
「サクリファイス」
監督 アンドレイ・タルコフスキー
主演 エルランド・ヨセフソン
(物語)元俳優のアレクサンドルは、今は引退して田舎に妻と娘、息子の4人と家政婦2人(住み込み1人と通い1人)で生活している。息子は喉の手術の直後であるため、今は言葉を発することができない。
今日はアレクサンドルの誕生日で、近所の郵便配達人オットーと、友人であり一家の主治医であるヴィクターを招待し、みんなで夕食を食べることになっていた。
オットーから貴重な古地図をプレゼントされ、喜ぶアレクサンドルだが、夕食の準備の最中に衝撃波を伴った爆音が轟き渡る。やがて、テレビのニュースが、驚くべき事実を伝えるのだった…。
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タルコフスキー3連発の最後の作品となります。監督の遺作ですが、見るのも3つ目ともなると、こちらも慣れてきた部分があるのか、今までに比べて分かりやすかったです。素直に、素晴らしい作品だと思います。
映像は相変わらず、たまらなく美しい。珍しく多数の登場人物により織り成す物語は、演劇的で、思索的でありつつも、破滅的。静かなのに見応え十分で、思わず画面に引き込まれている間に、時間が経ってしまいます。
テレビの伝えるニュースが、物語のターニング・ポイントとなるので、どんなニュースかは書きません。ラストの展開に思わず「えーっ、そんな」と叫んでしまいました。
監督は、人間というものが、最後まで信じられなかったのかもしれません。