「クラシック音楽館」で、ラフマニノフが聴けてひそかに嬉しい日曜日。
近頃クラシックに対するにわかっぷりが激しくて、お恥ずかしい限りです。
(好きかも…と思うのは大抵何かのCMやドラマに使われていて耳馴染みがある曲。
通俗的だろうがなんだろうが、華麗な作品ばかりに心惹かれ、長い曲は途中で飽きてしまう。
NHKのクラシック番組をぼんやり観て、指揮者の燕尾服率の低さとか考えてたり、
本当に自分は音楽というものが分からないのだなあ、と感じます)
まあでも、ひっそり楽しむ分には誰にも迷惑をかけていないからいいか。
ピアノの練習も、進歩していないけど少しずつ続けています。
我が家の猫の、わたしが別の部屋に行っただけで「ママー!」と鳴き出すエル氏が、
近頃少し大人になって落ち着きを見せて来たようなので、こちらも練習に夢中になれたのですが。
家事の合間や夜中に何時間も弾いていたりするとやはり淋しいらしく、
先日目を離したすきにまた異食をしてしまいまして(もう排出はされて一安心なのですが)、
エル氏の心の安定のためにちょっと練習時間をセーブしております。
(電子ピアノを置いた部屋、片づけて猫出入り自由にしたのになあ。
今ではプレイサークルも置いて、猫の遊び部屋と化しているのに、それでも淋しいか…)
そんな訳で、久々に綿毛布を食べてしまったエル氏なのですが、
それでも書籍にはまったく手を出さないようになりまして、やっと安心して図書館本を楽しめるように!
(今まで不安要素が強かったので、読書は購入本が中心、借りてきてもこっそり読んでいた…)
ばんざい!
もうあれもこれも読みたくて、バッグが重くて肩が抜けそうになるほどがっつり借りているのですが、
今のところ初心者向きの音楽学習本が多いです(楽譜・名曲案内・オーケストラの解説等)。
しかし読んだ後で大体忘れるので、勉強にはあまりなっていない。
音楽関係の読みものでは他にこんな本を借りました。
「ボクたちクラシックつながり」
「のだめカンタービレ」等で描かれている音大生たちはどういった人たちなのか、
パリのコンセルヴァトワールの入学試験はどういうものか、などなど、
音楽漫画と照らし合わせて実際の音楽界を解説しています。
音大卒業後の生活とか、現実が厳しいのがよく分かった。
(色々音楽本読んでると、音楽家の中でも世界的に認められるのは一握りの人たちで、
才能があっても運や人脈がなければどうしようもない点があるんだなあ、と切ない気分に。
プロになるための教育には多大な資金がいるし、音楽で生活するにしても一部の人たち以外は
どえらい収入がある訳でなし、費用対効果の面で成功するのはかなり難しい世界なのだけど、
それが分かっていてなお、最上の音楽を求めて生涯学び演奏し続ける人たちは、
音楽を本当に愛しているのだろう、すごいなあ…と素朴に思いました)
「おわらない音楽」
クラシックに興味が無い時から、実は小澤征爾氏の娘、征良さんの「おわらない夏」(文庫版)を持っていた。
「おわらない音楽」は小澤氏の自伝のようなものなので、当たり前と言っちゃ当たり前なのですが、
一家の友人タカベエや奥さんのヴェラさんのお話が出てきて、勝手にしみじみしました。
若き日のエッセイ「ボクの音楽武者修行」では語られなかった細々した話があり、
斎藤先生のことや、海外進出資金集めのあれやこれや、
応援してくれた人たちのこと、などなど、正直こちらのほうが面白かったし、じーんとしました。
あと、断然興味深かったのは小澤氏サイドから語る「N響事件」であります。
「小澤征爾さんと、音楽について話をする」
小澤氏による、カラヤンとバーンスタインの分析が印象に残りました。
他の本によると、一見独善的で自分の世界しか見てないようなカラヤンが、
実はオーケストラをまとめるうえでは上手だったみたいで、
後進の指導には定評のあるバーンスタインが、実はフランクすぎて、
奏者個々の主張を抑えられないタイプだったのかー、と。
それから「春の祭典」の改訂版が出た変わり目の時に、
小澤氏がそれを指揮することになり、改めて勉強しなおさなくちゃならなくて、
セイジは改訂版の犠牲になった、と師匠のバーンスタインが怒り、
作曲者ストラヴィンスキーが改訂版出したのは著作権伸ばしたいからだろうと思っていたらしいというくだりの後で、
実は作曲者が自分で指揮してみたら難しかったので改訂版を出したらしい、という補足が載っていた部分が、
何ともいえず面白かったです。
そうか…。自分では難しかったんだ、ストラヴィンスキー…。
それから、音楽以外の本ではこれらを読みました。
「タマネギのひみつ。」
改めて、黒柳徹子さんはものすごく頭が良い人だなあ、と思いました。
はるか昔に読んだ「窓際のトットちゃん」「トットチャンネル」の印象も残っているのですが、
頭が良すぎて、時折周囲の人と噛み合わなくなるタイプのようですよね。
日頃の勉強量が半端ないと思う。心が豊かだし、前向きなところが素晴らしい。
それに、受け手の糸井重里氏の上手さも改めて感じます。
たまに「ほぼ日」のインタヴューを読んで(糸井氏に)感心するのですが、
言葉の選び方やゲストの話を受けての返し方、新たな話の引き出し方がすごいですよね。
糸井さんはどうしてこうもゲストの懐に入れる聞き方ができるんだろう、と思う。
あ、この対談の話題で秀逸だったのは、やはり森繁久彌氏の話です。
ひとしきり笑わせてもらったあとで、
森繁さんはおそらく戦争の時に色んなものを見てきたのだろう、
しかし公にはそれを語ることなく、
森繁久彌という明るいキャラクターを終生演じ続けた、という徹子さんの分析が胸に残ります。
「ロンドンの超能力男」
シャーロック・ホームズのパスティーシュ。
一口に言うと、ホームズとワトソンとハリー・フーディニが出会います、という話。
ワトソン好きにおすすめだという評をどこかで読んだので借りて来たのですが、
もうワトソンさんがいい人すぎ。ドジっ子だけどかわゆすぎ。
これね、どう見ても、ホームズがワトソンのことを古女房だからと甘え切って、
どうせ離れていくわけないからって好き放題していたら、
ワトソンはいつのまにかアメリカ人の青年と仲良くなっちゃったり、
ぞんざいな扱いに我慢ならなくなってついに切れたり、
みんなをかばって怪我しちゃったりして、ホームズさん内心オタオタ、ていう感じでした。
自信家で傲慢で憎めないハリーの間男っぷりがいい。
フーディニの奥さんも登場するけど、腐った眼には男どもの三角関係にしか見えなかった。
そんな訳でミステリ的にはぶっちゃけ普通だけど、読んでいて楽しかったです(どういう感想…)。
さて、図書館本ばかりでなく、先日はブックオフオンラインで買い物をしたのですが、
小澤征爾氏に援助していた江戸英雄氏の器量の大きさにイロイロと感心したので、
「三井と歩んだ70年」をカートに入れたのでした。
ネットで幾つか読んだ逸話からしても、人間的に興味深い方…。