ミラクルリープの現象面を掘り下げてみる。
【リープする世界】
ハグプリ世界の「時間」の仕組みとして、考えられるのは概ね下記の3種です。
(1)未来は改変可能。改変するとパラレルワールドに分岐する(平行世界)
(2)未来は改変可能。ただし世界はひとつ。元の未来の消滅や、タイムパラドクスが起きる(歴史改変世界)
(3)未来は改変できない。(未来不変世界)
ミラクルリープで表出した事象は、直接にはこの3つのいずれも、決定的には肯定も否定もしません。
未知の現象なので分析はナンセンスとも思いますが、タイムトラベルやタイムリープでもないため、「未来を変える・変えない」には関与していないです。
イメージ:
「タイムトラベルやタイムリープ」
過去から未来に伸びる一本の時間の線があり、その一点から別の点に移動する。
肉体ごと移動するのがタイムトラベル、精神だけの移動がタイムリープ。
「ミラクルリープ」
過去から未来に伸びる一本の時間の線があり、その線がぐるぐると1ヶ所で曲がり続けている。リープが終わったあとは、未来に向かって伸びていく。
※現代物理によれば「過去から未来に伸びる線」のようなものはなく、「過去と未来は同時に存在する」そうなので、上記はあくまでイメージとして。
あえていえば(1)平行世界は厳しくなります。
元々平行世界説は、ミラクルリープのように何度も同じ時間に戻るシチュエーションが苦手です。戻る度に「戻ってきた場合」と「戻らなかった場合」に分岐します(しなくても矛盾とまではいかないが説明が苦しくなる)から、「同じ時間を繰り返す」とやらが随分と曖昧になってしまう。
決定的な否定にはならないものの、現象としては「リフレイン(やミラクルン)が自分だけリープ」しても同じ状況が生まれますから、「実のところ、花寺さんさんらは同じ毎日を繰り返してはいない。平行世界の別人である」のような、「何だかな」な方向にも行きかねません。
【ララの落下法則】
(2)歴史改変や(3)未来不変は、どちらが正しいとも(ミラクルリープの現象からは)いえない。
先に書いたイメージでいえば、リープの後は時間の矢印が未来に向かって進んでいきます。
歴史改変なら以前とは違う方向にいく。未来不変なら同じ方向にいく(ぐるぐるとリープしていたことが元から正史)。
どちらの世界設定が正なのかは、リープの描写からは分かりません。
花寺さんの経験した3回のループは、毎回基本は似ているけれど、変化しています。この変化は、前回のループの知識を花寺さんが持っていたから。また、リフレインやミラクルンの動きにより、大小はともかく、何らかの影響はあるでしょう。
「同じ1日」は繰り返しておらず、その意味では「歴史改変」にも思える。ただし、上述のとおり「99種類の異なる土曜日を繰り返した後に未来に進む」ことが「正史」であり、何も未来は変わっていないとも言える。
一方、些細なプロセスは違っても、結局は同じといえば同じになっています。
ワープしたララは繰り返し星奈さんの上に落下していた。野乃さんは毎回顔面から転倒していた。
何度繰り返そうとそれが起きるなら、「歴史の復元力」的なものがあり未来は変わらないともいえる。
もちろん、単に起きやすいことが起きただけで、リープを1万回やれば9997回はララが星奈さんの上に落下するが3回は外れる、なども観測できるのかもしれない。復元力だのではなく、ただの確率の問題なのかも。
よって歴史改変か未来不変かは、ミラクルリープの現象からは分からない。
【つまりシャウトすればいいのです!】
(ヒーリングっど♥プリキュア」29話OPより)
そもそもどちらなのかを特定する意味はないのかもしれません。
劇中人物にとっては、いずれにせよ全てに確信を抱くのは不可能ですから、本人の主観で納得がいくなら、それで十分といえます。
では、えみるはこのミラクルリープ現象から、何を読み取るんだろう?
生憎と彼女にとっては、今回の事件は「何だか分からん女に呼び止められ、行った先で謎の敵に掌底を見舞い、でかい奴に一撃喰らってぶっ倒れ、ライトを振った」だけのことです。我々にとっては大事件でも、えみるにとっては日常ですね。ろくでもない生活だ。
したがって、えみるが事件の概要を知るのは、小学校跡での花見の時でしょう。
これまた私らの感覚では大勝利を肴に一日中でも宴をしそうですが、プリキュアさんらは大して話題にすらせず、何か趣味のこととかで盛り上がってそうだ。あの子らおかしい。
ただそうは言っても、彼女たち自身のエピソードは話しそうです。たとえば、花見の最中にララが星奈さんと衝突、それを見て「そうそうリープした時も、ひかるちゃんの上にずっと落ちてたんだよ」とか。
この時は聞き流したとしても、2030年、トラウム研究室に行くかどうかの岐路にたったとき、えみるは思いだし、考え悩むかもしれない。
以前の記事で書いてきたように、劇中人物たる愛崎えみるの認識では、ハグプリ世界は歴史改変か未来不変かのどちらかに絞られる(平行世界は、ルールーの言葉「未来で待つ」と矛盾するので棄却される)。
もしも歴史の改変が可能なら、トラウム研究室に行くタイミングにより未来が変わってしまい、ルールーと再会できなくなる恐れがある。だから「いつトラウム研究室に行くか」はとてもとても厄介だ。
悩むえみるにとって、ミラクルリープの体験はもしかしたら救いになるかもしれない。
はな先輩は、毎回毎回、顔面から倒れこんでいた。仮にこの世界が歴史改変可能な世界だったとしても、「いかにも起きそうなことは、繰り返してもやはり起きる」。言い替えると「自由に振る舞ったなら、その結果は、おそらくは元々の歴史と同じだ」とも言える。
細部は変わっても、大筋は同じ。これと「未来不変」の境い目はいまいち分かりませんが、定義に拘る意味は、えみるにはない。
このことから、
「未来不変なら研究室にいつ行ってもよい。行ったときそのタイミングが、元々からの正史」
「歴史改変だとしても、いかにも起きることは繰り返しても変わらず起きる。だから私が行きたいと自然に思ったそのタイミングなら、多少の変化はあっても歴史は変わらない」
と、えみるは考えるのではなかろうか。
「自分の思うままに動けば、自ずと正しい」は、えみるの価値観とも合致しますから、納得はしやすそう。ギュイーンとソウルがシャウトしたときに研究室に行けばよいのです。
ララが毎回、星奈さんの上に落ち続けてくれたおかげで、えみるの迷いが少し晴れそうです。体重を受け止め続けた星奈さんや、毎回転倒してくれた野乃さんらに感謝しよう。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
【リープする世界】
ハグプリ世界の「時間」の仕組みとして、考えられるのは概ね下記の3種です。
(1)未来は改変可能。改変するとパラレルワールドに分岐する(平行世界)
(2)未来は改変可能。ただし世界はひとつ。元の未来の消滅や、タイムパラドクスが起きる(歴史改変世界)
(3)未来は改変できない。(未来不変世界)
ミラクルリープで表出した事象は、直接にはこの3つのいずれも、決定的には肯定も否定もしません。
未知の現象なので分析はナンセンスとも思いますが、タイムトラベルやタイムリープでもないため、「未来を変える・変えない」には関与していないです。
イメージ:
「タイムトラベルやタイムリープ」
過去から未来に伸びる一本の時間の線があり、その一点から別の点に移動する。
肉体ごと移動するのがタイムトラベル、精神だけの移動がタイムリープ。
「ミラクルリープ」
過去から未来に伸びる一本の時間の線があり、その線がぐるぐると1ヶ所で曲がり続けている。リープが終わったあとは、未来に向かって伸びていく。
※現代物理によれば「過去から未来に伸びる線」のようなものはなく、「過去と未来は同時に存在する」そうなので、上記はあくまでイメージとして。
あえていえば(1)平行世界は厳しくなります。
元々平行世界説は、ミラクルリープのように何度も同じ時間に戻るシチュエーションが苦手です。戻る度に「戻ってきた場合」と「戻らなかった場合」に分岐します(しなくても矛盾とまではいかないが説明が苦しくなる)から、「同じ時間を繰り返す」とやらが随分と曖昧になってしまう。
決定的な否定にはならないものの、現象としては「リフレイン(やミラクルン)が自分だけリープ」しても同じ状況が生まれますから、「実のところ、花寺さんさんらは同じ毎日を繰り返してはいない。平行世界の別人である」のような、「何だかな」な方向にも行きかねません。
【ララの落下法則】
(2)歴史改変や(3)未来不変は、どちらが正しいとも(ミラクルリープの現象からは)いえない。
先に書いたイメージでいえば、リープの後は時間の矢印が未来に向かって進んでいきます。
歴史改変なら以前とは違う方向にいく。未来不変なら同じ方向にいく(ぐるぐるとリープしていたことが元から正史)。
どちらの世界設定が正なのかは、リープの描写からは分かりません。
花寺さんの経験した3回のループは、毎回基本は似ているけれど、変化しています。この変化は、前回のループの知識を花寺さんが持っていたから。また、リフレインやミラクルンの動きにより、大小はともかく、何らかの影響はあるでしょう。
「同じ1日」は繰り返しておらず、その意味では「歴史改変」にも思える。ただし、上述のとおり「99種類の異なる土曜日を繰り返した後に未来に進む」ことが「正史」であり、何も未来は変わっていないとも言える。
一方、些細なプロセスは違っても、結局は同じといえば同じになっています。
ワープしたララは繰り返し星奈さんの上に落下していた。野乃さんは毎回顔面から転倒していた。
何度繰り返そうとそれが起きるなら、「歴史の復元力」的なものがあり未来は変わらないともいえる。
(※但し「だから未来不変」ではない。「未来不変でも齟齬がない」の根拠は、先にも書いた「土曜日を99回繰り返すのが、元々の歴史だった」としても矛盾がないから)
もちろん、単に起きやすいことが起きただけで、リープを1万回やれば9997回はララが星奈さんの上に落下するが3回は外れる、なども観測できるのかもしれない。復元力だのではなく、ただの確率の問題なのかも。
よって歴史改変か未来不変かは、ミラクルリープの現象からは分からない。
【つまりシャウトすればいいのです!】
(ヒーリングっど♥プリキュア」29話OPより)
そもそもどちらなのかを特定する意味はないのかもしれません。
劇中人物にとっては、いずれにせよ全てに確信を抱くのは不可能ですから、本人の主観で納得がいくなら、それで十分といえます。
では、えみるはこのミラクルリープ現象から、何を読み取るんだろう?
生憎と彼女にとっては、今回の事件は「何だか分からん女に呼び止められ、行った先で謎の敵に掌底を見舞い、でかい奴に一撃喰らってぶっ倒れ、ライトを振った」だけのことです。我々にとっては大事件でも、えみるにとっては日常ですね。ろくでもない生活だ。
したがって、えみるが事件の概要を知るのは、小学校跡での花見の時でしょう。
これまた私らの感覚では大勝利を肴に一日中でも宴をしそうですが、プリキュアさんらは大して話題にすらせず、何か趣味のこととかで盛り上がってそうだ。あの子らおかしい。
ただそうは言っても、彼女たち自身のエピソードは話しそうです。たとえば、花見の最中にララが星奈さんと衝突、それを見て「そうそうリープした時も、ひかるちゃんの上にずっと落ちてたんだよ」とか。
この時は聞き流したとしても、2030年、トラウム研究室に行くかどうかの岐路にたったとき、えみるは思いだし、考え悩むかもしれない。
以前の記事で書いてきたように、劇中人物たる愛崎えみるの認識では、ハグプリ世界は歴史改変か未来不変かのどちらかに絞られる(平行世界は、ルールーの言葉「未来で待つ」と矛盾するので棄却される)。
もしも歴史の改変が可能なら、トラウム研究室に行くタイミングにより未来が変わってしまい、ルールーと再会できなくなる恐れがある。だから「いつトラウム研究室に行くか」はとてもとても厄介だ。
悩むえみるにとって、ミラクルリープの体験はもしかしたら救いになるかもしれない。
はな先輩は、毎回毎回、顔面から倒れこんでいた。仮にこの世界が歴史改変可能な世界だったとしても、「いかにも起きそうなことは、繰り返してもやはり起きる」。言い替えると「自由に振る舞ったなら、その結果は、おそらくは元々の歴史と同じだ」とも言える。
細部は変わっても、大筋は同じ。これと「未来不変」の境い目はいまいち分かりませんが、定義に拘る意味は、えみるにはない。
このことから、
「未来不変なら研究室にいつ行ってもよい。行ったときそのタイミングが、元々からの正史」
「歴史改変だとしても、いかにも起きることは繰り返しても変わらず起きる。だから私が行きたいと自然に思ったそのタイミングなら、多少の変化はあっても歴史は変わらない」
と、えみるは考えるのではなかろうか。
「自分の思うままに動けば、自ずと正しい」は、えみるの価値観とも合致しますから、納得はしやすそう。ギュイーンとソウルがシャウトしたときに研究室に行けばよいのです。
ララが毎回、星奈さんの上に落ち続けてくれたおかげで、えみるの迷いが少し晴れそうです。体重を受け止め続けた星奈さんや、毎回転倒してくれた野乃さんらに感謝しよう。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
新しい一次資料が供給されたので、ハグプリ考察を続けてみる。
【時計の針】
映画「ミラクルリープ」にて、リフレインは「永遠に繰り返す一日」として「土曜日」を選択しました。ストーリー上の理由は不明。
リフレインが「半ドン」(昔は土曜日が休日ではなく、午前中のみ学校や仕事があった)に言及していることから、彼なりに「過ぎ去った日々」の象徴として「土曜日」を選んだのかもしれない。
「半ドン」のような現実世界の過去のシステムに言及されるのは珍しいように思う。あえて持ち出しただけあって、テーマ的には重要です。
リフレインは「土曜の午前中を繰り返す」ことを選択しましたが、奇しくもこの日は午後から同窓会が予定されています。もしも永遠に午前を繰り返したなら、午後の同窓会が起きなかった。
リフレインが望んだあの賑やかだった日々は、過ぎ去った「午前」ではなく、未来の「午後」にあった。
「未来からの学び」「未来からの恩寵」はヒープリさんの切り札のようにも思えます。「半ドン」はとても面白いアイデアだったと思う。
なお一緒に映画を見た我が子は、「半ドン」をフィクション世界の架空の制度と認識していたようです。
言われてみればそうだ。「ここには昔、大きな木があってね」とか「20年前までお祭りがあったんだよ」のような話と、同じといえば同じだ…。
【土曜日】
私らの住むこの世界の「半ドン」と同じである保証は全くないのですが、それを言っていたら考察の進めようもないので、そこは潔く無視し話を進めてみる。
今回「半ドン」という特徴的な仕組みに言及があったことにより、作中年代が特定できそうです。これはハグプリ考察において非常に重要です。なんかもう重要過ぎて、映画劇中で「半ドン」の単語が出た瞬間、目頭が熱くなって乾いた笑いがでそうになったぐらい。もはや病気。
さて、週休二日に移行したタイミングを確認したところ、1992年から「第2土曜は休み。それ以外は半日登校」、95年から「第2と第4土曜は休み」を経て、2002年から今の体制になったようです。今となっては当たり前に土曜休みだけど、移行から完了まで10年もかかったのか…。
では花寺父母は何年生まれなのだろう?ひいては、劇中時間は何年だろう?
①中学2年生の娘がいる。
②口ぶりからして、彼らは週休二日の移行時期を経験している。
アニメキャラクターは見た目では年齢の判断がつきませんが、①番目の条件から素直に考えるなら、30代後半から40代前半ぐらいかと思われます。切りよく40歳としてみよう。
次に②番目の条件。
結論ありきで考えると、ヒープリ劇中時間の候補となるのは「2004年(プリキュア開始年)」「2018年(プリキュア15周年)」「2033年(30周年)」の三つです。
2004年だと仮定すると、花寺父母は1964年生まれ。週休2日への移行は1992年なので、この年代は土曜休みをまったく経験していません。②の条件に反するので棄却。
2033年だとすると、花寺父母は1993年生まれ。今度は逆に半ドンを全く経験していない。故に棄却。
残る2018年の場合、生まれは1978年。小学校までは半ドン、中学生から週休2日を経験し始める世代です。これはかなり劇中描写に合致している。
無論、「2018年ではなく、2016年」等の細かな揺れの有無は保証できませんが、これらを見る限り、劇中時間は「2018年」(少なくとも2004年や2033年ではない)と予想されます。
というかまぁ、要するにリアルタイムと同じ「2020年」付近というだけなのでしょうけれど。
【揺蕩う星奈】
ハグプリ世界は素直に受け止めるなら2018年です。よって、花寺さんと野乃さんは同時代の人物だ。
さてそうすると、論点は残る1組、星奈さんだ。スタプリ世界は西暦何年だろう?
スタプリ最終回にて、星奈さんはキュアグレースに遭遇しています。
しかし「ミラクルリープ」では、二人は「初めまして」の会話をしている。これは如何なることか。
まず、スタプリ最終回では「キュアグレース」として会っている。「花寺のどか」ではない。
そのため「ミラクルリープ」の星奈さんが、花寺さんのことを知らなくても問題はない。ラテ様のことを知らないのは不自然といえば不自然ですが、犬畜生などすべて同じに見えるといえば見える。星奈さんが忘れていたとしても不自然ではないと思う。
ですが花寺さんの「ミラクルリープ」での反応は、ややおかしい。彼女は「他にプリキュアがいる」ことに驚いています。「スタプリ最終回」⇒「ミラクルリープ」の時系列であったなら、少なくともスタプリ組の存在は知っていますから、あの反応には違和感はあります。
疑念を抱いて見返してみると、スタプリ最終回は絶妙にいやらしい描写をしています。
(「スター☆トゥインクルプリキュア」49話より)
スター:「あなた、もしかして…」
グレース:「うん!わたしはキュアグレース!」
スター:「キュアグレース、キラやば~!」
フワ:「ありがとうフワ~」
グレース:「やっぱりぬいぐるみじゃないんだね」
(中略)
グレース:「よかったねラテ。ありがとう」
スター:「あっ。ねぇキュアグレースってもしかして…」
(邂逅終了)
「もしかして」ってなんだ?
メタ的には「もしかして次のプリキュアなの?」ですが、劇中で考えるなら他に何かあるはず。
これを踏まえて、以下、考えてみる。
●仮説1「スタプリは2018年の出来事である」
一番シンプルです。というかこれ以外を疑う理由が基本的にはない。
引っかかるのは2点。「ミラクルリープ時点で、なぜ花寺さんはキュアスターを認識していないのか」「最終回で星奈さんは何を言おうとしたのか」。
説明がつかないので、とりあえず横に置きます。
●仮説2「スタプリは2018年より前(仮に2004年)の出来事である」
要するに花寺さんが何らかの事情で2004年にタイムトラベルしていた。
この場合「ミラクルリープ」時点の花寺さんが、星奈さんのことを知らなくても矛盾はない。ただ「何らかの事情」ってなんだ。
また、星奈さんが何を言おうとしたのかも不明です。「もしかして未来から来たの?」だとしたら、どんだけキラヤバい洞察力してるんだこの子。
今後ヒープリにて「過去に戻る」かのようなエピソードが出てこないとも言い切れませんが、現時点ではこの説は厳しいように思う。必然性がない。
●仮説3「スタプリは2018年より後(仮に2033年)の出来事である」
この状況を作るためには、2つ仕掛けがいる。
まず星奈さんらを2018年(19年)に行われたミラクルリープや、ハグプリ最終回に出演させないといけない。
先ほどの「花寺さんがタイムトラベルした理由を説明できない」と違い、星奈さんは説明(こじつけ)が可能です。
蛇使い座のプリンセスとの決戦において、宇宙が巻き戻ったかのような描写があるので、これを拡大解釈し「スタプリ一行は過去から現代(2033年)まで戻る途中だった」とすればいい。
(シチュエーションはだいぶ違いますが、SF小説「故郷から10000光年(故郷へ歩いた男) 」を彷彿とさせる)
劇中では一瞬で描写されていますが、蛇使い座との決戦⇒宇宙消滅⇒プリキュア再起動⇒最終決戦の過程で星奈さんは宇宙の歴史を歩みなおしていたんだ。
まぁこれだとフワやプルンスがいることの説明がつかないので、何か更に仮説を重ねる必要がありますが。
もう一点。「キュアグレースってもしかして」の後に何が続いたのかです。
実はスタプリ最終回のグレースさんは、2代目グレースなんじゃなかろうか。
「2代目」ならば、これまでの矛盾の説明がつきます。
ミラクルリープ時点では花寺さんは会ったことがなかった。だから知らなかった。
スタプリ最終回時点のグレースは、オリジナルの花寺のどかではなく、キュアアースと同様に複製されたグレースだった。だから初対面かのような振る舞いをした。
それならばスタプリ最終回での星奈さんの最後の言葉は「もしかして、のどかちゃんとは違うの?」等でしょう。目をキラキラさせながら言う台詞ではないですが、星奈さんはキラやばいのでおかしくはない。
自分で書いておいて無理を感じるし、そもそも何でこんな仮説を考えなきゃいけないのかよく分からないのですが、「スタプリ最終回のグレースは、2代目グレースだった」はちょっと応用が効きそうな気がする。
ただ「2代目グレース」説を使うなら、仮説1も説明できるんですよね。わざわざ「スタプリ組は過去に戻っていた」を使わなくても済むので、仮説1の方がずっと良い。仮説3のメリットは「スタプリを2033年の話にできれば、30周年の時に扱いやすくなる」ことぐらい。
何にせよ、今後のヒープリさんの展開が非常に気になります。
来年の春映画では、よりにもよって「四季2回問題」を抱えている夢原さんと共演なさるようですので、更に予想外の何かを見つけ出せるかもしれない。
【蛇足】
スタプリ最終回を見返したら、「ミラクルリープ」のCMやってた。不思議な感覚だ…。
事情が事情なので不謹慎かもしれないけど、この現象そのものが時間ネタとリンクしてて何とも凄い。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
【時計の針】
映画「ミラクルリープ」にて、リフレインは「永遠に繰り返す一日」として「土曜日」を選択しました。ストーリー上の理由は不明。
リフレインが「半ドン」(昔は土曜日が休日ではなく、午前中のみ学校や仕事があった)に言及していることから、彼なりに「過ぎ去った日々」の象徴として「土曜日」を選んだのかもしれない。
「半ドン」のような現実世界の過去のシステムに言及されるのは珍しいように思う。あえて持ち出しただけあって、テーマ的には重要です。
リフレインは「土曜の午前中を繰り返す」ことを選択しましたが、奇しくもこの日は午後から同窓会が予定されています。もしも永遠に午前を繰り返したなら、午後の同窓会が起きなかった。
リフレインが望んだあの賑やかだった日々は、過ぎ去った「午前」ではなく、未来の「午後」にあった。
「未来からの学び」「未来からの恩寵」はヒープリさんの切り札のようにも思えます。「半ドン」はとても面白いアイデアだったと思う。
なお一緒に映画を見た我が子は、「半ドン」をフィクション世界の架空の制度と認識していたようです。
言われてみればそうだ。「ここには昔、大きな木があってね」とか「20年前までお祭りがあったんだよ」のような話と、同じといえば同じだ…。
【土曜日】
私らの住むこの世界の「半ドン」と同じである保証は全くないのですが、それを言っていたら考察の進めようもないので、そこは潔く無視し話を進めてみる。
今回「半ドン」という特徴的な仕組みに言及があったことにより、作中年代が特定できそうです。これはハグプリ考察において非常に重要です。なんかもう重要過ぎて、映画劇中で「半ドン」の単語が出た瞬間、目頭が熱くなって乾いた笑いがでそうになったぐらい。もはや病気。
さて、週休二日に移行したタイミングを確認したところ、1992年から「第2土曜は休み。それ以外は半日登校」、95年から「第2と第4土曜は休み」を経て、2002年から今の体制になったようです。今となっては当たり前に土曜休みだけど、移行から完了まで10年もかかったのか…。
では花寺父母は何年生まれなのだろう?ひいては、劇中時間は何年だろう?
①中学2年生の娘がいる。
②口ぶりからして、彼らは週休二日の移行時期を経験している。
アニメキャラクターは見た目では年齢の判断がつきませんが、①番目の条件から素直に考えるなら、30代後半から40代前半ぐらいかと思われます。切りよく40歳としてみよう。
次に②番目の条件。
結論ありきで考えると、ヒープリ劇中時間の候補となるのは「2004年(プリキュア開始年)」「2018年(プリキュア15周年)」「2033年(30周年)」の三つです。
2004年だと仮定すると、花寺父母は1964年生まれ。週休2日への移行は1992年なので、この年代は土曜休みをまったく経験していません。②の条件に反するので棄却。
2033年だとすると、花寺父母は1993年生まれ。今度は逆に半ドンを全く経験していない。故に棄却。
残る2018年の場合、生まれは1978年。小学校までは半ドン、中学生から週休2日を経験し始める世代です。これはかなり劇中描写に合致している。
無論、「2018年ではなく、2016年」等の細かな揺れの有無は保証できませんが、これらを見る限り、劇中時間は「2018年」(少なくとも2004年や2033年ではない)と予想されます。
というかまぁ、要するにリアルタイムと同じ「2020年」付近というだけなのでしょうけれど。
【揺蕩う星奈】
ハグプリ世界は素直に受け止めるなら2018年です。よって、花寺さんと野乃さんは同時代の人物だ。
さてそうすると、論点は残る1組、星奈さんだ。スタプリ世界は西暦何年だろう?
スタプリ最終回にて、星奈さんはキュアグレースに遭遇しています。
しかし「ミラクルリープ」では、二人は「初めまして」の会話をしている。これは如何なることか。
まず、スタプリ最終回では「キュアグレース」として会っている。「花寺のどか」ではない。
そのため「ミラクルリープ」の星奈さんが、花寺さんのことを知らなくても問題はない。ラテ様のことを知らないのは不自然といえば不自然ですが、犬畜生などすべて同じに見えるといえば見える。星奈さんが忘れていたとしても不自然ではないと思う。
ですが花寺さんの「ミラクルリープ」での反応は、ややおかしい。彼女は「他にプリキュアがいる」ことに驚いています。「スタプリ最終回」⇒「ミラクルリープ」の時系列であったなら、少なくともスタプリ組の存在は知っていますから、あの反応には違和感はあります。
疑念を抱いて見返してみると、スタプリ最終回は絶妙にいやらしい描写をしています。
(「スター☆トゥインクルプリキュア」49話より)
スター:「あなた、もしかして…」
グレース:「うん!わたしはキュアグレース!」
スター:「キュアグレース、キラやば~!」
フワ:「ありがとうフワ~」
グレース:「やっぱりぬいぐるみじゃないんだね」
(中略)
グレース:「よかったねラテ。ありがとう」
スター:「あっ。ねぇキュアグレースってもしかして…」
(邂逅終了)
「もしかして」ってなんだ?
メタ的には「もしかして次のプリキュアなの?」ですが、劇中で考えるなら他に何かあるはず。
これを踏まえて、以下、考えてみる。
●仮説1「スタプリは2018年の出来事である」
一番シンプルです。というかこれ以外を疑う理由が基本的にはない。
引っかかるのは2点。「ミラクルリープ時点で、なぜ花寺さんはキュアスターを認識していないのか」「最終回で星奈さんは何を言おうとしたのか」。
説明がつかないので、とりあえず横に置きます。
●仮説2「スタプリは2018年より前(仮に2004年)の出来事である」
要するに花寺さんが何らかの事情で2004年にタイムトラベルしていた。
この場合「ミラクルリープ」時点の花寺さんが、星奈さんのことを知らなくても矛盾はない。ただ「何らかの事情」ってなんだ。
また、星奈さんが何を言おうとしたのかも不明です。「もしかして未来から来たの?」だとしたら、どんだけキラヤバい洞察力してるんだこの子。
今後ヒープリにて「過去に戻る」かのようなエピソードが出てこないとも言い切れませんが、現時点ではこの説は厳しいように思う。必然性がない。
●仮説3「スタプリは2018年より後(仮に2033年)の出来事である」
この状況を作るためには、2つ仕掛けがいる。
まず星奈さんらを2018年(19年)に行われたミラクルリープや、ハグプリ最終回に出演させないといけない。
先ほどの「花寺さんがタイムトラベルした理由を説明できない」と違い、星奈さんは説明(こじつけ)が可能です。
蛇使い座のプリンセスとの決戦において、宇宙が巻き戻ったかのような描写があるので、これを拡大解釈し「スタプリ一行は過去から現代(2033年)まで戻る途中だった」とすればいい。
(シチュエーションはだいぶ違いますが、SF小説「故郷から10000光年(故郷へ歩いた男) 」を彷彿とさせる)
劇中では一瞬で描写されていますが、蛇使い座との決戦⇒宇宙消滅⇒プリキュア再起動⇒最終決戦の過程で星奈さんは宇宙の歴史を歩みなおしていたんだ。
まぁこれだとフワやプルンスがいることの説明がつかないので、何か更に仮説を重ねる必要がありますが。
もう一点。「キュアグレースってもしかして」の後に何が続いたのかです。
実はスタプリ最終回のグレースさんは、2代目グレースなんじゃなかろうか。
「2代目」ならば、これまでの矛盾の説明がつきます。
ミラクルリープ時点では花寺さんは会ったことがなかった。だから知らなかった。
スタプリ最終回時点のグレースは、オリジナルの花寺のどかではなく、キュアアースと同様に複製されたグレースだった。だから初対面かのような振る舞いをした。
それならばスタプリ最終回での星奈さんの最後の言葉は「もしかして、のどかちゃんとは違うの?」等でしょう。目をキラキラさせながら言う台詞ではないですが、星奈さんはキラやばいのでおかしくはない。
自分で書いておいて無理を感じるし、そもそも何でこんな仮説を考えなきゃいけないのかよく分からないのですが、「スタプリ最終回のグレースは、2代目グレースだった」はちょっと応用が効きそうな気がする。
ただ「2代目グレース」説を使うなら、仮説1も説明できるんですよね。わざわざ「スタプリ組は過去に戻っていた」を使わなくても済むので、仮説1の方がずっと良い。仮説3のメリットは「スタプリを2033年の話にできれば、30周年の時に扱いやすくなる」ことぐらい。
何にせよ、今後のヒープリさんの展開が非常に気になります。
来年の春映画では、よりにもよって「四季2回問題」を抱えている夢原さんと共演なさるようですので、更に予想外の何かを見つけ出せるかもしれない。
【蛇足】
スタプリ最終回を見返したら、「ミラクルリープ」のCMやってた。不思議な感覚だ…。
事情が事情なので不謹慎かもしれないけど、この現象そのものが時間ネタとリンクしてて何とも凄い。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
2回目を見ました。この映画の凄みを改めて言語化したい。
【97回目のループ】
今作は何といっても戦闘が重い。重くてドラマがある。
まず1回目の戦い。
無理からぬことではあるのですが、花寺さんたちはかなり暢気です。軽口を叩きながら、なし崩しで応戦。グレースさんに至っては「ミラクルンを手で持つ」なんて悠長なことをやっています。ただでさえ片手がラビリンで塞がってるのに、これでは両手が使えない。
それを見て取ったリフレインの行動は早かった。速攻でグレースを拉致し、戦闘不能の彼女を狙い撃ちにしている。合流されてしまった後も、地上戦を固めつつ、自分は常に頭上をとり、兵隊をけしかけるとともに容赦のない空中からの射撃です。えげつない。
その後、先輩方が来てくれますが、歴戦の猛者の余裕ゆえか、彼女たちも暢気に構えている。まさかタイムリミットがあるなんて思いもしないものな…。
一方、仕掛けているリフレインは実は内心では焦ってたんじゃなかろうか。
彼はリミットがあることを知っている。プリキュア視点でいえば「12時までに倒さないといけない」ですが、リフレイン視点でいえば「プリキュア3チームを常に迎撃し続けねばならない」わけで、かなりのハードモード。
この時点ではミラクルンライトにより記憶が維持されることを知らないとはいえ、一度起きたことは次のループでも起きえる。叶うことならこの初戦で決着をつけたかったのが、リフレインの本音だと思う。
【98回目のループ】
2回目。花寺さんたちも多少の危機感は持った。が、事態の把握に精いっぱいで先輩方を招集するところまで思い至らなかった。
対するリフレイン。きっちり対策を練ってきています。多分、脳内で模擬戦とか何度もやってたんじゃないかな。
花寺さんにとっては幸運なことに、先輩たちは自力で駆け付けてきてはくれたものの、後手の感はぬぐえません。
花寺さんは気づいていませんでしたが、おそらく彼女がやるべき最善手は「ミラクルンを連れて逃げる」だったはず。
ミラクルンの体力さえ回復すれば、ライトを量産してループを脱出できます。逆にいえば、リフレインにとってはミラクルンを中心に円陣を組まれ、耐えしのぐ作戦を取られると辛い。
今回のループでプリキュア側が「ライトを量産すればいい」と気づいていなくても、ループを重ねる内にライトが増えていけば、やがては悟られます。
故にこのターンで、何としてもミラクルンは奪取したい。プリキュアたちが重要性に気づく前に。
そこで速攻でグレースを分断。
彼女がミラクルンを抱えていることは分かっている。他のプリキュアたちは足止めすれば十分。手下をけしかけ、謎の障壁で孤立させ、空中戦の利を捨ててでも即座に襲い掛かった。
これは「初見」で防ぐのは無理だ。持っている情報量も、準備できる時間も違い過ぎる。
【99回目のループ】
奇跡的な巡り合わせで、花寺さんは敵の本拠地に気づきます。そしてもう緩さは卒業した。
とにもかくにも「時間」がない。リフレインを発見、即戦闘。先輩方にも事前に事情を話したんでしょう。1回目や2回目と違い、わちゃくちゃした掛け合いなんてやってる暇はない。
リフレインとしては誤算もよいところだったはず。まさかいきなりすぐさま正体を見破られるとは…。
過去話をしだしたのも、案外、少しでも時間を稼ぐためだったのかもしれない。尤も「時計に憑いている」と自ら語ってしまってるあたり、かなり動揺していたようですが。
実際のところ、この時点でリフレイン側はかなり詰んでいます。
本拠地がバレてしまった以上、100回目や101回目のループに突入できても、プリキュアどもはすぐに襲い掛かってきます。壊される「明日」を選ぶか、ボコられる「今日」を選ぶか。
しかもこれまた花寺さんは気づいていなさそうですが、たぶん「時計本体を壊す」で倒せた気がする。そうだとするとリフレインの焦りは凄まじかったはず。多勢に無勢の戦闘ですから、「時計を狙えばいい」に気づかれたらさすがに守り切れない。
かといって時計を守るような素振りも見せられません。今は気づかれなくても、次のループで参考にされてしまう。永久にループするなら、いずれは敗北してしまう…。
ついでに言えば、2回目の戦闘の時のハリーの台詞「ほんまにおったわ、時計に乗った男」も、何気にリフレインの胸に刺さっていそう。やめてくれ、「時計」を意識させるのは。
クライマックスで無闇に巨大化したのも、あれが切り札だったのはもちろんとして、時計の印象を消したかったのかもしれない。
よってリフレインが勝つには「ミラクルンライトを破壊して、記憶をリセットする」を狙うしかない。謎の範囲攻撃でライトが壊れましたが、あれはまさしくライトを狙って放った時間攻撃的なやつだったんだと思う。
【100回目の前】
後手後手に回り続けた花寺さん、ミラクルンに続き生命線のライトを失う。
残り時間数分。認めるしかない。プリキュアでは、この敵に勝てない。
本来プリキュアさんの強みは成長していくこと。ところがそれにストップがかかってしまった。
15年の過去を土台に持つハグプリチームも、未知との交流と広がりが本分のスタプリチームも、この事態では完全に無力化される。
今のループを逃したら、もう先には進めない。それなのに今の自分では力及ばないことも分かっている。
それが伝わってくるだけに、この戦闘は本当に重い。
「今日の12時までの自分たちでは勝てない」。だから彼女たちはライトに望みを託した。12時までの自分で勝てないのなら、その先の未来の自分に賭けよう。
あのスーパーグレースは、ループの先にある未来のグレースの姿と思われます。たどり着けない未来の自分を、ライトの力で呼び寄せた。まさに恩寵(grace)。単純なパワーアップではない。時間の牢獄の先にある、いつかはなりたかった自分の姿。
グレース以外の面々がライトを振るばかりになってしまったのも分かります。12時現在の自分たちでは勝てない。ならば全戦力を未来に託そう。
これ、たまたま秋に上映されたので違和感なく見てしまえてますけど、本来は春の映画です。
今までの春のオールスターズのフォーマットではない。「未来に進めない」ことがいかに致命的なのか。
時間を戻すというシンプルといえばシンプルな行為が、ここまでプリキュアの根底に突き刺さるとは。
そして「オールスターズ映画なのに、一人に全集中」と強烈なことをされても尚、グレースさんには余裕はない。残り時間はあとわずか。未来の自分でも勝てないのなら、もう突破は無理です。そして何より、仮に未来に進めても無力だと分かってしまう。
「ループを脱する」というだけでなく、ある意味、彼女の未来の意義を賭けた戦いだったとも言えます。未来に進めても成長がないのであれば、進む意義そのものが揺らいでしまう…。
バックで流れる「Circle Love〜サクラ〜」がまた凄まじい。「未来に進む」というフレーズそのものはよくありますが、このシチュエーションで聴くと強烈すぎる。
未来に進みたいのに、進めない。それでも進もう、何としても。そして未来に進めることそれそのものが、「未来には価値がある」ことの証明に繋がる。
未来を信じるから進める。進めるから未来を信じられる。正に「circle love」。過去から学ぶだけじゃない。未来からも学ぶ力強さ。
【12時過ぎ】
決意が実り、リフレインを撃破。リフレインというか時間の壁を。
もはや花寺さんらも別人です。テーマ的な深刻度でいえば、歴代の新人研修よりシビアだ。
制作者様は毎回毎回、よくぞこうも「このシリーズのプリキュアでないと勝てなかった」と思われるような敵を用意できるものだ。凄い。
しかも今回は戦闘パートに物語がある。プリキュア・リフレインの両サイド共に、心境や背景を想像できるしループを重ねる毎に進んでいくのが面白い。
ヒープリさんは「繰り返すことで学び、強くなっていく」がテーマのように思われます。
アースが典型で、彼女は「免疫」機構そのもの。過去の経験をもとに、効果的に次に対処できる。
ただアースさんの失敗描写や、同じく敵側も学習していっている様子を見るに、それらを上回る何かがプリキュア側に用意されていると予想されます。学んで対処していっていたリフレインを、グレースさんが破ったように。
いつもなら「春映画で問題提起」「秋映画で回答編」的な流れだっただけに、何とも気になる。無理にこじつけると、これ自体が「過去のパターンでは対処できない」ことだったりもするのでメタ的にも突き刺さります。
春の公開延期は完全なる偶然とはいえ、事前に分かっていたかのようなはまりっぷりだ。本当につくづく圧倒されるしかない映画だと思う。この映画は凄い。
【97回目のループ】
今作は何といっても戦闘が重い。重くてドラマがある。
まず1回目の戦い。
無理からぬことではあるのですが、花寺さんたちはかなり暢気です。軽口を叩きながら、なし崩しで応戦。グレースさんに至っては「ミラクルンを手で持つ」なんて悠長なことをやっています。ただでさえ片手がラビリンで塞がってるのに、これでは両手が使えない。
それを見て取ったリフレインの行動は早かった。速攻でグレースを拉致し、戦闘不能の彼女を狙い撃ちにしている。合流されてしまった後も、地上戦を固めつつ、自分は常に頭上をとり、兵隊をけしかけるとともに容赦のない空中からの射撃です。えげつない。
その後、先輩方が来てくれますが、歴戦の猛者の余裕ゆえか、彼女たちも暢気に構えている。まさかタイムリミットがあるなんて思いもしないものな…。
一方、仕掛けているリフレインは実は内心では焦ってたんじゃなかろうか。
彼はリミットがあることを知っている。プリキュア視点でいえば「12時までに倒さないといけない」ですが、リフレイン視点でいえば「プリキュア3チームを常に迎撃し続けねばならない」わけで、かなりのハードモード。
この時点ではミラクルンライトにより記憶が維持されることを知らないとはいえ、一度起きたことは次のループでも起きえる。叶うことならこの初戦で決着をつけたかったのが、リフレインの本音だと思う。
【98回目のループ】
2回目。花寺さんたちも多少の危機感は持った。が、事態の把握に精いっぱいで先輩方を招集するところまで思い至らなかった。
対するリフレイン。きっちり対策を練ってきています。多分、脳内で模擬戦とか何度もやってたんじゃないかな。
花寺さんにとっては幸運なことに、先輩たちは自力で駆け付けてきてはくれたものの、後手の感はぬぐえません。
花寺さんは気づいていませんでしたが、おそらく彼女がやるべき最善手は「ミラクルンを連れて逃げる」だったはず。
ミラクルンの体力さえ回復すれば、ライトを量産してループを脱出できます。逆にいえば、リフレインにとってはミラクルンを中心に円陣を組まれ、耐えしのぐ作戦を取られると辛い。
今回のループでプリキュア側が「ライトを量産すればいい」と気づいていなくても、ループを重ねる内にライトが増えていけば、やがては悟られます。
故にこのターンで、何としてもミラクルンは奪取したい。プリキュアたちが重要性に気づく前に。
そこで速攻でグレースを分断。
彼女がミラクルンを抱えていることは分かっている。他のプリキュアたちは足止めすれば十分。手下をけしかけ、謎の障壁で孤立させ、空中戦の利を捨ててでも即座に襲い掛かった。
これは「初見」で防ぐのは無理だ。持っている情報量も、準備できる時間も違い過ぎる。
【99回目のループ】
奇跡的な巡り合わせで、花寺さんは敵の本拠地に気づきます。そしてもう緩さは卒業した。
とにもかくにも「時間」がない。リフレインを発見、即戦闘。先輩方にも事前に事情を話したんでしょう。1回目や2回目と違い、わちゃくちゃした掛け合いなんてやってる暇はない。
リフレインとしては誤算もよいところだったはず。まさかいきなりすぐさま正体を見破られるとは…。
過去話をしだしたのも、案外、少しでも時間を稼ぐためだったのかもしれない。尤も「時計に憑いている」と自ら語ってしまってるあたり、かなり動揺していたようですが。
実際のところ、この時点でリフレイン側はかなり詰んでいます。
本拠地がバレてしまった以上、100回目や101回目のループに突入できても、プリキュアどもはすぐに襲い掛かってきます。壊される「明日」を選ぶか、ボコられる「今日」を選ぶか。
しかもこれまた花寺さんは気づいていなさそうですが、たぶん「時計本体を壊す」で倒せた気がする。そうだとするとリフレインの焦りは凄まじかったはず。多勢に無勢の戦闘ですから、「時計を狙えばいい」に気づかれたらさすがに守り切れない。
かといって時計を守るような素振りも見せられません。今は気づかれなくても、次のループで参考にされてしまう。永久にループするなら、いずれは敗北してしまう…。
ついでに言えば、2回目の戦闘の時のハリーの台詞「ほんまにおったわ、時計に乗った男」も、何気にリフレインの胸に刺さっていそう。やめてくれ、「時計」を意識させるのは。
クライマックスで無闇に巨大化したのも、あれが切り札だったのはもちろんとして、時計の印象を消したかったのかもしれない。
よってリフレインが勝つには「ミラクルンライトを破壊して、記憶をリセットする」を狙うしかない。謎の範囲攻撃でライトが壊れましたが、あれはまさしくライトを狙って放った時間攻撃的なやつだったんだと思う。
【100回目の前】
後手後手に回り続けた花寺さん、ミラクルンに続き生命線のライトを失う。
残り時間数分。認めるしかない。プリキュアでは、この敵に勝てない。
本来プリキュアさんの強みは成長していくこと。ところがそれにストップがかかってしまった。
15年の過去を土台に持つハグプリチームも、未知との交流と広がりが本分のスタプリチームも、この事態では完全に無力化される。
今のループを逃したら、もう先には進めない。それなのに今の自分では力及ばないことも分かっている。
それが伝わってくるだけに、この戦闘は本当に重い。
「今日の12時までの自分たちでは勝てない」。だから彼女たちはライトに望みを託した。12時までの自分で勝てないのなら、その先の未来の自分に賭けよう。
あのスーパーグレースは、ループの先にある未来のグレースの姿と思われます。たどり着けない未来の自分を、ライトの力で呼び寄せた。まさに恩寵(grace)。単純なパワーアップではない。時間の牢獄の先にある、いつかはなりたかった自分の姿。
グレース以外の面々がライトを振るばかりになってしまったのも分かります。12時現在の自分たちでは勝てない。ならば全戦力を未来に託そう。
これ、たまたま秋に上映されたので違和感なく見てしまえてますけど、本来は春の映画です。
今までの春のオールスターズのフォーマットではない。「未来に進めない」ことがいかに致命的なのか。
時間を戻すというシンプルといえばシンプルな行為が、ここまでプリキュアの根底に突き刺さるとは。
そして「オールスターズ映画なのに、一人に全集中」と強烈なことをされても尚、グレースさんには余裕はない。残り時間はあとわずか。未来の自分でも勝てないのなら、もう突破は無理です。そして何より、仮に未来に進めても無力だと分かってしまう。
「ループを脱する」というだけでなく、ある意味、彼女の未来の意義を賭けた戦いだったとも言えます。未来に進めても成長がないのであれば、進む意義そのものが揺らいでしまう…。
バックで流れる「Circle Love〜サクラ〜」がまた凄まじい。「未来に進む」というフレーズそのものはよくありますが、このシチュエーションで聴くと強烈すぎる。
未来に進みたいのに、進めない。それでも進もう、何としても。そして未来に進めることそれそのものが、「未来には価値がある」ことの証明に繋がる。
未来を信じるから進める。進めるから未来を信じられる。正に「circle love」。過去から学ぶだけじゃない。未来からも学ぶ力強さ。
【12時過ぎ】
決意が実り、リフレインを撃破。リフレインというか時間の壁を。
もはや花寺さんらも別人です。テーマ的な深刻度でいえば、歴代の新人研修よりシビアだ。
制作者様は毎回毎回、よくぞこうも「このシリーズのプリキュアでないと勝てなかった」と思われるような敵を用意できるものだ。凄い。
しかも今回は戦闘パートに物語がある。プリキュア・リフレインの両サイド共に、心境や背景を想像できるしループを重ねる毎に進んでいくのが面白い。
ヒープリさんは「繰り返すことで学び、強くなっていく」がテーマのように思われます。
アースが典型で、彼女は「免疫」機構そのもの。過去の経験をもとに、効果的に次に対処できる。
ただアースさんの失敗描写や、同じく敵側も学習していっている様子を見るに、それらを上回る何かがプリキュア側に用意されていると予想されます。学んで対処していっていたリフレインを、グレースさんが破ったように。
いつもなら「春映画で問題提起」「秋映画で回答編」的な流れだっただけに、何とも気になる。無理にこじつけると、これ自体が「過去のパターンでは対処できない」ことだったりもするのでメタ的にも突き刺さります。
春の公開延期は完全なる偶然とはいえ、事前に分かっていたかのようなはまりっぷりだ。本当につくづく圧倒されるしかない映画だと思う。この映画は凄い。
【追記】
今回の映画は、何というか全編に「凄い」感が溢れていました。面白い面白くないを飛び越えて「凄い」。
なので、何をどう「凄い」と感じたのかの視点で書いてみる。
■感想:映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日
【現役と先輩方】
本映画は本来、春の公開だった。それが秋に延期になったわけですが、いざ見てみると、ヒープリ単体の秋映画としても成立していた。
言うまでもなく狙ってのことではないのだから、奇跡的な巡り合わせだったように思う。
従来の春映画の場合、基本路線は「未熟な新人さんが、頼もしい先輩方に触れて成長する」といった内容。
今回も部分部分ではその要素はあるものの、全体としては、むしろヒープリチームが救援にまわっています。
「これまでと大きく印象を変えたかった」「ストーリーを練りこんだら、たまたまそうなった」等々の理由は分かりませんが、この偶然そのものに妙に感動しました。
OPがテレビ版そのままだったのも、偶然とはいえ出来過ぎです。昨年の春映画「ミラクルユニバース」が、OPを限界ギリギリ以上に削っていたのとは対照的。
何故、春映画でテレビ版OPを採用したのか、もしかしてそこだけ差し替えたのか。色々と不明なれど、おかげで「ヒープリ映画」だとすんなり受け入れられた。
あまりに秋映画として違和感がなかったせいで、先輩方が救援に来てくれた時、ちょっと驚きすらしました。あ、そういえばオールスターズだった、この映画。
【敵が、強い】
今回の敵・リフレイン。恐ろしく強い。
彼の目的は、自分が取り壊されるのを防ぐこと。歴代シリーズと比べ、非常に小さく、ささやかな願いです。でもそれが故か切実さが違う。
前述のとおり、オールスターズ映画であることを素で失念していたので、先輩方が来てくれた時には「リフレインも気の毒に」とすら思いました。
先輩プリキュアというだけでもシビアなのに、よりにもよって時間戦に長けたハグプリ・スタプリチームです。あまりに運が悪すぎる。
が、そんな同情など何のその。リフレインは真っ向から撃退。強い。
時計の長針・短針が化けたような下っ端どもは、下っ端とは思えぬほど一撃一撃が速く、重い。あれって攻撃型ミニッツやアワーズだと思うんですが、奴らあんなに強かったのか。
上空からの飛び道具も怖いです。何人にも止められぬ時間の進みを象徴するかのような、えげつない射撃が襲い来る。
戦い方も上手い。的確に分断、防御、退く時は退く。きっちり学習し、対策を立ててくる。
実際、リフレインも内心ではそれなりに焦っていたんだろうとは思います。
あちら視点でいえば、倒しても倒しても、ひたすらプリキュアと戦う日々を繰り返し、一度でも負けたら終わり。連戦連勝を繰り返さねばならない。
だからこそ戦い方を覚え、きっちり対策を練った。だから強い。
一方のプリキュア側も、懸命の抵抗を試みてるのが熱い。
1回目の戦い。ヒープリ組もちゃんと見せ場の反撃をしている。でも負ける。
2回目の戦いも、普通ならあれで終わっています。「記憶がないのに助けに来てくれた」という感動があったにも関わらず、敗北。
3回目。これまた記憶がないのに、先輩方は即座に対抗策を打っている。「覚えていないけど、私たちは過去に2回、この敵に負けている」「いつもと同じことをやったら勝てない」。これをすぐさま判断し、咄嗟にチーム分けを変えている。オールスターズ的見どころと合致した素晴らしい展開。でも敗北。
この流れだとまた4回目のループに突入するんじゃ…?と本気で思うほどの苦闘ぶり。次がちょうど100回目ということも不安に拍車をかける。
そりゃ最後は勝つのが分かり切ってはいますが、ここまで先が見通せなかったのは初めてかも。
【日常化する伝説】
「飛び出した子供を事故から救う」シーン、もしかしたら初の「敵と関係ないトラブルを、プリキュアで解決する」でしょうか。
すぐに思い出せる過去事例が「部屋の掃除のために変身」ぐらい。他にもありそうな気はしますが、何にせよ珍しいのは確かです。花寺さんは、そういうの躊躇しない子。
ストーリー的には、おそらくはこの場面を(86回目のループの最中とかに)ミラクルンが目撃、そこからラビリンたちを探し出し、コンタクトを取ったんじゃないかと思われます。
ミラクルンの孤独な戦いに、涙を禁じえません。時間制限がある以上、行動範囲は限られる。その範囲の中でたまたま遭遇した、リフレインに抵抗しうる存在・プリキュア。
追撃をかわし、時間切れで振り出しに戻され続けながら、じわじわと少しずつ少しずつプリキュアに近づいたのでしょう。
今回の話で一番怖かったのは「実は既に98回ループしている」と明かされた場面。
96回目でラビリンと接触、ライトを託して一歩前に進む。97回目、ようやくプリキュアに到達。98回目でやっと花寺さんは事態を把握します。
そこに行き着くまでの無数のループをプリキュアは認識できていない。
ハグプリ、スタプリの面々に至っては、最後の1回しか感知できず。かつて時間戦を経験していたはずなのに、こうもあっさり時間の牢獄に捕らわれた。怖い。
「日常生活でプリキュアに変身」「プリキュアが(事態の認識すらできずに)既に負けていた」のは、結構な衝撃でした。
あと3回目のループの際の、平光さんの台詞が何か良い。
(星奈さんからの「どうしてプリキュアだと知ってるの?」に対して)
平光さん:
「ていうか、私もプリキュアだし!」
生々しいというか、「あ、プリキュアってそういうものなのか」「まぁそういうものだよな」的ななんともいえぬ感じ。部活か何かのノリですかね。
【撮影協力:すこやか市】
テレビ本編でも再三描写されているように、舞台となった すこやか市は観光地。
今回たまたまハグプリ・スタプリの面々が来ていたのも、そのおかげです。すこやか市が観光地でなかったら詰んでた。
「たまたま偶然」他のプリキュアが通りかかってくれないと、花寺さんたちは「他にもプリキュアが居る」とは知りえませんから、助けを呼ぶ発想には至らないでしょう。
結果、7時30分から12時までで移動できる範囲にいないプリキュアは、この戦いに参加できず。ヒープリ単体では勝算が全くありません。
更に言うなら、ハグプリとスタプリは「たまたま偶然」同じ日にやってきただけで、示し合わせてではなさそうです。行動スケジュールがあまりに違い過ぎる。すこやか市の訴求力高いですね。
1回目の街中の戦闘シーンも臨場感あってとても良かった。花咲さん達のパリ市街での戦いを思い出しました。
この辺も「秋映画の定番・異世界旅行をやっていないのに、秋映画っぽく見えた」原因な気がする。パリと並ぶ すこやか市。凄い。
あと、角の生えたデカいぬいぐるみやクラゲを連れて、ルンルンニャンニャン言ってる謎の異星人集団に対し、誰も何のツッコミを入れてないのがちょっと面白い。
観光地なので、色んな人が来るんです。一々反応しない。
【先輩方】
先輩方も埋もれていたわけではない。
前述のとおり、引き立て役的にやられまくっていたのでもなく、要所要所で凄みを発揮しています。(そしてだからこそ、勝てないことに恐怖を覚える)
星奈さんの変身シーンは懐かしさが堪らなかった。「唄う」という特徴的なバンクなだけに、頼もしさというかインパクトが違う。
野乃さんは、改めて考えてみれば、それまでの15年の代表者です。そういう意味では、今作は17年分の全チームの総力戦ともいえた。
ヒープリのテーマは、これまでを見るに「繰り返すことで学習し、強くなる」だろうと思われます。
この内の「学習し」が欠けると、偉大なる先輩方でも勝てない。録画したものをただただ繰り返し再生しても、彼女たちはどこにも進んでいかない。
学習してよりよくしていくというのは、今後続々と行われる(と思われる)「15周年企画」にもつながりそう。
【15周年】
次回の春映画は、夢原さんとの共演です。凄い。
無印5から15周年なので、「2021年にプリキュア5絡みで何かをやる」のは、元々予定されていたと思われます。
ただ「ヒープリと合同で春映画」はどこまでが予定通りだったんだろう?
真相は分かりませんが、元々は「ヒープリの秋映画で、スプラッシュスター(15周年)と何かをやる」だったのかも。
ヒープリのテーマと、スプラッシュスターのテーマは近いものがある。暴論を言ってしまえば、それも念頭にヒープリでは「病気」がギミックに選ばれたんじゃないかとも。
ただこういう世の流れになってしまったので、スプラッシュスターはスキップし、夢原さんを採用したとか。
さすが公式様は美翔さんに求められているものを分かっていらっしゃる。往年のSSファンとしては、にやにや笑いが止まらない。今回の映画でも「ぴきゅるーん!」の効果音が出たときには思わず心の中で喝采ですよ。とても良いものを見た。
「プリキュア5」や「GoGo」のテーマと、ヒープリをどう絡めるのか。「繰り返すことで学習する」を、「夢に向かって進む」にリンクさせるのかしら。
夢原さんという強力な「指針」が存在すると、繰り返しの日々でも目標を見失わなさそうなので、これはこれで相性として面白いかもしれない。
SSと組んだ場合は「生命や生物といった広い概念での成長」にフォーカスが当たりそうなのに対し、夢原さんだと「個の目標」が強調されそう。ヒープリ本編は今のところ前者よりだと思うのですが、夢原テイストが入ることで印象が変わりそう。
今後15周年企画が続くなら「15年前のシリーズのテーマが何だったか」によって現役シリーズの印象も変わり、新しい見どころになりそうです。
【テレビ本編】
今作の大きな特徴の一つとして、「敵側もプリキュア側と同様の思考をする」。
「実験して試行錯誤して強くなる」は正に「繰り返すことで学習して強くなる」そのまんま。
リフレインも同様です。きっちり前回の経験をもとに対策を練っており、だから強い。
じゃあプリキュア側と何が違うんだろう?
映画から類推すると、「先に進むための学習」なのか「現状維持のための学習」なのかが違いそうです。
前者は必然的に試行錯誤が必要で、常に変えていく要素がある。後者は(局所最適な)必勝パターンが確立したら、そこから先には進まない。
ビョーゲンズとの戦いも、そういう要素が出てくるのかもしれない。
【時間の考察】
半年かけてハグプリの考察をやってきました。(参照:「愛崎えみるの研究室訪問問題」)
その観点でも面白い映画だったので、考察の続きをその内書きたい。
●感想2周目
なので、何をどう「凄い」と感じたのかの視点で書いてみる。
■感想:映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日
【現役と先輩方】
本映画は本来、春の公開だった。それが秋に延期になったわけですが、いざ見てみると、ヒープリ単体の秋映画としても成立していた。
言うまでもなく狙ってのことではないのだから、奇跡的な巡り合わせだったように思う。
従来の春映画の場合、基本路線は「未熟な新人さんが、頼もしい先輩方に触れて成長する」といった内容。
今回も部分部分ではその要素はあるものの、全体としては、むしろヒープリチームが救援にまわっています。
「これまでと大きく印象を変えたかった」「ストーリーを練りこんだら、たまたまそうなった」等々の理由は分かりませんが、この偶然そのものに妙に感動しました。
OPがテレビ版そのままだったのも、偶然とはいえ出来過ぎです。昨年の春映画「ミラクルユニバース」が、OPを限界ギリギリ以上に削っていたのとは対照的。
何故、春映画でテレビ版OPを採用したのか、もしかしてそこだけ差し替えたのか。色々と不明なれど、おかげで「ヒープリ映画」だとすんなり受け入れられた。
あまりに秋映画として違和感がなかったせいで、先輩方が救援に来てくれた時、ちょっと驚きすらしました。あ、そういえばオールスターズだった、この映画。
【敵が、強い】
今回の敵・リフレイン。恐ろしく強い。
彼の目的は、自分が取り壊されるのを防ぐこと。歴代シリーズと比べ、非常に小さく、ささやかな願いです。でもそれが故か切実さが違う。
前述のとおり、オールスターズ映画であることを素で失念していたので、先輩方が来てくれた時には「リフレインも気の毒に」とすら思いました。
先輩プリキュアというだけでもシビアなのに、よりにもよって時間戦に長けたハグプリ・スタプリチームです。あまりに運が悪すぎる。
が、そんな同情など何のその。リフレインは真っ向から撃退。強い。
時計の長針・短針が化けたような下っ端どもは、下っ端とは思えぬほど一撃一撃が速く、重い。あれって攻撃型ミニッツやアワーズだと思うんですが、奴らあんなに強かったのか。
上空からの飛び道具も怖いです。何人にも止められぬ時間の進みを象徴するかのような、えげつない射撃が襲い来る。
戦い方も上手い。的確に分断、防御、退く時は退く。きっちり学習し、対策を立ててくる。
実際、リフレインも内心ではそれなりに焦っていたんだろうとは思います。
あちら視点でいえば、倒しても倒しても、ひたすらプリキュアと戦う日々を繰り返し、一度でも負けたら終わり。連戦連勝を繰り返さねばならない。
だからこそ戦い方を覚え、きっちり対策を練った。だから強い。
一方のプリキュア側も、懸命の抵抗を試みてるのが熱い。
1回目の戦い。ヒープリ組もちゃんと見せ場の反撃をしている。でも負ける。
2回目の戦いも、普通ならあれで終わっています。「記憶がないのに助けに来てくれた」という感動があったにも関わらず、敗北。
3回目。これまた記憶がないのに、先輩方は即座に対抗策を打っている。「覚えていないけど、私たちは過去に2回、この敵に負けている」「いつもと同じことをやったら勝てない」。これをすぐさま判断し、咄嗟にチーム分けを変えている。オールスターズ的見どころと合致した素晴らしい展開。でも敗北。
この流れだとまた4回目のループに突入するんじゃ…?と本気で思うほどの苦闘ぶり。次がちょうど100回目ということも不安に拍車をかける。
そりゃ最後は勝つのが分かり切ってはいますが、ここまで先が見通せなかったのは初めてかも。
【日常化する伝説】
「飛び出した子供を事故から救う」シーン、もしかしたら初の「敵と関係ないトラブルを、プリキュアで解決する」でしょうか。
すぐに思い出せる過去事例が「部屋の掃除のために変身」ぐらい。他にもありそうな気はしますが、何にせよ珍しいのは確かです。花寺さんは、そういうの躊躇しない子。
ストーリー的には、おそらくはこの場面を(86回目のループの最中とかに)ミラクルンが目撃、そこからラビリンたちを探し出し、コンタクトを取ったんじゃないかと思われます。
ミラクルンの孤独な戦いに、涙を禁じえません。時間制限がある以上、行動範囲は限られる。その範囲の中でたまたま遭遇した、リフレインに抵抗しうる存在・プリキュア。
追撃をかわし、時間切れで振り出しに戻され続けながら、じわじわと少しずつ少しずつプリキュアに近づいたのでしょう。
今回の話で一番怖かったのは「実は既に98回ループしている」と明かされた場面。
96回目でラビリンと接触、ライトを託して一歩前に進む。97回目、ようやくプリキュアに到達。98回目でやっと花寺さんは事態を把握します。
そこに行き着くまでの無数のループをプリキュアは認識できていない。
ハグプリ、スタプリの面々に至っては、最後の1回しか感知できず。かつて時間戦を経験していたはずなのに、こうもあっさり時間の牢獄に捕らわれた。怖い。
「日常生活でプリキュアに変身」「プリキュアが(事態の認識すらできずに)既に負けていた」のは、結構な衝撃でした。
あと3回目のループの際の、平光さんの台詞が何か良い。
(星奈さんからの「どうしてプリキュアだと知ってるの?」に対して)
平光さん:
「ていうか、私もプリキュアだし!」
生々しいというか、「あ、プリキュアってそういうものなのか」「まぁそういうものだよな」的ななんともいえぬ感じ。部活か何かのノリですかね。
【撮影協力:すこやか市】
テレビ本編でも再三描写されているように、舞台となった すこやか市は観光地。
今回たまたまハグプリ・スタプリの面々が来ていたのも、そのおかげです。すこやか市が観光地でなかったら詰んでた。
「たまたま偶然」他のプリキュアが通りかかってくれないと、花寺さんたちは「他にもプリキュアが居る」とは知りえませんから、助けを呼ぶ発想には至らないでしょう。
結果、7時30分から12時までで移動できる範囲にいないプリキュアは、この戦いに参加できず。ヒープリ単体では勝算が全くありません。
更に言うなら、ハグプリとスタプリは「たまたま偶然」同じ日にやってきただけで、示し合わせてではなさそうです。行動スケジュールがあまりに違い過ぎる。すこやか市の訴求力高いですね。
1回目の街中の戦闘シーンも臨場感あってとても良かった。花咲さん達のパリ市街での戦いを思い出しました。
この辺も「秋映画の定番・異世界旅行をやっていないのに、秋映画っぽく見えた」原因な気がする。パリと並ぶ すこやか市。凄い。
あと、角の生えたデカいぬいぐるみやクラゲを連れて、ルンルンニャンニャン言ってる謎の異星人集団に対し、誰も何のツッコミを入れてないのがちょっと面白い。
観光地なので、色んな人が来るんです。一々反応しない。
【先輩方】
先輩方も埋もれていたわけではない。
前述のとおり、引き立て役的にやられまくっていたのでもなく、要所要所で凄みを発揮しています。(そしてだからこそ、勝てないことに恐怖を覚える)
星奈さんの変身シーンは懐かしさが堪らなかった。「唄う」という特徴的なバンクなだけに、頼もしさというかインパクトが違う。
野乃さんは、改めて考えてみれば、それまでの15年の代表者です。そういう意味では、今作は17年分の全チームの総力戦ともいえた。
ヒープリのテーマは、これまでを見るに「繰り返すことで学習し、強くなる」だろうと思われます。
この内の「学習し」が欠けると、偉大なる先輩方でも勝てない。録画したものをただただ繰り返し再生しても、彼女たちはどこにも進んでいかない。
学習してよりよくしていくというのは、今後続々と行われる(と思われる)「15周年企画」にもつながりそう。
【15周年】
次回の春映画は、夢原さんとの共演です。凄い。
無印5から15周年なので、「2021年にプリキュア5絡みで何かをやる」のは、元々予定されていたと思われます。
ただ「ヒープリと合同で春映画」はどこまでが予定通りだったんだろう?
真相は分かりませんが、元々は「ヒープリの秋映画で、スプラッシュスター(15周年)と何かをやる」だったのかも。
ヒープリのテーマと、スプラッシュスターのテーマは近いものがある。暴論を言ってしまえば、それも念頭にヒープリでは「病気」がギミックに選ばれたんじゃないかとも。
ただこういう世の流れになってしまったので、スプラッシュスターはスキップし、夢原さんを採用したとか。
さすが公式様は美翔さんに求められているものを分かっていらっしゃる。往年のSSファンとしては、にやにや笑いが止まらない。今回の映画でも「ぴきゅるーん!」の効果音が出たときには思わず心の中で喝采ですよ。とても良いものを見た。
「プリキュア5」や「GoGo」のテーマと、ヒープリをどう絡めるのか。「繰り返すことで学習する」を、「夢に向かって進む」にリンクさせるのかしら。
夢原さんという強力な「指針」が存在すると、繰り返しの日々でも目標を見失わなさそうなので、これはこれで相性として面白いかもしれない。
SSと組んだ場合は「生命や生物といった広い概念での成長」にフォーカスが当たりそうなのに対し、夢原さんだと「個の目標」が強調されそう。ヒープリ本編は今のところ前者よりだと思うのですが、夢原テイストが入ることで印象が変わりそう。
今後15周年企画が続くなら「15年前のシリーズのテーマが何だったか」によって現役シリーズの印象も変わり、新しい見どころになりそうです。
【テレビ本編】
今作の大きな特徴の一つとして、「敵側もプリキュア側と同様の思考をする」。
「実験して試行錯誤して強くなる」は正に「繰り返すことで学習して強くなる」そのまんま。
リフレインも同様です。きっちり前回の経験をもとに対策を練っており、だから強い。
じゃあプリキュア側と何が違うんだろう?
映画から類推すると、「先に進むための学習」なのか「現状維持のための学習」なのかが違いそうです。
前者は必然的に試行錯誤が必要で、常に変えていく要素がある。後者は(局所最適な)必勝パターンが確立したら、そこから先には進まない。
ビョーゲンズとの戦いも、そういう要素が出てくるのかもしれない。
【時間の考察】
半年かけてハグプリの考察をやってきました。(参照:「愛崎えみるの研究室訪問問題」)
その観点でも面白い映画だったので、考察の続きをその内書きたい。
●感想2周目