【プリキュア10周年:ハピネスチャージプリキュア!】
10周年の節目シリーズ「ハピネスチャージ」さん。
本日これにて最終回を迎えられました。ただの1シリーズの最終回ではない、プリキュア10年の最終回。
そしてこれからの10年に続く最終回です。一つの時代の節目を感じますね…。
特に強烈だったのは、前期ED「プリキュアメモリ」、劇場版「人形の国のバレリーナ」、第1話と第22話。
「唇から零れるルビーみたいに、ルビを読んで歌っていた」あの子が大人になったとき、そこにあったのは理想とはほど遠い世界だった。
「人形の国」の冒頭は胸を締め付けられます。あの素敵な世界はテレビの中のこと。現実の私は、暗い部屋の中。
プリキュアが全く通用しない第1話。変身しても次の一手は「逃げる」こと。現実の前に、子供の玩具はガラクタでしかなかった。
そこからプリキュアにもう一度夢を託す22話。私たちは無力だけど、それでももう一度、夢を信じたい。
そして最終話。「NS3」や「人形の国」で、逃避先の夢の世界から目覚めたように、神の庇護を離れ現実に舞い戻る。
結局のところ、プリキュア能力は直接的には問題の解決にはつながらなかったけど、でも確かに力にはなってくれた。
たまたま投げた石が当たったり、たまたま同じ街にいたり、たまたま隣に住んでいたり。
理想の実現には遠くても、そんなたまたまが巡り巡って、今の私たちがいる。
10年前、たまたま「プリキュア」を見て、本当に良かった。
■ハピネスチャージプリキュア! 第49話(最終回)「愛は永遠に輝く!みんな幸せハピネス!」
愛乃さん:
「世界を照らす永遠の愛・フォーエバーラブリー!」
滅びた赤い星に、永遠を宣言する恐るべき愛が降り立ちました。
凛々しく。可憐に。それは地獄からの使者の如く。
傷心の赤い神は、ボロボロの体をひきずり身構えます。おのれ、愛め…!
おぞましき笑顔を満面にたたえ、愛は容赦なく迫ってきます。
赤の応戦も何のその。笑顔を絶やさず払いのけ、その眼は純に神を貫く。
怖い。永遠って怖い。愛って怖い。
前回の赤神の「俺を救いたいなら、俺を愛して共に滅べ」は、つむぎさんの「私を助けたいなら、大人しく人形になって」と同じ。
あの時愛乃さんは、「それが本当につむぎちゃんの願いなのか?」と問いかけました。
今回も同じように問う。赤は本当に滅びを望んでいるのか?
赤:
「良いも悪いもない」
「運命から逃れる術はない」
「愛からいろいろ生まれると言ったな」
「だが」
赤:
「勇気は徒労に終わり、優しさは報われず、希望は砕け散る」
「望もうと望むまいと滅ぶのが運命」
「この世界に永遠などないのだ」
愛乃さん:
「それでも倒れている人がいたら、助けたい」
「泣いている人がいたら、笑って欲しい」
愛乃さん:
「愛があれば、頑張れる」
「どんな困難にも負けない」
愛乃さん:
「愛は消えないよ」
「愛はみんなの心から生まれる」
「私たち一人一人の心から生まれ続ける」
「だから愛は、永遠に消えたりしないんだよ」
愛乃さん:
「もう一度、愛を信じて」
「幸せになることを諦めないで」
抱き着きには定評のある愛乃さん。
そういえば、つむぎさんの時にも体を張って飛び込んでますね。
この子、将来が怖いな…。誠司くん、本当にこれで良いのか。。
赤:
「どんなに痛めつけても諦めない」
「憎んでも決して揺るがない」
「なんという愛の力」
愛乃さんの謎必殺技を食らいながら、赤い神も悟りました。愛の恐怖を。この愛が永遠である理由を。
気が付けば滅びたはずの星に、草も芽生えています。
よく分からないけど、種は残ってたんですかね。もしくは愛乃さんの体に付着してきたのが急速成長したか。
世界各地にも愛は降り注ぐ。戦い続けるプリキュアの群れにも。
残っていたサイアークたちも浄化され、1年に渡る戦いが終わっていく。
これが愛。これが永遠。だけど…
赤:
「だがその愛はいつかは消える」
「幸せになっても、必ずいつかは終わりが来る」
「幸せは永遠には続かない」
赤:
「命は儚い」
「たとえ新たな命が生まれたところで」
「いつかは消えてしまう」
赤:
「築いた幸せも」
「脆くも消え去る運命だ」
いつかは必ず命は失われる。そういう意味での「永遠」はない。
だけど、命は次の命にも続いていく。
滅びたかに思われた赤い星に、まだ命が残っていたように。
神も人も。みんな心に鏡を持っている。
憎しみを持てば憎しみが映るように、愛で照らせば愛が映る。
ひとりでは挫けそうになっても、ふたりならば乗り越えられる。だからプリキュアはふた…
唐突に現れた青い神は、滔々と何やらまとめに入ります。
横にいる信者一号も感極まって追従します。
それでいいのか?という気もしないではないですが、とりあえず赤い神は納得してくれました。
あとこの赤と青、兄弟だったそうです。
痴話喧嘩かと思われたこの大戦は、兄弟喧嘩だったらしい。
突然現れた青に、唖然とする一同が追及する間もなく。青は「赤と一緒に宇宙に出る」宣言。
横にいる信者一号も当然の如くついていくようです。
赤兄さん、本当にそれでいいのか。弟が彼女付きで移り住んでくるとか、孤独よりも辛いと思うのだが。
こうして戦いは終わり、神は去っていきました。
冷静になってみると、ミラージュ様ともども逃げただけじゃ?とも思えますが、まぁ良いです。
これで世界は良くなる。
でも今までと明確に違うことが一つ。
世界には、プリキュア能力保有者が溢れかえっている。
そして幻影幹部の元幹部の皆様も。
しかも素性がバレてるみたいですね。社会復帰、できるのか…?
「日常社会にプリキュアが当たり前にいる」という前代未聞の世界観から始まった本シリーズ。
終わりもまた、「日常世界に当たり前にいる」のまま。
私たちの隣にはプリキュアもいるし、幹部もいる。今やそんなのは当たり前。もちろん私たち自身も。
「プリカードを集めて大いなる願いで一発逆転」と考えていたのも今や昔。
願ったのはこの平穏な日常。私たちがいて、プリキュアがいて、敵幹部も謎生物もいる。
いないのは保護者然とした神だけ。思えば一種の子離れ・親離れを描いた物語でもあったのかもしれない。
「NS3」のマァムは、青神と対応していたのかもな…。
子供の頃に憧れた「プリキュア」と、つらく厳しい大人の現実。
プリキュアに変身したところで、この酷い現実は覆らない。
それでもあの時に無条件に信じたイノセントな思いを胸に、ちょっと背伸びした厚化粧をしてこの現実を渡っていく。
保護者たる神から渡された最後の贈り物を大事に抱えながら。
全てが終わったようにも、これから始まるようにも見える素敵なラストシーンでした。
1年間、そして10年間ありがとうございました。
長い夢が終わり、その夢を抱えて次の一歩を踏み出すような、そんな不思議な気持ちだなぁ。
【今週の幻】
先週までは変身能力を起動して前線に出てたのに、今週になったらまた普段着で観戦モード。
「ノルマは果たしました」的やりとげ感に満ち満ちています。
この悪の女帝様は何を考えてるんだ…。
先日退場した三幹部も、現代社会に復帰なされたようです。
しかしここで沸く疑問が「アクシアから解放された時に、ミラージュ様と一緒に映っていた」こと。
300年前に封印されたミラージュ様と一緒に飛び出てきてるんですから、彼らも300年前の人物なのでは?
仮説1:青が罪滅ぼしも兼ねて現代社会に取り込んであげた(九条さんらのように洗脳潜入は彼らの十八番だ)。
仮説2:赤による侵攻は、アクシア解放前からも行われていた。三幹部はハピネス以前のプリキュアに倒され追加封印された。
仮説3:あの回想シーンは捏造である。実際に飛び出て来たのはミラージュ様だけなのだが、何らかの事情で誤魔化した。
どれもこれも決め手には欠けるし、これといってプッシュしたいポイントもないのですが。
強いて言えば仮説2が物語の幅を感じて楽しいかな。
「なぜヒメルダ姫はアクシアを開けたのか」(この時点でプリキュアになっていたのか?モブキュアがプリキュアになったのはいつなのか?等々)などにも派生しそう。
後日談と言えば、劇場版のつむぎさんが走っていらっしゃいます。
髪型がバレリーナ風なところを見ると、これから練習に行くところなんでしょうか。
お元気なようで喜ばしい。頑張れ、つむぎさん。
【今週の愛】
髪の毛おろして拳構えて殴りつけ、小首傾げて上目づかいとか…!
なんてレベル高い真似するの、この子!
厚化粧なんかより、こういうのが効果的なんですよ!どうしてもっと早く気付かなかった。
【今年のプリキュアさん1】
10周年の特別コンテンツ「ハピネスチャージ」さん。この記念すべき節目に相応しいテーマだったと思う。
「ディケイド」や「ゴーカイジャー」の成功の後だったこともあり、かなりのプレッシャーだったと思いますが、無事にやり遂げられました。
お疲れ様でした、愛乃さん。
欲を言えば、もったいなかったと思うところも多々あります。
まずキャラデザが不利だったような…。
このテーマなら等身が高い系のシリーズの方がしっくり来たと思うんですよ。特にイノセントフォーム…!
おかげでモブキュアの皆様が、本当に明らかにモブっぽく見えてしまい、スペシャル感やインパクトが弱かったように思う。
想像してみたい。もしもモブキュアが「スイート」デザインだったら、どんなに派手だったことか!
作画担当者様は発狂するでしょうけれど(数十人規模の5連フリル…!)
もっとも、逆に「プリキュアくらい普通に当たり前に存在する」という世界観とはしっくりきたなとも思います。難しいな。。
それに今話や前話の彼女らは妙に格好良く見えましたし。何かがもうひと押しだったのかなぁ…。
モブキュアさんたちも、もっと前半から活躍させて欲しかったかな。
ほぼ毎週そこかしこに出てくるみたいな。(ボンバーガールズさんは頑張ってた)
「モブ」と呼ばれてはいますけど、彼女らがいなかったら人類は敗北してるんですよね。
数多の凡庸な普通のプリキュアによる総力戦。
世界の平和は、無力だけどたくさんのモブたちの手によって支えられているのだ…!
【今年のプリキュアさん2】
「もったいないな」と思ったところその2。
姫さんがあんまり有効活用されてなかったように思えます。
「アクシアを開けた、敗戦続きの戦犯プリキュア」という美味しい役回りだった割に、メインの軸からは外れてしまったのは何故なんだろう…。
というか、「アクシア開放の犯人」として、ボンバーガールズさんに殴られる姫さんとか、そういうのが見たかったんですよ!もう!
ストーリー展開だけを考えるなら、姫さんと愛乃さんのキャラは一つにまとめてしまった方が良かったんじゃないかな。
・無条件にハピネスを信じ、人助けに勤しむ愛乃さん。
・ある日、不思議な箱から助けを求める声を聞き、何も考えずに開放する。
・始まる幻影帝国の侵略。現れるプリキュア達。崩れる日常。
・真相を露知らず、相変わらず呑気に人助けを楽しむ愛乃さん。幸せハピネス!
・そこに神がやってきて、キュアラブリーに。
・「ついに私も憧れのプリキュアに!」。色めき立つ愛乃さん。
・が、やがて真相を知る。自分が悪の元凶を解き放ったことを。
これだとブルースカイ王国がいらないですね。
代わりに練馬の神社を敵拠点にしよう。そうすれば、各国プリキュアとも絡めやすくなると思うんですよ。
力をつけたチームが、いよいよ敵本拠に乗り込むぞ!とやってきて交流するとか。
その強かったチームが戻ってこないなんて…とか。
「ふたりはプリキュア」のオマージュで「ひとりでプリキュア」をやるのも手ですね。
「おかしい。憧れてた『プリキュア』には親友がいるはずなのに」みたいな。
まぁ、商業的には青枠(相棒枠)が必要だったのは分かりますが…。
姫さんは良いキャラだっただけに、やっぱり「もったいない」感が色々と。
【今年のプリキュアさん3】
冒頭の歴代挨拶はとても良かった。
10年弱の時を経て、ブラウン管に美翔さんが映るなんて…!
美翔さん:
「プリキュアの活躍は、これからもずーっと続くよ」
日向さん:
「またどこかで会おうね」
SS最終回でのこの言葉は嘘ではなかった。
劇中で赤神が語った「いつか必ず終わってしまう」は紛れもない真実。
ご承知の通り、美翔さんは盛大に玉砕なされた。玉砕しなかった娘さんも放送が終われば去ってしまう。
だけどそれが終わりじゃない。あの美翔さんですら、こうして戻ってきたのだから…!
本音を言うなら、歴代の皆様には本編の端っこにも映っては欲しかったな、とは思います。
メルシィプリキュアが奮闘している横で、一緒に戦ってるハートキャッチチームとか。
プリキュア墓場の隅で封印されてる美翔さんとか。
そういうちょっとした出番はあっても良かったんじゃないかしら。
(まぁこれまでも機会はあっても直接的な登場は避け続けてきましたから、こだわりの美学なのかもしれない)
【今年のプリキュアさん4】
「プリキュアが当たり前にそこらに存在する」「しかし勝てない」という絶望的な第1話はとても衝撃的でした。
あの当時のナマケルダさんは、まさしく悪の幹部の風格が漂ってます。
そこから「大いなる願い」だの「神」だのデカい話になった末、最後にまた「プリキュアがいる日常」に戻ってくる…。
「大いなる願い」で叶えたのは「プリキュアに再変身すること」。
プリキュアが無力であることは散々強調されていたし、直接的に幻影帝国を粉砕すればよいのでは?とも提案されていたのに。
それでも最後に頼ったのは、お子様時代に信じたあのキラキラした「プリキュア」。
前期EDの「プリキュアメモリ」、映画版の「人形の国のバレリーナ」のこの台詞は胸に刻みたい。
「いつか大人になった時も。忘れないでね、愛と勇気」
「君は僕たちをずっとそばに置いてくれた。それがとても嬉しかったんだ」
「たとえ世界中が君を忌み嫌っても、僕たちは君が大好きだ」
「僕たちは無力だけど、ずっとそばにいるよ」
「プリキュア」で描かれていることが綺麗事で、ただのアニメに過ぎないことは皆分かってる。
明日からはまた、つまらないしょうもない仕事や学校が待っている。
思い描いていた夢や理想が実現しないことも、いたって普通に自然にある。
でもそんな時も、あの時に夢中になった「プリキュア」のことを思い出していきたい。
思い返せばこの10年、つくづく色んなことがありました。
ちょうど今年は、個人的に人生の一区切りがついたこともあり、特にしみじみ思います。
これまでの10年間ありがとう。これからの10年間にも期待しています。
10周年の節目シリーズ「ハピネスチャージ」さん。
本日これにて最終回を迎えられました。ただの1シリーズの最終回ではない、プリキュア10年の最終回。
そしてこれからの10年に続く最終回です。一つの時代の節目を感じますね…。
特に強烈だったのは、前期ED「プリキュアメモリ」、劇場版「人形の国のバレリーナ」、第1話と第22話。
「唇から零れるルビーみたいに、ルビを読んで歌っていた」あの子が大人になったとき、そこにあったのは理想とはほど遠い世界だった。
「人形の国」の冒頭は胸を締め付けられます。あの素敵な世界はテレビの中のこと。現実の私は、暗い部屋の中。
プリキュアが全く通用しない第1話。変身しても次の一手は「逃げる」こと。現実の前に、子供の玩具はガラクタでしかなかった。
そこからプリキュアにもう一度夢を託す22話。私たちは無力だけど、それでももう一度、夢を信じたい。
そして最終話。「NS3」や「人形の国」で、逃避先の夢の世界から目覚めたように、神の庇護を離れ現実に舞い戻る。
結局のところ、プリキュア能力は直接的には問題の解決にはつながらなかったけど、でも確かに力にはなってくれた。
たまたま投げた石が当たったり、たまたま同じ街にいたり、たまたま隣に住んでいたり。
理想の実現には遠くても、そんなたまたまが巡り巡って、今の私たちがいる。
10年前、たまたま「プリキュア」を見て、本当に良かった。
■ハピネスチャージプリキュア! 第49話(最終回)「愛は永遠に輝く!みんな幸せハピネス!」
愛乃さん:
「世界を照らす永遠の愛・フォーエバーラブリー!」
滅びた赤い星に、永遠を宣言する恐るべき愛が降り立ちました。
凛々しく。可憐に。それは地獄からの使者の如く。
傷心の赤い神は、ボロボロの体をひきずり身構えます。おのれ、愛め…!
おぞましき笑顔を満面にたたえ、愛は容赦なく迫ってきます。
赤の応戦も何のその。笑顔を絶やさず払いのけ、その眼は純に神を貫く。
怖い。永遠って怖い。愛って怖い。
前回の赤神の「俺を救いたいなら、俺を愛して共に滅べ」は、つむぎさんの「私を助けたいなら、大人しく人形になって」と同じ。
あの時愛乃さんは、「それが本当につむぎちゃんの願いなのか?」と問いかけました。
今回も同じように問う。赤は本当に滅びを望んでいるのか?
赤:
「良いも悪いもない」
「運命から逃れる術はない」
「愛からいろいろ生まれると言ったな」
「だが」
赤:
「勇気は徒労に終わり、優しさは報われず、希望は砕け散る」
「望もうと望むまいと滅ぶのが運命」
「この世界に永遠などないのだ」
愛乃さん:
「それでも倒れている人がいたら、助けたい」
「泣いている人がいたら、笑って欲しい」
愛乃さん:
「愛があれば、頑張れる」
「どんな困難にも負けない」
愛乃さん:
「愛は消えないよ」
「愛はみんなの心から生まれる」
「私たち一人一人の心から生まれ続ける」
「だから愛は、永遠に消えたりしないんだよ」
愛乃さん:
「もう一度、愛を信じて」
「幸せになることを諦めないで」
抱き着きには定評のある愛乃さん。
そういえば、つむぎさんの時にも体を張って飛び込んでますね。
この子、将来が怖いな…。誠司くん、本当にこれで良いのか。。
赤:
「どんなに痛めつけても諦めない」
「憎んでも決して揺るがない」
「なんという愛の力」
愛乃さんの謎必殺技を食らいながら、赤い神も悟りました。愛の恐怖を。この愛が永遠である理由を。
気が付けば滅びたはずの星に、草も芽生えています。
よく分からないけど、種は残ってたんですかね。もしくは愛乃さんの体に付着してきたのが急速成長したか。
世界各地にも愛は降り注ぐ。戦い続けるプリキュアの群れにも。
残っていたサイアークたちも浄化され、1年に渡る戦いが終わっていく。
これが愛。これが永遠。だけど…
赤:
「だがその愛はいつかは消える」
「幸せになっても、必ずいつかは終わりが来る」
「幸せは永遠には続かない」
赤:
「命は儚い」
「たとえ新たな命が生まれたところで」
「いつかは消えてしまう」
赤:
「築いた幸せも」
「脆くも消え去る運命だ」
いつかは必ず命は失われる。そういう意味での「永遠」はない。
だけど、命は次の命にも続いていく。
滅びたかに思われた赤い星に、まだ命が残っていたように。
神も人も。みんな心に鏡を持っている。
憎しみを持てば憎しみが映るように、愛で照らせば愛が映る。
ひとりでは挫けそうになっても、ふたりならば乗り越えられる。だからプリキュアはふた…
唐突に現れた青い神は、滔々と何やらまとめに入ります。
横にいる信者一号も感極まって追従します。
それでいいのか?という気もしないではないですが、とりあえず赤い神は納得してくれました。
あとこの赤と青、兄弟だったそうです。
痴話喧嘩かと思われたこの大戦は、兄弟喧嘩だったらしい。
突然現れた青に、唖然とする一同が追及する間もなく。青は「赤と一緒に宇宙に出る」宣言。
横にいる信者一号も当然の如くついていくようです。
赤兄さん、本当にそれでいいのか。弟が彼女付きで移り住んでくるとか、孤独よりも辛いと思うのだが。
こうして戦いは終わり、神は去っていきました。
冷静になってみると、ミラージュ様ともども逃げただけじゃ?とも思えますが、まぁ良いです。
これで世界は良くなる。
でも今までと明確に違うことが一つ。
世界には、プリキュア能力保有者が溢れかえっている。
そして幻影幹部の元幹部の皆様も。
しかも素性がバレてるみたいですね。社会復帰、できるのか…?
「日常社会にプリキュアが当たり前にいる」という前代未聞の世界観から始まった本シリーズ。
終わりもまた、「日常世界に当たり前にいる」のまま。
私たちの隣にはプリキュアもいるし、幹部もいる。今やそんなのは当たり前。もちろん私たち自身も。
「プリカードを集めて大いなる願いで一発逆転」と考えていたのも今や昔。
願ったのはこの平穏な日常。私たちがいて、プリキュアがいて、敵幹部も謎生物もいる。
いないのは保護者然とした神だけ。思えば一種の子離れ・親離れを描いた物語でもあったのかもしれない。
「NS3」のマァムは、青神と対応していたのかもな…。
子供の頃に憧れた「プリキュア」と、つらく厳しい大人の現実。
プリキュアに変身したところで、この酷い現実は覆らない。
それでもあの時に無条件に信じたイノセントな思いを胸に、ちょっと背伸びした厚化粧をしてこの現実を渡っていく。
保護者たる神から渡された最後の贈り物を大事に抱えながら。
全てが終わったようにも、これから始まるようにも見える素敵なラストシーンでした。
1年間、そして10年間ありがとうございました。
長い夢が終わり、その夢を抱えて次の一歩を踏み出すような、そんな不思議な気持ちだなぁ。
(左画像)「ハピネスチャージプリキュア!」ボーカルアルバム2 (右画像)2015カレンダー ハピネスチャージプリキュア! Twitterアカウント:http://twitter.com/RubyGillis |
【今週の幻】
先週までは変身能力を起動して前線に出てたのに、今週になったらまた普段着で観戦モード。
「ノルマは果たしました」的やりとげ感に満ち満ちています。
この悪の女帝様は何を考えてるんだ…。
先日退場した三幹部も、現代社会に復帰なされたようです。
しかしここで沸く疑問が「アクシアから解放された時に、ミラージュ様と一緒に映っていた」こと。
300年前に封印されたミラージュ様と一緒に飛び出てきてるんですから、彼らも300年前の人物なのでは?
仮説1:青が罪滅ぼしも兼ねて現代社会に取り込んであげた(九条さんらのように洗脳潜入は彼らの十八番だ)。
仮説2:赤による侵攻は、アクシア解放前からも行われていた。三幹部はハピネス以前のプリキュアに倒され追加封印された。
仮説3:あの回想シーンは捏造である。実際に飛び出て来たのはミラージュ様だけなのだが、何らかの事情で誤魔化した。
どれもこれも決め手には欠けるし、これといってプッシュしたいポイントもないのですが。
強いて言えば仮説2が物語の幅を感じて楽しいかな。
「なぜヒメルダ姫はアクシアを開けたのか」(この時点でプリキュアになっていたのか?モブキュアがプリキュアになったのはいつなのか?等々)などにも派生しそう。
後日談と言えば、劇場版のつむぎさんが走っていらっしゃいます。
髪型がバレリーナ風なところを見ると、これから練習に行くところなんでしょうか。
お元気なようで喜ばしい。頑張れ、つむぎさん。
【今週の愛】
髪の毛おろして拳構えて殴りつけ、小首傾げて上目づかいとか…!
なんてレベル高い真似するの、この子!
厚化粧なんかより、こういうのが効果的なんですよ!どうしてもっと早く気付かなかった。
【今年のプリキュアさん1】
10周年の特別コンテンツ「ハピネスチャージ」さん。この記念すべき節目に相応しいテーマだったと思う。
「ディケイド」や「ゴーカイジャー」の成功の後だったこともあり、かなりのプレッシャーだったと思いますが、無事にやり遂げられました。
お疲れ様でした、愛乃さん。
欲を言えば、もったいなかったと思うところも多々あります。
まずキャラデザが不利だったような…。
このテーマなら等身が高い系のシリーズの方がしっくり来たと思うんですよ。特にイノセントフォーム…!
おかげでモブキュアの皆様が、本当に明らかにモブっぽく見えてしまい、スペシャル感やインパクトが弱かったように思う。
想像してみたい。もしもモブキュアが「スイート」デザインだったら、どんなに派手だったことか!
作画担当者様は発狂するでしょうけれど(数十人規模の5連フリル…!)
もっとも、逆に「プリキュアくらい普通に当たり前に存在する」という世界観とはしっくりきたなとも思います。難しいな。。
それに今話や前話の彼女らは妙に格好良く見えましたし。何かがもうひと押しだったのかなぁ…。
モブキュアさんたちも、もっと前半から活躍させて欲しかったかな。
ほぼ毎週そこかしこに出てくるみたいな。(ボンバーガールズさんは頑張ってた)
「モブ」と呼ばれてはいますけど、彼女らがいなかったら人類は敗北してるんですよね。
数多の凡庸な普通のプリキュアによる総力戦。
世界の平和は、無力だけどたくさんのモブたちの手によって支えられているのだ…!
【今年のプリキュアさん2】
「もったいないな」と思ったところその2。
姫さんがあんまり有効活用されてなかったように思えます。
「アクシアを開けた、敗戦続きの戦犯プリキュア」という美味しい役回りだった割に、メインの軸からは外れてしまったのは何故なんだろう…。
というか、「アクシア開放の犯人」として、ボンバーガールズさんに殴られる姫さんとか、そういうのが見たかったんですよ!もう!
ストーリー展開だけを考えるなら、姫さんと愛乃さんのキャラは一つにまとめてしまった方が良かったんじゃないかな。
・無条件にハピネスを信じ、人助けに勤しむ愛乃さん。
・ある日、不思議な箱から助けを求める声を聞き、何も考えずに開放する。
・始まる幻影帝国の侵略。現れるプリキュア達。崩れる日常。
・真相を露知らず、相変わらず呑気に人助けを楽しむ愛乃さん。幸せハピネス!
・そこに神がやってきて、キュアラブリーに。
・「ついに私も憧れのプリキュアに!」。色めき立つ愛乃さん。
・が、やがて真相を知る。自分が悪の元凶を解き放ったことを。
これだとブルースカイ王国がいらないですね。
代わりに練馬の神社を敵拠点にしよう。そうすれば、各国プリキュアとも絡めやすくなると思うんですよ。
力をつけたチームが、いよいよ敵本拠に乗り込むぞ!とやってきて交流するとか。
その強かったチームが戻ってこないなんて…とか。
「ふたりはプリキュア」のオマージュで「ひとりでプリキュア」をやるのも手ですね。
「おかしい。憧れてた『プリキュア』には親友がいるはずなのに」みたいな。
まぁ、商業的には青枠(相棒枠)が必要だったのは分かりますが…。
姫さんは良いキャラだっただけに、やっぱり「もったいない」感が色々と。
【今年のプリキュアさん3】
冒頭の歴代挨拶はとても良かった。
10年弱の時を経て、ブラウン管に美翔さんが映るなんて…!
美翔さん:
「プリキュアの活躍は、これからもずーっと続くよ」
日向さん:
「またどこかで会おうね」
SS最終回でのこの言葉は嘘ではなかった。
劇中で赤神が語った「いつか必ず終わってしまう」は紛れもない真実。
ご承知の通り、美翔さんは盛大に玉砕なされた。玉砕しなかった娘さんも放送が終われば去ってしまう。
だけどそれが終わりじゃない。あの美翔さんですら、こうして戻ってきたのだから…!
本音を言うなら、歴代の皆様には本編の端っこにも映っては欲しかったな、とは思います。
メルシィプリキュアが奮闘している横で、一緒に戦ってるハートキャッチチームとか。
プリキュア墓場の隅で封印されてる美翔さんとか。
そういうちょっとした出番はあっても良かったんじゃないかしら。
(まぁこれまでも機会はあっても直接的な登場は避け続けてきましたから、こだわりの美学なのかもしれない)
【今年のプリキュアさん4】
「プリキュアが当たり前にそこらに存在する」「しかし勝てない」という絶望的な第1話はとても衝撃的でした。
あの当時のナマケルダさんは、まさしく悪の幹部の風格が漂ってます。
そこから「大いなる願い」だの「神」だのデカい話になった末、最後にまた「プリキュアがいる日常」に戻ってくる…。
「大いなる願い」で叶えたのは「プリキュアに再変身すること」。
プリキュアが無力であることは散々強調されていたし、直接的に幻影帝国を粉砕すればよいのでは?とも提案されていたのに。
それでも最後に頼ったのは、お子様時代に信じたあのキラキラした「プリキュア」。
前期EDの「プリキュアメモリ」、映画版の「人形の国のバレリーナ」のこの台詞は胸に刻みたい。
「いつか大人になった時も。忘れないでね、愛と勇気」
「君は僕たちをずっとそばに置いてくれた。それがとても嬉しかったんだ」
「たとえ世界中が君を忌み嫌っても、僕たちは君が大好きだ」
「僕たちは無力だけど、ずっとそばにいるよ」
「プリキュア」で描かれていることが綺麗事で、ただのアニメに過ぎないことは皆分かってる。
明日からはまた、つまらないしょうもない仕事や学校が待っている。
思い描いていた夢や理想が実現しないことも、いたって普通に自然にある。
でもそんな時も、あの時に夢中になった「プリキュア」のことを思い出していきたい。
思い返せばこの10年、つくづく色んなことがありました。
ちょうど今年は、個人的に人生の一区切りがついたこともあり、特にしみじみ思います。
これまでの10年間ありがとう。これからの10年間にも期待しています。