそう。

トロプリさんは「計画性」を否定するテーマ性を反映してか、ここまで来てまだ情報がほとんど出てこない。あと数週でちゃんと着地するんだろうか。

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(第42話)トロピカル~ジュ!プリキュア「襲撃!最強のヤラネーダ!」感想

2021年12月27日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第42話)トロピカル~ジュ!プリキュア「襲撃!最強のヤラネーダ!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第42話より)

トロフェス目前、一同は準備に明け暮れ、そこかしこで「一区切り」の雰囲気が流れる中。
あとまわしの方々がデカいクジラを引き連れて襲ってきた。さすがは海洋哺乳類。そして夏海さんが丸のみにされ、胃袋の中で年越し。
今年も大変な1年だった。また来年も頑張ろう。

例年と比べ、トロプリは敵側の活動がこちら側に関わってきません。
何かの争奪戦をしているのでもなく、直接的に地上を征服されそうになっているのでもない。
定番の「夢なんてくだらない」的なやり取りも少ないです。あすか先輩たちの個人回は、敵とほぼ何の関係もなく始まって、何の関係もなく終わった。

一応はグランオーシャン防衛が任務ではあるものの、ストーリーには影響していません。もっと頻繁に王国に帰り、海洋探検をしたりしても良さそうなのに。
「目的も計画も明確ではない」トロピカる精神の現れなのだと思いますが、その結果、敵の目的がいまだにはっきりせず。

今回のバトラーの説明を信じるなら(全く信用なりませんが)、あとまわしの魔女様は回想にでてきた謎の敵ご本人の模様。回想に出てきた人魚=あとまわしの魔女様で、愚者の棺の中にいるのが当時の敵かとも思っていたのですが、ストレートに当人だったようです。では彼女は何を忘れてもがいているのだろう?

「あとまわし」という特徴的な名前と、「世界を破壊する」も結びつきません。かつてのクライアスのように時間停止を目指しているなら理解もできますが。
極言するなら魔女様が不老不死になったとしても、ずっと寝てるだけなら害はないです。やる気パワーを奪うという手段さえ見直してくれれば、別に構わないような…。

一方こちらのローラも、何か決心なさってる様子。記憶を消す掟が絶対だというなら、何をなさるのか。
アンデルセンの「人魚姫」でいえば、王子を殺して(記憶を消して)海に帰るか、記憶とともに地上に残って泡となる(女王の夢を捨てる)か。
ローラはそんな殊勝な選択ではなく、「ならば王国を滅ぼして新しい国を作る」ぐらいにタフで居て欲しいです。

「足が生える」エピソードでは、これまでの「人魚姫」の課題(他者に認められるためには自己を捨てねばならないのか、これまでの価値観を捨てるのが幸せなのか)を綺麗にクリアしてきました。
ラストの選択も上手い解決に期待しています。

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(第41話)トロピカル~ジュ!プリキュア「会議だよ!トロピカる部、集合~!」感想

2021年12月22日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第41話)トロピカル~ジュ!プリキュア「会議だよ!トロピカる部、集合~!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第41話より)

作戦会議という名の総集編。鮮やかな導入です。

卒業イベントの演劇台本を書くために、一同はプリキュアとの出会いを振り返ります。
こうして見ると、あすか先輩との出会いは異質です。人魚が直接には関与せず、回想シーンは抱えていた悩みともリンクしていない。強いて言うなら、番長的キャラであることを示唆した登場なのに、実際には全く関係なかったことか。テニス部の「たまたま暴力的ともいえる手段で解決を図ったが、別に乱暴者ではない」に繋がります。

そしてやっぱり再確認。ローラは尾びれが生えていた方がいい。
みのりん先輩や涼村さんや夏海さんとの出会いは、人魚だからこそ説得力があります。性質が違うので優劣の話ではありませんが、仮に妖精や魔法使いだったら、話の筋がかなり変わってくる。太古から存在が意識された、「現実的な」非実在存在の人魚だからこその面白さ。
なのでローラはもう二本足を捨てて欲しい。海に還るんだ、アシカやアザラシの如く。

トロプリは、ある種の泡沫の夢のような「一時的な滞在」の意味合いが強いように思えます。
自分の立ち位置に迷った面々が、たまたまやってきて、それが何の役に立つのかは分からないままトロピカルな日々を過ごし、そして旅立っていく。
「人魚」をテーマにすると「母なる海に還れ」もしばしば登場しますが、その意味でいえば「海から上がった生物が陸地で一夜の夢を見て、再び海に還る」かの如く、メイクや文芸やテニスから一旦離れてトロピカった後、本来の自分たちの場に戻っていく感じ。
なのでローラも早く二本足を捨てて海に還ろう。海の底は楽しいよ、陸地なんかとはおさらばしよう。

ちょうど今、私自身が育休を取っていることもあって「一時的に離れる」は実感として何か分かります。今後の人生の何の役に立つのかといえば具体的な説明は困難だけど、確かに何かの自分の基礎になるような感覚。そんな一時的な離脱。

社会的にも一時休止というか足踏みしているような転換期で、トロプリさんはそこにとてもマッチしてるように思えます。
まぁ今の社会情勢は「トロピカってる」状況とはなかなか言えませんが、起きてしまっている以上は少しでも未来に活かしたい。

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(第40話)トロピカル~ジュ!プリキュア「紡げ!みのりの新たな物語!」感想

2021年12月14日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第40話)トロピカル~ジュ!プリキュア「紡げ!みのりの新たな物語!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第40話より)

思い付きで企画された卒業生イベントは、参加サークルがやたらに増え一大イベントになったようです。
出し物は演劇をやることに。これも思い付きです。フットワークがやたらに軽い。

演劇→主演はローラ(既定事項)→「人魚姫」は却下、という流れるような運びで、演目はみのりん先輩の「マーメイド物語」が候補になりました。
が、先輩は断固拒否。ご本人からすれば黒歴史の公開処刑も同然です。

じゃあ書き直そうよ、今の体験を織り込んで。
正論ですが、「伝説のパパイアを探す話に、何をどう体験談を盛り込めと」と先輩はフリーズ。
この辺リアルだと思う。日々の生活にせよ特殊な体験にせよ、それらが別の何かに活きるのは直感的にも経験的にも分かりますが、具体的に「さあ活かせ」と言われたら困ってしまう。

じゃあパパイアを探しに行こうよ、みんなで。
これまた正論です。伝説のパパイア探しの話に体験談をどう織り込めばいいか分からない。なるほど、それはパパイアを探したことがないからだ。探しに行こう。
回りまわって当たり前のことを言ってるような気もしますが、意外に盲点かもしれない。

幸いにもパパイアは近隣で栽培されていました。各種知識と突き合わせ、そうかこれがパパイアかと一行は納得。では食べてみよう。意外にもみのりん先輩は食べたことがないとのこと。

先輩の名誉のために触れておきたいのですが、彼女は頭でっかちの机上の空論家ではありません。これまでも彼女の知識は大いに役立ってきました。
今まで「本に●●と書いてあった」⇒「実物と違う!役に立たない!」みたいなのは(マーメイドとか妖精のような超越存在は別として)あまり記憶にない。
その先輩がまさかのうっかりで、食べたことがなかった。

思うに「書を捨てて街へ」といったことではなく、「一人では凡ミスがある」の観点でしょうか。
「マーメイド物語」も指摘されてみれば欠点は明らかだった。どうして気づかなかったのかと不思議なぐらい。パパイア未食事件も同様で、言われてみれば食べないのは変だった。

夏海さんはずっと「マーメイド物語は面白い」と認識しているのも大事な気がする。
みのりん先輩や文芸部の方にとっては陳腐な小説でも、読み手が楽しめるならそれは良いお話とも思えます。まぁ賞は取れないでしょうけれど、それが本分でもあるまい。

くるるん初登場時にコミュニケーションの壁を乗り越えたのも、みのりん先輩の知識と想像力のおかげでした。
知識や思索は否定されてはいない。ただ外部の助けが入った方が、それをより良く活かせるはず。

故にキュアパパイア。同胞の花言葉。

みのりん先輩がどういう境地に至ったのかは彼女の書く演劇に現れるでしょうから、ある意味まとめ回は次回以降とも。
トロピカる部をモチーフにするなら、仮想トロプリとも言えそうです。楽しみ。

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(第39話)トロピカル~ジュ!プリキュア「みつけて!さんごのきらめく舞台!」感想

2021年12月08日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第39話)トロピカル~ジュ!プリキュア「みつけて!さんごのきらめく舞台!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第39話より)

絶大な人気を誇りながらも、ここに至るまで今一つ明確な立ち位置が見えなかった涼村さんのまとめ回。
余談ですが先日イベントに参加してみたところ、来ていたお子様の装いがコーラルコーラルコーラルコーラルラメールコーラルぐらいの比率で、訳の分からない無双ぶりでした。この子の何がそこまで幼児様を惹きつけるのか…。

「明確な立ち位置が見えない」ことはご本人様も気にしていたようで、ふと見つけたモデルオーディションに申し込まれました。ついでに当然のごとくローラも申し込んでいて、合理的に失格なされていた。シナリオの手際の良さが素晴らしいです。

結果的にトロピカる部代表かのようになった涼村さんは、破竹の勢いでオーディションを勝ち残る。面接に至っては、しどろもどろな受け答えだったにも関わず、持ち前の顔面力だかコネだかで突破。最終審査も出席さえすれば合格してたんじゃなかろうか。

ですが涼村さんは最終審査を辞退。
面接の前に成り行きでした他の方のメイクが楽しかった。戦闘では「防御担当のコーラルがいるから戦える」と皆が信頼してくれていた。
立ち位置が見えていなかったのは自分だけで、しっかりと周囲の支えになっていたのです。まぁ確かに、日常パートでも涼村さんがいるかどうかで安心感が違うもの。
裏方として皆を支えることで、自分を見せていく。自分のカワイイを言えなかった涼村さんが、そのカワイイを人に伝えて託せるようになった。

ちょっと歴代の防御担当の方々を振り返ってみる。

まず古のミントさんとは若干違う方向性です。
劇中では明確には語られていませんが、こまち先輩はおそらくは姉にコンプレックスを持ってる。自由奔放な姉のせいで、自分は控えめになるのを強制され、割りを食っているように感じてるっぽい(こまちちゃん人形の悪夢や、ダークミントとの会話から推察するに)。
彼女のバリアは「閉じこもっている」負のイメージで、だからメイン回ではそれを吹き飛ばすような使い方をし、GoGoでは形態も変わったんじゃないかな。

戦闘の立ち位置が似ているサンシャインさんは、最初から補佐担当に自負を持っていたように思う。
彼女の決め台詞「私の光で照らして見せる」は太陽のイメージ的に派手ですけど、主役は照らされている側ですから涼村さんのメイクと同系です。「誰に言われたわけでもないのにカワイイと思う気持ちを抑えていた」のも、涼村さんと酷似。
いつきさんがかなり早期に自分の立ち位置を認識していたのに対し、涼村さんは終盤までかかったのは「問題を認識したらそこにフォーカスを当てて行動する」ハトプリと、「行動を通じて解決したかった問題にフォーカスが当たる」トロプリのテーマの違いかなと思います。もちろん優劣ではなく。

ロゼッタは徹底して裏方を務めていた。「幸せの王子」のツバメの覚悟。
「守られる女王様」ポジションのルミナスが、防御とサポート特化なのもイメージは繋がります。

今にして思えばアンジュの「女優」は、「防御担当」のスタイルと性質が異なります。女優ではなく医師(人を支える側)の道を選んだのは、今回のコーラルと同様の帰着とも。
ハニーの調理は、「カワイイを伝える裏方」のメイクに対し「オイシイを伝える裏方」の調理と言えそう。大森さんは自分一人でも幸せごはんしてるので、若干イメージが違いますが。

こうして見ると防御・サポート担当は、戦闘スタイルに本体の背景を反映しやすいのかも。

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(第38話)トロピカル~ジュ!プリキュア「決めろ!あすかの友情スマッシュ!」感想

2021年11月28日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第38話)トロピカル~ジュ!プリキュア「決めろ!あすかの友情スマッシュ!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第38話より)

あすか先輩の個人回。流れるような「今一番大事なこと」の結果、憧れのフェニックス学園で元生徒会長とテニスの試合をすることに。本当に見事なまでの行き当たりばったりです。計画的な行動も、やりたいことをただやるだけも、どちらも否定しているトロプリさんらしい。

元生徒会長が言うように、あすか先輩が一発逆転をするには練習試合で良いところを見せて推薦枠を交代、元生徒会長が学力で合格するのが近道です。
監督の視点でも(実力が本物であれば)入れ替え案は悪くなかったはず。二人一緒の方が実力を高めあいそうですし。経営層を説得できるのかはともかくとして。

だけど先輩はその可能性を放棄。リアルにいえば仲間の敗戦は死に直結しますから、優先順位的にはそうなってしかるべきとも言えますが、物語的にはクレバーではない。でも先輩は「今一番大事なこと」として共に戦う方を選んだ。
暴力事件の時の展開とも多少被るかもしれない。先を見据えて引くよりも、一緒に戦いたかった。

試合の最中のお互いの叫びも、別にこうしようと思って備えてきたものではない。その時その時にやってきたことが、たまたま今、表に出た。
「プリキュアとして戦い救った」「正体に気づいた」ことすらも、それ自体はさして重要なポイントでもなし。別にプリキュアやるためにテニスやめたのでもないので、当然といえば当然です。ただ「テニスをやめていた間、サボってグレてたのではない」は伝わったはず。

厄介なことに、元生徒会長も「今一番大事なこと」をやってはいたんですよね…。
その「一番大事なこと」が違っていた。それがここまでこじれたのは、両者が対話しなかったから。
とはいえ「対話して解決」は「計画的に動く」に通じるものがあるので、トロプリ的には反しているような。

(尤もトロプリ的には生徒会長の判断は「今一番大事なこと」ではないのかもしれない。劇中では「トロピカること」=「今一番大事」とも言えるようで、「辞退」はトロピカってはいないだろう)

実際、ふたりは何度か対話らしきものをしてきたのかもしれない。そして分かり合えずに決裂した。
「言わなきゃ分からない。言えば行動につながる」のハトプリに対し、「言うより行動。真意はその後についてくる」のトロプリとも言えるのかも。

口ではどう言ったところで、あすかさんの「暴力」は全面的には信頼できない。その思いがある以上は、両者の溝は埋まらない。プリキュアとしての戦闘は、その面での説得力はあります。命を賭して前線に出てるんだから、「考えなしに暴力を振るっただけ」はさすがに棄却できそう。まぁプリキュアさんが考えあって殴りかかってるかは疑問ではありますが。

多少不可解なのは、あすか先輩側の変化です。
「トロピカる部の活動を通じて、仲間も悪くないなと思った」と語っていますが、「良い仲間」というだけでは「テニス部と決裂してやさぐれたこと」の解消にはなっても、「テニス部を信頼するか」とは別です。テニス部時代はハブられていたとか、仲間なんていらないと思っていたわけではない。
回想カットから察するに「本来の彼女だったらしないようなこと」や「自分の判断基準とは違うこと」を経験することで、許容できる幅が広がったとかでしょうか。天文コスプレも無駄ではなかったのです。

思い返せば、ローラとも当初ぶつかっていました。先輩の価値基準からすれば、ローラは理解の外だったはず。それでもローラにとっての「今一番大事なこと」を通じて、彼女を受け入れるに至った。
理解できなかった生徒会長の行動も、諸手を挙げて納得はできなくとも、悪意はなかったとは赦せたのかも。

あすか先輩と生徒会長のこの件、別のプリキュアだったらどう解決するのか考えてみたら面白いかもしれない。
トロプリの「今一番大事なこと」で解決するには何気にかなり難しい問題だったと思うんですが、絶妙の着地をした気がします。

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(第37話)トロピカル~ジュ!プリキュア「人魚の記憶!海のリングを取り戻せ!」感想

2021年11月21日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第37話)トロピカル~ジュ!プリキュア「人魚の記憶!海のリングを取り戻せ!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第37話より)

「記憶を吸い出す装置」なる物騒な小道具は、案の定物騒な代物でした。ヒトと関係を持った人魚さんの記憶を抹消するのに使っていたようです。動機は不明。ヒト側の記憶は放置なあたりも謎。
人魚側の方が文明が進んでいたようなので、過干渉を避けるとかそういったことでしょうか。一応、実際の人魚伝説も「人魚が海から知恵をもたらす」ものが多いです。

本件がどう今後の展開に関わるのかも読めません。
幼魚ローラとのエピソードから、夏海さんは「今一番大事なことやる」を学びました。が、この時の「大事なこと」は「名前を聞く」。
結果論でいえば仮に名前を聞いていたとしても、ローラを見つけ出すことはできなかったでしょうから、若干ずれた話をしています。このきっかけのためだけに消す設定にしたとは思えません。

「ヒルガオを見に行くのを明日ではなく今日にすればよかった」とも言えますが、劇中ではその観点では語られず。また、今日も怠けていたのではなく全力で遊んでいますから解決策としては苦しい。

映画でも「記憶に残る」は重視されています。
ただスノードロップや歌に託す形の決着でしたから、「ローラの記憶は残る」「ローラの記憶は消える」のどちらの展開でも整合性は取れそう。

そもそも記憶を消す理由が分からないのが困ります。
ローラを地上に派遣したまま呼び戻さないのは、次期女王として経験を積ませるためか…と思っていたのに、まさか消すとは。

「記憶を消す」のであれば、夢に出てくる「伝説のプリキュア」「謎の敵」「謎の人魚」は、「謎の敵」=「魔女様」ではなく、「謎の人魚」=「魔女様」でしょうか。愚者の棺にいるのが「謎の敵」とかで。「愚者」が「やる気」を持つと災難が起きるって、現実がなんともせつない…。

「プリキュアの記憶を消す」=「子供時代の気持ちを失う」とも言えますから、あとまわしの魔女は「子供の頃を忘れた大人のなれの果て」とも。
ハグプリ以降の新世代スタプリ・ヒープリは「前に進む」ことを重視していました。揺り戻しなのか別側面からの補強なのか、それとも他の何かなのか分かりませんが、今後のプリキュアシリーズの行方的にも気になります。

「色々と謎や問題はあるが、それはともかく目の前の今一番大事なことをやろう」が信条なせいか、残り10話ちょっとになった今でも全容が見えません。
今の世情にも、(プリキュアシリーズが意識していると思われる)初代を見ていた子供の今の年齢的にも、「先は見えないが今一番大事なことを全力で」は適切だと思うのですが、見ている分には何とも不穏で危なっかしいな…。

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