新・さひょ君のらくがき帳

僕と妻と娘、3人の日常と僕の趣味を書いたブログです。

言える幸せ

2013-08-03 14:48:13 | メンタルヘルス
職場で愚痴っても、聞いてもらえることは少ない。

妻の症状が今よりずっとひどく、ろくに睡眠も取れずに正直仕事どころではなかった頃は、上司に呼ばれたら、まず叱責が待っていて、向こうが言いたいことをいい加減言い飽きた後になってから「君も奥さんやお子さんのことで、色々大変だろう。困ったことがあれば、いつでも相談してくれ」と来る。

言える訳がない。

同じ口から、たった今、「仕事をこなしてくれなければ困る」「家庭は家庭。仕事は仕事。職場に家庭の問題を持ち込むな」と言われたばかりなのに。

当時は、一番安い携帯しか持ってなくて、自分でブログするとか、全く考えもしなかった。

プライベートで話すにも、仲の良い友達は独身が多く、育児や家庭の悩みを話しようもなかったし、心配して飲みや遊びに誘ってくれたりしても、うかつに家を開ければどんな事態になるやも知れず、僕の方が物理的に動けない状態だった。

ブログやその他の手段で、他では言えないことをこぼすのは、良いことだと思う。僕はそれを誰にも言えないで暮らしてきた時期が長かったから、胸中に溜め込んで言えない辛さは、ある程度分かる気がする。

こぼすことで少しでも気が晴れるなら、いくらでもこぼせばいいと思う。

妻は、落ち込むと毎回同じ話をする。母は酔っ払うと、十数年前に亡くなった祖母の悪口を今でも飽きずに繰り返している。

でも、人間って、そんなものだと思う。




40秒で支度しな!

2013-08-03 13:47:36 | 映画
「天空の城ラピュタ」
監督 宮崎駿
主演 (声)田中真弓

(物語)
鉱山で働く少年パズー。残業で親方の夜食を買い出しに行った帰りに、空から何か光るものが降りてくるのを見かけました。慌てて近寄り受け止めると、何と自分と同じ年格好の女の子。
翌朝、目を覚ました女の子はシータと名乗り、悪い奴等から逃げてきたとのこと。パズーが親方に相談しようと思った矢先、シータを追ってきた海賊ドーラ一家が街に乗り込んできてしまいます。すわ一大事!それがパズーとシータの大冒険の始まりでした…。

   ◇   ◇

「ルパン三世カリオストロの城」、「風の谷のナウシカ」に続く宮崎監督の劇場用映画三作目で、記念すべきスタジオジブリ創立第一回作品。
さらに、どうでもいいことですが、公開当時僕は丁度高3で大学受験と重なったため、映画館で見られなかった唯一の宮崎作品です。

ドキドキワクワクの冒険活劇の根底にある確固としたヒューマニズム。弱者へのあたたかい視線。他人を迫害する権力者への怒り。

全編大好きなシーンだらけなんだけど、特に何度見ても涙ぐむお気に入りのを一つ挙げておきます。

逃亡劇の末、軍に捕らえられたパズーとシータ。パズーの身を案じたシータにラピュタの一件から身を引くように言われ、ショックを受けたパズーは、ムスカから差し出された金を呆然自失の体で受け取り、夜までかかって、とぼとぼと自分の街まで歩いて帰って来ます。
心配して声を掛けてきた親方の奥さんの言葉に、却って居たたまれなくなって逃げ出したパズー。暗い道で石につまづき、思いっきり転倒。ポケットから転げ出たのは、ムスカから渡された金貨。反射的に広い集めたその金を、やはり投げ捨てようと振り上げる右手。こんなもの!…捨てられない…泣きながら、そのままポケットへ戻す…とぼとぼと、また歩き出す…。

この間、パズーの台詞は親方夫人の質問への答え「もう…いいんだ」くらい。ほとんど何も言わないにも関わらず、パズーの心情が痛いほど伝わってきます。右手を振り上げて、そのまま金を投げ捨ててしまっていたら、悪くはないけど、ありきたりなシーンになっていたでしょう。そこで金をポケットに戻すからこそ、パズーの心の痛みと彼の背負った貧困の深刻さが、表現できるのです。

単なる冒険アクションにとどまらない、深い人間ドラマとしての側面も持つ、不朽の名作だと思います。

何十回見ても、大好きです。

特に僕はドーラがお気に入り。ああいう大人になりたいですよね。