のほほんとしててもいいですか

ソプラノ歌手 佐藤容子のブログです。よろしくお願いいたします!

いつもと違う春に

2020-05-22 | 『詩・散文』

いつもと違う春に

 

ただ風の音をきく

 

いまだけを手に取り

 

探しているものを確かめた

 

 

不確かなそれは、確かに不確かながら、ちいさな光を宿す

 

 

ささやかに行きさきを示し、ちいさく頷く

 

 

木の下で賢者にであい、古い盃をもらった

 

 

ひとしきり雨がふると

 

 

盃はこなごなにくだけたが、

 

 

あわてて飛び散ると、一部は空に散った

 

 

 

たぶん、と思い、そのうちのひとつに飛びつく

 

 

 

憧憬は終わりなき慟哭に消え、辺りは笑いにつつまれた

 

 

多少、羞恥を覚えながらも同調し、拍手した

 

 

 

白みはじめた空にすべては吸い込まれていった

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