半年以上抱え込んで、結論が出そうになかったので諦めて吐き出してみる。
【未来からの侵略】
私も含め、ハグプリの考察の多くは「現在と未来の行き来はない」を前提にしています。あざばぶ支社(2018年)は、クライアス本社(2043年)と情報伝達は不可。というのも、これを前提にしないとややこしい話になる。
特に「平行世界」説や「歴史改変」説にとっては致命的です。情報交換がされるたびに分岐や改変が起きますから、収拾がつかなくなる。
ストーリー上の矛盾も深刻で、もはやジョージの背景が理解不能になります。未来は変わるじゃないか、何を悩んでいたのか。
「歴史は変わらない(未来不変)」の立場でも厄介です。
クライアス社員の立場だと「破滅する未来」を知っていますから、「勝つ」と分かる。だから対プリキュアにも自信を持てる…のですが、問題は「過程」です。
もし未来と連絡が取れるなら、普通は詳細を調べさせ、対策を取ります。しかし彼らはそれをやっている様子がない。
ではなぜ行き来ができなかった(または行き来しなかった)のか。
第一に思い浮かぶのは「タイムトラベルの技術がなかった」。
最終回の描写などからも、はぐたんが構築した手段でしかタイムトラベルできなさそうですから、これ自体はそれなりに確からしい。
ですがパップルらは「その気になれば帰れる」かのような発言をしています。実際はぐたん頼りだったなら、下手すれば2018年から戻れなくなりかねない。その割には危機感がないです。
そうすると次に浮かぶのは「情報操作」です。「本当は行き来できないのに、できるかのように見せかけた」または「行き来はできるが、裏でそれを止めていた」。
仮にそうなら実行できる人物は限られます。
ジョージは社を離れて2018年を放浪していたので厳しい。「何もしない男」のイメージにも合いません。
トラウムはいかにもやりそうですが、彼は途中から離脱しています。トラウムが抜けた後、ビシンあたりは未来情報の活用を考えそうだ。
残るはリストルです。彼の立場ならできる。
【過去での葛藤】
(「HUGっと!プリキュア」1話より)
リストルは序盤において、ジョージの振りをできる程度には場を掌握しています。未来への通信を隠蔽なり遮断なりもできそうです。
中盤以降もずっと会社にいるし、前述のビシンの制御も他の社員よりはできるはず。
では「できる」として、やる動機はなんだろう。
リストルは思うところはありながらも、ジョージに付き従っています。裏切りそうといえばそうだし、逆に裏切る気があるならもっとはっきりした動きをしそうです。
とりあえず「裏切りのつもりだったのか」は横において、彼の視点で考えてみる。
まず「行き来ができなかった」場合は比較的シンプルです。戻れないことをパップルらが知ったらパニックになりかねない。だから黙っていた。
(注:ルールーの修理関連で未来に戻ったかのような発言をしていたかもしれない。もししていたなら、それも偽装と仮定しよう)
「行き来ができる」場合。
前提として、彼の認識では(世界の真相が何であれ)「歴史は変わらない」のはずです。
変わるんだったら時間停止ではなく、世界の救済を目指せばいい。
クライアスの戦略は「未来を破滅させる」ではなく、「破滅の未来は変えられない。だからその日が来ないように停止させる」。録画された動画は何度再生されても結末は変わらないけど、一時停止すれば結末に至るのを避けられます。
さてそうすると「未来との行き来はできた」場合、リストルは未来に戻って今の時代の情報を漁るんだろうか。
「未来は変わらない」のだから、「プリキュアが世界を救ったりはしない」ことは調べるまでもなく分かります。では「全人類のプリキュア化」などは把握できるんだろうか。把握したいんだろうか。
情報を漁ってもおかしくはないし、漁らなくてもおかしくはない。
知りたいと思うのは自然な欲求です。知っても変えられない(知ること自体も定められている)なら、わざわざやる意味がないとも言える。リストルの人物像だとどちらもありそうで、何とも分かりません。
もっとまずい問題もある。
この手の思考をしたなら、すぐに「時間停止は完全にはなされない」と思い至ります。
「プリキュアに負けて失敗する」といった単純な話ではなく、「時間を停止できても、量子論的な何かのゆらぎにより、遥か彼方の停止の果てにはいずれ再開する」からです。(参考:「停止した時の果て」)
だとすると、リストルは「全ては無駄である」の空虚な諦念に陥っていたのかもしれない。これはリストルの描写とも合致するように思う。
そして同じような絶望に染まらぬように、パップルらの未来への行き来は阻害した。阻害してもしなくても未来は変わらない(正確には「リストルの思いが何であれ、阻害したかどうかの未来は変わらない」)ので、せめてもの自己満足を選んだ。
33話にて「(自己の都合で他者の妨害をする人は)俺の最も嫌うタイプだ」と発言しています。上記の状況はこれに近く、だからこそ嫌悪を顕にしたようにも思えます。
【朧気な現在】
これらは無駄に考えすぎてるだけで、事はもっと単純なのかもしれない。
たとえば「予算がおりなかったから行き来する気が起きなかった」とか「普通に行き来していたが、未来は文明が崩壊していて過去の情報を得られなかった」のかもしれない。
もしくは「未来側から情報封鎖されていた」もある。
ただ33話の自嘲気味の語りといい、彼には何か抱えているものがありそうです。そもそも彼が絶望した理由もはっきりしない。
「部下を裏切って情報を閉ざしていた」「ジョージの(おそらくはジョージ自身も気づいている)時間停止のジレンマを知りつつ従っている」というのは、なんとなく彼の背景にあっているようには思います。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
【未来からの侵略】
私も含め、ハグプリの考察の多くは「現在と未来の行き来はない」を前提にしています。あざばぶ支社(2018年)は、クライアス本社(2043年)と情報伝達は不可。というのも、これを前提にしないとややこしい話になる。
特に「平行世界」説や「歴史改変」説にとっては致命的です。情報交換がされるたびに分岐や改変が起きますから、収拾がつかなくなる。
ストーリー上の矛盾も深刻で、もはやジョージの背景が理解不能になります。未来は変わるじゃないか、何を悩んでいたのか。
「歴史は変わらない(未来不変)」の立場でも厄介です。
クライアス社員の立場だと「破滅する未来」を知っていますから、「勝つ」と分かる。だから対プリキュアにも自信を持てる…のですが、問題は「過程」です。
もし未来と連絡が取れるなら、普通は詳細を調べさせ、対策を取ります。しかし彼らはそれをやっている様子がない。
ではなぜ行き来ができなかった(または行き来しなかった)のか。
第一に思い浮かぶのは「タイムトラベルの技術がなかった」。
最終回の描写などからも、はぐたんが構築した手段でしかタイムトラベルできなさそうですから、これ自体はそれなりに確からしい。
ですがパップルらは「その気になれば帰れる」かのような発言をしています。実際はぐたん頼りだったなら、下手すれば2018年から戻れなくなりかねない。その割には危機感がないです。
そうすると次に浮かぶのは「情報操作」です。「本当は行き来できないのに、できるかのように見せかけた」または「行き来はできるが、裏でそれを止めていた」。
仮にそうなら実行できる人物は限られます。
ジョージは社を離れて2018年を放浪していたので厳しい。「何もしない男」のイメージにも合いません。
トラウムはいかにもやりそうですが、彼は途中から離脱しています。トラウムが抜けた後、ビシンあたりは未来情報の活用を考えそうだ。
残るはリストルです。彼の立場ならできる。
【過去での葛藤】
(「HUGっと!プリキュア」1話より)
リストルは序盤において、ジョージの振りをできる程度には場を掌握しています。未来への通信を隠蔽なり遮断なりもできそうです。
中盤以降もずっと会社にいるし、前述のビシンの制御も他の社員よりはできるはず。
では「できる」として、やる動機はなんだろう。
リストルは思うところはありながらも、ジョージに付き従っています。裏切りそうといえばそうだし、逆に裏切る気があるならもっとはっきりした動きをしそうです。
とりあえず「裏切りのつもりだったのか」は横において、彼の視点で考えてみる。
まず「行き来ができなかった」場合は比較的シンプルです。戻れないことをパップルらが知ったらパニックになりかねない。だから黙っていた。
(注:ルールーの修理関連で未来に戻ったかのような発言をしていたかもしれない。もししていたなら、それも偽装と仮定しよう)
「行き来ができる」場合。
前提として、彼の認識では(世界の真相が何であれ)「歴史は変わらない」のはずです。
変わるんだったら時間停止ではなく、世界の救済を目指せばいい。
クライアスの戦略は「未来を破滅させる」ではなく、「破滅の未来は変えられない。だからその日が来ないように停止させる」。録画された動画は何度再生されても結末は変わらないけど、一時停止すれば結末に至るのを避けられます。
さてそうすると「未来との行き来はできた」場合、リストルは未来に戻って今の時代の情報を漁るんだろうか。
「未来は変わらない」のだから、「プリキュアが世界を救ったりはしない」ことは調べるまでもなく分かります。では「全人類のプリキュア化」などは把握できるんだろうか。把握したいんだろうか。
情報を漁ってもおかしくはないし、漁らなくてもおかしくはない。
知りたいと思うのは自然な欲求です。知っても変えられない(知ること自体も定められている)なら、わざわざやる意味がないとも言える。リストルの人物像だとどちらもありそうで、何とも分かりません。
もっとまずい問題もある。
この手の思考をしたなら、すぐに「時間停止は完全にはなされない」と思い至ります。
「プリキュアに負けて失敗する」といった単純な話ではなく、「時間を停止できても、量子論的な何かのゆらぎにより、遥か彼方の停止の果てにはいずれ再開する」からです。(参考:「停止した時の果て」)
だとすると、リストルは「全ては無駄である」の空虚な諦念に陥っていたのかもしれない。これはリストルの描写とも合致するように思う。
そして同じような絶望に染まらぬように、パップルらの未来への行き来は阻害した。阻害してもしなくても未来は変わらない(正確には「リストルの思いが何であれ、阻害したかどうかの未来は変わらない」)ので、せめてもの自己満足を選んだ。
33話にて「(自己の都合で他者の妨害をする人は)俺の最も嫌うタイプだ」と発言しています。上記の状況はこれに近く、だからこそ嫌悪を顕にしたようにも思えます。
【朧気な現在】
これらは無駄に考えすぎてるだけで、事はもっと単純なのかもしれない。
たとえば「予算がおりなかったから行き来する気が起きなかった」とか「普通に行き来していたが、未来は文明が崩壊していて過去の情報を得られなかった」のかもしれない。
もしくは「未来側から情報封鎖されていた」もある。
ただ33話の自嘲気味の語りといい、彼には何か抱えているものがありそうです。そもそも彼が絶望した理由もはっきりしない。
「部下を裏切って情報を閉ざしていた」「ジョージの(おそらくはジョージ自身も気づいている)時間停止のジレンマを知りつつ従っている」というのは、なんとなく彼の背景にあっているようには思います。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)