さっちゃん 空を飛ぶ

認知症で要介護5の妻との楽しい日常を 日記に書き留めたいと思います

5月18~19日は苗場山南麓の赤湯温泉でYYDの山菜山行に参加しました

2019-05-27 15:49:39 | 山登り
僕が今の山岳会YYDに入会して4年目になりますけれど、5月の山菜山行に初めて参加できました。
宿泊する赤湯温泉も40年ほど前からたびたび泊りに行っている、僕の大好きな温泉です。
10回以上は泊まっていると思います。
さっちゃんとも3、4回は一緒に泊まっています。

YYDのメンバーも10数名いますけれど、さっちゃんと親しいメンバーが一人もいないのがちょっと残念。
どちらにせよ、YYDのメンバーと同じスピードでは歩けませんから、半分は別行動になる予定です。

高崎駅での切符消滅事件はすでにこのブログで書きました。
越後湯沢駅には他のメンバーより小1時間前に到着し、コンビニで朝食を買って食べたりしました。
バスに乗って、苗場プリンスホテルまで行きます。
そこで車組と合流し、スタート。


▲林道を歩きます。林道沿い最大級の残雪がこれ。皆で林道わきで見つかる山菜を収穫しながら進みます。さっちゃんは山菜採りには無関心。YYDのメンバーとも仲間意識皆無。むしろ、一緒にいることを嫌がっている感じもあるくらいです。僕がYYDメンバーと交流するのを非難する雰囲気すら感じられます。僕に、「なんでゆっくり歩いてんの! 早く行くよ!」と急かします。もちろん、そう言ってるんだかは分からないのですが、そう言ってる感じがします。山菜採りに関心のないさっちゃんはどんどん先に進みます。仕方なく僕もさっちゃんを追いかけます。


▲先行するさっちゃんと僕は時々休憩して後続YYDメンバーと合流します。小日橋で合流し、林道終点のこの写真の場所でも休憩し合流。山菜採りも林道沿いがメインですから、ここからの山道ではさっちゃんと僕は遅れることになりますね。


▲山道沿いには春の花がたくさん咲いていました。これはイワウチワ。名前からも分かるように岩っぽい地形でよく見る花です。山道に入ると、いきなりの急登が続きました。さっちゃんには大変!


ムラサキヤシオツツジ。別名はムラサキヤシオ、ミヤマツツジ。この花がいちばん艶やかに咲いていました。

他にもショウジョウバカマ、オオカメノキ、アズマシャクナゲなどが咲いていました。
いちばん目立って多かったのはタムシバ。
ただ、タムシバだとは思うんですが、ひょっとしたらコブシなのかもしれません。

鷹ノ巣峠までの急登が終了すると、あとはなだらかに山腹を巻く森の中の山道が続くだけです。
そう思っていました。
でも、ここ数年で荒れてしまったのか、それとも雪が消えたばかりのこの時季はいつもそうなのか、
僕の記憶とは全く異なって、荒廃した箇所が次々出現します。


▲ここはさほど荒れた山道ではありません。荒れた箇所では写真を撮る余裕がありませんでした。さっちゃんをしっかりと見守ってやらなければなりませんでしたから。

YYDメンバーはすでにずうっと先へ行ってしまっています。
赤湯温泉へは1時間以上は先に到着するでしょう。
そんな中、リーダー(会長でもあります)のS原さんがさっちゃんと僕を静かに見守ってくれていました。
2、3箇所崩れたようになっている登山道がありました。
そんな場所を渡り切ったところに、人影が見えます。S原さんです。
隠れるように居て、僕たちが半分くらいまで渡ると、す~っと姿を消します。

S原さんはすでにさっちゃんと僕からは離れて行きましたが、
赤湯温泉直前のサゴイ沢への降下の道もひどく荒れていました。


赤湯温泉の山口館に到着しました。他のメンバーよりやっぱり1時間は遅れましたね。この写真の建物は上に建っていた方(別館と呼ぶのかな?)ですが、かなり手が加えられリフォームされていました。いちばん変わっていたのはトイレ。男女別に作られていて、洋式になっていました。右膝が曲がらないさっちゃんは昔はここの和式トイレで苦労したものです。皆さんの計らいで、さっちゃんと僕には個室が与えられました。感謝しかありませんね。

すぐに少しだけ上流の河原へ行きました。
すでに山菜は洗われ、料理が始まっていました。
焚火も盛大に燃え盛っています。
僕はさっちゃんに服を着替えさせます。
汗をかいたままの服では寒さが身に応えるからです。
(結果的には、夜もさほど寒くはなりませんでした)


▲この写真はちょうど6時でした。手前にさっちゃんがいますね。山菜料理も美味しくいただいて、アルコールも回りつつあって、気持ちのいい時間帯です。この数分前には、10mちょっとしか離れていない山の斜面に1頭のニホンカモシカが現れました。

さっちゃんは最近になってますます硬いものを食べなくなりました。
硬いといっても、例えば、パンの耳も残しますからね。
硬いか否かは別として、食に対する好奇心は旺盛だったんですが、それも衰えてきてるようですね。
山菜料理も少ししか食べませんでした。
まあ、もともと小食ですから、知らない人が多くいる雰囲気に緊張してたのかもしれません。


▲さっちゃんは焚火を楽しめたでしょうか?「帰ろうよ」と、僕を促すことはなくなりましたから(暗くなったせいだけかもしれませんが)、焚火の炎を見つめるのは嫌いではないのでしょうね。

そうそう、まだ薄明るいころには、さっちゃんは「もう帰る」と言って、
川の上流、苗場山に登る登山道の方角へ行こうとするんです。
僕が止めて、「そっちは反対側だよ。それに雪渓があるから行けないよ」と教えるんですが、
何度も何度も山の奥へ行こうとするんです。

夜も更け、一人、二人と、知らぬうちに姿が消えていきます。
焚火から離れ、別館の一階の広い部屋で語り合いを続けることにします。
僕はさっちゃんを二人のために用意された個室に連れて行き、
寝巻き代わりに着させた冬用アンダーウェアだけで布団に寝てもらいました。
そして、僕も語らいの輪の中に入りました。
こんな時間が山の中に泊まって過ごす中でも珠玉の時間です。

さっちゃんのことが心配なので、さっちゃんのいる隣りの個室を時々覗いて見ます。
なかなか眠りに落ちることも出来ないようでしたが、布団の中で静かにしています。
でも、3度目だったでしょうか? 4度目だったでしょうか?
それまでよりも時間があいて見に行くと、さっちゃんが布団から出て座布団の上に座っていました!
部屋は完全な暗黒で、自分の手のひらさえ見えないほどです。
さっちゃん、どれほどの時間、布団から出てたのでしょう?
さっちゃんを布団に戻し、僕も語らいの場に戻りましたが、心はもうそこにあらず。
語らいメンバーもすでに5人ほどに減っていて、僕はさっちゃんの元へ行くことにしました。

そして、翌朝。


▲さっちゃんと僕が昨晩と同じ場所へ行くと、もう朝食の準備が進んでいました。

14時台のバスに乗ろうということで、他のメンバーは遅くとも10時前には赤湯温泉を出るとのこと。
さっちゃんと僕は8時に出させてもらうことに。


▲昨日と同じ山道ですが、まだ午前中ですから空気が澄んでいます。遠くの山々も綺麗に見えます。あの雪の残る山は佐武流山あたりでしょうか?


▲他のパーティーも9時半ころには出発するでしょうから、林道の手前、山道では追いつかれ追い越されると思っていました。でも、思ったよりも早く荒廃した山道あたりで追いつかれてしまいました。聞くと、9時に出たんだそうです。出し忘れていた二人分の宿代等を払って、12時台のバスに乗ってください、越後湯沢で合流しましょう、と約束しました。皆、あっという間に姿が消えてしまいました。S原さんだけは今回もしばらく僕たちの姿を見守っていてくれました。

山道ではさっちゃんは2回転んでしまいました。
尻もちとかではなくて、転倒です。
もう少し勢いが付いていたり、掴む小枝がなかったら、もっと下まで転落していたかもしれません。
僕もさっちゃんの手を掴み補助します。
さっちゃんも僕の手を欲して、掴もうとし、掴みます。
転倒前もそうだったんですが、転倒後はなおさらほとんど手をつないだ状態で下山しました。

14時台のバスに間に合う時間内ギリギリで林道終点に到着しました。
後はただ、林道を淡々とほんの少しは速く、休憩も少なめに歩くだけ。
でも、そんな単調な歩みは本当に疲れます。

そんな時に、奇跡が!

1台の乗用車が停まったんです。
「乗るかい?」
「いいえ、大丈夫です」って、言ってみたい気持ちを喉の奥に飲み込んで、
「有難うございます」と。
埼玉県の釣り師さんでした。

車は苗場プリンスホテルに近づいて行きます。
12時台のバスの発車時間はもう過ぎてしまっています。
これから1時間半ほど次のバスまで待たなくてはなりません。
僕は「苗場プリンスホテル内の喫茶店ででも時間をつぶすかなぁ?」などと考えていました。
でも、釣り師さんはごく当たり前のように、国道へ出て、左へ曲がり、越後湯沢方向へ走るんです。
釣り師さんが帰るべき埼玉県は反対側なのに。
(後から考えたら、高速を使うんでしょうから、左へ曲がって当然なんですね)

すると、またまた信じられない奇跡が!

目の前のバス停に1台のバスが停まっています。
「あれっ? 何のバスだろう?」
「どこ行きなんだろう?」
よく見ると、越後湯沢駅行きとなっています。
12時台のバスが遅れているようです。
釣り師さんはバスのすぐ前に車を停め、バスが発車しにくくしてくれました。
その一瞬生まれた時間で僕とさっちゃんはそのバスに飛び乗ることが出来たんです。
釣り師さんには何のお礼もできず、感謝の言葉だけしか投げられませんでした。

そのバスの中にはYYDの仲間の顔、顔、顔が。
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