ささかのブログ

雑多な思考整理のためにブログを活用中。
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迷惑をかけない仕事の本質

2018-05-21 20:55:09 | Technics
下手に小器用なので、簡単にものをつくっているとか、簡単に絵を描いていると思われがちです。

前に見た気のする、ある話を思い出します。


ある陶芸家の元を訪れた客が、お椀を作る作業を見てこう言ったそうです。

「そんなに早くつくれるんだったら、もっと安くてもいいんじゃねえか?」

陶芸家はそれに対して、

「この一瞬の作業に、今までの何十年という作業が詰まっている」

と応えるというもの。


絵でいえば、線一本書くのにも様々な描き方があるわけです。

一瞬で描ききるか
じっくりと溜めて描くか
描きはじめの筆の強さ
描き終わりの筆の強さ
筆の寝かせ方
筆の持ち方
その他諸々の諸条件

筆の種類もあるし、インクの漬け方、インクの種類、キャンバスの種類諸々。

ペンだって新しいものもあれば古いものもある。ペン先はどんどん変化していく。メーカーが違えば描き方も変わる。

その様に多彩な条件の元で、最適な線を探っていくのですよ?

それは一朝一夕にできるものではなく、何十年と積み重ねた地道なトレーニングの末に成り立っているのです。


それは一瞬のフィギュアスケートの技にもつながると思っています。

そういう意味では、スポーツもしかり、芸術、美術も一瞬にかける思いは変わらないのです。


これから本題です。

そういった地道な基礎鍛錬を積んでいると、パッと絵なんか描けてしまうわけです。

同様にあらゆる基礎工学の鍛錬を、思いもよらずしてしまったために、ある程度のものはたいてい設計できてしまう。

大抵の場合、地道な基礎工学の積み重ねで設計できるのです。

JISに載っているそのまんまの工学方程式で設計計算すればいいだけなんです。

問題は定式化されていない分野は、当たり前にわからないのです。

例えば接触抵抗。

接触力を強めれば強めるほど抵抗は下がるのは経験からも理論式からも推察できます。

接触抵抗の理論式には、

接触表面の面粗さ
接触表面の洗浄度
接触表面の酸化皮膜厚さ
接触表面の劣化

といった定量化できないような要素もあり、それは実験によって地道に定量化しなければ接触抵抗を述べることはできないのです。

単純にとにかく、

表面を金メッキ処理

できればいいけれど、そういった表面処理ができないとなるとなかなかに厄介です。

主にコストの都合ですね。

調べに調べまくっても、定量化できないものは実験して主要因を洗い出す必要があるということです。

それがわからずに、とにかく食い込ませればいいと結論付けた頭の悪い人もいたのですよ。困ったことに。

その前にJIS規格に載っているレベルの工学方程式ぐらい理解してほしいと切に願うところです。

それはエンジニアではなく、感ジニアという蔑称が付いても仕方ないだろうに。情けない話です。

基礎工学のわからない人が工学をやると、大変な目にあいます。

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