あはー
久々にお話書いた~
くだらないけど読んで下さりませー
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ピアノ王国は、広いヨーロッパのなかでも、ひときわ輝かしい歴史を誇る、音楽あふれる国だった。
今日も王様の城の者たちは、ばらが咲く庭園や泉のほとり、二階に突き出たバルコニー、遊興のために建てたプチトリルノン宮殿など、思い思いの場所で音楽を奏でてゆったりとしていた。
しかし、このピアノ王国、ピアノはもともと「小さく」の意味だからと、大きな音での演奏は厳しく禁じられていた。
なにより、とばっちりを食らったのは「シ」の音で、「シ」の音が鳴るやいなや、みんなが人差し指を口に当てて、「し~っ!」と言った。
だから、「シ」の音は演奏される時もなるべく静かにしようとしていたし、心労が絶えなかった。
街のみんなは「シ」の音について、小声で噂した。
「シは、最近元気ないわよね~」
「もともと、導音って言われるくらい、主音の助けがないとフラフラなのに、最近はもっとふらついて、半音下がり気味よ」
「やぁね、半音下がり気味なんて、いただけないわ…」
みんなのコソコソした噂に耐えかねたシは、とうとうピアノ王国から脱走してしまった。
いなくなったらいなくなったで、シの代わりができる者がなかなか見つからず、ピアノ王国は混乱気味になってきた。
さらに、導音がいないせいか、主音の顔色がさえず、ゴールデン・ドと言われたドたちに輝きがなくなって来た。
ドは、今さらながら、いまいちふらつき気味のシがいたからこそ、自分たちが輝いて見えたのか、と、気づき始めた。
みんなは慌ててシを探し始め、どうにかして、もとの通り演奏に加わってくれないか、と思った。
国中の軍隊も出動し、三日三晩の捜索の末、やっとシは発見された。
シは弱り切った体で、ドの家の屋根の下につりさがっていた。
シの発見に喜んだ王様は、「シの音を発見!?やった~~。もう、これからは、大きな音でじゃんじゃんやろーじゃん」と、言った。
それを聞いたシは、もう、し~っ!って言われないのか、と、急に元気になった。
ピアノ王国は、その後、大きな音から小さな音まで、自由自在に豊かな音楽を奏でた。
めでたしめでたし。