今年から初めてダウンヒルスキーに取り組んだ初心者、私とプロゴルファーKちゃんの二人だけでSilverStarに練習に行きました。上級者の同行しないスキーは初めてで二人ともやや緊張気味のスタートでした。
さすがプロゴルファー、私より数段に体のバランスが良く、股関節の鍛え方も違うとみえて、Kちゃんの大転倒した場面を私は見たことがありません。私よりずっと前に100を切っていることは間違いありません。実力に微妙な差はあっても、今シーズン中に安定的な90台の滑りを身につけ、来シーズンには80台を目指そうとする、現時点では同じ「中の下」の二人です。その二人が初めて臨む自主トレです。
初めて来た時の、あの「使用前」の滑りが嘘のような二人です。緑の初級コースでは物足りなくて常に青のゲレンデを探して滑りまくりました。THK三師匠の言葉を思い出しながら、①加重・抜重のタイミングを身体に覚えさせ、②なるべく右ターンの回数を意識的に多く取り入れ、③上体の進行方向への正対と前傾姿勢のキープを意識的にすることの三点を重点課題として臨みました。
リフトから見ていると「中の上」と「中の下」との滑りの差がはっきり分かります。急斜面でも力を抜いて雪に乗りきってスムーズに流れるような弧を描きながら気持ち良さそうに「滑る」上級者。左右に急ブレーキをかけながら何とか転倒せずに斜面を降り切ろうと苦闘する「中の下」。「滑る」と言うより「降りる」とでも表現すべき姿です。
期せずして二人が口にした言葉、「俺たちもあの姿なんだろうなぁ」。たしかに急斜面を気持ちよく「滑る」なんてゆとりが無く、急斜面を克服しながらなんとか降りきることに全精力を傾けているのが今のわれわれ二人の姿です。斜度そのものに対する恐怖心は薄らいできたものの、急傾斜で加速されるスピード感にまだ慣れきっていないとの、二人の共通認識・分析です。
昼食を挟んで滑ること(降りること?)約10本、リフトが終了する午後3時15分にはまだ間がありますが、「今日は無理をしない」と約束した二人はそろそろ上がろうかと話しながら、リフトの斜め前に広がる急斜面を見つめ、どちらからともなく、「あれは青かな、黒かな。最後に試しに行ってみるか?」。「中の下」の発想は同じです。
これがどうしてどうして、The Faceと名付けられた正真正銘の黒。他の黒は未体験でなんともいえないけど、少なくとも「上」であることは間違いなし。百歩下がって「上の下」であっても「中の下」の二人が時々の滑りを交えてなんとか降り切りました。三週間前にはこの世のものとも思えず、まさかと思っていた「黒」を滑ったのです。もとい、降りたのです。自主トレの最大の成果でした。
調子に乗ってもう一度降りきってお開きとしたことはご想像の通りです。初心者未満だった黄緑色の二人が「黒」を滑って、どうしても自慢したくなったのです。特に一足先に帰国して「黒」を未体験の上級者のUさんに謹んでご報告する次第です。
しつこいようですが、「使用後」が視野に入ってきました!