今日はちょっと寒い日でしたね。
渋谷にある文化村ザ・ミュージアムで、ドイツにあるシュテーデル美術館に所蔵される作品である、《フェルメール「地理学者」とオランダ・フランドル絵画展》を観てきました。
ブリューゲル、ルーベンス、ファン・レイン、フェルメール、ファルケンボルヒ、といった、先日に観たレンブラントとほぼ同時代の17世紀に活躍したオランダ・フランドルの画家の作品でした。
当時、新教国として独立したオランダでは、主に旧約聖書に登場した人物が描かれ、オルフェウスなどの姿が見られました。
1630年に描かれたファン・レインのイスラエル王サウルとダヴィデを描いた「サウル王の前で竪琴を弾くダヴィデ」という作品がありましたが、私はこの作品が印象的でした。
王が目の前で竪琴を弾くダヴィデの命を狙っています。
コルネリス・ド・フォスの「画家の娘、シュザンナ・ド・フォスの肖像」に描いた赤ん坊の手首には、鮮やかな珊瑚の御守りが両手に付いて、色調を抑えた画面にアクセントを加えています。
ド・フォスの作品にはこの珊瑚の御守りがよく描かれたそうです。
今回の展覧会の目玉であるフェルメールの「地理学者」は、光の尊さと開放を感じる鮮やかな作品でした。
思ったよりは小さなサイズでしたが。
フェルメールは43年の生涯のうち、絵を描いたのはたった22年だけでした。
残っている作品は30数点と言われています。
「地理学者」は1669年の作品で、背景からは当時の文化水準を推し測る事ができます。
フェルメールはカメラ・オブスキュラという技法を用いていると言う事でした。
それは、素描の技術だそうで、鋲のようなものに紐をつけ穴から引っ張って線を引くそうで、フェルメールの作品のうち17作品に、小さな穴が認められるとも言います。
テル・ボルヒの「ワイングラスを持つ婦人」は、右手のワインピッチャーの光沢が素晴らしかった。
1610年の作品、ヤン・ブリューゲルの「ガラスの花瓶にいけた花」は、季節の違う花ばなが見られます。
当時、生花は高額だったため、画家は想像で花を描いたそうです。
単なる静物画にそんな側面があったとは…。
そしてそういった静物画を飾る事はステータスだったそうです。
また、フランドルのメインテーマの一つに「狩猟」があります。
狩猟もまた貴族の高尚な趣味を表し、ファン・エスの「調理台の上の魚」など死んだ動物や魚が描かれました。
17世紀になると、それまで添え物だった風景画は、独立した主題として認められました。
ロイスダールの「滝のあるノルウェーの風景」など、野趣に富んだ自然が描かれた。
全体的に色調を抑えた作品ですが、ろうそくやランタンの光で暮らす中からこそ生まれる、自然の光への憧憬と賛美があり、窓から差す光にも畏敬の透明感が感じられるのでした。
オランダの歴史を語るオランダの帆船や、スペインの爪痕など、400年前のオランダとその日常を覗いた気がして、楽しい鑑賞でした。
帰りは文化村内のドゥ・マゴ・パリで温かいカフェオレを。
友人のおいしそうなフルーツタルトが見えますね。