店主敬白(悪魔の囁き)

栄進大飯店の店主さがみやがおくる日々の悪魔の囁き。競馬予想や文学・音楽・仕事のグチやちくりまでいろいろ。

光瀬龍 その② もう一度読んでみた

2010-04-22 18:45:46 | Weblog
 ムックを読んだ後、もう一度光瀬氏の作品を読み直してみた。
 美文にダマされてはいけない。
 決して「明るくフロンティアスピリットに満ちたバラ色の未来」みたいなノーテンキな展開にも、過ぎ行く歴史に対してセンチメンタルにもなってない。
 彼の未来予想は、かなり悲観的なおかつ未来に生きる人たちの
「やるせなさ」を書いているからだ。
 しかも、科学的な予言・予測は少し違うものが多いけれど、社会的なことはけっこう当たっている・・・とおいらは思う。
 たとえば「オホーツク2017年」。
 地方にハイテク施設ができても、求人が地元にやってこないという悲劇。
 地元がたいして潤わないような施設。
 外国人労働者の問題。
 それによる地元勢の不満。
・・・今あるじゃん、そういう問題。

 「カビリア4016年」の、豊かな都市生活の中でも「生きづらい人々」。
 新興宗教、ドロップアウト・・・。
 他にも、あげていたらキリがないぐらいに・・・。

 氏の透徹な瞳には、「人類の進歩と発展」の向こうに「実はかよわき人類の終末」が見えていたのだろう・・・それは今日いますぐのことではないけれど。
 強く勇敢な人類なんてウソっぱち。
 誰か強烈な英雄なんて他の人にまかせておけばいい。
 市井の人々が主役なので、すぐ争う、すぐ動揺する、すぐしり込みする、すぐ欲をかく。
 だけど、えんえんと果てしない道を歩き続ける。
 それの積み重ねが歴史だから。
 
 


 
 

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