ある一つの考え方は時が経てば解体され、散り散りになり、まったく元の形を成さないかもしれない。
しかし真理は、朽ち果てることなく、薫りたつと信じたい。
新渡戸稲造は「武士道」の最後をこう結んでいる。
武士道の習慣が葬り去られ、名が忘れられても、その芳香は漂い続け人間を祝福し続けるだろう…と。
そして、最後に期待を込めて印象的な詩を引用している。
いずこよりか知らねど近き香気に
感謝の心を旅人は抱き
歩みを停め
帽を脱りて
空よりの祝福をうける
John Greenleaf「Snow-Bound」最後の4節