さっちゃん 空を飛ぶ

認知症で要介護5の妻との楽しい日常を 日記に書き留めたいと思います

言語リハビリの時のさっちゃんは暗くて重い感情に支配されがちに感じます

2020-06-24 23:48:48 | 言語リハビリ
水曜日は言語リハビの日。
今朝のさっちゃんの出発までの様子は可もなく不可もなし、ってな感じ。
朝食は3分の1ほど食べ、薬も半分ほど飲み、トイレでおしっこはして、歯磨きは相変わらず非協力的。
ゆとりのある時間に家を出て、予定していた電車に乗れました。

今日のさっちゃんにはとりわけ不穏な様子も見られず、T田先生に会って部屋に入って、椅子に座るまでも順調でした。
ちょっと心配な点があると言えば、俯きがちで元気がないという点。
先生がリハビリに導入しようと、身近な話題からさっちゃんに話しかけていくんですが、さっちゃんの反応は薄く、目も伏せがちで、先生のことをあまり見ません。

いつものようにさっちゃんは何やら喋り始めました。
先生の話しに合わせているのだか、無関係に勝手に喋ってるんだか、それは不明です。
ただ、その喋りは陰々滅々、聞いてるこちらも落ち込みそうな雰囲気。
時々何となく分かるフレーズが出て来るのですが、
「私は何にも出来ない。何にも分からない」とか
「あの人(僕のこと)に聞いて」とか
そんなニュアンスが微かに伝わってくる気がします。

先生がさっちゃんをリハビリに引き込もうとする努力も、ことごとく無視・無反応で応じるさっちゃんによって、水泡に帰します。
しかも、静かに暗かっただけのさっちゃんが「帰ろう」と言い出し、反抗の芽が見え始めました。
先生もこれ以上留めておくのは無理そうだと感じたのでしょう、「今日はここまでにしましょうか」とも。
ただ、「帰ろう」と言って椅子から立ち上がったさっちゃんですが、前々回のように部屋から出て、病院からも飛び出して行きそうな勢いはありません。
椅子のそば、部屋の中にとどまっています。

そこで先生が「ちょっと外の空気を吸ってみましょうか?」と、さっちゃんを部屋の外へ連れ出しました。
部屋の外と言っても、まだリハビリのトレーニングルームなんですが、運動器具などがある部屋を抜けると、そこは屋上のような場所でした。
「天気がいいと向こうに富士山が見えるんですよ」
「あの建物はコンビニやパン屋さんがあるところですね」
「あのパン屋さんは人気だそうですよ。食べたことあります?」

などと普通の会話をしてくださいました。
さっちゃんの表情も心なしか和らいだような気がします。

また部屋に戻って、「ふじのやま」を歌いました。
先生と僕は大きな声を出して歌いました。
さっちゃんのも微かに動いています。
ほんの小声ですが、声も出ています。
たったこれだけのことですが、嬉しく感じました。
T田先生にとってもそうだろうと思います。

今日は再開後3回目のリハビリでしたが、さっちゃんにとって言語リハビリとはいったい何だろう? と考えることがあります。
リハビリメニューがこなせなければ、リハビリできていると言えないのでしょうか?
そうならば、再開後もその前もさっちゃんはリハビリできていないことが多いですよね。
例えば、先生が「ねこ」と発語して、さっちゃんが「ねこ」と言う。
こんな訓練がありますけれど、今のさっちゃんは「ねこ」と言ってくれません。
でも、それはさっちゃんの反抗だったり怠惰だったりが原因なのでしょうか?
そうではないと思います。
さっちゃんの認知症、それに伴う失語症の病状がそのレベルに来ているせいだと思います。
さっちゃんの意識のどこかでは「ねこ」と言いたいのだと僕は信じています。
でも、言えない病状があるのでしょうね。

水曜日の言語リハビリの1時間は、さっちゃんにとって真面目で真剣な1時間だとさっちゃん自身感じていると思います。
僕には見えないところで、さっちゃんも必死にリハビリしようとしているのだと思います。
コメント
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