本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

ほんのひとくち感想9

2014年05月19日 | 

近頃ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」を、夫の付き合いで観ていますが。
どうしても役名を覚えられず、未だに「半沢直樹」に出てた大和田常務とか浅野支店長とか古里と呼んでしまいます…。
あと社長がイズムを連呼すると、ビジネス啓発本読んだ三流経営者っぽい胡散臭さが漂うのです。
野球部の面々は熱血スポ根野郎どもで、会社の危機にも野球のことしか考えてないので、かえって微笑ましい。
演出が「半沢」ぽいけど、崖っぷちの弱者が強者に倍返しする時代劇風の「半沢」とは微妙に異なるので、
いっそ「半沢」を観たことがない人のほうが楽しめるかもしれない。
社長が一番強そうで悪役を前にしても全く負けそうになく共感しづらいけど、
これは海千山千の企業幹部たちの駆け引きと、
大人なのに純粋な目をした野球部の活躍のお話と割り切ったほうがいいのだな。
(今のところドラマの中で最も気になるのは、イツワ電器の社長のおやつです)


それはともかく、最近読んだ本の感想を忘れないうちに少しだけ。
以下、ネタバレ注意です。



「ふたりの距離の概算」

古典部に仮入部していた新入生は、何故部長の千反田との会話の後、突然入部を拒否したのか。
それまでの日々のやりとりの中に手掛かりがないか、思い返す奉太郎。
過去の言動から推理できるのは、新入生の価値観、抱え込んだ問題、彼女の視点から見た世界…。
悩む若者は真剣だけれど、客観性がない。自分中心に物事を見てしまうため、他人を曲解してしまうこともある。
子供から大人になりゆく多感な時期のほろ苦さを感じる作品でした。

ふたりの距離の概算 (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)


「午前零時のサンドリヨン」

学校では孤独な女の子、放課後はマジシャンという酉乃さんに恋したのが須川君。
毎度彼に頼みこまれて推理する酉乃さんだが、
謎を解いても事態が解決する訳でなく、さらに誰かを救うことまで考えなければいけない。
繊細で傷つきやすい彼女を事件に巻き込む須川君の無邪気な鈍さになんだか苛つく。
まあ、その鈍感力がなければ、心を閉ざした酉乃さんを外に引っ張り出すことはできないのだろうけど。

午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社


「青空の卵」

こちらはひきこもり探偵鳥井と、特別な絆で結ばれた親友坂木の物語。
坂木が謎を提示するのは、鳥井を社会と関わらせるためであるけれども、
彼は真摯に事実と向き合い鳥井を支えるので、読後感は悪くない。
互いに依存しているのか、互いのために純粋でいられるのか、区別はつかないと思う。
新たな人間関係が広がっていった時、二人がどのような変化を遂げるのか、楽しみである。
しかし腐女子は本作でもれなく3組くらいカップリングしてしまうでしょう。

青空の卵 (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社


「春にはすべての謎が解ける」

手掛かりを見過ごす警察も情けないけど、相変わらず探偵活動が捜査妨害に近いフレーヴィア。
犯罪や毒に魅せられた天才少女は、いったいどんな女性に成長するのだろう。
将来はボーンズみたいに賢くても傲慢でエキセントリックな研究者になるのじゃないのか。
それとも“密室”や“陸の孤島”や“トンチン年金”とかいう言葉にときめく単なるミステリマニアになるのか。
今回もフレーヴィア父のダメンズっぷりは健在。
完璧な親なんていないけど、ひとりで必死に子育てするハルさん(後述)をちょっとは見習えよ!

春にはすべての謎が解ける (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社


「彼の個人的な運命」

発達障害の青年が女性連続殺人事件の容疑者となるが、
彼の子供時代を知る元売春婦のマルト婆さんは無実を信じる。
マルト婆さんに頼られた元内務省調査員のルイが独自に捜査をする一方で、
学者三人組と元刑事は青年をかくまい面倒をみるのである。
警察には青年の所在を伏せて新たな容疑者を探すルイはかりかりしているのだが、
それに比べて見張り役4人はほのぼのして緊迫感薄いです。
読後はみんなでグラタンが食べたくなる。

彼の個人的な運命 (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社


「ハルさん」

日常の謎ものなのだが、知的遊戯としてのミステリを楽しむというより、じんわり感動してしまう父娘物語。
妻を亡くしてから一人娘のふうちゃんを男手ひとつで育ててきた、人形作家のハルさん。
時には仕事に専念し過ぎて家事がおろそかになり、ふうちゃんを放置して後悔することもあるけれど、
愛することにかけては誰にもひけを取らない真面目で優しい父。
子育ての過程で出会った謎にハルさんはおろおろするけれど、
心の奥に生きている妻の瑠璃子さんが謎を解いて助けてくれるのです。
自立心を持ったしっかり者の女性に育ったふうちゃんをお嫁に出すハルさんの姿を想像すると、ほっこり温かい気持ちに。

ハルさん (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社


「乱と灰色の世界6」

この巻で骸虫編終了。
以前からネタバレ感想読んでて知ってたけどね。この展開は切ないよ。
わたしは凰太郎派なので、この先ついていけるのだろうかと不安に思いました。
これまで以上に伏線が省かれているような気もしたし(珊瑚ちゃんの紐とか)。
こんなことがあって、またあの楽しくてキラキラした乱の日常に戻れるのだろうか?
連載は続いているようなので、納得がいく自然な形でラストに流れていってほしいです。

乱と灰色の世界 6巻 (ビームコミックス)
入江亜季
KADOKAWA/エンターブレイン

お弁当参考書2

2014年04月22日 | 

気がつくとお弁当作りが一年近くになっていました。
…我ながら、結構続いたな。
無精者で寝起きが悪いうえに手際も悪いのですが、
前日作り置きして冷蔵保存&多めに作って冷凍保存という方法で何とか頑張っています。
夫の味の好みに合うように心がけているために、醤油味ばかりになっちゃったりもするし、
時には一品くらい市販の冷凍食品を詰める時もあるけど、まあそれくらいは許してもらおう。
(だからもう、義母に“冷凍食品だと味が濃くて口に合わない”などと言いつけないでくれ!!)

買い物に出かけるとおかずの材料が何か忘れてしまったりして、
結局当座の冷蔵庫の中身やセール品などで作ったりする有り様。
毎日のことなので適当になっているのですが、それでも料理本がなければ不安なんだよな。

何も思いつかない時やマンネリに悩む時は、こういう本も参考にしています。

好評の「忙しい人のための作り置き」レシピを集めました。 (オレンジページブックス)
クリエーター情報なし
オレンジページ

 

好評の「デイリー&行楽のおべんとう」レシピを集めました。 (ORANGE PAGE BOOKS 創刊25周年記念BESTムック v)
クリエーター情報なし
オレンジページ

 

暮しの手帖別冊 おべんとうのおかず196 2014年 04月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
暮しの手帖社


晩ご飯作りにもおすすめ。
できる人ならば、こういうレシピを駆使して、無駄なく食品を消費し節約につなげるのでしょうが、
わたしは行き当たりばったりで買い込み、野菜を駄目にしてしまったりして、真に情けなく…。
しかし、料理本のおかげで以前よりほんの少しは進歩したかと思います(あくまで当社比)。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


最近スクワットを始めたのですが、筋力も根性もないのでやたら動きがゆっくりに。
気功か太極拳みたい、と言われました…。


ほんのひとくち感想8

2014年04月15日 | 

春うらら。ひたすらに眠い季節…。
ただ集中して本を読み出すと危険です。ページを繰る手が止まらない。
昨日の午後もそれで買い物に行きそびれた…冷蔵庫にあるものを料理して晩ご飯にしたけど。
もっと節度を持って読書しなければいけないですね。
生活の優先順位を自覚しなければ!(と、毎度思う学ばないわたし)。


さて、近頃読了した本のひとくち感想です。

無花果の実のなるころに (お蔦さんの神楽坂日記) (創元推理文庫)
西條 奈加
東京創元社

望君の真っ直ぐな若さとお蔦さんの人生経験に裏打ちされた成熟とが二重奏となって、好感度の高い本でした。
連作短編である作中で起こる事件は身近なもの。パズルのように客観的に解く訳にはいきません。
ただ真実を暴きだすだけでは丸く収まらないのが一般社会。
解決した後も関係者の人生は続き、探偵役はその後を見守ることになるのです。
祖母と孫は時に同情し、時に憤りながら、入り組んだ問題に誠実に向き合います。
お蔦さんの筋の通った対応が大人として真っ当で格好いいです。
それから、望君の作る料理がうまそう…。一家に一人こんな子がいたらいいのに。

エリザベス王女の家庭教師 (創元推理文庫)
スーザン・イーリア・マクニール
東京創元社

アメリカ育ちのイギリス人、数学に優れた美貌の若い女性マギーが、
毎回歴史上の人物と接触し、その周囲で起こる事件に巻き込まれるシリーズ2作目。
今回マギーはジョージ6世の娘エリザベス王女(現エリザベス2世)の家庭教師になります。
↓ 以下、ネタバレ注意です。多分色々ぶっちゃけてしまっているので未読の方は避けてください。












なんというか…見方が厳しいかもしれないけど…。
今回のマギーは周囲が称えるほど有能とはとても思えませんでした!
暗号解読者としてはともかく、潜入工作員としてはどうなの?と。

まずね、彼女お喋りしすぎです。よく知りもしない人に自分のことを正直に話しすぎ。
いくら他人になり済ましている訳ではないとはいえ、各国のスパイが暗躍する現場で、
よく弱みが握られたり正体がバレたりしないものです。
あと、なんか無計画で行き当たりばったりで運任せじゃないですか。
例えば、ウィンザー城に行く前にもっと王室のマナーとか調べましょうよ…。
そこはMI-5に情報提供されなくても自習しときましょうよ…。
また、感情的で衝動的で公私混同傾向にあるような気が。
両親のことを知りたいのは分かるが、任務中はそれに集中しよう、なっ!などと声をかけたくなる。
それから、上下関係や指揮系統を軽視しがちです。
お前何様やねん、と教官やMI-5長官は突っ込まないけれども。

そう。作者の意図とは別に、こいつ学校の成績はよろしくても実社会で使えないタイプだな、
という印象を受けちゃったのでした。
彼女、自信は人一倍あるんだけどね…組織の歯車にはなれない子みたいね…。
ストーリー自体はとても面白かったし、歴史上の人物が置かれた環境が描かれて楽しいので、
マギーが「才気煥発」設定ではなく、むしろ「無鉄砲な天然ドジッ娘新米諜報員」キャラなら納得がいくかと思いました。
まあ、工作員としての資質が本当に試されるのは次回作かもしれない。散々批判したけれども、次頑張れ。

ちょっとアレ…と感じたことがもうひとつ(ごめん、超ネタバレですよ!)。
いつだろう…前にこんな感じの展開読んだことあるぞ、としばし考え、
コニー・ウィリス&シンシア・フェリスの「アリアドニの遁走曲」を思い出しました。
昔読んで面白かったSFラブコメ青春冒険ものです。

アリアドニの遁走曲(フーガ) (ハヤカワ文庫SF)
コニー ウィリス,シンシア フェリス
早川書房

母ネタがちょっとだけ似てる気がするんですよね。
故にマギーが作中煩悶していても、「まだ気付かないのか」的な上から目線になってしまいました…。
読了後、次回作の内容を少し予想してみたけど、できればそんな予想を覆す大どんでん返しがあってほしいです。
期待。


ほんのひとくち感想7

2014年03月26日 | 

どうもどうもお久しぶりです。
春ははじまりのイメージがしてお祝い事が多いですが、わたしたちの周りでも結婚式が。
祝電やお祝いの贈り物など、あれこれ考えて選んだりするのが楽しかったです。
この間は夫婦で披露宴に招待されて、神戸に行ってきました。
品があって落ち付いた新郎新婦にお似合いの、お洒落でシックな会場でしたよ!

今回はドレープで体型をごまかせる、ワインレッドのパーティードレスに黒いショールを羽織りました。
いつもは年齢を問わない形のベージュのワンピーススーツなんですが、
直近の披露宴でお会いした方々もご招待を受けているので、
さすがに連続して同じ服というのも…と以前買ったのです。
初めて着る大人の女風のデザインで、うれし恥ずかし気分でした。
(↑義母と義妹に選んでもらったので、新たな分野だったのです)
男の人はフォーマルスーツだから、着るものにそれほど悩まなくていいなあ。

猫のほうは、ちょっと前にエルがペットヒーターのカバーについていたファスナーを食べてしまって、
もう心配するやら落ち込むやら経過観察するやらで連日大変でしたが、なんとか自然に体外に出たようです。
本当にエルは行動が予測できなくて怖い…。
さくらは8割いい子ですが、時々二人きりで遊んで欲しくて不満をもらします。
それぞれが個人的にわたしと遊びたいって言われても…困るんだよなあ。


さて、そんな3月下旬に読んだもの。
少女マンガらしくないヒーローが主人公である「俺物語!!」。

俺物語!! 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)
クリエーター情報なし
集英社

ネットの試し読みが良かったので、現在3巻目まで揃えました。
剛田猛男、渋いです。顔はいかついけどいい男です。
砂川との友情もまたしみじみ心に染みます。
猛男と大和のほのぼのカップルは安定した雰囲気ですね。
真摯に相手を思い、相手のために配慮し、誠実に向き合う純粋な二人。
癒される…こういう作品は汚れた大人になればなるほど癒されるかも…(遠い目)。

待望の(株)魔法製作所シリーズ最新作「魔法使いにキスを」。

魔法使いにキスを (創元推理文庫)
シャンナ・スウェンドソン
東京創元社

あらすじですが、少しネタバレになっちゃうかもしれないので、以下はご注意を!


今回はある陰謀に巻き込まれて、オーウェンとケイティはパラレルワールド的魔法世界に閉じ込められてしまいます。
偽の記憶を植えつけられて、現実とは異なる人生を与えられた二人なのですが、
それでも出会って惹かれてしまう…。あらまあロマンチック!
このシリーズはシャイで研究者肌の魔法使いであるオーウェンが毎度素敵なのです。
(イケメンなのにケイティの言動ですぐ赤くなるし、一途だし可愛いです)
ちょっと奥手な二人が、心は強く結ばれながらもデートに邪魔が入って進展しないという展開が続き、
読者としては「大人カップルなのにお前らは」とやきもきさせられるのですが、今回はラブ度全開。
あれこれ事情があるとはいえ、女子が夢見るデートをやってのける二人…これは嬉しいだろ。
前作はドタバタ騒動が多すぎる気がしましたが、このように話をつなげたかった訳ですね。
(ケイティが魔力を得たのには理由があったと。まあ、前作はマクラのようなものだな)
それにしても激甘。くうーっ羨ましい。同じ人と再びフォーリンラブって!じたばた!!
(ラブ面は置いといて。ケイティの成長も頼もしかったです。
周りから愛される隣の女の子風のキャラ設定なのだと思うけど、実は賢いし、常識的で判断力があるし、
最近は自信も出てきて率直に物を言うし、魔法使いの恋人を持ちながら守られてばかりではなく、
それどころか相手を守ってあげることも多々あって、第1作の頃に比べるとたくましくなりましたよね)


キンドルのほうも時々思いがけない無料コミックが出たりするので、どんどんダウンロードしています。
(この間容量オーバーになってしまったので、どんどん読んでクラウドにも移していますよ)
今回の角川セールでは櫻子さんシリーズ4作目だけ買いました。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 蝶は十一月に消えた (角川文庫)
太田 紫織
KADOKAWA/角川書店

今のところ集めているだけなので、そろそろ順に読まなくては…。


「時の娘」再読

2014年03月06日 | 

「英国王妃物語」のエリザベス・ウッドヴィルの項を読み終えて、
あっリチャード3世ね!と思いだして、「時の娘」を本棚から取り出し復習。

英国王妃物語 (河出文庫)
森 護
河出書房新社

↓ またしても、イモヅル式読書。

時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)
ジョセフィン・テイ
早川書房

初めて読んだ時は、薔薇戦争の経緯がよく分からなくて、
しかも系図の難しさがあだとなり、何となくあいまいな感じで読み終えたのでした。
でも「英国王妃物語」のおかげで、ほんの少し事情が分かりやすくなったような気が…。
ていうか、「英国王妃物語」で???と疑問に思ったことに別の視点から光があたったような…。

例えば、なんでそこでヘンリー・テューダーがしゃしゃり出て王位を継ぐのとか。
エリザベス・ウッドヴィルについては本でもネットでも色々言われてるけど、
エドワード4世の血筋(ヨーク家)が欲しくてヘンリー7世(ランカスター系)は彼女の娘と結婚した訳でしょ、
腐っても皇太后なのにヘンリー7世は彼女を疎んで尼僧院に追いやったけども、
娘のエリザベス王妃は何もできなかったの?とか。

「時の娘」路線で想像すると、ヘンリー7世はもつれた親戚関係を利用した野心家だったのかなあ、と。
エリザベス王妃は、結婚して王位を正統化できればこっちのもんだ的に、
夫にいいように利用されちゃったんだろうなあ、と思いました。
でもまあ、エドワード4世時代にウッドヴィル一族がにわかに台頭したことを思えば、
(そしてエドワード5世が即位する時にも彼らが権力を求めて暗躍したことを思えば)
身贔屓のエリザベス・ウッドヴィルのことは抑え込むしかなかったんだろうな、ヘンリー7世は。
権力の座につくと、ライヴァルや反乱分子を徹底排除したくなるものだろうし。
またそれをしないと、いつ王位が覆されるか分からないものね。
日本人の感覚的には源平合戦だなあ、これは。
(そもそもエドワード4世は周囲を説得せずに簡単に結婚しちゃだめだよ!
これまでの『英国王妃物語』読んでいたら、政略結婚がいかに当時の常識か実感したし、
好きな女だからと真っ当な手続きを経ずこそこそ結婚する王なんて、どこまで能天気なんだと思ったよ。
キング・メーカーはエドワードの鈍感さにさぞかし苛々させられたんだろうなあ)

「時の娘」ではおかたい歴史学についてユーモアたっぷりに批判しているのだけど、
確かに歴史上の人物を血の通った人間として考える想像力って、教科書では芽生えにくい。
だから矛盾が矛盾のまま、普通にまかり通るし、苦しい説明でつじつまを合わせるしかなくなる。
正史は勝者によって作られるものだから、もっと不信感をもっていいんだよね!と改めて思わせられました。
(近現代だって、あったことをなかった、あるいはなかったことをあったと言い張り続けることで、
人は平気で歴史を改変しようとしているものね…。
それに、物語的に面白い解釈を好んでいるうちに実態はどうあれ、そのイメージが巷に根付いてしまう。
ほらほら、義経とか忠臣蔵とか)

では何を拠り所に過去の人々の生きざまを想像したらいいのか、というと、
やはりごまかしの少ない普通の人々の記録(帳簿・手紙・議事録・日記・出生死亡記録等)なのだろうな。
あるいは、作為を入れる必要がない時期の他国の記録。
情報をなんでも丸呑みこみにしないで、裏には何が見えるか、誰が得をするのか考察するべきなんだろう。
(わたしは単純なので、自分の頭で考えず識者の解釈をすぐ受け入れがち…反省)

と、ここまで書いて、前回書いた「時の娘」初読時の感想を読み返したら、
今回とほとんど一緒の内容だったよ…。変わらないなわたし。

まあ、何はともあれ面白かったです。
今度は寄り道やめて「英国王妃物語」のヘンリー8世の王妃たちの項に戻らないといけないと思うと頭痛いけど。
やめて何度も離婚再婚とか!妻多い!ただ混乱する!
(ヘンリー8世の生まれ変わりが現代にいたら、コンコンと膝詰説教3時間だよ。
エリザベス・テーラーの履歴読むほうがまだ楽しいって言ってやるよ)


ところで、ホワイトデーのお返しとして、夫にねだった本が届きました。

類語国語辞典
大野 晋,浜西 正人
角川書店

角川版類語辞典。前から欲しかったんだ…。わーいわーい!


お弁当参考書

2013年08月20日 | 

引っ越し後は毎日帰宅できるようになり、節約とダイエットを兼ねてお弁当生活の再開を望んだ夫。
わたしはもう絶望的なほど早起きはできないので、
(ていうかわたしが起きるほど目覚まし鳴らしたら、まず夫が先に起きるしな)
朝作ることは諦めて、冷蔵庫と冷凍庫にあらかじめ作り置き式で始めてみました。

それまでにも二冊くらいお弁当の本は持っていたけれど、
ビジュアル的に良くてもあまり実用的ではなかった。


↓ 今はこの本頼みのお弁当作り。

ホントに朝ラクべんとう300―冷凍&冷蔵おかずを作りおきして! (主婦の友新実用BOOKS)
クリエーター情報なし
主婦の友社

本当に便利だよー。おかずはあらかじめ作って冷蔵・冷凍しておけばいいんだよ。
朝は詰めるだけだからね。保存のために味は濃いめだけど、大助かり。


↓ この本はそこまでレシピ数が多くないけれども、美味しそうです。

あしたのお弁当 (mama’s cafe books)
飯島 奈美
主婦と生活社

昆布鮭とにんじんマリネはよく作ります。


そして、テンションあげたい時にはクウネルのお弁当本。

私たちのお弁当 (クウネルの本)
クリエーター情報なし
マガジンハウス

 

クウネルの本 もっと私たちのお弁当
クリエーター情報なし
マガジンハウス

人のお弁当の中身を見て刺激を受ける。
この人は冷蔵庫にあるもので、朝ぱぱっと作っちゃうとか、
この人はこだわりやで、丹念に材料を吟味するとか、
あるいはそこまで構えずに、残り物おかずを詰める人とか、
調理者の性格が分かるよね。
頑張りすぎなくても、普段食べるものなんだから自由でいいんだな、と思えるので、見ていて楽しい。


お弁当生活、すぐ投げ出しそうかなと思ったけど、まあ2、3ヶ月くらいは続いています。
わたしも夫と同じおかずをお昼に食べるので、栄養バランスは良くなったかも。
夫は食べ物の好き嫌いがあるので、入れられない食材もあれこれあるし、
おかずの味付けや分量などでダメ出しが出ることもあるけれど、
まあ無理せず、ゆるりと作っていこう。


無料本をkindleで(2)

2013年08月19日 | 

とりあえず読んだ記録。

☆芥川竜之介作品
「動物園」皮肉で辛辣でユーモラスな動物評。
「煙草と悪魔」悪魔も悪の布教に苦労しているわけだ。
「蜜柑」列車もの。斜に構えた語り手の心を動かす、田舎娘の純粋さ。
「藪の中」超有名作品だが、初めて読んだ。謎が謎を呼び、面白かった。

☆大阪圭吉作品
「香水紳士」列車もの。微笑ましくて、ちとお腹が減る少女ミステリ。

☆鈴木三重吉作品
「ぶくぶく長々火の目小僧」王子様ともなると、自分で特技が無くても有能な食客を抱えることが器量になるということか。

☆太宰治作品
「黄金風景」因果応報。
「駈込み訴え」愛憎うずまくストーカー風のユダ。これは腐女子が好きだわ。
「雪の夜の話」この兄さん、ダメンズだな。

☆新実南吉作品
「木の祭り」絵本にすると映えるだろうなと思うお話でした。

☆久生十蘭作品
「キャラコさん 02~11」財産を受け継いでもキャラコさんは変わることなく、様々な人々と関わっていく。
ただ「05 鴎」のように突然話が終わってしまって、んんん…?と思うことも。
描かれなかったそれからのことは最終回の皆の姿から、自分なりに想像するしかない。
「ノンシャラン道中記 02~03」天衣無縫、マイペースなタヌ子に振り回されっぱなしの、優男風コン吉くん。
行き当たりばったりの道中は、無鉄砲で波乱に満ちてユーモラス。
でも久生十蘭って、起承転結の転部分で締めくくることが結構あるのかもなあ。

☆牧野信一作品
「ラガド大学参観記(その一挿話)」幻想的すぎて、あまり世界に入って行けなかった。
「女に臆病な男」座って待っていたら、女の子のほうが的の前におどり出てくれた(ヤン・ウェンリー風)。

☆宮沢賢治作品
「雪渡り」子供たちと子狐たちの交流。出されたものは覚悟決めて食べるというのが客側の心意気。

☆渡辺温作品
「イワンとイワンの兄」自業自得。
「恋」その話の友人はその後どうなっちゃったんだろう。
「四月馬鹿」新婚のろけ話かよー。ていうか呼び名と自称が「エンミイ」って恥ずかしいよ。

☆コナン・ドイル作品
「世界怪談名作集09北極星号の船長 
医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記より抜粋」
神秘話なので落ちはあまり期待しないほうが良かった。

☆アナトール・フランス作品
「世界階段名作集11聖餐祭」古風で浪漫チックな恋の果て。


ちなみに今読みかけている本は、
有料本の「1ドルの価値/賢者の贈り物他21編」(O・ヘンリー)と、
電子書籍ではない岩波文庫「東京に暮す」(キャサリン・サンソム)です。
O・ヘンリーは、昔新潮文庫版を集めていたけれども、
新訳の文体がどうなっているのか興味があり購入。
「東京に暮す」は、昭和初期の日本を理解するために。
日本人の変わらないところ、現代では失われてしまった美点などに思いをはせています。

1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編 (光文社古典新訳文庫)
O・ヘンリー
光文社

 

東京に暮す―1928~1936 (岩波文庫)
キャサリン・サンソム
岩波書店

 


作り置きおかずの教科書

2013年08月18日 | 

母の病気も入院しないで済んでいるし、仕事もしているくらいだし、
多少手伝いをするぐらいだろうかという心構えで実家に帰ってみたら、
日頃から体調管理ができない母は症状がぶりかえし、見るからに生気の薄い状態になっていた。
(ていうか…医者から入院絶食勧められていたのに、
くだらない理由で断って自宅絶食とかすんなよ…)
しかも母はダメンズ育ての名人なので、同居家族は平然と病人に世話をさせている状態。

普通は母の世話をして、男どもは自分でなんとかしろという事態だと思うのだが、
母のほうは自分のことより男どもの生活に不自由がないようにするほうが大事ときた。
もしわたしが手を貸さなかったら、母自ら男どものわがままを聞いてしまうのだから仕方がない。
馬鹿馬鹿しいのですごくキレていたけれど、
母にはその時食べても構わなかったポタージュや甘酒やプリンなどを買ってきて、
限られた予算でご飯を作り、帰省した次兄に肉も食べさせたいとかいう母の要望を聞き、
あとはわたしが帰宅してからあまり料理をしなくて済むようにがっつり作り置きに励んだのだった。


基本、料理はマニュアル派なので、一冊はこちらを持参。

常備菜
飛田 和緒
主婦と生活社

↑ これね、シンプルだけど味付けの好みは分かれると思う。 
わたしは好きだけど。

そのうち、クックパッドに頼るようにもなったけど、
もっと分かりやすいレシピがいると思って、本屋で2冊購入。

暮らし上手の常備菜 (エイムック 2623)
クリエーター情報なし
エイ出版社

↑ 読むのは楽しいけど、日常の飾り気のない常備菜レシピは少な目かもしれない。
おしゃれなもの、手の込んだものを作る場合はきっと便利。

実践的だったのはこれ。

冷凍保存の教科書ビギナーズ―これならできそう!
吉田 瑞子
新星出版社

↑ すぐに使える冷凍素材の作り方や、冷凍おかずの作り方、
保存する時のパッキングの仕方や保存期間など、詳しくてありがたい。


しばらくして疲れが抜けたら、当分里帰りビンボーなので自宅でもこまめに
セール食品の冷凍保存に励みたいと思う。
やりくりって大変ねえ…。

そういえばキンドルは往復の電車内で読みふけったけれども、
実家では就寝前に短編を少し読むくらいで終わりました。
結局レシピ本ばかり広げる羽目になっていたなあ。


無料本をkindleで

2013年08月07日 | 

このところ、帰省準備で更にくたびれております。
やむを得ない理由で夫婦それぞれが自分の実家に帰ることになり、
交通費だけでなく手間も二倍…。ううう…。

そんな中、お土産を買いに京都に行ったら、よりによって激しい豪雨の日で、
京都駅からとても出られなかったので、結局JR京都伊勢丹で探しました。
(夫実家にはマールブランシュの茶の菓とたわわの京の麩らすく。
自分の実家にはジュヴァンセルの抹茶コルネッタと長久堂の鳰の浮き巣。
銘菓が揃って便利すぎるのだよ、伊勢丹のB1F)
最近の異常気象はちょっと怖い。地下街ポルタに浸水したの、初めて見ました。

そんなこんなで荷造りを進めると同時に、
kindleには無料本をダウンロードしております。
先日は、夫実家に帰省したら少々時間を持て余すかもしれないと思っていましたが、
行き先が自分の実家に変わったことで、より懸念が強くなったのでした。

今回は母の体調を見て、手伝うことがあれば…という感じの帰省なので、
友人たちと会う約束もしていないし、どこかへ行く予定もありません。
実は母のことで急いで帰省を決めたのだけど、幸い回復しつつあるみたいだし、
もう仕事も再開しているようで、そうなると別にわたしがずっと家にいる必要もなく、
かといってひとりで出かける場所も思い当たらないので、困っているのです。
(夫実家では、緊張するけれども周りに話し相手はたくさんおります。
しかし私の実家は会話を楽しむような家庭ではなく、
切実に、読書ぐらいしか心の拠り所がないのですよ、昔から)

で、基本あとで読むために買っているのに、
ちょこちょこ短編を読んでしまっては夫に呆れられています。
だって無料本は短編一作品ずつ売っていたりするから、
どの作家が面白いか味見してみないと、続々ダウンロードする気にならないんだもの。


ということで、今までに読了した本の記録です。

「猫町」(萩原朔太郎)
想像していたより主人公がデカダンスだった。

「紫紺染について」(宮沢賢治・以下同)
マナーの本をこっそり読んできたりする山男がスキだ。

「どんぐりと山猫」
ほのぼのしていて可愛い話。

「楢ノ木大学士の野宿」
幻想的で楽しい話。映像で見たい。

「祭りの晩」
うさんくさい見世物小屋に入ったりする山男がスキだ。

「忘れ形見」(若松賤子)
お話も文体も古風だけど、読みにくくはない。若松賤子訳の小公子も読みたい。

「瓶詰地獄」(夢野久作・以下同)
孤島の妹萌え(違うか)。普通に3-2-1の順に書かれた手紙として読みました。

「きのこ会議」
短い子供向けのお話。おどろおどろしさはない。

「明治開化 安吾捕物その一 舞踏会殺人事件」(坂口安吾)
現場に行き巡査の力を借りてたどり着く結城新十郎の推理と、
泉山虎之助というフィルターを通した事件内容から導かれる勝海舟の推理と、
両方楽しめるんだけど、先にアニメ「UN-GO」を見るんじゃなかった。

「犂氏の友情」(久生十蘭・以下同)
初めはちょっと滑稽で、半ばでは意外な展開になり、最後はへえ、と思う。

「キャラコさん01 社交室」
爽やかな乙女キャラコさん。揺るがない性格に好感が持てる。
ツンデレお嬢は出てくるわ、ボクっ子は出てくるわ、ヒモは出てくるわ(笑)。

「ノンシャラン道中記01 八人の小悪魔」
この時代にカップルで海外旅行をしているコン吉とタヌ子はどういう関係なんだ!?
ていうか、タヌ子いいね。トラブルメーカーな感じがいいね。

「復活祭」
ラブストーリーなのかと思ったら人情話だった。


著作権フリーの無料本は昔の作品だから読みにくいかと思ったら、
近代の作家を選べば全くそんなことはなかった。
(ラノベが苦手で翻訳本が好きだからかもしれない)
むしろ会話とか風俗とかが新鮮です。

実のところ、これでブンガクに対する構えた感じが軽減され、
また「実家で読む本がなくなるのが怖い!」という強迫観念に駆られたこともあり、
どんどん、どんどん、どんどんどんどんダウンロードしまくったら、
あっというまに端末の容量がなくなっちゃったのでした。
早く読んでクラウドに移動させようと思います。てへ。


その後のキンドル

2013年07月20日 | 

この夏、一週間くらい夫の実家に帰省することになりました。
結婚10年めだというのに、まだバリバリに緊張する嫁。どうなのよって自分でも思うが。
それはともかく、向こうで読むために、今のうちにキンドルに本をダウンロードしております。

実はわたし、夫の実家からひとりで出かけることができないのです。
車が運転できないから仕方ないのですが、近所のスーパーも徒歩圏内か不明で、
バスや電車の乗り継ぎ方もよく分からなかったりする。
義母に車を出してもらうのも悪いし、かといって夫はわたしを放置して一人で出かけたりする奴なので。
みんなとお出かけする時以外は、ずーっと家の中…。
今回猫らはペットホテルに預ける予定だし。
いや、お手伝いとかはしたいと思っていますけど。時々手持無沙汰になりはしないか、心配になりまして…。

元々キンドルを買ってもらったのは、家以外の場所でもたくさん小説を読めるように、という意図からでした。
普段は紙の本が好きだけど、活字中毒者が一週間分も持ち歩くのは大変だからねえ。
夫の実家部屋には夫の漫画がぎっしりなので、それを読めばいいのかもしれないけれど、
やっぱり自分好みの本も読みたいのです。

で、「メソポタミヤの殺人」「そして誰もいなくなった」「チムニーズ館の秘密」(アガサ・クリスティー)や、
「有頂天家族」(森見登美彦)「秘密結社の手帖」(澁澤龍彦)「チェ・ゲバラ伝」(三好徹)
「1ドルの価値/賢者の贈り物」(O・ヘンリー)といった本を買いました。
どうせタダだからと、無料本も続々ダウンロードしています。
この間、「猫町」(萩原朔太郎)と「どんぐりと山猫」(宮沢賢治)を読んだけど、
キンドルの使い心地も悪くなかったよ。

向こうに行ってみれば、逆に読む暇もないかもしれないけれど…。
本は昔からお守り代わりだったから、とりあえずキンドルは持って行くつもりです。
それにしても意外と安くならないね、電子書籍。
著作権フリーになった柳田国男の「遠野物語」まで、無料本見つからないのはがっかり。


ところで、夫実家に滞在する時の数ある心配のうちの一つが、お風呂上がりの格好です。
太ったら胸まで大きくなってしまい、ノーブラでパジャマ着るとだらしないような気がしていたのでした。
まあ、この頃はナイトブラというものも出回るようになってきたけど、
寝る時にかっちりしすぎているのも、なんか苦しそうでいやだし。
なんとかならないかなあ、と胸元二重のルームウェアを探したりしていましたが、
最近強い味方を見つけました。
無印良品のカップ付きチュニックです。
これならいい具合にフィットして、胸を支えてくれる感じ。カップも寝る時は外せるし。
(でもお店で二枚買ったら、ちょうどよいサイズは在庫なくなっちゃったよ…がっくり)
こういう小さいことで悩むのはわたしだけかもしれないけど、
同じことを考えておられる方がいたら、パジャマ代わりになるかどうか、
ぜひ試着してみてくださいね。

すべて考えすぎ?ちっちゃいこと色々考えすぎかもな、わたし…。
ああ、また口唇ヘルペス再発しそうだ…(弱気)。