さっちゃん 空を飛ぶ

認知症で要介護5の妻との楽しい日常を 日記に書き留めたいと思います

2ヶ月ぶりの言語リハビリは散々な状態でした。不穏! 不穏! 不穏!

2020-06-12 23:32:06 | 言語リハビリ
僕の体調が良くなかったものですから、水曜日の言語リハビリの報告が今になってしまいました。

2ヶ月ちょっとぶりに言語リハビリが再開されました。
この水曜日には言語リハビリの前にリハビリテーション科の医師の診断も入っていました。
この医師の先生とリハビリのST(言語聴覚士)の先生でさっちゃんのリハビリ方針を決めているのだと思います。
医師の先生からはさっちゃんの最近の様子の聞き取りが大部分です。
さっちゃんは何も理解できず、質問にも当然答えられませんから、先生の質問すべてに答えるのは僕ということになります。
さっちゃんに向けられた問いは腕が上がるかどうか? と、最後に自力で椅子から立ち上がれるかどうかの2点だけでした。
腕は僕が持ち上げてあげましたが、自分で上げる気はないわけですから、シャキッと真っすぐは上がりっこないですよね。
最後の自力で椅子から立ち上がることは、まだまださっちゃんには簡単に出来ます。

そこまでは良かったんですが、問題はその後の言語リハビリ。
久し振りですし、今日は上手くメニューをこなせられるわけがない、とは最初から予想していました。
でも、こんな展開になるとは・・・・

まず「こんにちは」と近づいて来たSTのT田先生に、さっちゃん何の反応も示しません。
顔がすぐ近くに寄って来ているのに、そちらを見もしませんし、そこに顔があることを認識している風にも見えません。
やっと顔を見ても無表情なまま、T田先生のことは忘れてしまっているようですね。
忘れていることは予想通りですが、僕自身も驚いたことがあります。
それは先生の姿、マスクは当然として、手袋、フェイスシールド、そしてビニール製でしょうか、透明なエプロンのようなものをまとっています。
さらにリハビリを行う部屋に入ると、先生とさっちゃんが向き合って座るテーブルの中央に透明な板がありました。
その板には下部に高さ10センチ、幅40センチほどの穴が開けてあって、そこを使用するカードや器具が通ることになるのです。
僕はよくテレビドラマで見る刑務所の面接室を思い出してしまいました。
さっちゃんの気持ちはどうだか分かりませんが、先生の姿やテーブルの道具立てに違和感を抱いたことは十分にありうると思いますね。

と言う訳で、さっちゃんは最初から抵抗する感じ満々でした。
テーブルの椅子に座って、先生から僕がさっちゃんの近況をあれこれ聞かれている最中に「帰る」と言い始める始末。
最初は何度も制止して椅子にとどまらせることが出来ましたけれど、途中からは椅子から離れるのを制止するので精一杯。
この日は先生がさっちゃんとの会話(?)を録音していたのですが、そのレコーダーを掴んで壊しちゃいました。
(本当に壊したのか、どこか蓋が開いてしまっただけなのか、確認は出来ませんでしたが)

何度も何度も立ち上がろうとするさっちゃんを椅子に座らせ続けましたが、いつまでもそんなことは出来ません。
帰りたい気持ちが強まって、押しとどめようとする僕の頭を手の平でポンと叩いたりもします。
「しばらく歩いて来ると落ち着くかもしれません」と先生に話して、部屋を出て歩くことにしました。
部屋から出ても、さっちゃんは僕の手も振り払おうとしながら、大きな声で何やら叫びまくります。
他のリハビリをしている方々や待合室で待っている方々も驚いて視線を向けます。
リハビリの大きな部屋から出て、病院の廊下をさっちゃんに引きずられるように先生と僕が一緒に歩きます。
さっちゃんは帰ろうとしても帰り道は分かりません。
でも、病院内をどこでも歩き回っていいものでもありません。
結局、数十メートルほど先から再びリハビリの部屋に戻って来ました。
(実際はこんなことを2回繰り返しました)
先生は今は使用していない(窓がなく換気が出来ないため)防音措置が取られている部屋に「入ろうか?」とさっちゃんを誘ってくれるんですが、
さっちゃんはそんなことは一切聞かずに、待合室の椅子に座ってしまいました。

とりあえず、ここで今日のリハビリは終了。
30分の時間が経過していました。
来週の予約を入れたりと、必要な手続きをします。
二人のザックは先生が持って来てくださいました。
手続きは終了しましたが、さっちゃんはまだ手を触れると爆発しそうなピリピリムード。
椅子にじっと座り続けているさっちゃんを僕はしばらく少し離れた位置から眺めていました。
時間の経過でさっちゃんの気分が少しでも変化するのを期待したのです。

何分ほど待ったのでしょうか?
そろそろいいかな? と、さっちゃんに「帰ろうか?」と手を掴むと、まだ手を振り払おうとします。
でも、先ほどまでの強さは失なわれています。
さっちゃんは立ち上がって、僕と一緒に階下の会計へと向かいました。
会計の待合室の椅子に座ってもらうのですが、僕が窓口へ行っている間にどこかへ行ってしまうのではと心配していました。
でも、じっと座って待っていてくれました。

病院内でも、病院を出て駅へと歩く途中でも、さっちゃんは僕と手をつなぐのを拒否することが多かったですね。
でも、だんだんと拒否する感情も弱まって来たんでしょうか? 駅近くではずっと手をつないでくれました。
駅のホームでもまだ少し拒絶感が残っていましたが、電車の中くらいからは普段のさっちゃんに戻っていたように思います。

この水曜日はさっちゃんにとって良くない意味の刺激が多く重なり過ぎたのでしょう。
2ヶ月以上電車にも乗っていませんでしたし、大きな病院へも行っていませんでした。
暑い中、駅まで歩き、suicaをタッチして改札口を通過し、知らない人のたくさんいるホームに降りる。
そんな何でもない普通のことでも、恐らくさっちゃんにとっては心を疲労させるマイナスの刺激だったんでしょうね。
病院という場所は普通の人間にとっても好きな場所ではありませんしね。
ただの付き添いですが、僕自身も病院へ行くとすごく疲れます。
病院の中でさっちゃんがどれほど嫌な気分になったかは想像が出来ませんね。

もちろん以前の慣れが失われていたからでもあるでしょうが、今回の結果は致し方なかったと思います。
それにしても、見事なまでに不穏! 不穏! 不穏! でしたね。
コメント
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