本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

『チムニーズ館の秘密』

2006年09月27日 | マンガ
あの『Papa told me』の榛野なな恵が、
アガサ・クリスティーのミステリを漫画化した!と知ってから、
わくわくして単行本を待っていました。
どんな風に描かれるか興味津々だったのです。  
(連載では読んでいなかったので…)

収録作品は、
『チムニーズ館の秘密』(原題同じ)
『追憶のローズマリー』(『忘られぬ死』)
『ソルトクリークの秘密の夏』(『ゼロ時間へ』)
の3本。
長編3作が一冊に?
ええっ、コンパクトすぎない?
と思いましたが、上手にまとめられていました。

アリバイの裏付けがどうの、登場人物たちの駆け引きがどうの、
といった細かな部分は少し省かれているのかもしれません。
(断言できないのは、原作の記憶が薄れてしまったから…
日々老化する頭でかろうじて覚えていた、
読者をミスリードするエピソード、
または真相に迫る証言なども、無かったりしました…。
その代わり、シンプルで読みやすいです。

おそらく謎解きが主眼ではないのでしょう。
選ばれた原作も…トリッキーな感じがしないし。
どちらかといえば、淡々としたスリラー風の持ち味、
それぞれの思惑が交錯した人間ドラマ、という印象があります。
と言う訳で漫画のほうも、事件そのものより、
渦中の人々を丁寧に描いているような気がしました。
(始めは不条理な存在だったローズマリーも、
あ~、こういう人だったんだね~、と思えてくる

舞台になっている、20世紀前半の空気も素敵ですね。
時間の流れが今とは違うような、優雅さと余裕。
クラシカルで洗練されているファッション。
悪女も淑女も、詐欺師も快男児も、
泳ぐように上流社会を渡っているのだわ。( ̄▽ ̄)。o0○
なんだかロマンチック~。

クリスティー物の映像化やアレンジには、
厳しいことも言う(おうちでね)わたくしですが、
この作品の場合は…
例えば、独特の歌い方をする歌手がいて、
誰かの名曲をカヴァーしたんだけど、
それはその人らしい歌になってしまっている。
だから「イメージ違うんだよ」という声も上がるけれど、
自分はその雰囲気も好きだな、というような感じ
なんです。
回りくどい(笑)。
端的に言えば「それはそれとして」ということなの。ヽ(´ー`)ノ

欲張っちゃうと。小説世界では別の作品にも登場する
バンドル(『七つの時計』)と、
レイス大佐(『茶色の服の男』等)が、
もっと目立って格好良くてもよかったなぁ。
原作ファンがふふっ、て楽しめるじゃない?

『チムニーズ館の秘密』榛野なな恵 
              原作アガサ・クリスティー 集英社 2006



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『奥さまはマリナーゼ』

2006年09月22日 | マンガ

以前ざっとだけ読んだイラストエッセイの『奥さまはマリナーゼ』、
図書館で見かけたので再読することにしました♪
(→前回の感想はこちら。受けた印象がだいぶ違っている)

何と言っても、ゆみぞうさんのオットさんへのが素晴らしい。
もう、なみなみと!あふれてますがな!ってくらい
てんこもりな愛です。トレビアン!

考えてみると、夫婦って不思議なもの。
一番身近な他人だから、
誰よりも頼りになるのに、誰よりも腹立たしかったりするし。
大切な人なのに素直になれない…ということもよくある。
自分で選んだ相手なだけに、家族よりも複雑。
タイミングや力加減でどうにでもなりそうなところが怖い。
若手芸人の新ネタ初披露みたいで怖い。
(何がきっかけでサーッとしらけるか分かりません!

他家の事情はあまり分からないから、
ブログやHPやエッセイ本などを読んでいると
へえぇ~と思うんですよね。(゜o゜)
その夫婦像へ共感することもあり、
目からうろこの気持ちになることもあります。

この本のゆみぞうさんは愛情表現がストレートで、
いつまでも初々しいテンションを持続してて、
なんかもう、お手本にしたいです。

ドジを重ねても毎度!と余裕で受け止めてくれる
オットさんも素敵ですね。
ゆみぞうさんが甘えた時のつれないあしらいも、
さりげなく相手をヨイショする褒め攻撃も、
両思いの二人の駆け引きのうちだから、
読んでいるこちらはにまにましてしまいます。

お二人の日常の出来事の数々が、
絶妙のユーモアに包まれて描かれているから、
ついつい笑って、元気が出てくるの。
HPの「絵日記でもかいてみようかNEW」は、
どんどん遡って見入ってしまいますよ。楽しい~♪


『奥さまはマリナーゼ』ほしのゆみ 宙出版 2005

    ※         ※         ※

ちなみに。
うちの夫にこの本の感想を聞いたら、
「(妻も)似たようなことしてるね~」ですって。
「いや!そこまで盲目的な愛じゃないし!」
と恥ずかしくて憎まれ口を叩くわたくし。

(ま、確かに噛み付いたり、
夫のひとり時間をじゃましたり、
などと心当たりは沢山あるのですが…。
でも夏場に熟睡している時の夫は苦手だよ。
熱気と湿気で蜃気楼が見えそうだし

この頃ではどーんと懐に飛び込むと、
『奥さまはマリナーゼ』を思い出すらしく、
けらけら笑われるのですよ。
やりにくくなったもんだ…。




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『かわいいダンナとほっこり生活。』

2006年09月12日 | マンガ

『かわいいダンナとほっこり生活。』
(細川貂々 ゴマブックス 2005)を本屋さんで見かけました。

てんてんさんは漫画家さん。
病気をきっかけに、専業主夫宣言をした夫の、
家事や節約など日常のほのぼのしたお話を描いています。

合わない会社勤めから解放されて家事を楽しむ“ツレ”さんと、
料理や洗濯などの失敗に文句を言いながらも、
支えられて大黒柱をするてんてんさん。
そこまで行き着くには葛藤もあったのだろうけれど、
まさしく“ほっこり”心温まるふたりの生活なのです。

妻が稼ぎ、夫が家事をする。ペットはいるが子供はいない。
夫婦の形はそれぞれだから、おかしなことは何もないのですが。
…てんてんさんは周りの偏見もさらっと書いています。
(「専業主夫=ヒモ」と思い込まれること、
「子供を早く作らないのは親不孝だ」と決め付けられること)

いるよね、自分の価値観でしか物事を捉えられず、
頼んで無いのに忠告をくださるご親切なかたたちって!
と、えらく頷いてしまいました。

当人たちが満足していて、誰にも迷惑かけてないんだったら、
いいじゃない、ほっといてあげなよ、と思うんだけど。
みんなが同じことを考えてないと
生理的にイヤ、
という人々はかなりいる。
日本は多様な価値観も許容する民主主義国なはずなのに。

相手にそのつもりがなかったり、
望んでもそうできない状況だったり、
というようなことを一切考えないのだろうなぁ。
ちょっとでも歴史や民族学をかじったら、
“当たり前なこと”の移ろいやすさに気づくのに。

そういう人に遭遇し、
「アンタ間違ってる」攻撃をされた時には、
反対に自分の意見を押し付けることもできないので、
(それでは同レベルですしね!)結構つらいもんです。
てんてんさん、偉いぞ、よく頑張ってる、と思います。
(わたしも相手を困らせる側に回らないよう、心したい…)

ツレさんの真面目な主夫ぶりには、
おのれの手抜きナンチャッテ生活を後悔しました。
わたし、結婚当初から思いやりに欠けていたかも。。。
居心地の良い空間を作る行為なんですよね、家事は。
他にも、疲れている時にかけてあげる言葉とか、
些細なことでも相手が安らぐことは沢山できるのに。
気がつくと自分の幸せしか追いかけてなかったわ。
猛省…。

また、同時に。
今は「夫:サラリーマン、妻:専業主婦」
という形で家庭を運営しているけれど、
いつまでもそうとは限らない。
もしも夫が専業主夫になりたくなったら…ということも考えて、
立場逆転(?)に備えて、
人見知りと自信喪失を少しずつ治そう…と思いました。
(どうみても猛烈サラリーマン、
仕事を究極に愛しちゃってる夫なのですが、
たまに『専業主夫に憧れる…』と言います。
家事、勉強して。わたしも社会生活を学ぶから




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『YAWARA!』

2006年06月12日 | マンガ
日曜日、遅ればせながら『YAWARA!』全巻を、一気に初読み。
昔から愛読していた夫と共に、
二人で同コミックを手にしながら晩酌をするという食卓の光景でした。
(しかも、『ロミオの青い空』DVDも流して、ちらちら観ていた夫。
カセラ教授のための人形劇のところでは、涙を拭っていました…。
途中から観ているはずなのに、切り替えが早いなぁ

『YAWARA!』はアニメ放送時に少し観て、
あらすじとラストを知っている程度だったんですが、
原作、結構面白かったです。

 <以下、ネタバレも含む感想です!>

柔道の天分を持ち、
世界的に有名な柔道家の祖父に鍛えられながらも、
普通の女の子になりたい主人公の猪熊柔。
可愛くて強い、でも感性は普通、という。

(打ち込めることを持っているひとにしては、
恋がしたい!お洒落がしたい!なんて、
わりと平凡なことを望んでいるもんだなぁ、と感じましたが。
でも毎日厳しい練習に明け暮れるアスリートは、
“ごく普通”のことに過剰な夢を抱いてしまうのかもしれません。
バブル期の喧騒の中ではひたすら古風な柔。
連載時に読んでいれば、マイペースな彼女に感情移入してたかな?)

誰かのために戦うばかりで、
なかなか主体的に柔道に取り組まないヒロイン。
それはそれで、彼女の成長物語となっているのだからいいのだけど。
わたしはどちらかというと、柔に柔道を続けさせようと頑張る
周囲の皆さんの方に感動しました(笑)。

やっぱり富士子さんが、友情に厚くて素敵です。
物語の中盤から読み出し、一度さかのぼり、
それから先へ進むという変な読み方をしたのですが、
こうして『YAWARA!』に食いついたのも、
女子大に柔道部を作ろうとする富士子さんの姿に
心打たれたからにほかならないのです。

柔と戦いながら成長していくライバルたちも良かった。
本阿弥さやかやジョディなど、個性豊かで面白かったですが、
ソビエト崩壊後のテレシコワが、特に印象的でした。
約束のあんみつ、食べられたのでしょうか。

夫は誰より「松田さんが、いい」と言っていますが。
まあ、ソレは基本。
風祭は論外だから。
(確実に尻に敷かれるだろう、風祭。
でも結婚前に一生分遊んだんだから、と同情されませぬ)

 猪熊家はおじいちゃんの滋悟郎も、お父さんの虎滋郎も、
柔道一筋過ぎて、とても大変そうですが、
実は最強なのはお母さんの玉緒じゃないかと思います。
行方不明の夫を日本全国探し回って、さんざん苦労したのに、
十数年ぶりに再会しても、穏やかに「お帰りなさい」だよ。
すごい一本背負いだ。見事なもんです。

描かれなかったコマの間に…
親子三人でシャンゼリゼを一緒に歩けたのでしょうか。

            

最後にひとつ、好きだった小ネタ。
虎滋郎さんとジョゼフィーヌのふれあい!
ナゲットを食べたいジョゼフィーヌ(イグアナ)がいい…。
本阿弥家のペットはみんなリボンをつけていて可愛いの。
アリクイもゾウガメもシマウマも、もっと登場してほしかったです(笑)。

『YAWARA!』全29巻 浦沢直樹 小学館 1987~1993
(マンガ文庫版も出ています)




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『ペパミント・スパイ』

2006年05月19日 | マンガ

少女マンガではどちらかというと、
怒涛のメロドラマ的展開より、とぼけたお話が好み。
だから川原泉・遠藤淑子・桑田乃梨子・大野潤子など、
王道をはずして独特の世界を築いた
漫画家さんの作品をよく読みます。
佐々木倫子先生の作品も、ほのぼのしていて面白いです。
興味深いストーリーを追いかけているうちに、
淡々としたユーモアがほの見えて、
思わずうふっ、と笑っちゃいます。

『ペパミント・スパイ』全2巻 佐々木倫子 白泉社 1985~1987
 スカウトされた友人を押しのけて、自らスパイを志願したドナルド。かろうじて試験をパスして、某国スパイ養成学校に入学したのはいいが、あらゆる勉強に遅れをとり、駄目諜報員への道まっしぐら。それでも運だけは素晴らしく良い彼は、優秀な委員長とお堅い校長と共に、様々な事件に飛び込んで行く。
 どんな状況でも常にマイペース、私情だらけの思考で、果たして一人前のスパイに成長できるのか、ドナルド?

コメディとしても楽しいけれど、
ミステリーとしてもなかなか味があるんですよ。
特に2巻が秀逸ですね~。
『動物のお医者さん』でもストーリーテラーだと思ったけど、
2巻収録の「田舎の日曜日編」とか「暁の人工都市編」とか、
読者を話に引き込むのがうまいなぁ、と感じました。

ドナルド、委員長、校長は、絶妙なでこぼこトリオ。
スパイになりたい情熱だけは人一倍、
しかし度々任務のお荷物となるドナルドと、
前代未聞の生徒に手を焼く、真面目な校長の間に挟まれて、
委員長には並々ならぬ苦労が…という気がするのですが、
よく読むと彼、一番冷静にツッコミ役をしていますね。

委員長も校長も、元は普通なのに、
なんだかんだ言ってあくが強いドナルドに慣らされているのです。
すごい影響力。朱に交われば…というやつ?
秘密諜報員としてはどうよ、って思うけど、
ある意味、頼もしい生命力。
さして努力をしなくとも、最後まで生き残れそう(笑)。

このシリーズ、続きをもっと読みたかったです。残念。
わたしは長い間探して、ブックオフで買ったのですが、
いつかマンガ文庫でも出るといいですね。

   


さて、昨夜はやけ酒をあおりました~。
なぜって、火曜に仕事に出た夫がずっと泊まり…。
それでも金曜には帰ってくるから、
雨の中はりきってお買い物に行ったのです。
晩酌に美味しいもの出してあげなくちゃ!と思って。

そしたら、“金曜は飲んでくる。多分午前様”という電話。
こちらはずぶぬれで帰宅したばかりだったので。
堪忍袋の緒が、ぶちっと切れました。
“仕方ないでしょう~”という態度にまた腹を立てる。
まったく、外面ばっかりの、仕事中毒男め。
洗濯物だけどっさり渡されても、知りませんからね!
最初に“淋しい思いをさせてごめんね”って言えばいいのに。
鈍いんだから…。ああ、むかつく。

ちょっと家出しようかと考えちゃいました。
あてつけに、近場に一泊旅行にでも行っちゃおうかなぁと。
でも大雨が続くみたいだったので断念。
(せっかく行くなら観光もして元を取りたい…という、貧乏性
かと言って何もしないのもしゃくだから、
つまみを用意して、家でひとり晩酌。

にら醤油かけ冷奴(奥園壽子先生のレシピ)とか、
納豆いなり(いつもありがとうございます。m-t-daidaiさんのレシピ)とか、
冷しゃぶサラダとか、、トマトとか韓国のりとかえびしおプリッツとか、
沢山うまいものを食べ、黒ビール350ml缶を2本開ける。
ぷはーっと。

片手にはアガサ・クリスティーの『パディントン発4時50分』。
(…活字無しだと落ち着かない)
流しているDVDは『名探偵ポアロ エッジウェア卿の死』。
なんかひとりでも平気かも。
だけど少ーし哀しいかも。

ここ数日夫と話ができないのを我慢して、
できるだけ大人しく待ってようと努力していたせいか、
気持ちが脆くなっていたようです。
我ながら馬鹿だなぁ。
いい子になんてどうせなれないし、なる必要もないし。
時々発散しなきゃ耐えられないでしょうが。

酔いが回ったら布団に直行です。
面倒を見なきゃいけない夫はいないし。翌朝のお弁当もないし。
楽々~♪
普段ひとりではあまり飲まないのですが。
こんな時間もたまにはいいですね。




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『兄ワールド』

2006年05月08日 | マンガ

自分の家って、意外に盲点。
ごくごく普通の家庭と思い込んでいたら、
外の世界を知って、「うちって、なんか変?」
と気づいてしまうこと、ありますよね~。
GWの里帰りで、実家の奇天烈ぶりを
第三者の目で実感してしまいましたが。
内部にいると分からないもんなんでしょうね。
『兄ワールド』の秋彦もまったく自覚のない変人、なのです。

『兄ワールド』加藤四季 白泉社 2004
 貴公子を目指す、周囲から浮きまくりの勘違いナルシスト、前田秋彦。常識人なためいつも苦労する、小学生の妹、春絵。
 『兄ワールド』は、この二人を軸に、天然お坊ちゃま星野森や、「辛口クララ」と称されるその姉の林、春絵の友達でアブないブラコン少女のりる、その兄で女嫌いの竹田、秋彦に片思いしている寺村など、マイペースなメンバーが繰り広げる、ぶぶっと笑っちゃう4コママンガです。

クラスの女子が完全にひいているのに、
全然気づかない秋彦がいいですね~。
春絵ちゃんは幼くして「お兄ちゃんは変!」と悟ってしまい、
気の毒やら可笑しいやら。
登場人物はみんな「我が道を行く」濃いタイプなんですけど、
なかでも爆笑してしまうのは、秋彦のクラスメイトの寺村さん。
こけし顔に、絶句してしまう独特なファッション。
常に妄想中で、秋彦に熱い視線を送っている恋する乙女。
すごい、すごい存在感です…。
ビジュアルといい、行動といい、ちょっと目が離せない。
秋彦より目立っている時があります(笑)。

厳密な意味で言ったら、平凡な家庭もフツーの人も
概念でしかありえないものなんでしょうし、
よく使われる台詞のように、「よそはよそ、うちはうち」
ということなんでしょうけれど。

でもねえ、たまに身近な奇人が普通ぶると、
「いい加減自覚しろ」と言いたくなりますよ。
「それはお前の頭の中だけで普通な話だ」と。
案外『兄ワールド』はすぐ傍にあるのかもしれません。

そういうわたしも、相当な非常識人間という、
己には見えないレッテルを貼られているのでしょうが…。




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『マダムとミスター』

2006年04月20日 | マンガ

見たこともないけど憧れてしまう職業、それが執事。
一般人のわたしなどは、小説や映画の中でしか
その存在を知りません。
映画『日の名残』とか。
渋いです。堅苦しくて忠実なイメージがあります。

時々おばかな妄想をめぐらすのです。
わたしがさる名家の若奥様だったら、
「奥様、来週の昼食会のメニューのことですが…」
なーんて、執事が話しかけてくるんだろうな、と。
口やかましい時もあるけど、世間知らずな若妻を
さりげなく助けてくれるんだ。
「差し出がましいようですが、ブラウン嬢とスミス氏を
ご一緒に招待されるのはいかがなものかと…」
「あらっ!やっぱりあの二人、過去に何かあったのね?」
根っから庶民の奥様が好奇心いっぱいで尋ねても、
「……」
執事は沈黙を守るのです。
お家の事情ならば何でも知っているけれど、
節度をわきまえた良い使用人なのです。
ひそかに若奥様を慕っていても、
ストイックでおくびにも出さなかったり。
うふ。カッコいいではないですか。

小説に登場するのは、
覆面作家シリーズ(北村薫)の赤沼とか、
S&Mシリーズ(森博嗣)の諏訪野とか。
(あれらの場合、どちらかというと
お嬢様のほうが希少価値が高いか…?)
あっ、『ハイジ』のセバスチャンも執事!

ピーター卿シリーズ(ドロシー・セイヤーズ)
に出てきたバンターや、
エルキュール・ポアロ作品(アガサ・クリスティー)の
ジョージなども印象的だったのですが、
よく読んだら召使という立場でした。
執事じゃなかったんだ…。
(すぐには思いつかないものですね。
執事モノだけ集めた作品リストでも作ろうかな?)

漫画で言うと、
『エイリアン通り(ストリート)』(成田美名子)のバトラーとか、
『遥かなる愛し夢幻』(もとなおこ)のメイヤーとか。
(もとなおこ先生の作品には
『執事と奥様』という読みきりもありました)
ちょっと壮年の方が多いけど、
『マダムとミスター』のグラハムは青年です。

『マダムとミスター』全5巻 遠藤淑子 白泉社 1995~1998
 マダムとは、富豪のジョンストン老人と死に別れた、若妻グレースのこと。ミスターとは、ジョンストン家の冷静かつ有能な執事、グラハムのこと。ホントは二人には別の関係もあるのだが、世間には女主人と執事という立場で通している。
 明るくてタフだが無鉄砲なグレースは、常に事件を呼ぶ女。ジョンストン家で巻き起こる騒動に、堅物の(しかし意外な一面もある)グラハムはどう対応するか…?

好みの取り合わせです。元気な女性に、
振り回されつつフォローする男性というカップリング。
やはり男性がね、弱気なのではなくて、
自由奔放な女性を許容する余裕があるのがいいです。

もっとも、この話のグレースはすごい突っ走りようですが(笑)。
すでに充分金持ちなのに、
競馬・宝探し・犬の繁殖など、一攫千金に目が無い。
前向きすぎて、騙されても懲りないし、
お人よしなので、困っている人を見ると放っておけない。
巻き込まれるグラハムは、
時に借金のカタで奉公に出されたりして、大変な苦労なのです。

グレースとジョンストン家のために度々苦言を呈しても、
彼女、素直に聞いたためしが無いし。
まことに両極にいる二人なのですが、
一緒にいると不思議にバランスが取れているのです。

ラクして大もうけ、なんて堂々とのたまうグレースが、
どうにも憎めないのは、孤独な生い立ちを乗り越えて得た
気丈で優しい性格の持ち主だからでしょうか。
あやしげな催眠術セミナーに参加して、
グレースの心が子供に戻ってしまった話、結構好きなんです。
過去につらいことがたくさんあったとしても、
まっすぐ生きてたくましい大人になればいいんだな…って。
そうしたらどこかで誰かが見守っていてくれるのかもしれない。
グラハムみたいにね。
う~ん。わたしグレースになりたいのかもっ。
周囲には限りなく迷惑でも(笑)。

グラハムのほうも、真面目一方に見えるけど、
たま~に予想外の行動で奥様をぎょっとさせたりして、
そこがまた、いいんです。
教科書通りかと思ったのに、油断ならぬ、という感じで。

遠藤淑子先生のマンガは、ほのぼのしていて
独特のコミカルな味があります。
しかもそこはかとなくハートウォーミング。
この『マダムとミスター』はマンガ文庫でも出ています♪

          

今回ウェブで執事を検索してみたら、
メイド喫茶に対抗して執事喫茶ができたって?
び、びっくり。
というか、メガネ男子もスーツ男子も
執事も好きって…わたし腐女子なんでしょうか。
いちおう三十路を控えた人妻なんですけども。



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ただの覚え書き。(マンガ)

2006年02月17日 | マンガ
『高校天使』全3巻 加藤四季 白泉社 1998~2001
 主人公は永遠のベビーフェイス、中学生に間違われる高校教師、こまっちゃん。
 個性的な生徒&教師たちとのほのぼのドラマが楽しい4コマ漫画。
 こまっちゃんと生徒たちとのふれあい、
 あるいはこまっちゃんと元不良少女のしょう子との、
 ズレた恋が主軸なんだろうけど、
 気になるのはマハーバ・勇樹・平井。
 あいつ、大バカだけど大物です(笑)。
 それに、結婚後の大録先生の変貌。人妻エリカの謎!
『もやしもん』第1巻 石川雅之 講談社 2005
 肉眼で細菌が見える沢木が農大に入って…という話。
 雑誌ダ・ヴィンチで紹介されていたので、結構期待して読んだんだけど、
 これは評価分かれるかも。
 先輩たちと大学の先生がアク強くて、何となく気おされるし、
 発酵ものが多くて、いきなりアザラシの漬物!ときて、強烈だし。
 細菌が「かもすぞー」と呟きながらふらふらしているので、
 可愛い時もありますが、凄まじい寮の部屋を見た後は、
 同級生の及川のように顔に除菌スプレーをぶっかけたくなります…。
 O-157なんて「かもして、ころすぞ」とか言うし。
 食事時には読めません。
『プ~ねこ』北道正幸 講談社 2005
 表紙と裏表紙の4コママンガを読み、ニタリと笑い、購入。
 猫に託して物を言わせているが、意外にブラックで毒がある。
 読んでいるときの気分によって、ここまで言うか、とヒイたり、
 深いのう、と頷いたり、にた、と笑ったり。
 何編か収録されているうち、4コマものがやはり面白かったけれど、
 特に「おおざっぱに生きる」とか、思わず笑ったです。
 それとオバケの白べえ、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の
 アイツに似ている。
『英会話スクールウォーズ』第1巻 マツモトトモ 白泉社 2006
 この作者の前作『美女が野獣』、
 面白かったけど結構中途半端に終わってしまったので、
 残念…と思っていたのだけど、
 (わにちんとエイミも、これから、って時に。
 最終回で全てがバタバタ動いて、突然終わった!という感じでしたよう)
 新連載開始。
 今度はちゃんと伏線を自然な形で片付けて、長~く続けて欲しいな。
 (前々作『キス』がすごく良かったからそう思うのかな)
 なんだかんだいいつつ、どうして買い続けるのか、というと、
 ストーリーに挟み込まれるギャグに、ぷっと笑っちゃったりするからです。
 画風も好きなの。おしゃれで。
 恋も(少女マンガだから、三角関係とかあるけど)、
 綺麗な映画みたいで、生々しくなくて、いいと思う。
 今度は英会話教室に通うことになった、英語苦手のアリスと、
 その講師イシュのお話。
 英語が出てくる時の、あの構える感じ、分かる分かる…。
 石化するかと思いますよね。
 アリス、頑張れ。NYが待っているぞ!

いまこそ『るきさん』

2006年01月27日 | マンガ
 連日テレビで取り上げられていますが、誰しもライブドア事件には思うところがあるのではないでしょうか。論じればきりが無いですが、物質主義の危うさに、今更ながら気づかされます。

 また、最近使われる「勝ち組・負け組」「負け犬」という言葉。何を基準にしているのか曖昧で変だ、と思うから、それに囚われている人間への皮肉としてしか用いませんが(世間で言われているいわゆる勝ち組っていうの?という認識で)。比較対象は人によって異なるもの。マスコミは今後、厳密にこれこれを基準として判断すると、この人は勝ち組である、と前置きをして発言すべきじゃないでしょうか。(話がそれますが、セレブという言葉も乱発しすぎ!もはや有難みが無いっ)

 はあ…文化人ぶったおじさんぽいことを言ってしまった。わたくしも年です。。。

 つまり、お金さえあればなんでもできるとか、がんがん金儲けしてると勝ち組だとか、独身で子供がいない女性が負け犬と自称するとか、そういうのは好きではない、ということが言いたかったのです。自分で思い込む分にはまだ構いませんが、社会共通の価値観になるのが怖い。だからマスコミにはただ流行の言葉だからといって飛びつかないで欲しい、ということ。まとめてみると平凡な考えです。

 改めて自分を顧みると、“あるがまま自然にいきる”ことが永遠のテーマになっているような気がします。自分を受け入れ、流れのままに、生きること。難しいです。だから、決め付けっぽい言葉に反発してしまうのかも。多様な価値観の共存が民主主義社会の基本なんだから、誰が声高に叫ぼうと、どうでもいいコトなんですが。未熟だからさ。

『るきさん』高野文子 筑摩書房 1996

 さて。あるがままマイペースを保っている主人公のるきさん、好きです。

 るきさんは都会の独身一人暮らし。仕事は自宅でする保険の請求。生活は質素だが楽しみは多い。ほっそり美人なのにさほどお洒落でもなくて、色恋とは縁が無さそう。一ヶ月かかる仕事を一週間で(こっそり)片付けて、あとはのんびり暮らす。趣味は読書と切手収集。肩に力を入れず我が道を行く感じがとてもいい。

 えっちゃんというキャリアウーマンの友達がいて、彼女は普通にブランド物も好きだし、流行にもついていく。一見てきぱきしたしっかり者だけど、後輩に純情な恋をしたりする。浮世離れしたるきさんとは対照的ながら良いコンビ。

 この二人の友情がまた、べたべたしてなくていいのです。お互いに病気になれば看病に行くような間柄だけど、それぞれの違いを認め合ったうえでの付き合いというか。その辺は解説の氷室冴子が詳しく書いていますが。

 バブル時代に連載が始まったらしいこの漫画、登場が早すぎたのか時代を超えているのかナゾです。スローな暮らしが注目されている今こそ、気軽に読んで楽しんだらいいんじゃないかなあ。るきさんてホント無理してないし、充分自分に満足してるように見えるんだよね。荒稼ぎするのも、他人と自分を比べてばかりいるのも、虚しいって気づかせてくれる。ちょっと理想の女の人です。

『のだめカンタービレ』

2006年01月26日 | マンガ
夫がブログの記事を見て一言。「なんかぢみだね」
だってだって…たまたまその時読んでいるものとか、書いてるだけなんだものっ。『茶話』とか須賀敦子ものとか、これからじっくり読み直して感想を…と思っていたけど。 結構悔しかったので。

 今回はすごくメジャーな作品を取り上げようと思います。本誌も読んだし。

のだめカンタービレ』1~14巻 二ノ宮知子 講談社 2002~2006(連載中)

 言わずと知れた、爆笑クラシック音楽コメディ。指揮者を目指すも、飛行機恐怖症で海外へ行けない千秋と、ピアノの才能を持ちながら、でたらめ奏法で冬眠中ののだめ。音大生の二人が出会って、ともに成長していく姿を描いています。

 とにかく登場人物のキャラが立っていて、笑えます。千秋は黒王子だし、のだめは天然不思議ちゃんだし。個人的には峰とか真澄ちゃんとか、R☆Sオケメンバーとか好きです。峰の親父さん、いい味出してます(裏軒ネタで何度笑ったか)。

 そして渾身の演奏シーン。圧巻なのです。どういう音が奏でられているのか、見事に表現していると思います。原曲を知らなくても世界に入れます。(この間書籍扱いでCDでました。欲しい…)

 学園祭でのSオケとか、ラフマニノフの演奏の回とか、のだめがコンクールに出場の所とか、かなり盛り上がりました。なんかもー、普段はみんな変だけど許す、みたいな心持に。すごい演奏です。(←直接聴いたみたいに思えるのですよ)

 初期と比べ、パリ編は勢いが落ちた、と各所で言われていますが。これはこれで好きです。確かにのだめの変態度も千秋の俺様度も下がったけど、何だか最近は母のようなキモチで、見守ってしまいます。

 あれだけ音楽と向き合わなかったのだめが、地道に頑張ってるよ。千秋、めずらしく低姿勢でオケを指揮している、煮詰まってそうだな、とか。遠くからひっそり応援するような感覚です。ゆっくり大成して欲しい…。若いんだし、悩め。(ねっ、母のキモチになってるでしょ)

 同じ作者の『平成よっぱらい研究所』も読みましたが。いやー、世間にはすごい酔っ払いがいますね。自分はまだ大人しい酒飲みだと安心しました。しかし、自戒自戒!