灼熱の宵
あふれ返る歓声
無抵抗を強いる熱気
妖艶にゆらめく提灯の連なりに
羽虫が吸い込まれ身を投げる
宝石すくい、したい
そういって、おもむろに走り出した
人混みを掻き分けて、すばしこく前に進む子供
あわてて後を追う
汗を拭く太った店主が座り込む店先
まばゆいばかりのカラフルな宝石
そう、プラスチックでできたおもちゃだけど
色とりどりの透明な宝石に反射した夜店のライトは
目の前に幻想の非日常を上演する
右手で一回、つかむ、300円
つかんだ小さい手からこぼれる宝石
わらいころげる夜のしじま
緞帳(どんちょう)をひく店主
獲った宝石は小袋に納まった
さあ、いこうか
夏の夜の
幕間劇