近頃ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」を、夫の付き合いで観ていますが。
どうしても役名を覚えられず、未だに「半沢直樹」に出てた大和田常務とか浅野支店長とか古里と呼んでしまいます…。
あと社長がイズムを連呼すると、ビジネス啓発本読んだ三流経営者っぽい胡散臭さが漂うのです。
野球部の面々は熱血スポ根野郎どもで、会社の危機にも野球のことしか考えてないので、かえって微笑ましい。
演出が「半沢」ぽいけど、崖っぷちの弱者が強者に倍返しする時代劇風の「半沢」とは微妙に異なるので、
いっそ「半沢」を観たことがない人のほうが楽しめるかもしれない。
社長が一番強そうで悪役を前にしても全く負けそうになく共感しづらいけど、
これは海千山千の企業幹部たちの駆け引きと、
大人なのに純粋な目をした野球部の活躍のお話と割り切ったほうがいいのだな。
(今のところドラマの中で最も気になるのは、イツワ電器の社長のおやつです)
それはともかく、最近読んだ本の感想を忘れないうちに少しだけ。
以下、ネタバレ注意です。
「ふたりの距離の概算」
古典部に仮入部していた新入生は、何故部長の千反田との会話の後、突然入部を拒否したのか。
それまでの日々のやりとりの中に手掛かりがないか、思い返す奉太郎。
過去の言動から推理できるのは、新入生の価値観、抱え込んだ問題、彼女の視点から見た世界…。
悩む若者は真剣だけれど、客観性がない。自分中心に物事を見てしまうため、他人を曲解してしまうこともある。
子供から大人になりゆく多感な時期のほろ苦さを感じる作品でした。
「午前零時のサンドリヨン」
学校では孤独な女の子、放課後はマジシャンという酉乃さんに恋したのが須川君。
毎度彼に頼みこまれて推理する酉乃さんだが、
謎を解いても事態が解決する訳でなく、さらに誰かを救うことまで考えなければいけない。
繊細で傷つきやすい彼女を事件に巻き込む須川君の無邪気な鈍さになんだか苛つく。
まあ、その鈍感力がなければ、心を閉ざした酉乃さんを外に引っ張り出すことはできないのだろうけど。
「青空の卵」
こちらはひきこもり探偵鳥井と、特別な絆で結ばれた親友坂木の物語。
坂木が謎を提示するのは、鳥井を社会と関わらせるためであるけれども、
彼は真摯に事実と向き合い鳥井を支えるので、読後感は悪くない。
互いに依存しているのか、互いのために純粋でいられるのか、区別はつかないと思う。
新たな人間関係が広がっていった時、二人がどのような変化を遂げるのか、楽しみである。
しかし腐女子は本作でもれなく3組くらいカップリングしてしまうでしょう。
「春にはすべての謎が解ける」
手掛かりを見過ごす警察も情けないけど、相変わらず探偵活動が捜査妨害に近いフレーヴィア。
犯罪や毒に魅せられた天才少女は、いったいどんな女性に成長するのだろう。
将来はボーンズみたいに賢くても傲慢でエキセントリックな研究者になるのじゃないのか。
それとも“密室”や“陸の孤島”や“トンチン年金”とかいう言葉にときめく単なるミステリマニアになるのか。
今回もフレーヴィア父のダメンズっぷりは健在。
完璧な親なんていないけど、ひとりで必死に子育てするハルさん(後述)をちょっとは見習えよ!
「彼の個人的な運命」
発達障害の青年が女性連続殺人事件の容疑者となるが、
彼の子供時代を知る元売春婦のマルト婆さんは無実を信じる。
マルト婆さんに頼られた元内務省調査員のルイが独自に捜査をする一方で、
学者三人組と元刑事は青年をかくまい面倒をみるのである。
警察には青年の所在を伏せて新たな容疑者を探すルイはかりかりしているのだが、
それに比べて見張り役4人はほのぼのして緊迫感薄いです。
読後はみんなでグラタンが食べたくなる。
「ハルさん」
日常の謎ものなのだが、知的遊戯としてのミステリを楽しむというより、じんわり感動してしまう父娘物語。
妻を亡くしてから一人娘のふうちゃんを男手ひとつで育ててきた、人形作家のハルさん。
時には仕事に専念し過ぎて家事がおろそかになり、ふうちゃんを放置して後悔することもあるけれど、
愛することにかけては誰にもひけを取らない真面目で優しい父。
子育ての過程で出会った謎にハルさんはおろおろするけれど、
心の奥に生きている妻の瑠璃子さんが謎を解いて助けてくれるのです。
自立心を持ったしっかり者の女性に育ったふうちゃんをお嫁に出すハルさんの姿を想像すると、ほっこり温かい気持ちに。
「乱と灰色の世界6」
この巻で骸虫編終了。
以前からネタバレ感想読んでて知ってたけどね。この展開は切ないよ。
わたしは凰太郎派なので、この先ついていけるのだろうかと不安に思いました。
これまで以上に伏線が省かれているような気もしたし(珊瑚ちゃんの紐とか)。
こんなことがあって、またあの楽しくてキラキラした乱の日常に戻れるのだろうか?
連載は続いているようなので、納得がいく自然な形でラストに流れていってほしいです。